温泉ライター、小暮淳の公式ブログです。雑誌や新聞では書けなかったこぼれ話や講演会、セミナーなどのイベント情報および日常をつれづれなるままに公表しています。
プロフィール
小暮 淳
小暮 淳
こぐれ じゅん



1958年、群馬県前橋市生まれ。

群馬県内のタウン誌、生活情報誌、フリーペーパー等の編集長を経て、現在はフリーライター。

温泉の魅力に取りつかれ、取材を続けながら群馬県内の温泉地をめぐる。特に一軒宿や小さな温泉地を中心に訪ね、新聞や雑誌にエッセーやコラムを執筆中。群馬の温泉のPRを兼ねて、セミナーや講演活動も行っている。

群馬県温泉アドバイザー「フォローアップ研修会」講師(平成19年度)。

長野県温泉協会「研修会」講師(平成20年度)

NHK文化センター前橋教室「野外温泉講座」講師(平成21年度~現在)
NHK-FM前橋放送局「群馬は温泉パラダイス」パーソナリティー(平成23年度)

前橋カルチャーセンター「小暮淳と行く 湯けむり散歩」講師(平成22、24年度)

群馬テレビ「ニュースジャスト6」コメンテーター(平成24年度~27年)
群馬テレビ「ぐんまトリビア図鑑」スーパーバイザー(平成27年度~現在)

NPO法人「湯治乃邑(くに)」代表理事
群馬のブログポータルサイト「グンブロ」顧問
みなかみ温泉大使
中之条町観光大使
老神温泉大使
伊香保温泉大使
四万温泉大使
ぐんまの地酒大使
群馬県立歴史博物館「友の会」運営委員



著書に『ぐんまの源泉一軒宿』 『群馬の小さな温泉』 『あなたにも教えたい 四万温泉』 『みなかみ18湯〔上〕』 『みなかみ18湯〔下〕』 『新ぐんまの源泉一軒宿』 『尾瀬の里湯~老神片品11温泉』 『西上州の薬湯』『金銀名湯 伊香保温泉』 『ぐんまの里山 てくてく歩き』 『上毛カルテ』(以上、上毛新聞社)、『ぐんま謎学の旅~民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん)、『ヨー!サイゴン』(でくの房)、絵本『誕生日の夜』(よろずかわら版)などがある。

2020年08月13日

マロの独白 (黄泉編) 新盆でやんす!


 こんにちワン! マロっす。
 ここんちの飼い犬、チワワのオス、享年13才2ヶ月と7日です。

 お久しぶりでやんす!
 読者のみなさんは、お元気でした?
 オイラ、新盆なので帰って来やした。

 最後に書いたブログが、この世を去った昨年の9月20日ですから、約11ヶ月ぶりなんですね。
 お懐かしゅうごいます。


 あれから何をしていたかって?
 あの世って、けっこう忙しいんですよ。
 オイラには、別れ際に、ご主人様と交わした “約束” がありましたからね。
 それは、あの世へ行っても大主人様と大奥様に使えること!

 とはいっても、黄泉の国は広いんです。
 しかも人間様と我々動物とでは、居住エリアが分かれていて、簡単には会えません。
 のでオイラ、あの手この手を使って神様に取り入って、なんとか人間エリアに入り込めたのは半年後の今年の春。
 そうです、大主人様と大奥様の一周忌が過ぎてからなんです。


 でも人間エリアも広いんですよ。
 没年ごとに居住エリアが分かれているんですが、大主人様と大奥様は昨年、一緒に逝かれたので、一番新しいエリアで仲良く暮らしていました。
 最初にオイラに気づいたのは、大奥様でした。

 「大奥様、お懐かしゅうございます。マロです!」
 オイラが飛びつくと大奥様は、たいそう驚かれましたが、
 「えっ、マロかい? 本当にマロなの! でも、ここに居るっていうことは、お前も死んじゃったのかい?」
 「はい、大奥様。オイラは大奥様を追って4か月後に、こちらに参りました」

 大奥様は、とても若返って見えました。
 最期の数年間は寝たきりだったのに、今は少女のようにお花畑を歩き回っています。

 「マロや、お父さんもいるんだよ。今、呼んで来るからね。おとーさーーーん!!」

 そして、やって来た大主人様を見て、ビックリ!
 だって、背筋は伸びてるし、ステッキは持っていないし、かくしゃくとして歩いて来るではありませんか!
 「ほら、お父さん、マロが会いに来てくれましたよ」
 「マロ? さて、誰だい?」
 「いやですよ、ほら、ジュンの家にいた犬のマロちゃんですよ」
 「犬? オレは犬は苦手だからな」

 どうしたことでしょう?
 あの世に来ても、まだ認知症が治ってないのでしょうか?
 オイラが困っていると、大奥様が言いました。
 「マロ、ごめんなさいね。お父さん、認知症になる前に戻っちゃったのよ」

 ということは、オイラが小暮家に来る前の姿なんですね。
 だから分からないんですね。
 でも、良かった!
 大主人様も大奥様も、あの世では病気をされる前の姿で、暮らされているのですね。 

 「マロ、今年の夏は、新盆でしょう?」
 「新盆?」
 「そう、亡くなってから最初の盆は、必ず帰らないとね」
 「お二人は、行かれないのですか?」
 「私たちは去年、済ませたからね。一応、お盆中には顔を出すけど、遠くから見守るだけなのよ」
 「今年の盆ならオイラの姿が、見えるんですか?」
 「そういうことよ。ジュンに会って、私たちが元気に暮らしていることを伝えてね。頼んだわよ」
 「はい、大奥様!」


 ということで、今朝早々に帰って来ました。
 この世に居られるのは4日間だけです。
 また、ご主人様と散歩に行きたいけど、相変わらず下界は暑いでやんすね。

 では、これから、ご主人様に会ってきやす。
 驚くだろうな~

 そーっと、そーっと、近づいて……


 「ご、しゅ、じ、ん、さまーーーーっ! マロっす!」
    


Posted by 小暮 淳 at 10:26Comments(2)マロの独白

2019年09月20日

マロの独白 (最終回) 天国より愛を込めて


 こんばんワン! マロっす。
 ここんちの飼い犬、チワワのオス、13歳2ヶ月と7日……
 ……でした。

 オイラ、令和元年9月20日午前2時42分に、天国へと旅立ちました。


 おとといまでは元気だったんですよ。
 前回、ご主人様がブログに書かれたように、確かに足腰はヨボヨボですけど、なんとか休み休み、家のまわりのいつもの散歩コースを歩きました。
 ところが昨日は朝から体調がすぐれなくて、朝食も半分残してしまいました。

 「おとう、マロ、だいぶつらそうだけど、今日も散歩行くの?」
 ゲージの中で横たわっているオイラを見て、次女様がご主人様と話しているのが聞こえました。
 「無理かもしれないね」
 「私は午後、出かけちゃうけど、無理はさせないでね」
 そう言って、次女様は家を出られました。

 「おい、マロ! 散歩、行くか?」
 「クー、クー」
 どうしたことでしょう、一生懸命、言葉にしようとするのですが、なんだか息苦しくて、いつものように話せません。
 「立てるか?」
 ご主人様がオイラの体を抱き上げますが、床に下ろすと、そのまま濡れ雑巾のようにグターっと倒れこんでしまいます。
 まったく、手足に力が入りません。

 「今日は、やめとくか! おい、マロ、オレも出かけるけど、1人で留守番できるかい?」
 「クー」
 そして、ご主人様も出かけられ、オイラは家に残されました。


 ご主人様が帰って来られたのは、夜の9時過ぎでした。
 「マロ、どうした! 大丈夫か?」
 返事をしようにも、意識がもうろうとして、もう声が出せません。
 ご主人様は何も言わず、ゲージの中で糞尿まみれになって倒れているオイラを抱きかかえ、キレイに体を拭いてくださいました。

 やがて次女様と奥様も帰って来られたようですが、オイラには、ご主人様の声が、かすかに聞こえるだけです。
 「今日はオレが一晩中、マロについているから、寝ていいぞ」
 そう言うと、ご主人様はゲージの隣にクッションを持ってきて、リビングの床に添い寝をしてくださいました。

 「クー、クー」
 と時々、オイラが声を上げると、
 「マロ、大丈夫か? オレが一緒にいるからな!」 と言って、背中をさすってくれたり、テッシュに浸した水を口元に当ててくださいました。


 日付けが替わり、午前1時を過ぎた頃あたりからでしょうか。
 だんだん息が苦しくなってきて、それまでは鼻で呼吸をしていたのですが、口を開いて、ハーハーと音を立てるようになっていました。
 「マロの様子が、おかしいぞ!」
 ご主人様の声に、まだリビングでスマホをいじっていた次女様も、オイラのそばに駆け寄ってきました。

 「下顎(かがく)呼吸が始まったのかな?」
 「なんだい、それ?」
 「人間の場合だけど、苦しくなって、大きく呼吸をしようとすると、アゴを激しく動かすようになるんだよ。でも、これが始まると24時間内に絶命するらしい」
 次女様は、看護大学の現役学生さんなのです。
 「でも、あくまでも人間の場合だよ。犬のことは分からない。そもそも、これが下顎呼吸かも分からないし」


 やがて、ご主人様と次女様の話し声が、遠のいていきました。
 「ハー、ハー、ハー、ハー、ハー」
 呼吸のスピードが、どんどん速くなっていきます。

 「マロ! しっかりしろ!」
 ご主人様の手が、もう何時間もオイラの背中をさすってくださっています。
 「マロ! 逝っちゃだめ! ダメダメ、イヤだよ~!」
 次女様の手が、オイラの頭をなでています。


 あー、オイラ、しあわせだな~……

 13年前に、ペットショップの福引きの2等賞の景品になったおかげで、こんなにも楽しい犬生を送れたんだもの……
 ※(オイラが、この家に来たいきさつは、「マロの独白」 のバックナンバーをお読みください)

 ご主人様、奥様、次女様、そして嫁がれた長女様、世帯を持たれた長男様、大変お世話になりました。
 本当にオイラは、しあわせでしたよ。

 楽しかったな~!

 もっともっと一緒にいたかったけど、これがオイラの寿命なんですね。
 ひと足先に、大主人様と大奥様の所に行きます。


 今度、生まれ変わっても、オイラ、必ずペットショップの景品になりますから、また引き当ててくださいね。
 もう一度、ここんちの飼い犬になりますから! 絶対に!!
 それまで、しばしのお別れでやんす。

 そして、読者のみなさん、本当に本当に長い間、オイラのつたない文章を読んでくださり、ありがとうございました。
 感謝してるワン!

 バイバイ!
 さようなら……



 PS
 長い間、『マロの独白』 をご愛読いただき、ありがとうございました。
 心よりお礼を申し上げます。  主人
  


Posted by 小暮 淳 at 20:01Comments(6)マロの独白

2019年09月17日

マロの独白 (番外) 代筆いたします。


 こんにちは! ご主人様です。
 ここんちのチワワのオス、13歳の 「マロ」 の飼い主です。

 いつもいつも、我が家の愚犬のたわ言を読んでくださって、ありがとうございます。
 あらためて読者の皆様に、お礼を申し上げます。

 さて、今回はワケがありまして、飼い主の私が代筆をさせていただくことになりました。
 といっても、マロが病気になったとか、ケガをしたというわけではありません。
 あくまでも、ワケあってのことであります。

 その、ワケとは?


 読者の皆様はすでに、ご存知のことと思われますが、マロもかなりの高齢となってまいりました。
 御歳、13歳。
 小型犬の13歳は、人間で例えると60代後半とのことですが、やはり人間同様、個体差というのがあります。
 ここにきて、マロの老化が顕著になりました。

 足腰が弱り、通常の歩行でさえ、ままなりません。
 ヨロヨロ、ヨロヨロ、ドテッ!
 散歩の途中でも、よく転びます。
 そして、そのまま倒れ込んでしまいます。


 「これ、仮病だからね!」
 そんなマロの姿を見て、次女は、助けようとする私を制します。
 両親の介護を経験している私は、ついつい介助の手を差し伸べてしまうのです。

 「おとう、試しに、知らん顔して、部屋を出て行ってみてよ」
 次女に言われ、後ろ髪を引かれる思いで、私は部屋を出ました。
 しばらくすると、
 「ほーら、立った! おとう、来てみてごらんよ」
 次女に呼ばれて、ふたたび部屋に入ると、確かにマロは四つ足で立っています。

 よっぽどバツが悪かったんでしょうね、マロったら、私の顔を見た途端、あわてて後ろ足から、へたり込み、そして大げさに、バタンと倒れてみせたのです。
 「ねっ、仮病でしょ! ていうか、かなりの役者だよね」
 そう言って次女は、クスクスと笑いますが、私には、そんなマロが愛しくて愛しくて仕方がありません。


 自分の老化を一番うれいでいるのは、マロ自身なのです。
 日に日に老いていく自分の姿を、家族には見せたくないのです。
 だから無理をして、立ち上がっているのです。

 でも、唯一、我がままを言って、甘えてもいいと思っている存在が私なのです。
 だから、駄々をこね、困らせるのです。
 その姿は、在りし日の両親の姿と重なります。


 “子ども叱るな来た道だ。年寄りを笑うな行く道だ。”
 マロの姿に、やがて訪れる自分の未来をも重ね合わせます。


 「ワーーーーッ!!!! おとーーう、来て来て、早く! マロがマロが!」
 毎度のことです。
 次女のパニック声に駆けつければ、リビングのカーペットの上で、マロがオシッコをしています。

 1年前までは、こんなことはありませんでした。
 ちゃんとゲージに入り、トイレシートの上でしていました。
 認知症が始まったのかもしれませんね。

 「おとーーう! 来て来て、今度はウンチまみれだよ!」
 これも毎度のことです。
 「いいよ、おとうさんが片付けるから。お前は、あっちに行ってなさい」
 知ってか知らずか、キョトンとした顔したマロが、ゲージの隅にうずくまっています。

 部屋に立ち込める糞尿のにおい……
 なつかしい臭いです。
 在りし日の父親との暮らしを思い出します。

 「マロ、いいんだよ。どこでしても。誰も怒らないよ」


 これが今回、飼い主の私が代筆したワケであります。
 このことをマロに書かせるワケにはいきません。

 認知症は進んでいますが、本人は、まだ 「パソコンのキーボードは打てる」 と言っていますので、読者の皆様、今後とも 『マロの独白』 をご愛読してくださるようお願い申し上げます。    敬白 主人
  


Posted by 小暮 淳 at 11:16Comments(2)マロの独白

2019年08月19日

マロの独白(50) 腰くだけ


 こんにちワン! マロっす。
 ここんちの飼い犬、チワワのオス、13才です。
 1ヶ月のご無沙汰でやんした。

 や~、相変わらず日本の夏は暑いっすね。
 オイラ、メキシコ原産だけど、埼玉生まれですからね。
 結局、暑いところの生まれなんですげど、13年前は、こんなにも暑くなかったですよ。

 オイラたち犬属は汗腺がありませんから、暑さには弱いんです。
 もう毎日、ハーハー、ハーハー、舌が伸びっぱなしでやんす。
 でもね、オイラは座敷犬だから、乳母日傘で育てられ、夏でもエアコンのある涼しい部屋にいるので、おかげさまで何不自由なく暮らしております。

 その点だけは、小暮家のみなさんに感謝しているのですが……

 ですが……、大きな悩みがありまして、オイラ、落ち込んでいます。
 それは、“老化” です。


 「マロ、散歩だってよ! ほら、立って!」
 先日のこと、リビングで昼寝をしていたら夕方、突然、次女様に叩き起こされました。
 「そんなこと言ったって、マロは腰が悪いんだから」
 と、リードを手にしたご主人様が、オイラを抱きかかえようしました。
 すると、次女様が、
 「ダメ! おとうは、マロに甘いんだよ。これ仮病だからね。本当は自分で立てるんだよ」
 と、ご主人様を制しました。
 「えっ、仮病なの? そんなことないよな、マロ!? 腰が悪いんだよな?」
 「ダメ、ダメダメ! 私たちの前では、自分で立つんだから。おとうの前だけだよ、甘えてるんだよ」
 だなんて、次女様ったら、ひど過ぎます。

 「ご主人様、お願いします。オイラ、腰くだけなんです。立たせてください」

 やさしいご主人様は、次女様が席を立ったすきに、サッとオイラを抱えて、玄関まで連れて行ってくださいました。


 ところが……
 玄関から出た途端、庭に下りる段差が、オイラの行く手をふさいでいたのです。
 以前なら難なく、ポーンと飛び降りていましたが、寄る年波にはあらがえません。
 足腰が弱って、ジャンプ力が足りないのです。

 「どうしたマロ、怖いか?」
 「はい……、いえ、大丈夫ですよ。まだまだ、これくらいの段差なら」
 と、後ろ足で蹴った瞬間、

 ア゛ア゛ア゛ア゛ーーーーー!!!!!! ゴン!

 見事に、頭から落ちました。
 「ご、ご、ご主人さま~、着地に失敗しました。助けてくださ~い!」


 犬の13才は、人間でいうと68歳とのことです。
 あー、ヤダヤダ!
 お互い、歳は取りたくないですね。

 ね、ご主人様!
  


Posted by 小暮 淳 at 17:58Comments(2)マロの独白

2019年07月17日

マロの独白 (49) 犬生100年時代


 こんにちワン! マロっす。
 ここんちの飼い犬、チワワのオス、13才です。
 お久しぶりでやんす。

 えっ、気づかれました?
 そうなんです!
 オイラ、先週誕生日が来て、13才になりました。

 13才ですよ~!!


 「よっ、マロ、おめでとう」
 誕生日の日、ご主人様が、散歩から返って来ると、いつものように、いつもと同じおやつをくださいながら言いました。
 「えっ、(モグモグ)、あぁ、(モグモグ)、ありがとうございます」
 「マロ、いくつになったんだ?」
 「は、はい……(モグモグ、ゴックン)、13才になりました」
 「じゅうさんさい! ヒヒヒ」
 「何が、おかしいんですか?」
 「だって、犬の13才っていったら、かなりのジジイだぞ!」
 「かなりと言いますと?」
 「たぶん、人間でいうと80歳以上だろうな」
 「えーーーーっ、まさか! そんなことありませんよ。オイラを見てください。そんなにオジイサンに見えますか?」
 「だいぶ足腰が弱っているしな、見えないこともないぞ」
 「そ、そ、そんな~! ちゃんと調べてくださいよ」

 ということで、ご主人様がネット検索で、犬の年齢というのを調べてくださいました。
 それによると、なんでも犬の歳のとり方は、計算がかなり複雑のようであります。
 また小型犬と大型犬とでも、異なるようです。

 で、小型犬の場合、2才までに成人して、人間の年齢でいうと24歳にあたります。
 その翌年からは、1年につき4才ずつ歳をとる計算になるので……

 「ねえねえ、ご主人様、それで、オイラは人間でいうと何歳なんですか?」
 「ちょっと待ってろ、今、計算しているから……えーと、えーと」
 と悩んでいるご主人様に、オイラ、言ってやりました。
 「ねえ、ご主人様、年齢の早見表というのがあるんじゃありませんか?」
 すると、
 「おお、そうか、そうだよな……。あった!」
 と大声を上げたご主人様。
 そして、そのまま黙ってしまいました。

 「どうしたのですか? オイラは、いったい、何歳なんですか?」

 「思っていたより、ジジイじゃねーな。68歳だよ」
 「ろくじゅうはっさい! ショック!! 十分、オジイサンじゃないですか!?」
 「何言ってるんだよ。人間の68歳は、まだまだ現役だぞ! オレのまわりの70歳は、みんなバリバリ仕事をしているからな」
 「じゃあ、オイラもまだまだ大丈夫でやんすね?」
 「そうだよ、マロ。まだまだ現役だ! って、オマエは何が現役なんだ?」

 「はい、散歩とおやつと昼寝でやんすよ!」


 全国の老犬のみなさん、犬生100年時代の到来です。
 一緒に長生きしましょうね。
 ちなみに、人間の100歳にあたる犬の年齢は、20才だそうです。

 あと7年!
 ご主人様、よろしくお願いいたしやす。チワワン!
  


Posted by 小暮 淳 at 11:17Comments(2)マロの独白

2019年05月27日

マロの独白 (48) ご主人様は男です!


 こんにちワン! マロっす。
 ここんちの飼い犬、チワワのオス、12才です。
 (もう少しで13才になります)
 寄る年波には、だんだん勝てなくなりました。

 「おい、ジジマロ!」
 なんて、ご主人様には呼ばれています。
 「ジジマロは、ひどすぎませんか?」
 「じゃあ、ジジイマロだ!」
 だなんて……、でもね、確かに、足腰が弱くなって、散歩の途中で、よくコケるんですよ。
 そのたびに、ご主人様から 「ジジマロ、しっかりしろよ!」 と、檄が飛んできます。


 実は、先日の散歩の時に、おかしな出来事がありました。
 ご主人様は、まだブログで紹介していないようなので、オイラが読者のみなさんに、こっそり教えちゃいますね。

 散歩の途中に、学童保育所があるんです。
 毎日、午後の3時半を過ぎると、近くの小学校の児童が、ゾロゾロと集団下校しながら帰ってきます。
 いつもは、「あっ、チワワ!」 「かわいい!」 「触ってもいいですか?」 なんて、子どもたちの注目はオイラなんですけどね。
 その日に限って、ヘンな雰囲気になっちまったんです。

 学童保育所の庭では、男の子たちが、野球をして遊んでいました。
 ご主人様とオイラは、いつものようにフェンス沿いの道を歩いていました。
 すると、こんな声が聞こえてきたんでやんす。

 「あの人、女だよな?」
 「どの人?」
 「犬連れている人」
 「男だよ! オレ、あの人、知ってるもん」
 「えー、女だよ」
 「絶対に、男!」


 なのに、ご主人様は顔色ひとつ変えずに、そのまま通り過ぎたのです。
 「ご主人様、今の聞きました?」
 「ああ」
 「ご主人様のことですよね?」
 「だな」
 「いいんですか、あんなこと言われて?」
 「べつに」
 「オレは男だ!って、言ってやればいいのに」
 「そんなこと、どっちでもいいだろう」

 そして、こんなことを話してくれました。
 ご主人様は、子どもの頃から今日まで、ずーーーーっとロン毛なんだそうです。
 だから小さい頃から、よく女の子と間違えられたといいます。
 今でこそ白髪ですが、それでもロン毛なので、子どもたちには、老婆と間違われたようです。


 「世の中、何十年経っても変わらないな」
 ポツリと、ご主人様が言いました。
 「髪が長いと女とか、赤い服は女とか、男らしくとか、女らしくとか、古過ぎないかな?」
 「……」
 オイラには、ちょっと難しくって、よく分かりません。
 その後も、ご主人様の話は続き、LGBT(性的少数者) や世の中の差別や偏見にまで及びました。

 「人間だけだぞ、そんな考え方をしている動物は」
 「えっ、人間だけですか?」
 「だって犬は、外見ではオスかメスかなんて、分からないじゃないか」
 「確かに……(でも、犬同士は臭いで分かりますけど)」


 オイラ、だんだん不安になってきちゃいました。
 もしかして、ご主人様って、ナントカ少数者なんでしょうか?
 だって最近は、その手のテレビドラマが多いじゃないですか!
 (スカートをはいた男性教師とか、家政夫のナントカとか……)

 ご、ご、ご主人さまーーーっ!!
 オイラ、ご主人様が男でも女でも、それ以外でも、生涯添い遂げますからね~!
 (でも心配でやんす)
   


Posted by 小暮 淳 at 18:37Comments(2)マロの独白

2019年04月22日

マロの独白 (47) リッチなおやつ


 こんにちワン、マロっす!
 ここんちの飼い犬、チワワのオス、12才です。
 大変、ご無沙汰でやんした。
 なんと、2ヶ月ぶりの登場です。


 「おい、マロ! そろそろブログ書けよ」
 ご主人様が外出から帰って来るなり、オイラに言うのです。
 「急に、どうしたんですか? ネタに詰まったんですか?」
 「そうじゃないんだよ。会う人会う人にさ、『最近、ブログにマロちゃんが登場しないですね』 なんて言われるわけよ」
 「へー、オイラにもファンがいるっていうことですね?」
 「ああ、くやしいが、そういうことだ」
 「で、何を書きましょう?」
 「なんでもいいからさ、ファンサービスをしといてくれ。頼むよ、これをやるからさ」

 そう言って、ご主人様は、袋から何やら取り出しました。
 「ほら、おやつだ。これでも食べて、書いてくれないか?」
 ご主人様の手に握られていたのは、見たこともない高級そうなレトルトのチューブでした。
 「それが、おやつですか?」
 「そーだよ、マロは、こんなの食べたことないだろう」
 と、<なんこつ味>と書かれたペースト状のモノをトレイに出してくれました。

 ワン、ワンワンワーン!!
 (わ~、おいしそうな匂い。早く、ください!)
 「待て、よし!」


 オイラ、あまりのおいしさに、あっという間に平らげてしまいました。
 「なんですか、これ? 生まれて初めて食べました。世の中には、こんなおいしい食べ物があるんですね」
 「……まあな。いつもは、安い駄菓子みたいなおやつだものな」
 「ヒャッキンで買ってるんですよね?」
 「マロ、知ってたのか!?」
 「でも、どうしたんですか? こんな高級なおやつを?」
 すると、ご主人様は、こんな話をしてくださいました。

 ご主人様のお知り合いのうちの愛犬が、亡くなったんだそうです。
 そして、その方が、ご主人様のブログを読んでいられて、「ぜひ、マロちゃんに、あげてください」 と、その亡き愛犬が食べるはずだったおやつをくださったのだといいます。

 「だからマロ、ありがたく、いただけよ」
 「ですね、そのワンちゃんの分まで、オイラ、元気でファンの方々によろこんでもらいます」
 「そうだ、その意気だ! ブログ書いたら、また、おやつやるからな。チーズ味とビーフ味、どっちがいい?」

 えええーーーっ、そんなに味がいくつもあるんですか!?
 ていうか、世間のワンちゃんは、こんなにも、おいしいモノを食べているんでしょうか?!

 ご主人様、知りませんよ。
 オイラの舌が肥えてしまって、ヒャッキンのおやつを食べなくなってしまっても……
  


Posted by 小暮 淳 at 16:55Comments(2)マロの独白

2019年02月15日

マロの独白 (46) いじめないで!


 こんにちワン! マロっす。
 ここんちの飼い犬、チワワのオス、12才です。


 先日、リビングで昼寝をしていると、テレビのワイドショーを観ていたご主人様が、突然、大声を上げてオイラを呼んだのです。
 「マロ! 観てみろ! これこれこれ~!!!」
 あわてて飛び起きて、テレビの画面を観ると、女性が犬を散歩をしている映像が流れているだけでした。
 「これが、なんだっていうんですか?」
 とオイラが言い返した、次の瞬間、
 「ああ、あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーー!!!!」

 絶句です!
 何を思ったのか、その女性はいきなり、散歩している白くて大きな犬(ラブラドール) を蹴ったのです。

 「ご、ご、ご主人さま~、こ、こ、これは、いったい、なんですか~?!」
 映像を観る限り、白い犬は何も悪いことをしていないんすよ。
 ただ一緒に散歩をしているだけなんでやんす。
 なのに、なのに、突然……

 「虐待だよ。動物虐待っていうやつだ」
 「虐待って、なんですか?」
 「自分の抑えられなくなった感情を、自分より弱いものにぶつけているんだ。ま、動物だけじゃないけどな」

 オイラ、知っていますよ。
 最近、テレビで観ましたもの。
 親が自分の子どもに暴力をふるって、殺しちゃったという話を。


 「ご主人様、1つ訊いてもいいですか?」
 「なんだい?」
 「なんで人間は、そんなことをするんですか?」
 「なんでするのか? 難しい質問だな。ただ、これだけは言えると思うよ。虐待は、“弱い人間” がやることなんだ」
 「弱い人間ですか?」
 「そう、自分が弱いことを知られたくないから、自分より立場の弱い人や動物に対して、暴言を吐いたり、暴力をふるうんだよ」
 「なるほど、自分を “大きく” “強く” 見せたいんですね」
 「ま、そんなところだと思うよ」

 そこでオイラは、疑問がわいてきました。
 だって、虐待を繰り返す人は、ごく一部の人たちですよね。
 ということは、それ以外の人は、みーんな強い人間なんでしょうか。


 「ご主人様、もう1つだけ訊いてもいいですか?」
 「いいけど、どうしたんだい? 今日のマロは、いつもと違うね」
 「ええ、まあ……。あのー、ご主人様は暴言も吐かないし、暴力もふるわないですよね。それは、ご主人様が強いからですか?」
 すると一瞬、ご主人様は、困った顔をして、「うーん」 と、うなりだしてしまいました。
 やがて、意を決したようにオイラを見つめなおして、
 「あのな、誤解をしないで聞いておくれ。俺だって弱い人間なんだよ。だから若い頃には、暴言を吐いたこともあるし、手を上げたこともある。でも、それでは何も解決しないんだよ。自分が変わらない限りはね」
 「……」
 「おい、マロ! 聞いてんのか?」
 「は、はい。ただオイラには、ちょっと難しすぎて……。でも……、ということは、犬を蹴っていたオバサンは、変われなかった人ということですね」
 「だね。まわりに、注意してくれたり、教えてくれる人がいなかったのかもね。だから、どんどん自分の行為を正当化してしまうんだろうね」


 「最後に、あと1つだけ訊いてもいいですか?」
 「まだあるのかい? 今日のマロは、やっぱりヘンだね」
 「オイラには、ご主人様は弱い人間には見えないんですけど、どこが弱いんですか?」
 「えっ、それを訊くかい?」
 「はい、ぜひ、教えてください」
 「ズバリ、金だよ。金が無いことが俺の最大の弱点だ」

 「ハハハハハ(笑)」
 オイラ、笑っちゃいました。
 ご主人様ったら、本気で弱点だと思っているのかしらん。
 だからオイラ、言ってやりましよ。
 「ご主人様、お金なんか無くても、毎日楽しく生きているじゃありませんか!」
 そしたら、ご主人様ったら、
 「マロ~、お前は、いいヤツだな~」
 て言いながら、オイラを強く強く抱きしめましたとさ。


 全国、いいえ、世界中の飼い主のみなさん、絶対にオイラの仲間をいじめないでください!
 オイラの仲間を怒らせると、しっぺ返しに遭いますよ!! ワン!

  


Posted by 小暮 淳 at 14:45Comments(2)マロの独白

2019年01月31日

マロの独白 (45) 立ち漕ぎ王子 


 こんにちワン! マロっす!!
 ここんちの飼い犬、チワワのオス、12才です。


 「あけましておめでとうございます」
 なんですね。
 今年、はじめての登場でやんす。
 読者のみなさんは、元気に新年を迎えましたか?

 オイラっすか?
 オイラは、生まれてからこのかた、毎日が日曜日ですから、相も変わらず平々凡々と生きています。
 ま、オイラに仕事があるとすれば、“癒やし” ですからね。
 楽なもんです。
 ご主人様のご機嫌をとっていればいいんですから。
 でもねぇ~。


 「おい、マロ! 散歩に行くぞ!!」
 「……」
 「なんだよ、毎回、グズルなよ。サッサと出かけて、サッサと歩いてくれ。こっちは忙しいんだから」
 「分かりました。行けばいいんでしょう、行けば……」
 「なんだ、その態度は! それが飼い主に対する態度かッ!!」
 「はいはい、行きますよ」
 と、シブシブ散歩に行く、今日この頃です。

 だって、オイラはメキシコ原産の埼玉生まれですからね。
 群馬の冬は、ニガテなんでやんす。
 先日、ご主人様はブログで、「群馬の空っ風は、昔に比べたら弱くなった」 なんて書いてましたけど、いえいえ、十分強いですよ。
 オイラなんて、チビ助だから、散歩の途中で何度、飛ばされそうになったことか……


 「ご主人様、今日も風が強いですね」
 「こんなのは空っ風じゃないぞ。ただの北風だ」
 「えっ、空っ風って、もっとスゴイんですか?」
 「ああ、特に赤城山南面に吹く “赤城おろし” は、ハンパねーぞ!」
 「どのくらいスゴイんでやんすか?」
 「ああ、自転車が進まない」
 「えっ?」
 「だから群馬の人は、みんな立ち漕ぎをする」
 「立ち漕ぎ?」
 「そう、お尻をサドルから離して、立ったまま全体重をペダルに乗せて踏み込む、群馬県民御用達の高度な走法テクニックなんだぞ」

 なんでも、ご主人様は、昔からこの立ち漕ぎが得意で、ちまたでは 「立ち漕ぎ王子」 と呼ばれていたらしいのです。

 「でもさ、最近は立ち漕ぎをしている人を、あまり見かけないんだよな」
 「なぜでしょう?」
 「学生さんは、時々見るけどさ。大人は皆無だな。この間も、北風に向かって立ち漕ぎをしていたら、おばあさんの自転車がスーッと追い抜いて行ったんだ」
 「ええっ、お、お、おばあさんがですか~?!?!?!」
 「そうだ、かなり高齢のおばあさんだ。なんでだか、分かるか?」
 「……、えーと、もしかして、そのおばあさんは、元競輪の選手だったとか?」
 「そんなわけないだろう! 電動アシスト付き自転車だよ」


 たわいのない話ですが、オイラは、文明の利器に頼らずに、懸命に生きているご主人様が大好きでやんす。
 よっ、立ち漕ぎ王子!
 
 ご主人様は、今日も半径5キロ以内なら車を使わず、元気にペダルを漕いでおります。
 オー、ワンダフル!
  


Posted by 小暮 淳 at 12:09Comments(2)マロの独白

2018年12月26日

マロの独白(44) 平々凡々な日々


 こんにちワン! マロっす。
 ここんちの飼い犬、チワワのオス、12才です。

 おひさしぶりでやんした。
 なんでも、そろそろ今年が終わりに近づいているんですってね。
 そういえば、なんとなく家の中があわただしいような気がしてました。
 ま、オイラには年末も年始も盆も正月もありませんから、いつもと変わらない毎日を送っております。


 「おい、マロ! どこに居るんだ?」
 ソファーの隅で昼寝をしていたら、突然、ご主人様に起こされました。
 「なんだよ、また寝てるんか。他にやることないのか!?」
 と言われましても、オイラは犬です。
 大そうじの手伝いなんてできませんから、こうやって邪魔にならないように部屋の隅っこでジッとしているんでやんすよ。

 「お前、最近、ブログ書いてないだろ! 読者が待っていると思うから、年内に1本書いておけよ。な、いいな!」
 ということで、シブシブ、ご主人様の仕事場に上がり、こうやってキーボードを叩き出しました。
 でも、何を書きましょう?
 「今年1年を振り返れば、いろいろとあるだろう」
 と言われても、オイラは所詮、犬ですからね。
 生まれてこのかた、毎日毎日、同じ生活っすよ。
 朝起きて、食事して、昼寝して、散歩して、また昼寝して、食事して、少しだけ家族とテレビを観て、そして寝るだけです。

 平々凡々とした日々でやんす。


 でもね、先日、嬉しいことがありました。
 リビングで昼寝をしている時に、ご主人様と次女のS様の会話を聞いてしまったんですよ。

 「マロが死んだら、お前が一番、泣くだろうな。マロとずーっと一緒だものな」
 「私が小学1年の冬に来たんだよね」
 「ああ、長いよな~。完全に家族だものな」
 と言いながら、ご主人様は寝たふりをしているオイラの頭をなでました。

 「でもマロも年取ったよな~」
 この、ご主人様の言葉に、S様は何と言った思いますか?
 「確かに年は取ったけど、可愛くなったよ」
 ですって!
 なのに、ご主人様ったら、
 「そうか? 俺にはわからないな~」
 「だって、うちに来た頃は、もっとブサイクだったよ。あれから見たら、かなり可愛くなった」

 喜んでいいのか、悲しむべきか、なんだか複雑な心境でやんす。
 でも、一番嬉しかったのは、S様のこの一言でした。
 「でも、マロって、すごいと思わない?」
 「なにが?」
 「だって、この12年間、一度も病気をしていないんだよ!」
 「言われてみれば、本当だな。医者にかかったことないな」
 「そうだよ、マロは偉いんだよ!」

 ウグ、ウグ、ウエ~~ン!!!
 オイラ、泣けて、泣けて、だんだん寝たふりをしているのが辛くなってきやした。

 ワン、ワンワンワ~ン!
 S様、ご主人様、こんなオイラを12年も見捨てずに、置いてくださってありがとうございます。
 無芸大食で、取り得の無い瑣末な犬ですが、これからも末永く、よろしくお願いいたしやす。

 平々凡々な日々、でも、これが幸せっていうもんなんですね。


 読者のみなさん、今年も1年間、ありがとうございました。
 来年もよろしく、チワワン!!
   


Posted by 小暮 淳 at 14:58Comments(2)マロの独白

2018年11月06日

マロの独白(43) センダングサ撲滅作戦


 こんにちワン! マロっす!!
 ここんちの飼い犬、チワワのオス、12才です。

 お久しぶりでやんした。
 めっきり朝夕が寒くなりやしたね。
 それでも日中は日差しがたっぷりで、散歩には最高の季節でやんす。

 でも、でもでもでもーー!!!
 この時季は毎日、ご主人様のカミナリが落ちっぱなしなんです。
 読者の方なら、もう、お分かりですよね?

 そう、“くっつき虫” の季節なんです!

 ご主人様の言うところの 「くっつき虫」 とは、「センダングサ」 という雑草のことです。
 図鑑によれば、
 <葉が羽状複葉で、樹木のセンダンに似ているのでこの名がある。やや湿り気のある道ばたや川原に生える一年草。>
 とありますが、問題は、その “実” なんでやんす。
 <線状の実が放射状に集まってつく。実の先端には下向きの刺があり、動物や衣服にくっついて運ばれる。>


 「おい、バカマロ! そっちへ行くな! くっつき虫がいるだろ!」
 「あーーー、ほら、いったこっちゃない! 全身くっつき虫だらけじゃないか!」
 と、毎日毎日、ご主人様のお怒りに触れてしまうのです。

 というのも、オイラ、チワワでも毛の長いロングコートなんでやんすよ。
 だから、ちょっと草むらに入っただけで、“けっこう毛だらけマロくっつき虫だらけ” になってしまいます。

 「バカマロ! これ全部取るの大変なの分かっているだろ?」
 「ごめんなさい、ご主人様」
 「何度言ったら分かるんだよ。今度やったら、散歩は中止だからな」
 「えっ、そんな……。悪いのオイラじゃなくて、くっつき虫なんだけどな……」


 ある日のこと。
 いつもはオイラが先に歩いて、ご主人様が後ろからついて来るのですが、気が付いたら逆になっていました。
 ご主人が先を歩いて、道ばたにしゃがみ込んでは、何かをなさっています。
 「ご主人様、何をしているのですか?」
 「ほーら、こんなに抜けたぞ!」
 「あっ、くっつき虫じゃないですか!!」

 そーだったのです。
 ご主人様は、オイラが通る前に、道ばたのセンダングサを抜いて歩いていたのです。

 「これから毎日、散歩コースのくっつき虫を退治しような」
 「それは名案ですね。さすが、ご主人様です」


 それから数日経った昨日のこと。
 いつものように、洗面所で足を洗ってもらっている時です。
 「あれ、なんだよ、マロ! 首の下に、こんなにもくっつき虫がいるじゃないか! どこで付けたんだ?」
 「いえ、知りません。いつもの散歩コースを歩いただけですよ」
 すると、ご主人様ったら、
 「うーーーーっ、にっくき、くっつき虫よ! かんべんならん! こうなりゃ、徹底的に抜き取ってやる。明日からは撲滅作戦だー!!!!」
 と、怒り心頭のご様子。

 ご主人様、がんばれ~!
 オイラは、高みの見物でやんす。
  


Posted by 小暮 淳 at 12:10Comments(2)マロの独白

2018年10月13日

マロの独白(42) 入れ歯が欲しい


 こんにちワン! マロっす!!
 ここんちの飼い犬、チワワのオス、12才です。

 お久しぶりでやんした。
 どのくらい久しぶりかというと、最後にオイラが登場したのが8月の中旬ですから、なんと!2ヶ月ぶり。
 月日が経つのは早いもんでやんす。
 暑い暑いと騒いでいたら、今朝なんて、寒くて寒くて、寝床から起きられませんでしたよ。


 みなさんは、お元気でしたか?
 オイラは相変わらずでやんす。
 この12年間、毎日が日曜日。
 食事と散歩と、おやつと昼寝の毎日です。
 なのに、年だけは取るんですね。

 そうそう、知ってましたか?
 ご主人様が還暦を迎えたんですよ!
 だからオイラ、
 「おめでとうございます。これでオイラとお仲間ですね」
 って言ったら、逆ギレされちゃいました。
 「なにが仲間なんだよ。オレはマロほどジジイじゃない!」
 ですって。

 確かに、犬の12才は人間でいえば70歳ぐらいかもしれませんけど、そのへんはアバウトなんでしょ?
 だから、こう言って差し上げました。
 「お言葉ですが、ご主人様とそんなには変わらないと思いますけど」
 ってね。
 そしたら、ますます怒り出して、
 「だったらマロ、口開けて、歯を見せて見ろ!」
 と言うので、言われた通りにすると
 「ほーら、ほとんど歯がないじゃないか」
 と、オイラが一番気にしていることを攻めてきたのです。

 ご主人様のイジワル~~~!

 オイラだって、好きで歯がないわけじゃないやい!
 気が付いたら、無くなっていたんだもの。
 硬いものは噛めないし、おやつのジャーキーはポロポロと口から落っこちちゃうし、不便極まりないのです。


 「ご主人様は、歯はあるのですか?」
 「ほれ、全部、自分の歯だよ! ま、1本だけ差し歯があるけどな」
 「えっ、差し歯ってなんですか?」
 「ニセモノの歯だよ。歯医者さんに作ってもらったんだ」
 「歯が作れるんですか? だったらオイラにも作ってください」
 「マロが差し歯を? それは無理だな。数が多過ぎる。マロの場合、差し歯じゃなくて、総入れ歯だろう」
 そう言うと、ご主人様ったら、リビングのソファーの上で、笑い転げるんでやんす。

 「聞いたことねーな、犬の入れ歯なんて~! アッハハハハハハ」


 みなさんは、どう思いますか?
 オイラ、真剣に悩んでいます。

 入れ歯、欲しいなぁ~!
  


Posted by 小暮 淳 at 12:12Comments(2)マロの独白

2018年08月17日

マロの独白 (41) 恐怖の夏よ、サヨナラ!


 こんばんワン! マロっす。
 ここんちの飼い犬、チワワのオス、12才です。
 1ヶ月のご無沙汰でやんした。

 お盆過ぎるとなんとやらで、やっと朝夕は、いくぶん、しのぎやすくなりました。
 オイラの大好きな散歩も “解禁” され、いつもの日常がもどってきやした。

 えっ、……、ああ、そうでした。
 読者のみなさんには、まだ、あの恐ろしい出来事を、お話していませんでしたね。
 今、思い出しても、こわくて、こわくて、体が震えてしまいます。


 実はオイラ、前橋市が38℃を超えた酷暑日の夕方に、熱中症で倒れたんでやんす。
 いえいえ、ご主人様は、なーんも悪くないんですよ。
 わがままを言ったオイラの自業自得なんでやんす。
 だって、ご主人様は、あのとき、オイラを止めたんですから……


 「ご主人様、ご主人様、今日は散歩に行かないのですか?」
 「こんな暑くては、無理だろう」
 「大丈夫でやんすよ。もう、陽もかげりましたし、気温も下がったと思いますよ」
 「でも、マロは、おじいちゃんだからな」
 「ご主人様ったら、また歳のことを言う。平気です! ほら、こんなに元気ですよ」
 とオイラ、ソファーの上に、上ったり下りたりして、若さをアピールしたのです。
 すると、ご主人様は、「仕方ないな~」 と言って、しぶしぶリードをオイラの首に付けてくださったのでした。

 散歩は、いつもの町内一周コースです。
 前半の半周は、ルンルンだったんですけどね。
 でも、後半になると……

 「あれ、あれれれれ」
 「どうした、マロ! 大丈夫か!?」
 「あ、はい…、らいりょうぶでやぬす」
 でも本当は、目が回り、頭はクラクラし、足がもつれていました。

 「マロ! しっかりしろ!!」
 「ご、ご、ごしゅじんさ……」
 覚えているのは、ここまでです。

 気が付いたら、ソファーに寝かされ、首には保冷剤が巻かれていました。
 「ご主人さま~!」
 「おお、気が付いたか! よかった、よかった!」
 「ご主人様、オイラ、どうしちゃったんですか?」
 「熱中症だよ」
 「ねっちゅうしょう?」
 「そう、だから散歩は、やめておこうっていったんだ。当分、散歩は禁止だな!」


 ということなんでやんす。
 気温が30℃以下の日のみ、散歩は解禁されることになりました。

 今年のような夏は、もう、こりごりです。
 早く、秋が来ないかな~!
   


Posted by 小暮 淳 at 19:02Comments(3)マロの独白

2018年07月17日

マロの独白(40) 最年長だワン!


 こんにちワン! マロっす。
 ここんちの飼い犬、チワワのオス、12才です。
 お久しぶりでやんした。

 えっ、気づかれました?
 そーなんです!
 オイラ、誕生日が来て、先週、12才になりやした~!!

 あんまり、うれしくはないんですけどね。
 だって犬の12才って、人間様でいえば、完璧に60歳以上ですよね。
 誕生日の日、朝からいイヤ~な予感が、してたんですよ。


 「おい、マロ! おめでとう」
 「あ、ご主人様! ありがとうございます」
 「ほれ、誕生日プレゼントだ」
 そう言って、おやつにオイラの大好物のクッキーとジャーキーをくださいました。

 「で、マロは、いくつになったんだ?」
 「はい、12才になりました」
 「えーーーっ、じゅうにさいだ~!」
 「ご主人様、ちょっと大げさじゃありませんか。11才だったんだから、次は12才でしょ?」
 「まあな、でも、そんなになるのか……。マロがうちに来て……」


 オイラは、埼玉県のブリーダーの家で生まれ、その後、群馬県内のペットショップに引き取られました。
 他の仲間たちは、次から次と買われて行くのに、オイラだけ生後6ヵ月になっても、売れ残っていました。
 そして、ついには、正月初売りの福引き景品になってしまったのです。

 それも、2等です。
 (ちなみに1等は、トイプードルでした) 

 で、ここの家の奥様と次女様が、当ててくださったのであります。


 「あの時は驚いたな~。家に帰ってきたら、犬の鳴き声がするんだもの」
 「そうそう、ご主人様の驚きようったらありませんでしたよ。犬嫌いだったんですものね」
 「しかも、ブサイクな犬だった」
 「ブサイクは、余分です!」

 でも事実、オイラは “ブサイク” だったから売れ残ったんです。
 だって、チワワなのに目は小さいし、鼻は白いし、顔も面長なんです。

 「これ、なんていう犬だ?っていうのが、ご主人様の第一声でしたね」
 「テレビのCMで見るようなチワワには、見えなかったからな」
 「それでも、家族の一員として迎えてくださいました」
 「だって、うちに来ちゃったものは、しょうがないだろう」


 あれから11年半になります。
 気が付いたら、オイラも老犬です。

 「ご主人様、これからも末永く、よろしくお願いいたしやす」
 「いやいや、こちらこそ、先輩!」
 「先輩ですか?」
 「ああ、俺は来月、誕生日が来ても、まだ還暦だもの。マロは、古希だろ?」
 「まだです!」
 「ハハハ、いずれにしても、我が家の最年長であることには違いない」
 「……ええ、まあ……」
 「よっ、長老! これからも長生きしてくれよな」

 なんか、オイラ、とっても幸せだワン!
   


Posted by 小暮 淳 at 10:36Comments(2)マロの独白

2018年06月08日

マロの独白(39) 日赤フィーバー


 こんばんワン! マロっす。
 ここんちの飼い犬、チワワのオス、11才です。
 (来月、12才になります)


 超~お久しぶりでやんした。
 みなさん、お元気でしたか?
 オイラは、暑さに負けずに毎日、散歩と昼寝をエンジョイしています。

 でもね、我が家のまわりでは、ちょっと騒動が起きているんです。
 前橋市民の方は、ご存知だと思いますが、先週、前橋赤十字病院が引っ越してきたんですよ。
 それも、通りをはさんだ我が家の目の前に!

 引越しの日、それはそれは、にぎやかでやんした。
 ピーポー、ピーポー、ピーポーって、一日中、救急車が列を成して走っているんですから。
 オイラ、そのたびに、「何事だ~!」 って吠え続けてましたからね。
 喉がカラカラになっちゃいました。


 「ご主人様、何が始まったのですか?」
 「いよいよ、町内に日赤病院がやって来るんだよ。大変なことになるぞ!」

 ご主人様が言うことには、この日(6月1日) は、約3キロ離れた旧病院から約300人の入院患者を搬送したそうです。
 症状の軽い患者は、県警の白バイが先導するマイクロバスに乗って移動。
 症状の重い患者は、救急車で送り届けられたらしいです。

 まー、それはそれは、さわがしい一日でした。


 あれから1週間が、経ちました。
 「あれれ、ご主人様、こんなところに信号ができましたよ」
 「信号だけじゃないぞ。よく見てみろ! 道路もこんなにも広くなっているだろう」
 「本当ですね。これじゃ、チビのオイラには、渡れませんね。あれ、あの看板!」
 「コンビニもできたし、スーパーもできた。ほれ、通りは薬局だらけだろうが」
 「なんだか、いきなり都会になっちゃいましたね」
 「ああ、数年前までは、田んぼと畑ばかりだったのにな」

 散歩の途中も、救急車が走り抜け、ドクターヘリが飛び回っていました。

 「でも、ご主人様。便利になってよかったでやんすね」
 「まあな」
 「目の前に大きな病院があると、もしもの時に安心でやんす」
 「まあな」 
 「あれ、ご主人様は、便利になるのは、おイヤですか?」
 「いや、便利になるのはいいんだけどさ。固定資産税が上るんじゃないかと思って……」
 「えっ、なんですか? その、コテコテサンなんとかって?」
 「いや、これは俺のひとり言だ。マロには関係ないよ。さ、帰ろう!」


 ピーポー、ピーポー、ピーポー……
 ワン、ワンワンワーン!!
   


Posted by 小暮 淳 at 19:37Comments(3)マロの独白

2018年04月14日

マロの独白(38) 無芸大食


 こんにちワン! マロっす。
 ここんちの飼い犬、チワワのオス、11才です。

 お久しぶりでやんした。
 読者のみなさま、お元気でしたか?
 オイラのこと、忘れてなんかいませんよね!?

 オイラは花粉症と闘いながらも、元気に散歩と昼寝の毎日を送っています。


 最近、思うんですけど、テレビで動物やペットを特集した番組が多いと思いませんか?
 空前の “猫ブーム” のせいでしょうかね。

 先日も、ご主人様とテレビを見ていたら、逆立ちをして歩くネコや、ピアノを弾くイヌが出ていました。
 途端、イ~ヤな予感がしたんでやんすよ。

 「おい、マロ! 今の見たか? 世の中には、すごいイヌやネコがいるな~」
 「……」
 「見てなかったのか?」
 「え、ええ……。見ていましたよ。大したもんですね~」
 「マロには、できないだろ?」
 「ええ、まあ……。オイラは、ふつうのイヌですから……」
 「ふつうだ!? ふつう以下だろ。だって、何もできないじゃないか!」

 オイラの予感は、的中してしまいました。
 こうなることは分っていたんだから、一緒にテレビなんか見るんじゃなかったな。

 「ふつう以下とは、ひどいじゃないですか! オイラだって “待て” とか “お手” ぐらいはできますよ」
 「アッハハハハ!!」
 ご主人様は突然、笑い出しました。

 「“待て” ができるって? 3秒も、もたないじゃないか。“お手” だって、“おかわり” のときに同じ手を出すし」
 「ひどい、ひど過ぎます~! それは、ご主人様にだって、責任があるんですよ。この家に来た時に、きちんとしつけをしなかったからです。だからオイラ、この程度でいいのかなって、ゆる~く育っちゃたんですよ」
 「なんだよ、逆ギレか? まっ、でもマロにだって、人(犬)より優れているところはあるさ」
 「えっ、本当ですか? それは、どんなところですか?」

 すると、ご主人様は考え込んでしまいました。
 本当はオイラのことなんて、サイテーの犬だと思っているんですよ。

 「そうだなぁ……、たとえば “伏せ” とか」
 「“伏せ” ですか?」
 「ああ、マロの “伏せ” は、かわいいよ」
 「かわいいですか?」
 「ああ、前足をそろえて、その上にアゴを乗せて、上目使いで俺を見上げるしぐさなんて、他のイヌには真似できないね」


 え、え、本当ですか。ご主人さま~!
 ちょっと、やってみますね。

 えーと、両手をのばして、その上にアゴを乗せて、こうやって上目使いで、目をパチクリ、パチクリさせて……
 「ご主人様、これで、よろしいでしょうか?」

 すると、ご主人様ったら今度は、お腹を抱えて笑い出しました。、
 「よせ、よせ、もういいよ! それじゃ、年増のオカマ犬じゃないか」
 ですって。

 ひどい、ひど過ぎます!
 ご主人様が、かわいいって、ほめてくれたから、一生懸命やったのに。
 ああ、損しちゃった。
 やるんじゃなかった。


 「ご主人様、いつものごほうびはないんですか?」
 「ごほうび?」
 「はい、おやつですよ。いつも遊んだ後は、おやつをくれるじゃありませんか」
 「相変わらず食い意地だけは、はっているんだな。そういうのを、なんて言うか知っているか?」
 「なんて言うんです?」
 「無芸大食っていうんだよ」
 そう言うと、クッキーを1つ、ポ~ンと投げて、部屋を出て行ってしまいました。


 無芸大食って、ほめられたんですかね?
 ま、なんでも、いいワン!
 今日も、おやつをゲットしたでやんす!
   


Posted by 小暮 淳 at 18:13Comments(2)マロの独白

2018年03月21日

マロの独白(37) 犬かわいがり


 こんにちワンクショ~ン!!
 マロっす。
 ここんちの飼い犬、チワワのオス、11才です。

 ヒ、ヒ、ヒックショ~ン!!

 オイラにも春がやって来ました。
 鼻がムズムズ、目がショボショボ…
 花粉症の季節でやんす。
 散歩は楽しいけど、ちと、つらいんだな~。


 読者のみなさん、お久しぶりでやんした。
 今日は、さみしがり屋のご主人様のことを、ちくっちゃいます。

 先日のこと。
 昼頃になって、2階の仕事部屋から下りてくると、突然、オイラを抱きしめて、
 「マロ、今日からオレたち2人っきりだからな。よろしくな! 男同士、仲良くやろうな」
 と言うと、オイラの顔にキスの雨を降らせたのであります。

 「ご、ご、ご主人さま~。く、く、苦しいでやんす。放してくださいませ」
 「あっ、ごめん。とにかく、3日間は、2人っきりなんだから、仲良くしょう」
 「ですね、奥様とS様(次女) は、今頃、沖縄ですものね」
 「あれ、マロ、知ってるの?」
 「そりゃあ、知ってますとも。1ヶ月も前から2人して、はしゃいでおりましたから。オイラにも、おみやげ、買ってきてくれるって、言ってたもん」
 「えっ、そんな前から知ってたの? オレは昨日だぞ!」

 ま、カレンダーに大きく 「沖縄旅行」 って書いてありましたから、そんなことはないんでしょうけどね。
 たぶん、直接言われたのが昨日だったのでしょう。

 「なんで、この時期に沖縄なんだろう?」
 「ご主人様は知らなかったのですか? S様の “卒業旅行” ですよ」
 「卒業旅行だ!? 卒業旅行っていうのは、友達と行くんじゃないのか?」
 「いいんじゃないですか、奥様とS様は大の仲良しなんですから。とっても母娘には見えませんもの」

 オイラ、余分なことを言っちゃいましたか?
 ご主人様ったら、急に黙って、険しい顔つきになったであります。
 と思ったら、今度は眉を下げた淋しそうな顔になり、
 「だな、あいつら “一卵性母娘” だものな。ま、楽しんでくればいいさ。オレには、マロがいるもの。な、マロ?」
 「ハ、ハイ! もちろんですよ、ご主人様」


 この家も、ずいぶんと変わりました。
 オイラが来た11年前は、長女様は高校生3年生、長男様は中学生2年生、次女様は小学1年生でした。
 とっても、にぎやかな一家だったんですよ。
 でも、時って残酷でやんすね。
 長女様が嫁ぎ、長男様も所帯を持ち、一人、また一人と、この家を出て行きました。
 末っ子の次女様も、今年からは短大生であります。
 しばらくは、まだ家にいるようですが、ますます淋しくなります。

 「ご主人様、3日間、何して過ごしましょうか?」
 「マ、マ、マロ~! 3日間なんて言わないで、お前だけは、ずーっとここに居てくれよ!」
 「あたりまえじゃないですか! オイラは、ほかに行くところなんてありませんもの」
 「マロ、マロ、マロ、ありがとう! 死ぬまで一緒だからな~」

 ご主人様ったら、もう、オイラを猫かわいがりするのなんのって、3日間は、ずーっとオイラに張り付いておりました。
 えっ、それを言うなら “犬かわいがり” だって?
 ですね。

 ご主人様の相手をするのも疲れるワン!
  


Posted by 小暮 淳 at 13:21Comments(2)マロの独白

2018年02月21日

マロの独白(36) 黒い影


 こんばんワン! マロっす。
 ここんちの飼い犬、チワワのオス、11才でやんす。

 ヒ、ヒ、ヒックショ~ン!!

 寒い寒いと思っていた冬も、そろそろ終わりのようで、敏感なオイラの鼻は、早くも春の気配を感じています。
 花粉症はツライけど、やっばり、春が待ち遠しいでやんす。
 だってだって、野花が咲くあぜ道を散歩するのが楽しいんだもの!
 思わず、鼻歌だって出ちゃいます。

 もちろん、今日も行ってまいりましたよ。
 まだ、ちょっぴり寒かったですけどね。
 それはそれは楽しいひと時でした。

 でもね、昨日はコワイ思いをしたんでやんす。
 オイラが、黒い影に狙われそうになったんです。


 「おい、マロ、どうしたんだ? なんで、そんなところで、うずくまっているんだよ」
 「……(ブルブル、ブルブル)」
 「寒いのか?」
 「ご、ご、ご主人様、う、う、上を見てください」
 「えっ、何言ってんだよ。上って……」

 ご主人様が見上げた空を、スズメやカラスが、あわてて逃げていきます。
 そのはるか上空を黒い影が、グルグルと回っているではありませんか。

 「別に、鳥が飛んでいるだけだよ」
 「その上ですよ。黒い影が……」
 「ああ、あれは、トビだな」
 「タカとかワシじゃないんですか?」
 「タカやワシの仲間ではあるけど、やつは死んだ動物の肉しか食べないよ」
 「えっ、じゃあ、オイラを狙っていたんじゃないんですね?」
 「大丈夫だよ。俺が一緒にいるんだ。マロには、指一本だって触れさせないさ」
 「ご、ご、ご主人さま~!(ウルウル)」

 オイラ、あんなにも大きな鳥を見たのは初めてだったので、襲われるのかと思ったでやんす。
 だって、ずーっと、オイラたちの後を追って、羽ばたきもせずに、グライダーのように、スーイ、スーイって上空を旋回しているんだもの。


 「あー、怖かった」
 「マロは、かなりのビビリだな」
 「でも、ご主人様はなんで、そんなに鳥のことが詳しいんですか?」
 「これは、すべて受け売りだよ」
 「受け売りって、なんですか?」
 「教えてもらったってこと」
 「誰にです?」
 「オヤジだ」

 えーーーーーっ、あの大主人様ですかーーーーっ!?
 あのヨボヨボで、ご主人様のことも分からないようなご老人からですか?

 「もちろん、今じゃない。もっと昔、俺が子どもの頃だよ」
 「ご主人様が子どもで、大主人様は?」
 「その頃、オヤジは日本野鳥の会の分会長をしていたんだよ」
 「へー、初耳でやんす」
 「だから小さい頃から俺は、よく探鳥会に連れて行かれたんだ」
 「そうなんですか。大主人様って、偉いお方だったんですね」
 「偉いかどうかは分からないが、なんでも知ってて、いろんなことを俺に教えてくれた」

 ご主人様は、そう言いながら、しばらく頭上を舞う大きな鳥を目で追っていました。

 「それで今、ご主人様は、そのときの恩返しをしているのですね」
 「……どうかな。……そうなのかもしれないね」


 春よ、来い!
 また、大主人様と散歩ができるといいワン!
   


Posted by 小暮 淳 at 18:29Comments(2)マロの独白

2018年02月05日

マロの独白(35) 犬生いろいろ


 こんばんワン! マロっす。
 ここんちの飼い犬、チワワのオス、11才です。

 おひさしぶりでやんした。
 もしかして、今年はじめての登場じゃないですかね。
 ということは、あけましておめでとワンダフル!
 ハッピー・イヌ・イヤー!

 今年はオイラ、年男なんすよ。
 戌年生まれの犬なんだなぁ~。
 ご主人様も戌年生まれですから、ダブル・ワンダフルな年になりそうですよ!


 ところが、そのご主人様ったら、最近なんだか元気がないんでやんす。
 かなり、お疲れの様子なんだな。
 仕事疲れ? なんてことはありませんよ。
 だって、ご主人様は、仕事大好き人間ですからね。
 今までだって、仕事で疲れた顔を見せたことなんて、一度だってありませんもの。
 だったら、介護疲れかしらん……

 「ねえねえ、ご主人様。大丈夫ですか?」
 「なにがさ?」
 「なんだか最近お疲れのようだし、なにか悩み事でもおありかと思いまして?」
 「悩み事? ああ、山ほどあるよ。人間60年も生きているとな、いろいろあるんだよ。マロには分からないだろうけどな」
 「えっ、オイラには分からないんですか?」
 「そりゃ、そうだろう。毎日、2食昼寝&おやつ付きで、雨にも濡れず、風にも吹かれず、365日快適な部屋で、ただヌクヌク、ダラダラと生きているだけなんだからさ」

 ひ、ひ、ひどすぎます!
 ご主人様ったら、何があったのか知りませんけど、そこまで言いますか!?
 オイラだってね、いろいろ考えて、悩んで生きているんですよ。

 今日の奥様は機嫌が悪いな、とか。
 今日は次女様のお帰りが遅いけど心配だな、とか。
 現に、こうして、ご主人様の体調を気づかっているではありませんか!

 犬だって、犬なりに、苦労があるんですよ!

 「まあ、そんなにムキになるな。半分は冗談だよ」
 「ということは、半分は本音なんですね?」
 「だってマロを見ているとさ、時々うらやましくなるときがあるんだよ」
 「オイラがですか?」
 「ああ、しがらみがないものなぁ~」

 「しがらみって、なんですか?」
 でも、ご主人様は、オイラの問いかけには答えずに、
 「マロは、知らなくっていいの。これからも、よろしくな」
 とだけ言って、オイラの頭をなでると、部屋を出て行ってしまいました。


 う~ん、ご主人様ったら!
 オイラも、その “しがらみ” っていうやつが欲しいでやんす。
   


Posted by 小暮 淳 at 20:19Comments(4)マロの独白

2017年12月30日

マロの独白 (34)  オイラの年が来る!


 ♪ もういくつ寝ると お正月
    お正月には散歩して
    ドッグフード食べて 昼寝して
    いつもと変わらぬ お正月 ♪


 こんにちワン! マロっす!!
 ここんちの飼い犬、チワワのオス、11才です。

 読者のみなさん、お久しぶりでやんした。
 しっかし、1年が経つのは、早いっすね。
 今年も、あと1日しかありません。
 ということは、もう2つ寝るとお正月でーーーすっ!

 うれしいなったら、たのしいなぁ~♪

 えっ、なにを浮かれているのかって?
 だって来年は、戌年ですよ。
 しかもしかも、オイラは来年12才になります。
 と、いうことは?

 そうです、オイラは戌年生まれの年男なんでやんす!
 ね、めでたいでしょう!?

 で、で、でね、オイラの大好きなご主人様も、戌年なんですよ!
 ダブルで、すごいでしょ!?
 仲良しなんだなぁ~。
 来年は、きっと良い年になりますよ。
 いえいえ、戌年生まれの犬としては、なにがなんでも戌年に戌年生まれのご主人様の人生をバックアップするでやんす。


 でね、新年を迎えるにあたり、3つの誓いを立てました。

 ① 「無駄に吠えない」
 若い時は、孤独に耐えられたんですけどね。
 最近、部屋にひとりぼっちにされると、ついつい吠えてしまうんです。
 ご主人様には、毎回、「うるさい!」 と叱られています。

 ② 「おやつをねだらない」
 オイラにおやつをくださるのは、ご主人様だけなものですから、ついつい、ご主人様の顔を見ると 「おやつ、おやつ」 と催促してしまいます。
 やはり、そのつど、「あげたばっかりだろ!」 と叱られています。
 今後は、散歩が終わってからと、お留守番ができたときだけにします。

 ③ 「大主人様との散歩復活」
 実は秋以降、大主人様と散歩をしていません。
 というのも、ご高齢ゆえ、大主人様の体力が落ちてきたのと、寒くなってきたので、ご主人様が大主人様の散歩を中止にしたのです。
 でもね、春が来て、暖かくなれば、きっと大丈夫ですよ。
 大主人様だって、元気になって、外を歩きたがるに決まっています。
 その日まで、オイラは待っているワン!


 では、みなさん、良いお年をお迎えください。
 来年も、ご主人様同様、オイラのことも、よろしくお願いいたしまする。
  


Posted by 小暮 淳 at 12:19Comments(2)マロの独白