温泉ライター、小暮淳の公式ブログです。雑誌や新聞では書けなかったこぼれ話や講演会、セミナーなどのイベント情報および日常をつれづれなるままに公表しています。
プロフィール
小暮 淳
小暮 淳
こぐれ じゅん



1958年、群馬県前橋市生まれ。

群馬県内のタウン誌、生活情報誌、フリーペーパー等の編集長を経て、現在はフリーライター。

温泉の魅力に取りつかれ、取材を続けながら群馬県内の温泉地をめぐる。特に一軒宿や小さな温泉地を中心に訪ね、新聞や雑誌にエッセーやコラムを執筆中。群馬の温泉のPRを兼ねて、セミナーや講演活動も行っている。

群馬県温泉アドバイザー「フォローアップ研修会」講師(平成19年度)。

長野県温泉協会「研修会」講師(平成20年度)

NHK文化センター前橋教室「野外温泉講座」講師(平成21年度~現在)
NHK-FM前橋放送局「群馬は温泉パラダイス」パーソナリティー(平成23年度)

前橋カルチャーセンター「小暮淳と行く 湯けむり散歩」講師(平成22、24年度)

群馬テレビ「ニュースジャスト6」コメンテーター(平成24年度~27年)
群馬テレビ「ぐんまトリビア図鑑」スーパーバイザー(平成27年度~現在)

NPO法人「湯治乃邑(くに)」代表理事
群馬のブログポータルサイト「グンブロ」顧問
みなかみ温泉大使
中之条町観光大使
老神温泉大使
伊香保温泉大使
四万温泉大使
ぐんまの地酒大使
群馬県立歴史博物館「友の会」運営委員



著書に『ぐんまの源泉一軒宿』 『群馬の小さな温泉』 『あなたにも教えたい 四万温泉』 『みなかみ18湯〔上〕』 『みなかみ18湯〔下〕』 『新ぐんまの源泉一軒宿』 『尾瀬の里湯~老神片品11温泉』 『西上州の薬湯』『金銀名湯 伊香保温泉』 『ぐんまの里山 てくてく歩き』 『上毛カルテ』(以上、上毛新聞社)、『ぐんま謎学の旅~民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん)、『ヨー!サイゴン』(でくの房)、絵本『誕生日の夜』(よろずかわら版)などがある。

2021年11月29日

2番じゃダメなんです!


 「くやしいです!」
 思わず、ザブングルのギャグが口を突いて出てしまいました。

 先日発表された “温泉イメージランキング” です。


 リクルート (東京都) が発行する 「じゃらん」 が、インターネットで全国の20~50代計1,005人からアンケートを行い、「温泉と聞いてイメージする都道府県ランキング」 を発表しました。
 その結果、1位は大分県、2位は群馬県、3位は北海道でした。

 ぬぁぬぁぬぁんですとーーーーーーー!!!!!

 怒り心頭に発し、お笑い芸人・ザブングル加藤の顔になってしまいました。

 ダメなんです!
 2番じゃ、絶対にダメなんです!


 先日、読売新聞の取材に対して僕は、こうコメントしています。
 < 「 『群馬と言えば?』 と問われると、温泉と返す人は多い。逆に、『温泉と言えば?』 と問われて群馬と即答する人はあまりいない。>
 (2021年11月8日 読売新聞群馬版 「クローズアップ」 より)

 コメント通りの結果となってしまいました。
 「群馬と言えば温泉」 と答えるのは当たり前。
 その逆こそ、真なり!
 「温泉と言えば群馬」 と答えてこそ、温泉界の “絶対王者” になれるのです。

 たぶん、僕の力不足なんでしょうね。
 大いに反省しています。


 「じゃらん」 によれば、群馬について 「草津温泉が有名だから」 「湯畑を思い出す」 との草津温泉に関するコメントが多かったといいます。
 ほーらね、草津に “おんぶにだっこ” されているからダメなんです!

 チームですよ、チーム!
 「湯の国ぐんま」 が一丸となって闘わなければ、1位の座は永遠にありませんぞ!

 さあ、立ち上がれ!
 百九十万の民よ!

 そして、温泉大国として、絶対王者になるのだ!

 断じて、2番じゃダメなんです!
   


Posted by 小暮 淳 at 09:33Comments(0)温泉雑話

2021年11月20日

太宰と群馬の温泉


 『わらう!太宰治』

 そのタイトルに、惹かれた。

 太宰治=苦悩する作家、というイメージの真逆のコピー。
 思わず、受付で 「どなたのコピーですか?」 と訊いてしまいました。
 当然ですが、「学芸員です」 との回答。

 つくづく、ネーミングは大切だと思いました。


 現在、群馬県立土屋文明記念文学館 (高崎市) で開催中の第113回企画展 『わらう!太宰治』 に行って来ました。

 僕にとっての太宰との出合いは、ご多分にもれず、まずは教科書の 『走れメロス』 でした。
 そして、思春期に読んだ 『人間失格』。
 それと 『津軽』 『斜陽』 『女生徒』 くらいでしょうか……

 しかし展示会では、そういった代表作ではなく、数ある太宰の作品の中でも 「わらい」 に注目。
 ユーモアや機知に富む秀作群に光を当てて、太宰文学の懐の深さを紹介しています。


 大人になって僕は、思わぬところで太宰文学と再会しました。
 それは、温泉です。

 太宰は、2度、群馬の谷川温泉 (みなかみ町) に訪れています。
 1度目は、昭和11(1936)年8月、薬物中毒と肺病の治癒のために単身で滞在しています。
 2度目は、同12年3月、妻の小山初代と2人で訪れています。
 初代と谷川山麓で心中を図ろうとしますが、未遂に終わり、その後2人は離婚します。

 この2回の滞在で宿泊した宿は、川久保旅館でした。
 (現在の 「旅館たにがわ」 の駐車場が跡地)
 谷川温泉では、『創生記』 を執筆しています。
 また後に 『姥捨(うばすて)』 の舞台としても描かれました。


 太宰は、昭和15(1940)年4月、四万温泉 (中之条町) にも訪れています。
 この時は、太宰が師と仰ぐ井伏鱒二や友人たち数名と滞在しています。
 のちに発表された 『風の便り』 は、四万温泉がモデルとされています。

 この時、一行が滞在したのは 「四萬館」 でした。


 2つの温泉地での太宰にまつわるエピソードは、拙著 『みなかみ18湯 【下】』 と 『あなたにも教えたい四万温泉』 に記載されていますので、興味のある方は、ぜひ、一読されたし!

 企画展では、「群馬と太宰」 と題し、2つの温泉地での貴重な写真や資料が展示されています。



    企画展 『わらう!太宰治』

 ●会期  開催中~2021年12月19日(日)
 ●開館  9:30~17:00
 ●休館  火曜日
 ●料金  一般 500円 大学・高校生 250円
 ●問合  群馬県立土屋文明記念文学館 TEL.027-373-7721
  


Posted by 小暮 淳 at 11:18Comments(0)温泉雑話

2021年11月12日

リンダ、こまっちゃう!


 ♪ うわさを信じちゃいけないよ 私の心はうぶなのさ
    いつでも楽しい夢を見て 生きているのが好きなのさ
    (中略)
    あゝ 蝶になる あゝ 花になる
    恋した夜は あなたしだいなの
    あゝ 今夜だけ あゝ 今夜だけ
    もう どうにも とまらない ♪
    <『どうにもとまらない』 より>


 伊香保温泉(渋川市) に 「リンダ坂」 という坂があるのをご存じですか?
 もちろん地元での通称です。
 正式名は 「八千代坂」。

 傾斜角度23度。
 坂の多い温泉街の中でも最大級です。
 では、なぜ、「リンダ坂」 と呼ばれるようになったのか?

 もう、お分かりですね。
 そう、歌手・山本リンダさんのヒット曲 『どうにもとまらない』 からであります。

 誰が付けたのか?
 坂の途中の旅館のご主人によれば、
 「雪でも降った日には、お客さまはスッテンコロリン。車だって、ブレーキが甘いとズズズーっと下ってしまう。誰が言ったのか、いつしかみんな 『リンダ坂』 と呼ぶようになっていました」


 季節は、絶好の行楽日和です。
 緊急事態宣言が解除されてからというもの、群馬県内の行楽地には、たくさんの観光客が訪れています。

 「友だちと伊香保温泉に行ってきたんですよ」
 若い女性に話しかけられました。
 「散々な目に遭ってしまいました。渋滞が凄くて、全然、車が進まないんですよ。みーんな県外ナンバーです」
 確かに、テレビの報道番組を観ていると、観光地はどこも、かなりの人出となっているようであります。

 それでも、やはり第6波が来るのではないか? という恐怖心はぬぐえません。
 “3密” になる電車での長距離移動は避け、マイカーでの “安近短” 旅行を楽しんでいるようです。
 ということで群馬県は、首都圏からコロナ禍に訪れるのには絶好の行楽地といえそうです。


 もちろん、県内の温泉地に観光客が戻ってきたことは、うれしいことです。
 と、同時に、「本当なのだうか?」 という不安もあります。
 日々伝わる感染者数の急激な減少です。
 まさか、政府が操作しているんじゃないでしょうね?

 うれしいようで、こわいようで、ドキドキしてしまいます。

 これまた伊香保だけに、リンダつながりで 、こまっちゃうナ~!


 ♪ こまっちゃうナ デイトにさそわれて
    どうしよう まだまだはやいかしら
    うれしいような こわいような
    ドキドキしちゃう 私の胸
    ママに聞いたら 何んにも言わずに笑っているだけ
    こまっちゃうナ デイトにさそわれて ♪
    <『こまっちゃうナ』 より>
   


Posted by 小暮 淳 at 10:26Comments(0)温泉雑話

2021年11月08日

今日の読売新聞 「クローズアップ」


 大変お待たせいたしました!
 長~い首が折れてしまいそうになるくらい、お待たせしてしまいました。

 最初に掲載の告知をしたのが、ちょうど1カ月前。
 その間に衆院選の報道が入り、たびたび掲載日の変更をお知らせしてきました。
 が!
 ついに本日(11月8日)、掲載されました。


 読売新聞群馬版 「クローズアップ」。

 “群馬の温泉 魅力発掘”

 と、見出しが躍っていますが、それ以上に目立つのが写真です。
 そのサイズ、ヨコ98mm×タテ93mm!
 今までに掲載された新聞記事では、過去最大だと思います。


 さてさて、その内容は?

 いやいや、若手記者ならではの歯に衣着せぬストレートな表現で、フレッシュな読後感のある記事です。
 何よりも中学時代の読書趣向から結婚、就職、雑誌の廃刊、独立にいたるまでの僕の経歴を追っている記事は、初めてです。
 これは、一つの小さな “小暮淳ヒストリー” であります。

 たぶん、僕のことを知らない人でも、なんとなく人となりが分かったんじゃないでしょうかね。


 乙藤記者、素敵な記事をありがとうございました。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:25Comments(4)温泉雑話

2021年10月28日

逆襲の逆襲なのだ~!


 朝日新聞社から 「全国版に小暮さんのことを書きました」 と、10月25日付の夕刊が届きました。
 紙面には大きく、こんなタイトルが躍っています。

 ≪温泉の宝庫 地味でも極楽~ 群馬の逆襲①≫


 「現場へ!」 というシリーズで、群馬県駐在の記者によるレポートであります。
 一部を抜粋します。

 <「温泉地は100カ所以上。乳白色、茶褐色、赤褐色、黄土色など色もよりどりみどり。群馬はまさに 『湯煙パラダイス』 です」。
  県都の前橋市に住む温泉ライターで、「ぐんまの源泉一軒宿」 など温泉に関する数々の著書がある小暮淳さんはそう語る。>


 記事では今月、ブランド総合研究所が発表した2021年の 「都道府県の魅力度ランキング」 にも触れ、数字では還元されない魅力として、温泉にスポットを当てています。
 記事は、こう結ばれています。

 <とかく地味なイメージが強い群馬。だが住んでいる人が楽しく生きていれば、それが幸せなのではないか。群馬で暮らす記者が、そのいくつかを紹介する。>

 シリーズ記事 「群馬の逆襲」 の第1回が “温泉” というのが、うれしいじゃありませんか!
 今年、赴任してきた記者のようですが、やっぱり群馬と言えば、温泉なのですね。


 さて、「群馬の逆襲」 といえば忘れてはならないのが、2010年に出版されたジャーナリスト・木部克彦氏の 『群馬の逆襲』(彩流社) であります。
 ベストセラーとなり、2年後には 『続・群馬の逆襲』(言視社) が出版されました。

 この時も木部氏から連絡があり、“逆襲の刺客” として取材を受けました。
 氏は著書の中で僕のことを、こう表現しています。

 <いかにも世界屈指の温泉大国・群馬らしいオジサンがいます。>
 <ここまで 「人生のすべて」 を温泉につけこんでしまう人は、なかなかいません。まさに 「温泉バカ一代」。>

 まあ、ほめられているのか、笑われているのか分かりませんが、氏独特のユーモアセンスで、僕の人となりが描かれています。


 くしくも10年の時を経て、またしても 「群馬の逆襲」 に登場です。
 はたして群馬の逆襲は、いつまで続くのでしょうか?

 いつか、“逆襲” の冠が取れる日が来ることを待ち望んでいます。  
  


Posted by 小暮 淳 at 11:44Comments(3)温泉雑話

2021年09月13日

時間湯 VS 伝統湯


 なんだか、きな臭い雰囲気になってきました。

 草津町議会は、湯治客の健康や症状を判断することなどが医療的行為として法令に反する恐れがあるとして、2019年に入浴法を指導する 「湯長」 制度を廃止した草津温泉独自の入浴法 「時間湯」 について、名称を 「伝統湯」 に変更することを決定。
 施行は10月1日からで、以後、「時間湯」 の名称を使わないことになりました。


 ほほう、そういう展開になりましか!
 なんだか、全面戦争の装いであります。

 発表によれば、条例改正により、2ヶ所ある時間湯を行っていた共同浴場の 「地蔵の湯」 と 「千代の湯」 は、それぞれ 「伝統湯地蔵」 「伝統湯千代」 と改名し、これまで時間湯が行われてきた浴場のことは 「伝統湯浴場」 と呼ぶことになりました。


 この条例改正について、黒岩信忠町長は、このようにコメントしています。

 <湯長廃止の議論の中で 「時間湯」 を商標登録しようとしたが、町側の申告より前に “時間湯関係者” が申請していたことが判明した。>
 <(関係者らによる時間湯の) 私物化の証しそのものだ。いつまでも科学や法令に基づかない伝統への独善を断ち切る意味でも、「伝統湯」 と改めた。>
 (2021年9月11日付 上毛新聞より)

 おおお~、完全なる宣戦布告であります!


 今後の運営については、「伝統湯地蔵」 では時間湯としての利用を廃止し、貸切風呂として有料化。
 これに伴い、浴槽の改修やシャワー設備の増設を行うため、一時利用を中止するとのことです。
 一方 「伝統湯千代」 は管理人が常駐し、湯もみやかぶり湯といった時間湯での伝統的な作法を利用者に手ほどきするとのこと。入浴料は無料。
 また時間湯で48度前後と高温が問題視されていた湯温については、いずれの浴場も44度以下とすることになりました。


 伝統か? 行政か?
 この問題のややこしい所は、行政側が “伝統” という言葉を使っているところです。

 混浴問題しかり!
 伝統や文化は本来、守り継ぐべきものなのですが、令和の時代には、そぐわなくなっているようであります。


 時間湯 VS 伝統湯
 はたして軍配は、どちらに?

 (ところで町長と女性議員のスキャンダル問題って、解決したんでしたっけ?)
  


Posted by 小暮 淳 at 11:42Comments(3)温泉雑話

2021年07月16日

スキヤキと温泉


 「なんで群馬県が、スキヤキなんですか?」
 県外の人に、そう訊かれて、
 「なんでなんでしょうねぇ……」
 と答えに窮する僕。

 いつからか群馬県は、「すき焼き応援県」 を宣言しています。
 そのココロは?
 「県内で、すき焼きの食材が、すべて揃うから」
 のようであります。
 
 牛肉、しらたき、ネギ、シイタケ、白菜、春菊……

 ちょっと、ちょっと! 待ってくださいよ!
 その食材、どこの県でも揃いますって!
 まあ、百歩譲って、ネギとしらたき (こんにゃく)、生しいたけの生産量は群を抜いているにしても、やっぱ、すき焼きの主役は牛肉ですからね。

 さらに言えば、群馬県民って、日常、すき焼きは食べませんよ!
 たまに食べたとしても、肉は豚肉です。
 ならば、せめて 「豚すき」 を群馬名物として推してほしいものです。


 「群馬といえば、やっぱり温泉ですよね!」
 県外の人に、そう言われれば、
 「まあね~!」
 と僕だって、得意になって答えます。

 先日、そのことを証明するようなニュースが飛び込んで来ました。
 リクルート (東京) の観光に関する調査研究機関 「じゃらんリサーチセンター」 が、「じゃらん宿泊旅行調査2021」 を発表しました。
 この調査で、国内旅行先に選んだ理由別の都道府県ランキングで、群馬県が 「魅力的な温泉」 の第1位になりました。

 ほ~らね、誰もが “群馬” と言えば “温泉” だと思っているでしょう!
 同センターは、この調査結果について、こうコメントしています。

 <コロナ下でゆっくり安心安全に過ごす旅行スタイルが支持される中、群馬の温泉地が期待に応えた。>


 ところが!
 こと “食” に関しては、厳しい見解を発表しました。

 <地域性が目立たない。特産品を生かした群馬でしか食べられないメニューや食材の開発、発掘などが求められる。>

 ほ~ら、やっぱ、スキヤキじゃありませんって!
   


Posted by 小暮 淳 at 11:23Comments(3)温泉雑話

2021年07月05日

あっぱれ! 草津温泉


 さすが天下の草津温泉です。
 やることが速い!

 以前、草津温泉の源泉が、新型コロナウイルスの感染力をなくす 「不活化」 に効果があるということが研究機関の調査で判明したというニュースを、このブログでも取り上げました。
 (2021年2月11日 「草津よいとこコロナに効く湯?」 参照)


 あれから5か月……
 たった5ヶ月ですぞ!

 さらに科学的な研究を重ねた結果、草津温泉の源泉 (なかでも湯畑源泉) が新型コロナウイルスの感染力を10秒間で97.51%、さらに1分間では99.12%も失わせる効果があることが証明されました(これはスゴイ!)。
 ということは手指を温泉で洗い流すことで、新型コロナウイルスや有害微生物などを効果的に除去できるということです。

 ならば!と草津温泉は、さっそく湯畑広場に3ヶ所、地蔵広場に1ヶ所の計4ヶ所に 「手洗乃湯」(手洗い場) を設置しました。
 今後、草津温泉バスターミナルや西の河原公園にも設置を予定しています。


 昔から草津温泉は、「恋の病」 以外はどんな病にも効くといわれた名薬湯です。
 この調子でコロナ収束後も、グイグイと群馬の温泉界をけん引していただきたいものです。

 “唯一無二の温泉力”

 あっぱれであります。
  


Posted by 小暮 淳 at 18:35Comments(0)温泉雑話

2021年05月05日

絶滅危惧温泉は守れるか?


 <公衆浴場や温泉で、混浴できるのは何歳までか?>

 厚生労働省は男女の混浴禁止年齢の基準を 「おおむね10歳以上」 から 「おおむね7歳以上」 に引き下げたとの報道がありました。
 これを受け、公衆浴場を規制する条例を定める都道府県や保健所を運営する一部の市では、条例改正に動き出したといいます。

 そんな中、群馬県は現条例の 「おおむね10歳以上」 を当面維持すると発表しました。


 なぜ、今になって、そんな論争が起きたのでしょうか?
 それは、時代の推移による “恥ずかしさ” への変化です。

 最新の混浴に関するアンケートによると、成人に聞いた制限すべき年齢で最も多かったのは 「6歳以上」 で、次いで 「7歳以上」。
 一方、児童が混浴を恥ずかしいと思い始める年齢でも 「6歳」 と 「7歳」 が多かったといいます。
 同省は、この結果を踏まえて、公衆浴場の混浴制限年齢を引き下げたようです。


 みなさんは、どう思われましたか?
 僕は率直な感想、「仕方ないかな」 と思っています。
 だって今の10歳って、男の子も女の子も発育が昔とは、だいぶ異なりますからね。
 子どもが恥ずかしいと思っているのであれば、混浴を強制することはないと思います。
 逆に強制することは、親の子への虐待にもなりかねませんものね。


 さて、公衆浴場の混浴問題は、お役人たちに任せることとして、由々しき現状は、温泉地での混浴風呂の減少問題です。

 その前に、なぜ、公衆浴場では成人男女の混浴は禁止されているのに、温泉地での混浴は許されているのでしょうか?
 講演やセミナーでも、よく質問されるテーマです。

 これって、早い話 「お目こぼし」 なんです。
 “混浴” という日本独特な文化は、法律ができる前から伝統的に存在していました。
 よって既得権益により認められているのです。
 ただし、これは “伝統” に限った特例ですから、新設または改修された場合には認められません。


 ところが、歴史と伝統のある混浴風呂が、年々温泉地から姿を消しています。
 それも新設や改修による理由ではありません。

 理由は、もうお分かりですね!?

 一番の理由は、「盗撮」 です。
 スマホの普及と同時に、混浴風呂でのトラブルが多発し、結果、閉鎖に追い込まれています。
 また、閉鎖されなくても伝統と文化を大きく覆す由々しき事態も……

 そうです!
 着衣問題です。


 本来、温泉場での混浴は 「全裸」 です。
 ところが最近、“湯あみ着” の着用を義務付ける温泉宿が増えています。
 これでは “混浴風呂” とは呼べません。
 温水プールに入っているのと同じです。

 やはり、この奇怪な現象もすべて、“盗撮” が理由です。


 もし、江戸時代の人が、令和の混浴事情を見たら、なんて言うんでしょうかね?
 「便利になるって、なんて不粋なんだ。風情も情緒もあったもんじゃねえ」
 そんな声が聞こえてきそうです。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:56Comments(0)温泉雑話

2021年04月19日

コロナ VS 温泉地


 以前、群馬大学の研究機関により草津温泉の湯畑の湯が、新型コロナウイルスの感染をなくす 「不活化」 に効果があることがわかった!というニュースについて書いたことがありました。
 (2021年2月11日 「草津よいとこコロナに効く湯?」 参照)

 その後の研究によると……
 ①水道水
 ②湯畑源泉
 ③湯畑源泉と同じ水素イオン指数 (pH) の硫酸水溶液
 ④万代鉱源泉 (草津の他の源泉)
 の4つの試料水に、それぞれ新型コロナウイルスを接触させ、感染力がどう変化するか調べたところ、湯畑源泉の不活化力が最も大きく、硫酸水溶液の50倍以上あったことが分かりました。

 研究結果を発表した群馬大学の板橋英之教授は、
 「酸以外にも何らかの温泉成分が不活化に寄与している。どの成分が関係しているか調査を続ける」
 とコメントしています。


 いや~、素晴らしい研究結果ではありませんか!
 先人たちが大切に伝承してきた古式ゆかしい “湯治” という民間療法の文化が、医学と薬学が進歩した令和の世に、科学的に証明されたのですぞ!

 と思ったら、また1つ、朗報が飛び込んで来ました。

 群馬大学の内田満夫准教授 (公衆衛生学) が、こんな内容の論文を発表しました。
 <政府の観光支援事業 「GoToトラベル」 開始後の2020年の群馬県内の感染者数を分析したところ、県内の主要温泉地がある地域の方が、それ以外の地域より相対的に感染者が少なかった>
 というものです。

 調査対象となったのは、
 ①草津温泉がある吾妻
 ②水上温泉がある利根沼田
 ③伊香保温泉がある渋川
 の3地域 (観光地) と、それ以外の7地域 (非観光地) で、GoToトラベル開始前と実施期間のそれぞれの感染者数を比較しました。

 結果、感染者数の増加率は、非観光地の12.8倍に対し、観光地は7.4倍。
 また、実施期間中の人口10万人あたりの感染者数も、非観光地の111.6人に対し、観光地は41.5人にとどまっています。


 この結果について、内田准教授は、このようにコメントしています。
 「遮蔽物の設置やアルコール消毒など観光業界の感染対策が一定の効果を上げた可能性がある」

 ま、そういうことなんでしょうけど、はたして、“感染対策” だけでしょうか?
 僕は、温泉水が持つ “不活化力” が大きいと思うんですけどね。

 たとえば、温泉街に漂う “湯けむり” の存在です!
 あの中にも、温泉成分が含まれていますよ。


 で、前出の板橋教授は記者会見で、こうもコメントしています。
 「今後は湯煙も分析したい」

 教授!
 温泉ファンが歓喜する研究結果の発表をお待ちしております。 
   


Posted by 小暮 淳 at 11:26Comments(0)温泉雑話

2021年02月11日

草津よいとこコロナに効く湯?


 『草津よいとこ薬の温泉(いでゆ)』

 ご存じ、「上毛かるた」 の 「く」 の詠み札であります。

 草津温泉と言えば、群馬が誇る日本の名湯です。
 「温泉大国ぐんま」 の名は、草津温泉が、けん引して全国に知らしめているからと言っても過言ではありません。
 それほどまでに草津温泉は、群馬を語るときに欠かせないキーワードとなっています。

 では、なぜ草津温泉が、そんなにも有名になったのでしょうか?
 その答えは、かるたの札にあります。
 “薬のいでゆ” と称されるほど、昔から効能が豊かでした。

 “万病に効く” といわれ、草津の湯で治らないのは “恋の病” だけだと言われてきました。


 「だったらコロナにも効くんじゃないの?」
 草津町は、そう考えたそうです。
 「だったら調査してもらおう!」
 と、群馬大学の研究機関に依頼しました。

 すると!

 結果が出ました。
 発表によると、草津温泉の湯畑源泉のお湯が、新型コロナウイルスの感染力をなくす 「不活化」 に効果があることが分かりました。

 「不活化」 とは、感染力がなくなったということです。

 調査結果によると、温泉水 (湯畑源泉)、硫酸酸性水、水道水にウイルスを入れて培養したところ、水道水ではほとんど不活化しなかったのに対し、硫酸酸性水では約80%、温泉水にいたっては90%以上が不活化したことが確認できたといいます。

 これって、すごくありませんか!
 「やっぱ草津の湯って、万病に効くんだ!」
 って、最初に新聞記事を読んだときに僕は、声を上げて、小躍りしてしまいました。


 研究にあたった群馬大学院の板橋英之教授は、このようにコメントしています。
 <硫酸酸性水と草津の温泉水は、ともに「酸性」 で、これがウイルスを不活化させたと推察されます。その上で草津の温泉水のほうが不活化の効果が高かったということは硫酸酸性水にない、草津の温泉水ならではの “成分” が不活化に作用したと考えられます。>

 ヤッホー!
 これは、まさに温泉だけが持つ “湯力(ゆぢから)” が立証されたということですぞ!

 結果を受けた草津町では、さっそく観光対策として源泉を使った 「手洗い場」 を整備するそうです。


 これで医学や薬学が進歩した令和の世でも、古来、日本人が大切にしてきた湯治という文化が継承されて行くことでしょう。
 久々の朗報でした。
   


Posted by 小暮 淳 at 11:39Comments(4)温泉雑話

2021年01月22日

最東端温泉地が変わる!?


 「温泉地」 とは、“宿泊施設のある温泉” のことをいいます。
 ですから、都道府県などの温泉地数には、日帰り温泉施設は含まれていません。

 群馬県の場合、現在、約100ヶ所ありますが、一軒宿の廃業により、年々減少の一途をたどっています。
 たぶん、正確には100ヶ所を切っていると思われます。
 ただ、100年前は約70ヶ所でしたから、実際には増えていることになります。

 なぜ増えたのか?

 その答えは簡単です。
 100年前は、そのほとんどが自噴泉だったのに対して、現在は半数以上が掘削泉だからです。
 また1つ、群馬県内に掘削泉の温泉地が誕生するかもしれません。


 <東武伊勢崎線川俣駅周辺整備の一環となる温泉掘削事業で、明和町と民間企業が出資したまちづくり会社 「邑楽館林まちづくり」 は、温泉の湧出を確認したことを明らかにした。>
 (2021年1月19日付 上毛新聞より)

 泉質/弱アルカリ性のナトリウム塩化物温泉
 湧出量/毎分約130リットル
 泉温/41.7度

 とのことですが、まだ掘削途中のようで、温度は上がる可能性があるとのことです。


 で、この温泉を何に利用するのか?
 日帰り温泉施設ならば 「温泉地」 のカウントには入りませんが、どうやら新聞記事によれば <2022年開業予定のホテル内の温浴施設などで活用する方針> とあります。

 となると、群馬県の温泉の歴史が変わることになります。

 現在、最東端温泉地は、太田市の 「やぶ塚温泉」 です。
 これが明和町となると、『つる舞う形の群馬県』(上毛かるた) のツルのくちばしの先っぽまで移行します。
 もう、まさに群馬県の東の端で、これ以上東は、お隣の栃木県です。


 これは、喜ぶべきことなのか、思案のしどころですが、完成すれば、事実上の群馬県最東端温泉地となります。

 はたして、何という温泉地名になるのでしょうか?
 今後の発表を待ちたいと思います。
   


Posted by 小暮 淳 at 14:25Comments(2)温泉雑話

2021年01月01日

免疫元年の幕開け


 あけましておめでとうございます。
 今年もよろしくお願いいたします。


 いよいよ、「免疫元年」 の幕開けです。

 これは、まことしやかな俗説ではありますが、この新型コロナウイルスの感染拡大というのは、地球自体が地球環境を維持するために、増え過ぎた人類を淘汰するために行っている自然治癒現象なのではないかと……。
 このままでは地球上の人類以外の生物は滅び、人類自体も食糧危機に陥ってしまう。
 その前に、最強ウイルスを発生させたのではないか……。

 となれば私たち人類は、今、生き残りをかけた地球最大の決戦の真っただ中にいることになります。

 でも、ご安心あれ!
 我ら大和民族は、古来、“湯治” という温泉を利用した民間療法により、幾多の災厄を乗り越えてきました。
 いまこそ、この 「湯治力」 を見直し、最大限に利用して、生き残ってみせようではありませんか!


 なにも先人たちは、病気やケガを治すためだけに湯治に通っていたわけではありません。
 最大の理由は、“未病” のためです。
 農業や漁業で疲弊した体を、温泉の力でリセットし、明日への活力に変えていたのです。

 そうです!
 免疫力のアップを行っていたのです。


 人間の体温は、1℃上がると体内の免疫力は5~6倍になるといいます。
 また逆に、1℃下がると30%低下するそうです。
 風邪を引いて発熱するのも、白血球がウイルスと戦うため、好条件ととれる37.2℃以上に体内温度を上げるためです。
 (一説では、がん細胞は35℃以下で活発になり、40℃以上で死滅するとも)

 ということは、体温を上げることが、いかに大切かが分かります。


 体温を上げるだけなら、なにも、わざわざ温泉に入ることはありません。
 自宅の風呂で十分です。

 しかし温泉には、水道水にはない多大なる効果を持ち合わせているのです。

 まず、「薬理効果」。
 入浴により温泉の成分が皮膚から浸透します。
 また飲泉をすれば胃腸からも吸収し、湯気の吸引からも薬効成分を体内に取り入れます。

 そして、何よりも最大の効果は、「転地効果」 です。
 ストレスの多い日常から離れ、風光明媚で自然豊かな環境に身を置くことこそが、心と体をリフレッシュさせ、“未病” への基礎体力を養ってくれます。


 いかがですか?
 もし、あなたが、この地球に生き残りたいなら、湯治の力を信じ、免疫力のアップを試みてください。

 『温泉で免疫力アップ!』

 これが、今年の合言葉です。
   


Posted by 小暮 淳 at 12:51Comments(0)温泉雑話

2020年10月12日

コロナに消えた祭り


 30年以上も昔のことです。
 当時、僕はタウン誌の記者になりたてで、グルメ記事を書くために、県内のレストランや食堂を東奔西走していました。
 もちろん、すべて日帰り取材です。

 「やったー! 本当にいいんですか?」
 思わず編集長に、そう問いただしたほどでした。
 「仕方ないだろ、日の出前の早朝取材なんだから前泊しなけりゃ」

 県内なのに、初めての宿泊出張取材の許可が出た瞬間でした。


 川原湯温泉 (長野原町) で約400年前に始まったという奇祭 「湯かけ祭り」。
 その昔、温泉が枯渇してしまった際、湯のにおいがゆで卵に似ていることからニワトリをささげて祈願したところ、再び湯が湧き出したたため、湯をかけあって喜んだのが祭りの起源とされています。

 ふんどし姿の男たちが、1月の大寒の早朝に、紅白に分かれて湯をかけ合います。
 その時のかけ声が、「お祝いだ!」。
 これは、「お湯湧いた!」 が転じたとも言われています。

 当時の僕は、駆け出しの記者です。
 濡れないようにとカメラをビニールでくるみ、自身もフード付きのレインコートに身を包んで臨んだ記憶があります。
 その群衆の最前列で奮闘する姿が、NHKのテレビニュースで流れ、後日、編集長に褒められたことも記憶に残っています。


 30年前のことですから、その頃はまだ湖底に沈む前の旧温泉街での祭りでした。
 現在の代替地に移転してからも伝統ある祭りは、毎年、必ず開催されてきました。

 その祭りが、来年は中止になると発表がありました。
 理由は、「新型コロナウイルス感染症対策が困難なため」 とのことです。
 戦時中の混乱期以降、初めての中止です。
 住民にとっては、苦渋の決断だったと思います。
 それだけに残念でなりません。


 長引くコロナ禍は、まるで津波や土砂崩れのように、二次災害、三次災害へと波紋を広げています。
 無病息災、コロナ退散、世界平和を願いつつ、静かに湯の神様にお祈りをささげたいと思います。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:57Comments(2)温泉雑話

2020年09月22日

『湯けむりの先に』 最終回


 今月7日から上毛新聞の最終面にて大々的に始まった特別連載 『湯けむりの先に』。
 隔週の月・火曜日の掲載で、今日、最終回を迎えました(全4回)。
 ※(掲載のいきさつについては、当ブログ2020年9月7日 「連載開始!『湯けむりの先に』」 を参照)


 シリーズではコロナ禍の温泉地の現状を、多方面から切り口を変えて追いかけています。
 第1回 「需要消失」 では、自粛により苦悩する温泉宿や県のキャンペーン効果についてをレポート。
 第2回 「事業承継」 では、後継者不在により存続が危ぶまれる秘湯の一軒宿の “いま” を取材。
 第3回 「もてなし」 では、時代のニーズに合わせて変わろうとする旅館やホテルの接客のようすを報告。

 そして、今日の最終回のテーマは、「魅力創出」。
 ズバリ、“温泉王国ぐんま” の魅力に迫ります。

 たとえば、旅行のプロが選ぶ温泉地ランキング 「にっぽんの温泉100選」 で、草津温泉が17年連続で1位に選ばれていること。
 また、インターネット接続大手のビッグローブの温泉大賞でも、群馬が都道府県別の番付で 「東の横綱」 に君臨していること。
 さらに伊香保温泉が 「温泉まんじゅう」 の、磯部温泉が 「温泉マーク」 の発祥地など、群馬の温泉文化の奥深さにも触れています。


 しかし記事では、群馬県が大きな難題を一つ、抱えていることをあぶり出します。
 それは、知名度です。

 “温泉県” としては知られているのに、“観光県” としては低迷している現状です。
 毎年発表される都道府県の 「魅力度ランキング」 では、常に下位です。
 このことについて、都内の旅行会社は、こうコメントしています。

 「商品としてみると、群馬は華がない」

 首都圏からも約1時間と近く、アクセスも良く、有名温泉地もある。
 なのに “旅のパック” としては弱いということのようです。

 確かに、言われてみれば、その通りです。
 温泉県だけど、観光県ではないということですね。


 でも、どうでしょう?
 これは考え方一つではないでしょうか?

 受験勉強と同じですよ!
 苦手科目を克服するか、得意科目を伸ばすか……

 だったら “温泉一本” で行きましょうよ!!


 そんな考えにまで及んだ、好企画の連載記事でした。
 執筆を担当した井部記者、堀口記者、大変お疲れさまでした。
 丁寧な取材と記事をありがとうございました。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:48Comments(0)温泉雑話

2020年09月19日

最終回!今日の毎日新聞


 <心や体を癒やしに温泉に行く──。群馬県の温泉に詳しい前橋市在住のフリーライター、小暮淳さんは、そんな昔の 「湯治」 のような素朴な旅を自書や講演などで長年推奨してきた。>
 (2020年9月19日付 毎日新聞首都圏版より)


 いよいよ、最終回となりました。
 今月5日付より、毎日新聞の首都圏版にて掲載が始まったシリーズ 『やすらぎの宿』 「霧積温泉 金湯館」 (全3回) が、今日、完結しました。

 ざっと、これまでの記事の紹介をすると……

 「上」 (第1回)
 <偉人が愛した避暑地>
 <人気小説の原点にも>
 と題し、明治時代には避暑地として人気があり、伊藤博文や勝海舟などが訪れたことや、詩人・西条八十が書いた詩の一節をモチーフにした作家・森村誠一のベストセラー小説 「人間の証明」 の舞台になったことに触れています。

 「中」 (第2回)
 <110年一軒で守りつぐ>
 <山津波被害後に託され>
 との見出しで、度重なる災害と闘いながらも、家族で温泉と宿を守り続ける佐藤家 (湯守) のこれまでを追いながら、毎分300リットルという豊富な量を誇る湯の魅力についても記しています。


 そして、今日の最終回 「下」 (第3回)
 <秘湯で心や体癒やす>
 <手つかずの自然 脅威に>

 またしても襲いかかる自然の猛威!
 昨年10月に群馬県を襲った台風10号により、県道が崩落し、通行止めになってしまった金湯館。
 それでも湯治客らは、長野県側のルートから山道を3時間も歩いて、やって来てくれたといいます。

 4ヶ月後の2月、県道が復旧したのも束の間、3月に入ると今度は新型コロナウイルスの感染拡大で、ふたたび秘湯の宿は苦境に立たされました。
 そこで、僕の登場となります。

 冒頭に続き、こうコメントしました。
 <コロナ禍だからこそ小暮さんは源泉を守る温泉宿にエールを送る。「大きな宴会などはできずとも、行ったことがない近場の小さな温泉地の魅力を再確認するような機会になれば」>


 筆者の尾崎記者、丁寧な取材と記事を、ありがとうございました。
 今後、ますますの活躍を楽しみにしています。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:54Comments(0)温泉雑話

2020年09月12日

今日の毎日新聞 『くつろぎの宿』


 <群馬県の温泉に詳しい前橋市のフリーライター、小暮淳さんに聞くと、金湯館のような 「源泉一軒宿」 が県内に40軒近くあり、残念ながら年々減りつつあるという。「霧積温泉は群馬で一番の秘湯でしょう」>
 (2020年9月12日付、毎日新聞首都圏版より)


 人の縁とは、不思議です。
 長い人生において、一度会ったきり二度と会わない人というが、ほとんどです。
 それが仕事での出会いとなれば、なおさらで、担当が変わったり、勤務地が異動になったりすれば、そのまま音信不通になってしまうのが、人の常です。

 でも、この記者は、違いました。


 今から5年前、僕はNPO法人 「湯治乃邑(くに)」 を設立しました。
 その時、真っ先に、オンボロ事務所(雨漏りがする借家) に駆けつけてくれたのが、当時、毎日新聞の前橋支局に在籍していた尾崎修二記者でした。

 <湯治場として復活計画>
 <前橋のライター小暮さんらNPO設立>
 (2015年10月18日付、毎日新聞群馬版より)

 そんな見出しが躍る記事を、地元版に書いてくださいました。


 その翌年のこと。
 「小暮さんの活動を、もっと全国の人に知ってもらいましょう」
 と連絡があり、再度、取材を受けました。

 <発信 地方から>
 <守りたい 「源泉一軒宿」>
 (2016年3月22日付、毎日新聞全国版より)

 という記事が載りました。
 今度は、全国版です!
 反響は、前回の比ではありませんでした。
 日本中の読者から、このブログにコメントが入り、アクセス数も1日で3,000を超えました。


 「なんで、そこまでしてくれるの?」 
 なにげに訊いたことがありました。
 すると彼は、たった一言、
 「温泉が好きなんですよ」
 そう言った記憶があります。

 そして、コロナ禍の今年……
 またしても連絡がありました。
 すでに彼は異動をしていて、現在は東京本社の勤務です。
 それでも、群馬の温泉の記事を書きたいと言います。


 そして先週から毎日新聞の首都圏版にて、『くつろぎの宿』 霧積温泉 金湯館の連載 (全3回) が始まりました。
 今日の掲載が、第2回目です。

 <110年一軒で守りつぐ>
 <山津波被災後に託され>

 と題して、幾多の災害を乗り越え、家族だけで守り続ける一軒宿の “いま” をレポートしています。
 でも彼の記事は、資料に基づく、報告だけではありません。
 実際に、自分の足で歩き訪ね、温泉に入り、宿に泊まり、湯の浴感に至るまで、ドキュメント・スタイルで詳細に記しています。
 その文章を読めば、いかに彼が温泉を愛しているかが分かります。

 そして記事には、冒頭の一文が登場します。


 来週 (次回) の最終回を楽しみにしています。
 そして、尾崎記者のますますの活躍を期待しております。
   


Posted by 小暮 淳 at 11:53Comments(0)温泉雑話

2020年09月07日

連載開始! 『湯けむりの先に』


 今日から上毛新聞の紙面にて、『湯けむりの先に』 と題した特集記事の連載が始まりました。

 僕が新聞社から長時間にわたる取材を受けたという話を覚えていますか?
 ※(当ブログの2020年8月27日 「消えゆく一軒宿」 参照)
 その時の話を基に、若手記者たちが県内を東奔西走して、足で集めて来た珠玉の特集記事です。

 第1回目の今日のテーマは、「需要消失」。
 コロナ禍の不況にあえぐ、温泉地の現状を丁寧にルポしています。


 記事は、インバウンド(訪日外国人客) の減少や群馬県の 「泊まって!応援キャンペーン」 愛郷ぐんまプロジェクト、政府の観光支持事業 「Go Toトラベル」 キャンペーンなどに触れながら、今後の温泉地の在り方を問います。
 この中で、僕が個人的に興味を持った事柄があったので、紹介したいと思います。

 それは、四大温泉地 (伊香保、草津、四万、みなかみ) の宿泊者数の増減です。
 4、5月の宿泊者は、どの温泉地も対前年比8~9割減という落ち込みようです。
 6月からは、県民が泊まると1人1泊5,000円を割り引くというキャンペーンが始まり、どの温泉地も5割まで増加します。
 そして、7月……
 みなかみ64.9%、草津79.2%、伊香保98.3%と順調に回復する中、四万だけは100.5%という昨年を上回る集客がありました。

 これは、どういうことでしょうか?
 県は <県民に群馬の観光を守ってもらった>、四万温泉協会は <地元の魅力を再発見してもらう機会になった> とコメントしています。

 ゆえに、県民が “群馬の温泉” を守ったということです。
 やはり県民には、群馬が “温泉県” である自負と誇りがあったのですね。
 うれしい限りです。


 では、なぜ四万温泉だけが、前年比超えを果たしたのでしょうか?

 これは僕の推測ですが、まだまだ県民の中には、四万へ行ったことがなかった人が、たくさんいたのではないでしょうか。
 上毛かるたに 『世のちり洗う 四万温泉』 と謳われているため、子どもの頃から名前は知っている温泉。
 なのに 「でも、思えば、一度も行ったことがなかったなぁ~」 という県民が多かったのではないでしょうか。
 「だったらキャンペーン中の、この機会に行ってみよう」 ということに、なったわけです。

 実際、協会の職員によれば、「期間中は県内ナンバーの客ばかりだった」 といいます。


 県をまたぐ遠出が、はばかれる時世。
 県民が改めて群馬の魅力を再確認する良い機会になったようです。

 ※(この連載は原則、隔週月・火曜日付。全4回の連載で、次回は明日掲載予定です)
   


Posted by 小暮 淳 at 12:09Comments(3)温泉雑話

2020年08月27日

消えゆく一軒宿


 「先日は、お時間を作っていただき、ありがとうございました。確認したいことがありまして、お電話しました」
 と、某新聞社の記者から丁寧な電話がありました。
 今月のはじめ、「温泉の特集記事を組みたいので、話を聞かせてほしい」 との連絡があり、新聞社を訪ねたことがありました。
 その時、3時間におよぶ取材の中で、現在の温泉地の現状について、たっぷり話をしてきました。

 どうして、そんなにも長時間の取材を受けたのか?
 それは、記者に情熱を感じたからに、ほかなりません。
 若い男性記者は、「それは、どういうことですか?」 「教えてください」 と、とにかく真剣なんです。
 そして、自分が納得するまで、質問をしてきます。

 いいですね!
 この取材姿勢、共感を覚えます。

 ネット社会の昨今、情報は必要過多に氾濫しています。
 にもかかわらず、手を抜かず、“生の声” を聞こうとする姿勢に、僕自身が引き込まれました。


 「あれから、小暮さんに教えていただいた温泉宿を回りました。どこの宿のご主人も、親切に応対してくださいました。ありがとうございました」
 と、気持ちの良い青年であります。

 「で、あの時、お話していただいた、消えた10軒の宿について、もう一度、確認したいのですが、よろしいでしょうか?」

 “消えた10軒” とは、2009年に出版した拙著 『ぐんまの源泉一軒宿』(上毛新聞社) に掲載されている50軒の一軒宿のうち、現在も営業している宿は40軒で、この11年間に10軒もの宿が廃業してしまったという事実です。

 源泉を保有する一軒宿の廃業は、すなわち、イコール、“温泉地の消滅” を意味します。


 僕は、ことあるごとに、「群馬県内には約100の温泉地 (宿泊施設のある温泉) があります」 と言い続けています。
 でも、それは、あくまでも “約” であり、現実には、年々、その数字は減少しているのです。
 正確な数字は把握していませんが、もしかすると90を割っているかもしれませんね。

 なにも、この “一軒宿の減少” は、群馬に限ったことではありません。
 全国で同時進行している危機的な現象です。

 そして今年、コロナが温泉地を直撃しています。
 大きな観光を抱える温泉地は、国や県のキャンペーンにより、それなりの集客が望めるかもしれませんが、一軒宿の温泉地は、協会や組合に属さない “一匹狼” の家族経営の宿がほとんどです。

 このコロナ飢饉に耐えられるか、心配です。


 そんな危惧する現状を、若き記者は探ろうとしています。
 僕は、心より応援しています。

 ※掲載日が分かりましたら詳細を、ご報告いたします。
    


Posted by 小暮 淳 at 12:46Comments(0)温泉雑話

2020年08月16日

戦争を知っている温泉たち (下)


 戦時下の温泉地とは、どのような状況だったのでしょうか?

 昭和52(1977)年に四万温泉協会(中之条町) が発行した 『四万温泉史』 の中に 「戦時下の四万」 という項目がありますので、引用し、紹介します。

 <昭和十七(1942)年八月四日、東条首相が沢田村(現・中之条町) 奥反下(おくたんげ) の炭焼く部落を訪問した。上沢渡製炭現場まで、車をおりて約二キロの山路をのぼり組合の長老飯塚金十郎さんを先頭に十八人を激励した。その夜は四万温泉積善館の山荘にとまった。>
 とあります。
 その時の様子は、関怒涛著 『風雪三十年』(西毛新聞) の中にも、こう記されています。

 <(前略) 知事はかけつける。それ出迎え、歓迎準備など大騒ぎである中に自動車でのりつける。(中略) 首相は軍服、随行の人たちと、前橋から駈けつけた報道陣の人たちも上衣を脱ぐわけにはいかない。ぐっしょり汗にまみれてる。>
 とユーモラスに伝えています。
 この時、首相は、このように激励の訓示を述べています。

 「わが国は今、のるかそるかの大戦争を戦っている。このとき人里離れた山奥で、人知れず苦労をつづけ、不平もぜいたくも言わず努力していることに対し、まことに感謝のほかない。諸君の奮斗に対し、政府も国民も感謝している。(後略)」


 では、なぜ東条首相は、群馬の山奥まで、来られたのでしょうか?
 その理由については、同じ中之条町の沢渡温泉組合が平成20(2008)年に発行した 『沢渡温泉史』 に詳しく書かれています。

 ●戦時下の沢渡 「東条英機首相の来村」 より
 <開戦の当初十二月八日、ハワイ真珠湾でアメリカ太平洋艦隊を奇襲して勝利をおさめてその後、マレー沖海戦でもアメリカ海軍に打撃を与えた。日本は南太平洋に戦場を拡大して行った。日本の生産力は、年次を重ねる毎に低下し、軍需品の生産に重点を置いた政府は、戦いを進めながら増産に力を入れている。>
 <戦いのため、軍需産業の原料である金属類が不足してきたため、国民に対して金属類の供出を求め、寺の釣鐘までその対象となった。吾妻郡六合(くに)村(現・中之条町) の群馬鉄山の鉄鉱石を川崎重工まで運搬することになった。そのため早急に鉄道が敷設されたのが吾妻線である。製鉄のために木炭が必要であり、昭和十七年八月東条英機首相が、反下の製炭現場を増産激励に来村している。>

 このとき、県道では沢田小学校の生徒たちが校門前に整列して迎えたといいます。
 そして首相は現地で激励の後、天皇陛下万歳を村人たちと共に三唱しました。


 その後、戦争の激化とともに、食糧不足と戦災による被害から子供たちを守るため、都市の児童を地方に疎開される動きが活発化します。
 両温泉史によれば、四万温泉は滝野川区(旧東京府東京市35区の1つ、現在の北区南部) の滝野川第五小学校、沢渡温泉は田端新町国民学校(現・東京都北区) の児童を疎開先として受け入れました。


 終戦から75年の夏、少しだけ温泉地の戦時下のようすを紐解いてみました。
 みなさんは、どう感じられたでしょうか?
  


Posted by 小暮 淳 at 11:33Comments(0)温泉雑話