2014年12月31日
2014 随想
心おだやかに、2014年の大晦日を迎えております。
みなさんは、どんな1年でしたか?
僕にとっての2014年は、まさに波瀾万丈!
まるでジェットコースターに乗っているような1年でした。
いい思いをしたと思ったら、急にどドン底に突き落とされるような、スリリングさ。
大まかに分ければ、「公」 の部分で良い目を見て、「私」 の部分で耐え忍んだ1年でした。
ま、それでも総括すれば、80点は付けられる “いい年” だったのでしないでしょうかね。
つれづれなるままに、ちょっと1年間を振り返ってみようと思います。
まず、<温泉>
1月9日の伊香保温泉から始まり、12月23日の尾瀬戸倉温泉まで、延べ97ヶ所の温泉地および温泉宿を訪ねました。
2012年の116ヶ所が過去最高ですが、今年は例年並みというところでしょうか。
次は、<出版>
今年も4月に、シリーズ6冊目となる 『新ぐんまの源泉一軒宿』(上毛新聞社) を世に出すことができました。
また11月には、かつてから追い続けていた下仁田ネギをテーマにした 『下仁田ねぎの本』(上毛新聞社) の取材・執筆・編集に係われたことは、ライター冥利に尽きる出来事でした。
<講演>もしました。
1月、伊香保温泉 「ホテル天坊」 で開催された教育関係者による研修会に講師として呼ばれたのを皮切りに、その他、自治体や観光協会など計7回の講演会を開いていただきました。
関係者のみなさん、この場をお借りして、お礼を申し上げます。
大変お世話になりました。ありがとうございました。
<メディア>の出演もありました。
レギュラー出演をしている 「ニュースジャス6」 以外にも、群馬テレビでは10月 「ぐんま一番」 に出演。お笑い芸人のエレファントジョンの2人と、法師温泉を旅しました。
また同月は、フジテレビの 「ノンストップ!」 にも出演しました。
そして今月、テレビ東京の旅ロケに同行!
新春スペシャル番組の撮影をしてきました。
※(番組名、放送日は、後日お知らせいたします)
そして今年の最大の私的ニュースといえば、<NPO>の設立です。
HPO法人 「湯治乃邑(くに)」 の代表理事に就任。
今後、消えゆく温泉宿の復活と、湯治場の再生を目指します。
以上、ざっと随想した僕の1年でした。
さて、今年も余すところ7時間です。
泣いても笑っても、新しい年が来ます。
みなさん、良いお年をお迎えください。
来年も引き続き、当ブログをよろしくお願いいたします。
2014年 大晦日 小暮 淳
2014年12月30日
納詣のすすめ④ 神様への報告
今年も今日、無事に納詣(のうもうで) を済ませてきました。
納詣とは、聞きなれない言葉ですが、これは僕の造語です。
かれこれ20年近く、毎年行っています。
新年に神社仏閣に参拝するのが、初詣です。
逆に、年末に参拝するのが納詣です。
ゆえに、神様に “お願い” するのではなく、1年の成果を “報告” する私的行事なのであります。
※(詳しくは、当ブログの2010年12月27日 「納詣のすすめ」 を参照)
明後日には初詣客でにぎわう神社も、2日前の今日は閑散としていました。
忙しそうに動き回っているのは、新年を迎える準備をする社務所の人たちくらいなもの。
それでも、1組、2組、僕と同じ考えの持ち主なのでしょうか、参拝している人影がありました。
二礼二拍手一礼!
<神様、どうも1年間、お守りいただきありがとうございました。おかげさまで今年の始めに願をかけました事が、いくつか叶いましたのでご報告にまいりました。>
まあ、そんな感じで、神様への報告は始まります。
叶ったこと、叶わなかったこと、新たな湧いた挑戦や思わずやって来たサプライズ事項など、事細かに伝えます。
たとえば、NPO法人の設立。
これは、今年のスタート時点では、影も形もありませんでした。
すべては5月の講演から始まったことです。
フジテレビやテレビ東京、小学館などの出演や寄稿などは、サプライズ事項として報告させていただきました。
でも、なかには、まだ叶っていない夢や目標もあるんです。
これらについても、反省を込めて、努力が足りない自分を、包み隠さず報告してまいりました。
さて、今年も余すところ、あと1日です。
みなさんは、どんな1年間でしたか?
ぜひ、納詣に出かけて報告してみてください。
2014年12月29日
不審人物の正体
前橋市三俣町の住宅で、高齢者の夫婦が刃物で殺傷された事件。
よかったですね。容疑者が逮捕されました。
なんでも別件で逮捕した男が、容疑を認めたとのことでした。
11月には、約700メートルしか離れていない同市日吉町の住宅でも一人暮らしの高齢者が殺害されています。
この事件についても関与を認めているようです。
近隣住民の人たちは、これでやっと枕を高くして眠れることでしょうね。
「よかった、よかった」 と、僕も新聞記事を読んで、ホッと胸をなで下ろしたのでありました。
で、犯人はどんなヤツかというと・・・
<同市本町、無職、○○容疑者(26)>
えっ、えええええーーーー!
「本町だー!」
新聞記事には、2つの事件現場と容疑者宅の位置関係を示した地図が掲載されています。
「うわっ、ここだよ、ここだ!」
と、思わず声を上げてしまいました。
そう、このブログの読者は記憶に新しいと思うのですが、僕がクリスマスイブの夜に、不審な人物と遭遇した場所です。
まさに、容疑者宅の近くでした。
※(詳しくは、当ブログの2014年12月25日 「深夜の不審人物」 を参照)
今思えば、あの女性は容疑者の家を探していたのですね。
だってあの時、確か彼女は、
「上から指令が来て(立ち入り禁止のテープが張られた家を)、探しているんです」
と言ってましたもの。
そして翌日、マスコミは一斉に、容疑者逮捕を報道しました。
不審人物の正体は、報道関係の人間だったということですね。
2014年12月27日
赤兎馬の酔夢③ すべてはここから
高崎駅、西口。
駅前通りに面した雑居ビルの2階。
居酒屋 『楽縁(たのえん)』。
幻の芋焼酎 「赤兎馬(せきとば)」 が飲める店です。
※(赤兎馬については、当ブログの2014年7月14日 「赤兎馬の酔夢」 を参照)
すべては、ここから始まりました。
「カンパ~イ!」
「本当に、ここまで来ましたね」
「わずか半年前ですよ。こうやって4人が初めて顔を合わせたのは!」
「縁とは、そんなものなんでしょうね」
まさに、出会いと情熱が生んだ今年の総決算であります。
半年前、ここで4人は会いました。
きっかけは、今年の5月に前橋市のホテルで開催された僕の講演会でした。
そのときの講演内容に賛同した1人が声をかけて、4人が集まりました。
そして、ここで酔いながら生まれたのが、NPO法人 「湯治乃邑(くに)」 設立話でした。
※(誕生までの詳細は、当ブログ2014年12月11日 「湯治乃邑・群馬」 を参照)
「すべては、ここから始まったんですよ」
「ね、マスター?」
「ええ、そうでしたね」
と、微笑みながら料理の腕をふるうマスターは、僕らの良き理解者でもあります。
今日のメニューは、いつもの 「塩もつ煮」 のスペシャルバージョンで、「牛塩もつ鍋」 です。
やはり、ここに来たら 「塩もつ」 と 「赤兎馬」 であります。
ツーンと鼻に抜ける芳醇な香りと、飲み干したあとに口の中に残るほのかな甘み!
たまりませーん!
1杯が2杯、2杯が3杯・・・と杯を重ねるごとに、旨みが増していきます。
当然、酔いも増します。
「いくつになっても青春ってあるんですね」
「夢は追いかけるものだね」
「これからが大変だけどね」
「でも、やりがいがありますよ」
「来年もよろしくお願いしまーす!」
「もう一度、カンパ~イ!」
すべては、ここから始まりました。
赤兎馬の酔夢とともに・・・
2014年12月26日
あやしい表示② 同名タイトルなのに・・・
“群馬の源泉一軒宿”
突然、飛び込んできたタイトルに、一瞬、我が目を疑いました。
僕の著書と、同名のタイトルです。
しかも微妙に、平仮名が漢字に置き換えてある。
某情報誌のダイジェスト版として、無料配布されているフリーペーパーです。
それにしても、大胆不敵であります。
著者としては、目を通さないわけにはいきません。
「どれどれ……」
っとページをめくって、さらにビックリ!
特集扉には、タイトルの下に
<源泉自慢の一軒宿を大特集>
と書かれています。
なのに!
谷川温泉も赤城温泉も上牧温泉も湯宿温泉も掲載されているのです。
もしもし! 編集者のみなさん、「一軒宿」 の意味が分かっているのですか?
「一軒宿」 とは、1軒しか宿のない温泉地のことですぞ!
ところが、あやしい表示は、それだけではありません。
中には、“源泉を保有していない宿” まで掲載されています。
編集者のみなさーん、「源泉一軒宿」 の意味を誤解していませんかーー!
いわゆる 「スポイト温泉」 と呼ばれる、源泉から引き湯をせずに、ポリタンクにより温泉を運んで注ぎいれている宿まで掲載されているではありませんか!
※(温泉法上は “温泉” ですが、僕は “温泉” とは認めないため、自分の著書では掲載しません)
以上のこだわりを持って、取材・執筆した本が 『ぐんまの源泉一軒宿』 であり、源泉を守る “湯守” のいる宿のみを掲載しています。
同名タイトルを付けるからには、それなりの取材力をもって掲載してほしいものであります。
著者からのお願いです。
2014年12月25日
深夜の不審人物
「先生、今度、飲みに行きませんか?」
先日の温泉講座日に、受講生のTさんから誘われました。
Tさんは、今年の4月から受講を始めた新入生です。
歳は僕のほうが少し上ですが、同世代です。
話を聞けば、前々から僕の本やコラムの読者で、温泉講座のことは、このブログで知ったとのこと。
温泉が大好きで、誰よりも熱心で、毎回、僕の隣で温泉の話をしている優等生であります。
「メリークリスマス!」
いつもの酒処 『H』 で、ママとTさんと、ワインで乾杯!
「クリスマスイブに来るっていうから、てっきり女性と同伴だと思ったわよ」
とママ。
「女性は、もう飽きたの。今日は “彼氏” と、ゆっくりイブの夜を過ごすんだから、ほっといてよ」
と、カマっぽく答える僕。
夜が更けるのも忘れて、Tさんと温泉三昧の熱~い話に酔いしれました。
午前0時、師走の繁華街。
Tさんと店の前で別れ、ほろ酔い気分で歩く僕。
いつもは閑散としている前橋の街も、クリスマスイブの夜だけは、人が出ていました。
街灯のない、暗い裏道へ入り込んだ時です。
前方から大きな箱を抱えた影が近付いてきました。
とっさに身構える僕。
すると・・・
「暗闇の中、すみません」
「(ドキッ!)」
「野菜を買ってくれませんか?」
「えっ?」
背の高い若い男性が、箱の中を僕に見せました。
暗くて、何が入っているかよく分かりません。
「野菜?」
「はい、売れ残っちゃったんで、買ってくれませんか?」
あまりにも不気味だったので、丁重にお断りして、家路を急ぎました。
国道を渡り、閑静な住宅街に差しかかった時です。
前方から街灯に照らされる、人影・・・
小柄で、フードの付いたコートを着ています。
胸には、スマートフォンらしい明かりが揺れています。
僕が避けようと道の右側に寄ると、その人も右に寄ります。
左に寄れば、左に寄ります。
<ヤバイ! 刃物を持っているかもしれない>
またもや身構え、両手のコブシを握り締めました。
と、その時です。
「あの~」
か細い女性の声がしました。
「えっ、はい・・・」
「あの~、このへんに、警察の立ち入り禁止のテープが張られた家はありませんか?」
「えーーー、??????」
<何を言ってるんだ、この女は?>
「テープって、殺人事件があった時に張られるテープですか?」
「はい、火事現場でもいいんですけど」
もう、何がなんだか分かりません。
「探して、どーするの?」
と、今度は僕が問い詰めました。
すると・・・
「知らないなら、いいんです」
そう言って、僕の前から立ち去ってしまいました。
午前0時、クリスマスイブの夜。
いったい、この街で、何が起きているのでしょうか?
2014年12月23日
尾瀬戸倉温泉 「尾瀬の宿 いさ」
“湯納め” をしてまいりました。
今年訪ねた温泉は、97ヶ所(延べ軒数)。
僕はプロフィール等で、「年間約100ヶ所の温泉地を訪ね」 と公表していますので、ほぼ例年の平均回数となりました。
そして、今年最後の温泉宿となったのは、尾瀬戸倉温泉の 「尾瀬の宿 いさ」 であります。
一昨日、万座温泉から帰ったのも束の間、昨日の午後には片品村へ!
片品温泉~尾瀬戸倉温泉と取材して回りました。
そして夕方、「尾瀬の宿 いさ」 に到着。
ご主人の萩原勲さんのご厚意により、泊めていただきました。
「尾瀬の宿 いさ」 は温泉街の中心地、尾瀬に向かう国道401号から急な坂を、ひと上りしたてっぺんに、山小屋風の宿が建っています。
それもそのはず、祖父の代から尾瀬の山小屋経営をしてきた一族であります。
外はシンシンと雪が降り続いています。
思えば、先週の草津温泉から、ずーっと雪の中にいるのです。
ここ片品村も、県内屈指の豪雪地帯。
「雪見風呂と、シャレ込みますか!」
部屋で旅装を解くと、早々に冷えた体を温めに浴室へ。
う~ん、ほのかに香る温泉臭。
pH9・6を誇る強アルカリ性の硫黄温泉であります。
そのトロトロ、ツルツルとした肌触りは、かなり強烈!。
県内でも強アルカリ性の温泉として知られる藤岡温泉(pH9・8) に、優るとも劣らないトロトロ加減であります。
分かりやすく表現するならば、自分の腕をさすると、まるでウナギをつかもうとしているようなヌルヌル感!
ちょっと表現が悪いって?
だったらオリーブオイルの中に浸かっているような感覚って言えば良いですかね。
まさに、この浴感は “オイル浴” であります。
湯上がりは食事をしながら、ご主人とビールで乾杯!
「これは、特別です。いつも出せる料理ではありません。たまたま仕留めたものですから」
と、出されたのは鹿肉でした。
それもローストされた背ロースのたたき。
ルイベの刺身なら過去に何回か食したことがありますが、たたきは初めてです。
「これは、うまい! ビールに合いますね。こんなにクセのない鹿肉は初めてです」
と、感動。
猟の話、登山ガイドの話など、尾瀬と周辺の山を知り尽くした主人の話を肴に、酔いしれたのでありました。
今年も、たくさんの湯と出合い、たくさんの人と出会いました。
そして、新聞や雑誌、本に書ききれないくらいの貴重な話をたくさん聞くことができました。
「ああ、温泉ライターをやっていて良かった!」
そう何度も実感した一年でした。
ご主人、女将さん、従業員のみなさん、大変お世話になりました。
この御恩は、文章にしてお返しいたします。
本当にありがとうございました。
そして、自然の恵みである “温泉” に感謝!
2014年12月21日
草津~万座 雪の名湯めぐり
なが~い、3日間でした。
雪雪、また雪の3日間でした。
一昨日、僕は、草津温泉へ向かいました。
以前、このブログでも紹介した 『下仁田ねぎの本』(上毛新聞社) の出版祝賀会に参加するためです。
会場は、「草津ナウリゾートホテル」。
カメラマンやデザイナー、ライターなど、制作に係わったメンバーと、出版元の担当者が集まり、盛大に行われました。
当然、この時季の草津温泉は、白銀の世界。
それでもスキーヤーや観光客で、ホテルも町の中も人であふれていました。
さすが、人気ナンバーワンの温泉地であります。
もちろん、存分に名湯を堪能してきました。
一夜明けて、一同全員が二日酔いであります。
それでも、みなさん、三々五々と山を下りて行きました。
でも、僕はのんべんだら~りと、昼近くまでホテルに居座っていたのであります。
だって、僕だけ帰れない事情があったのです。
一行を見送った僕は、午後、一人で電車とバスを乗り継いで、万座温泉へと向かいました。
なぜ、どうして、僕だけ万座温泉へ行ったのか?
実は、某テレビ番組の正月用特番の撮影があり、温泉ライターとしてロケに同行するためであります。
昨日は早々と、「万座プリンスホテル」 にチェックイン。
硫黄濃度日本一を誇る乳白色の名湯に入り、ビールを飲んで、昼寝をしながら、撮影スタッフの到着を待ちました。
今回のロケでは、旅人である女優のRさんとタレントのKさんを、僕が案内するという設定です。
今朝一番、入浴シーンの撮影からスタートしました。
いやいやいや~、とにかくお2人とも、お美しいのであります。
Rさんは、元宝塚出身ですから、背が高くて抜群のスタイル!
Kさんは、昔、僕も夢中になったグラビアアイドルですから、それはそれは超セクシーであります。
その後、ロケバスに乗って、雪深い万座温泉をめぐり、要所要所で撮影をしてまいりました。
3日間、ずーーっと雪景色ばかり見ていたものだから、今でも目がショボショボしています。
目だけではありません。
肩も腰も、悲鳴を上げています。
50代も後半になると、疲れがたまる一方で、なかなか取れません。
今夜は、明日からの温泉取材のために、これで休みたいと思います。
おやすみさ~い! zzzzz
※現時点では、まだ番組名を公表することができません。
放送日が近くなりましたら、改めてご紹介いたします。
2014年12月18日
アベベノベ
子どもの頃、お菓子や物を選ぶ時、迷うと必ず、こんな呪文のような言葉を言いました。
♪どれにしようかな 神様のいうとおり♪
そして、その後に付けた言葉が、
♪アベベノベ♪
いま考えると、とても不思議な言葉です。
でも、この呪文、調べてみると全国的に子どもたちは使っていたようです。
ただ違うのが、最後に付けた言葉!
地域によって、異なるらしいんですよ。
では、なんで僕の育った地域では 「アベベノベ」 だったんでしょうか?
思うに、僕が小学生になった頃に、東京オリンピックが開催されているんですよね。
そして、子どもたちのヒーローになったのが、裸足で走ったマラソンのアベベ・ビキラ選手(エチオピア) でした。
だって、みんな体育の時間に、アベベの真似をして、わざと裸足で走って 「アベベだー!」 ってふざけていましたもの。
そういえば、阿部君っていう子のアダナも 「アベベ」 でした。
で、当時の子どもたちは、この 「アベベ」 という言葉の響きを面白がっていたきらいがあります。
だから、「アベベ」=「神様」 の畏敬の念も込めて、おまじないの言葉として 「アベベノベ」 と付けたんじゃないでしょうかね。
あくまでも、僕の推測ですけど。
そういえば、「ジャンケンポン」 の後にも、こんな言葉をくっつけて楽しんでいましたよ。
♪ジャンケンぽっくり下駄 しおりげたばこを一本吸いました♪
なーんてね。
さらな女の子たちは、その後に、
♪一本吸いましタコタコ上がれんげの花が咲きました♪
と続けていましたっけね。
大人になると、どうして言葉遊びをしなくなってしまうのでしょうか?
つまらないですね。
2014年12月17日
神様は見ている
「神様は見ているよ」
これはオフクロの口ぐせです。
信心深いオフクロは、昔からいい事があっても、悪い事があっても必ず、そう言います。
オフクロ自身、何度も大病をして入院した経験があります。
そのたびに、「ほら、また神様が助けてくださった。神様は、ちゃーんと見ているんだから」 と言います。
先日、出張取材から戻ったその足で、実家に顔を出したときのことです。
「お前は、いつもいつも忙しいね。休めないのかい?」
「仕事がない時が、休みだよ」
「だったら忙しいのは、いいことじゃないか」
「いいもんか、どれもこれも金にはならねーもん!」
僕が、ちょっとふてくされ気味に言った時です。
「なに言ってるんだい、神様は、ちゃーんと見ているんだから」
と、いつもの口ぐせが飛び出しました。
「見てる、見てるって、いったい、いつになったらオレは報われるんだよ! 本当に、神様は見てるんかね? あやしいものだな!」
「見てるんだよ。だからお前は今、こうして幸せに暮らしているじゃないか!」
「金だよ、金! 神様は金は与えてくれないの?」
と、正直な気持ちを返す僕。
すると、
「バカだね、お前は。神社へ行って 『お金がほしい』 ってお願いしたって、神様は聞いてくれるわけないだろ!」
と、ピシャリ!
そして、
「お前んちは、家族全員が健康に暮らしているんじゃないのかい?」
「ああ、まーね」
「それは、すべて神様のおかげなんだよ」
んーーーー、また、その落ちか!
子供の頃から、耳にタコができるほど聞かされた落ちだ。
でもね、この歳になると、だんだんオフクロの言った意味が分かるようになるんです。
確かに、言われて見れば、神様に助けてもらったとしか言いようのない出来事が、僕の人生にはいくつも起きています。
たとえば・・・
僕は小さい頃、乗っていた乗用車が山で一回転する大事故に遭いましたが、無傷でした。
息子も高校生の時に、自転車に乗っていて乗用車にはねられましたが、なんとか五体満足のまま死の淵から生還しました。
また家内も手術をして入院しましたが、その後は再発もせず、元気に暮らしています。
「ほーら、神様は、ちゃーんと見ているじゃないか!」
またしても、オフクロに救われました。
かーちゃん、また疲れたらグチを言いに行くからね。
神様の話をしておくれよ。
2014年12月16日
滝沢温泉 「滝沢館」③
今日は、今年最後の温泉講座日でした。
この講座は、NHK文化センター前橋教室の 「野外講座」 として、2009年4月に開講しました。
今年で、6年目を迎えています。
毎月第4火曜日に、県内外の名湯や秘湯を受講生らとともにバスで巡っています。
12月だけは年末の忙しい時期と重なるため、毎年第3週に開講しています。
ということで、今年最後の講座は、前橋市街地から最も近い秘湯!滝沢温泉(旧・粕川村/現・前橋市) の一軒宿 「滝沢館」 へ行って来ました(日本秘湯を守る会 会員宿)。
今回は、出発地点の高崎、前橋から近いこともあり、いくつか寄り道をしました。
午前中に渋川市の白井温泉 「こもちの湯」 に入り、赤城南麓の道の駅 「ぐりーんふらわー牧場 大胡」 で買い物をして、帰りは桐生市まで足を延ばして 「相沢忠洋記念館」 を見学して帰ってきました。
滝沢温泉では、ご主人、女将さん、娘さん、息子さん、一家総出でお出迎え!
フロントでは、僕の新刊が販売されていて、ポスターまで貼られている歓迎ぶりでした。
滝沢館といえば、つい先日も、テレビの旅番組に出ていましたね。
タレントが男女2組に分かれて、伊香保温泉をスタートして、3日間でどちらが多くの温泉を回れるか?という番組でした。
女将さんによれば、「テレビは反響がありますね。すぐに電話が鳴りました」 とのこと。
その後も、他のテレビ局から取材を受けたりと、全国的にとても人気の秘湯であります。
そして、もう1つ!
滝沢館といえば、僕の最新刊 『新ぐんまの源泉一軒宿』 のグラビアに使用されている宿だということ。
エメラルドグリーンの神秘的な湯をたたえている露天風呂が、滝沢館であります。
さらに! とっておきの裏情報を、もう1つ!
同著書の最終ページに掲載されている僕のプロフィール写真を撮った場所が、滝沢館であります。
囲炉裏の前で、浴衣に丹前を着て、徳利とお猪口を持って酒を飲んでいる写真です。
ぜひ、チェックしてしてみてください。
今日の露天風呂の湯も、黄緑色に輝いていました。
「先生、今回もいい湯ですね」
「ぜひ、加温していない源泉風呂も入ってみてください。全身に炭酸の泡が付きますよ」
「ひぇーーー、冷たい!」
と、受講生が叫ぶのも無理がありません。
源泉の温度は、約24度ですからね。
この源泉は、口に含むと、シュワシュワとサイダーのように炭酸の泡が弾けます
夕方、降り出した雪をバスの中から眺めつつ、今年最後の講義をしなから帰途に着きました。
受講生のみなさん、今年一年、大変お世話になりました。
良いお年をお迎えください。
来年もよろしくお願いいたします。
2014年12月15日
未来をヨロシク!③
3日ぶりに家に帰ったら、玄関前に見慣れない大きな4WD車が停まっていました。
「ん?・・・ ああ、そうか・・・」
息子の車です。
僕が出張中に、納車されたようです。
それにしても、デカイ!
隣に停めた僕の中古軽自動車の4~5倍はありそうです。
いえいえ、大きさは、その程度ですが、値段は10倍近く違います。
息子は22歳。大学4年生です。
すでに来春就職予定の会社からは内定をもらっていて、現在はバイトに明け暮れる毎日。
では、どうしてそんな大きな車を買ったのかといえば、就職が決まった会社というのがカーディーラーだったのであります。
それで、出勤用に買わされたようであります。
ま、僕としては、彼が選んだ人生ですから、何も言いませんでした。
と、いうか、こんな父親を見て育ったので、彼にとって僕のような生き方は反面教師になってしまったようです。
“ボロは着てても心は錦”
なんて、時代遅れなのかもしれませんね。
ただ、新車購入に際しては、当然、保証人が必要であります。
「これと、これと、この書類にサインと実印もらえるかな?」
「ああ、そこへ置いておけ。あとで書いておくから」
1ヶ月ほど前、そんな父と子の会話がありました。
それくらいのこと、実の親子ですから、やぶさかではありません。
ただね、購入金額を見て、ビックリしてしまったわけです。
「おい、大丈夫か?」
それが本音であります。
でも自分の給料で返済するのだから、僕としては文句はありません。
ところが、困ったことが1つだけありました。
保証人となる僕の年収を記入する欄があったのです。
息子に初めて明かす、父の年収・・・
こんな破天荒な人生を繰り返している僕ですから、当然、人並みの年収はありません。
息子が見たら何て、思うだろうか…
えい! そんなところでプライドを出しても仕方ないだろうと、正直な数字を書き込みました。
息子よ、驚いただろうが、それでも、こうしてお前たち3人の子どもたちを立派(?) に育てたんだぞ!
(まあ、母さんの力が大きいけど)
いやいや、経済面だけでは、子どもは育たんよ。
父さんがオムツも替えたし、ミルクも飲ませたし、子守りもしたんだ。
弁当だって、作ってやったろ・・・
なーんてね、なんだか、たかが契約書1枚で、22年間の想い出が走馬灯のように駆けめぐって、目頭が熱くなってしまったのであります。
そして昨日。
戦後最低の投票率となった選挙が終わりました。
特に若者の投票率の低さは、ますます加速するばかりです。
「おい、選挙は行ったのか?」
出張から帰った僕の息子に向けられた開口一番は、新車の感想ではありませんでした。
「ああ、行ったよ」
それだけ聞けば、十分だ。
よし、自分の未来は自分で決めてくれ!
よろしく頼んだぞ。
2014年12月14日
尾瀬戸倉温泉 「旅館わかば」
僕のプロフィールには、時々、「年間約100カ所の温泉地を訪ね」 と表記されることがあります。
当然、この数字は旅館を訪ねた延べ軒数です。
近年で一番多かった年は、一昨年(2012) の116軒でした。
が、昨年は78軒とダウンしました。
で、今年はどんなペースかと申しますと、現在、90軒の温泉宿を訪ねています。
その、ちょうど90軒目だったのが、昨晩泊めていただいた尾瀬戸倉温泉の 「旅館わかば」 でした。
「いつも新聞、読んでいますよ」
雪の降りしきる坂道を上り、赤々とストーブの炎が燃えるロビーに入ると、開口一番、2代目主人の萩原壮児さんが部屋を案内しながら言いました。
「えっ、読んでくださっているんですか?」
と驚く僕に、
「うちは朝日新聞だから。あの記事は、面白いね」
だんて言われれば、いきなり僕のテンションも上がります。
外は、しんしんと雪が降り続いています。
「まずは、雪見風呂とシャレ込みますか~!」
とテンションの上がったまま、浴室へ。
ん~、ドアを開けると、ほのかに漂う温泉臭。
「ここの源泉は、確か硫黄泉だったよな~」
なんて思いながら、湯舟へ。
熱からず、ぬるからず、ちょうど良い湯加減です。
pH9・6のアルカリ度の高い湯は、案の定、肌にまとわり付くツルスベの浴感!
冷えた体を芯から温めてくれました。
湯上がりは、山の幸を肴に、まずはビールを1本。
アユの塩焼きや野菜の天ぷら、シイタケやタケノコの煮物といった素朴な味に舌鼓を打ちました。
食後は、尾瀬歴60年のベテラン登山ガイドであり、スキーのインストラクターでもある主人の含蓄のある “山話” を、たっぷりと聞かせていただきました。
年内、まだまだ温泉地をめぐりますよ。
さて今年は、目標の100カ所に達することができるでしょうか?
みなさん、今年の僕の最終数字を予想してみてくださいな!
2014年12月12日
日本一ワイルドな温泉を探せ!
今日、小学館から 『BE-PAL』 1月号が送られてきました。
そういえば先月、小学館から情報提供を求めるアンケートが送られてきました。
“アウトドア派が選んだ 「絶景の名湯」”。
そんなテーマで、「歩いてでも行きたい温泉」 「ローカル線で行く秘湯」 「ジビエ料理が食べられる猟師の宿」 など、いくつかの項目があり、僕が群馬の温泉について答えたのでした。
『BE-PAL』 といえば、老舗のアウトドア雑誌であります。
しかも、その雑誌の巻頭特集であります。
「これは、群馬の温泉をアピールする絶好のチャンス!」 とばかりに、快くお受けいたしました。
特集 「日本一ワイルドな温泉を探せ!」。
扉には、地獄谷温泉(長野県) の “入浴猿” がグラビアを飾っています。
そして、そのお猿さんたちの下に、いきなり僕の名前を発見!
「協力」 とあり、よくよく見れば・・・
あれーーーーっ!
連記されている人の名前は、郡司勇さん、遠間和広さん、野添ちかこさんといった著名な方々ばかりです。
その中にまざって、「小暮淳」 という文字が恥ずかしそうに印刷されています。
いやいや、申し訳ありません。
地方の名もない一介のライターが、そんな著名な方々と名前を連ねるなんて。
ありがたいことでありす。
担当編集者のMさん、ありがとうございました。
興味のある方は、ぜひ、書店で手にとって見てください。
2014年12月11日
湯治乃邑(クニ) ・ 群馬
今日の新聞を見て、驚かれた人もいるのではないでしょうか?
“「湯治場」 再生へタッグ”
“ライターの小暮さんら”
“NPO設立で活用法を提案”
12月11日付の上毛新聞の社会面(26面) に、大きなタイトルで記事が掲載されました。
「へー、そんなことも始めたの!」
「全然知りませんでした」
そんな声が届いています。
実は僕、記事にも書かれているように、NPO法人 『湯治乃邑(クニ)』 を設立しました。
きっかけは、今年5月に前橋市内のホテルで行われた僕の講演会でした。
聴講者の中に事業再生コンサルタントの方がいて、講演内容に感銘してくださりました。
『小暮さんによると、県内には約100カ所の温泉地があり、その半数がたった1軒で湯と温泉地名を守り継ぐ 「源泉一軒宿」 だ。経営不振などを理由にここ5年間で4軒がのれんを下ろしており、「観光地化による営利競争の中で取り残され、絶滅の危惧にある」 と指摘する。』(記事より)
その後、介護施設の経営者やNPO法人の経営者など12人が賛同。
『経営不振や後継者不足により年々姿を消している本県の温泉地を守ろうと、前橋市の温泉ライター、小暮淳さんら有志がNPO法人湯治乃邑(高崎市歌川町) の設立に向けて準備を進めている。集客に苦心する温泉宿と、これまで温泉を利用したくてもできなかった介護・障害者施設の間を取り持つことで、温泉宿の新しい活用法を提案。経営コンサルタントとも手を組み、温泉宿の事業再生を支援する。』(記事より)
という運びとなりました。
温泉宿を本来の 「湯治場」 に戻そう!
それには、まず日本を代表する “おんせん県” 湯の国群馬から!
そんな思いから設立しました。
みなさん、これからの活動を応援してくださいね。
2014年12月09日
花咲温泉 「ロッヂ 山喜荘」
“温泉宿は見かけによらぬもの”
つくづく、そう思うのであります。
2009年に出版した 『ぐんまの源泉一軒宿』(上毛新聞社) 以来、6冊の温泉シリーズ本を世に出してきました。
2011年の 『あなたにも教えたい四万温泉』 や2012年と2013年の 『みなかみ18湯』上・下巻にいたっては、旅館やホテルだけでなく、温泉を引いている民宿やペンションなど、温泉協会や観光協会に加盟している全宿を網羅して取材しました。
そして、取材をすればするほど、“温泉宿は見かけによらぬもの” と思うようになりました。
決して、大きくて立派な旅館やホテルが、いい宿とは限りません。
まして温泉の質となれば、見かけに反比例する場合のほうが、多いかもしれません。
さらに人は、小さな宿のほうが主人や女将の素顔が見えます。
料理も、素朴で地物にこだわった手作りの料理が味わえます。
そして、とにかく料金が安いのが魅力です。
いま僕は、来年出版予定のシリーズ7冊目となる本の執筆のため、片品村に通っています。
昨晩は、女将さんのご厚意により、花咲(はなさく)温泉の 「ロッヂ 山喜荘(やまきそう)」 に泊めていただきました。
夏はスポーツ合宿、冬はスキー客が中心となる高原の民宿です。
ご主人と女将さん、娘さんの3人で営んでいます。
しかし、あなどるなかれ!
温泉宿としても、実に良い湯を提供しているのであります。
合宿の学生を受け入れているだけあり、浴室と浴槽は広く造られています。
タイル張りの一見、変哲のない、普通の浴槽に見えますが、よーく見ると、温泉が注ぎ込まれる 「湯口」 が見当たりません。
「もしや!」
と思い、湯舟に沈み、浴槽の底を手でさぐりました。
ありました!
底から湧きあがる 「湯口」 を発見。
これは、なかなかニクイ造りであります。
温泉が空気に触れることなく、浴槽に注ぎ込まれる仕組みになっていました。
しかも加水なし、加温なし(真冬は多少の加温あり)、放流式であります。
ん~、学生さんには贅沢な風呂であります。
湯上がりは、女将さんと娘さんの手作り料理を肴に、地酒をいただきました。
豆腐もこんにゃくも、すべてが手作りです。
特に豆腐は、大豆から栽培して、にがりだけで作った絶品であります。
これで1泊2食、6,000円~(税別) ですぞ!
これが、小さな宿だからこそ味わえる本当の “贅沢” だと思うのです。
2014年12月07日
川古温泉 「浜屋旅館」⑦
こんばんは~! “温泉モデル” の小暮で~す。
ウソです。ライターです。
でもね、このたび、自分の著書や連載記事以外で、初めて温泉の 「入浴モデル」 になりました。
えっ、なぜかって?
うーん・・・・・・僕にも、事情は良く分かりません。
気が付いたら、僕が表紙を飾るパンフレットが出来上がっていたのであります。
ふつうは女の子のモデルを使うのに、そんな無謀な企画にチャレンジした勇気ある温泉宿とは?
はい、川古温泉(群馬県みなかみ町) の一軒宿、「浜屋旅館」 であります。
川古温泉といえば、温泉通には広く知られる群馬を代表する “ぬる湯” の湯治宿です。
泉温は約40度。
この源泉を加温することなく、生のまま内風呂と露天風呂に使用しています。
湧出量は、驚きの毎分約700リットル!
これだけあれば、大きな露天風呂もザバザバと、かけ流すことができます。
そして、「これぞ!ぬる湯」 と思わずうなってしまう圧巻が、全身を包み込む “泡の粒” であります。
炭酸の泡は、高温泉では付着しません。
また加温した時点で、消えてしまいます。
もちろん、湧出から時間が経過した湯も、泡は発生しません。
湯が新鮮じゃないと体験できない、ありがたい温泉なのであります。
昔から 「泡の出る温泉は骨の髄まで温まる」 と言われています。
未体験の人は、ぜひ一度、全身泡だらけになってみてください。
きっと、体中から老廃物や疲労物質などの毒素が抜け出ることでしょう。
と、いうことで、浜屋旅館の最新パンフレットの表紙と中のグラビア写真に、入浴している僕の写真が使用されています。
日帰り入浴も可能な秘湯の宿であります。
さあ、温泉ファンのみなさーん!
小暮淳のブロマイドにもなるパンフレットをゲットしに、川古温泉に、いらっしゃ~い!
2014年12月06日
尾瀬戸倉温泉 「温泉やど 四季亭」
♪降り積もる雪雪雪 また雪よ~
戸倉には七つの雪が降るとか~
こな雪つぶ雪わた雪ざらめ雪~
みず雪かた雪 春待つ氷雪~♪
なんて、新沼謙二の 『津軽恋女』 の替え歌なんか、歌っちゃったりして。
雪の降りしきる国道401号を、北上したのであります。
片品村、最北の温泉地 「尾瀬戸倉温泉」。
今週から、この温泉地に入り込んで、取材活動を続けています。
で、昨晩は、女将さんのご厚意により、「温泉やど 四季亭」 に泊めていただきました。
「うーーー、寒い! 女将さんの言うとおり、本当に雪になってしまいましたね」
宿に着くなり、ストーブに手をかざす僕。
事前に連絡を取った際に、女将さんから
「雪になるかも知れませんから、お気をつけてお越しくださいね」
と言われていたのでした。
こんな日は、温泉が何よりのご褒美であります。
でもね、温泉よりもあったかいモノって、分かりますか?
そう、“人” のぬくもりです。
四季亭は、わずか5部屋の小さな温泉宿。
そして、宿を切り盛りしているのは、女将の萩原美代子さんと娘の沙紀さん親子。
たった2人で、やっている “おもてなし” の宿なんです。
開業は、平成11年。
親戚がやっていた宿を、引き継いだといいます。
それまで女将は、ご主人の両親がやっていた土産物屋と弁当屋を手伝っていました。
「お義母さんの勧めと援助で、やってこれた宿なんですよ。その義母も4年前に他界し、義父も昨年亡くなりました」
ご主人は勤め人のため、残った母娘で宿を守り継いでいます。
とにもかくにも、まずは温泉です。
小さい宿ですから、浴室も1つ。
使う人によって、「男性風呂」「女性風呂」「貸切風呂」 の札を使い分けます。
大切な温泉を大切に利用している、その湯守心が気に入りました。
尾瀬戸倉温泉には、3本の源泉が湧いています。
どれもアルカリ性の高い温泉ですが、中でも、こちらに引かれている「戸倉温泉 尾瀬の湯」源泉は、pH10.1 という最強アルカリ性泉。
それはそれは、トロントロンのツルツル、スベスベの湯であります。
冷えた体は、ポッカポカ!
湯上がりにいただいた、生ビールの美味しいこと!
何よりも、母娘による手づくりの家庭料理は、涙モノでありました。
煮物も焼き物も揚げ物も、地の食材を使った素朴な味。
締めにいただいた 「舞茸ごはん」 は、弁当屋時代に義母さんが考案した人気の商品とのこと。
尾瀬へ向かう登山客に長年、愛され続けた味だったのです。
「今でも当時のファンが、わざわざ、この味恋しさに泊まりにやって来てくださいます」
湯良し、人良し、味良し!
窓の外にシンシンと降り続ける雪を見ながら、昨晩も美酒に酔いしれたのであります。
2014年12月04日
初春支度
♪もういくつ寝ると お正月
お正月には モチ食って
ノドに詰まって死んじゃった
はやく来い来い 霊柩車♪
なーんて、子供の頃は替え歌にして歌って、笑っていましたっけね。
でも、今は笑えませんって。
僕の両親はともに、90歳と87歳の高齢ですからね。
モチ食って死なれた日にゃ、笑い話になりません。
“来年の話をすると鬼が笑う” と言いますが、もう鬼が泣いても笑っても今年は、残すところ4週間です。
一年を振り返ると、今年はため息が出ることばかりでした。
「散財」
これが今年のキーワード。
まぁ、散るほどの財産は、そもそも持ち合わせていないのですが、それにしても思わぬ出費の連続で、一年中金策に翻弄された年でした。
「水道管の破裂」 から始まり、大雪による 「給湯器の故障」 という水難の連続打撃!
そんな折、連載が1本打ち切りになって、収入減!
と思えば、突然、クルマが動かなくなってしまい、修理に出して直ったと思ったところに車検!
ますます貧乏に拍車がかかってしまいました。
おまけに山の神の逆鱗に触れ、夏から 「家庭内禁酒」 を強いられたおかげで、10キロもやせてしまいました。
心身ともに疲弊した1年間でした。
でもね、泣いても笑っても、今年はあと4週間です。
最後くらい、笑って今年を締めくくろうじゃありませんか!
と、前向きに年越しをする決意をしたのであります。
そしたら今日、早くも年賀状が出来上がってきました。
僕は、12年前から同じデザイナーに、デザインを頼んでいます。
毎年、デザインの基本は同じですが、干支(えと) の文字の中に、必ず干支にまつわる熟語やことわざをちりばめています。
来年は、「ひつじ」 。
「未」 という文字の中に、“多岐亡羊” とか “羊の番に狼” などの言葉が敷きつめられています。
「羊」 に関することわざは、あまり良い意味の言葉がないのですが、「未」 には “未来永劫” や “前人未到” など、希望や期待が持てる言葉がたくさんあります。
さてさて、来年はどんな年になるのでしょうか?
その前に、まだまだ年内にやるべき事が、いくつも残っていましたっけ。
今年も、あと12温泉は巡ります。
2014年12月03日
あやしい表示
“メタケイ酸単純泉”
「えっ、なんだ! そりぁ?」
先日、テレビの旅番組を見ていたら、温泉の泉質テロップに意味不明な言葉が流れました。
“メタケイ酸単純泉” なーんて泉質の温泉は、この世に存在しませんよ~!
ま、察するに、「温泉法上の温泉」 のことで、メタケイ酸の含有量が規定量以上含まれている温泉のことをいっているんだと思います。
ここで、あまり難しいことはいいませんが、温泉法には “温泉の定義” がダブルスタンダードになっているため、「温泉法上の温泉」 と認められても、もう1つのハードルである 「療養泉」 の条件を満たせなくて、泉質名が付けられない温泉が生じるのであります。
そのため、温泉ガイド本やテレビの温泉番組では、勘違いしたまま “存在しない泉質名” を勝手に表記してしまうのです。
“低張性冷鉱泉”
なんて泉質名が書かれていることもありました。
これは泉質ではなく “温泉の性質” であります。
と、思えば、その旅番組で紹介された温泉!
ビックリしました。
すでに温泉じゃない旅館まで紹介されていたんです!
さらに、別の旅館では、温泉を引き入れてない浴槽が映って、源泉の泉質名を表示していました。
さらにさらに! ○○ソムリエとかいう資格(?) を持つタレントが、
「この温泉はですね~、保湿力が高いため、美肌の湯と呼ばれているんですよ~」
なーんて、源泉の入っていない浴槽の中で、演技をしていました。
ま、僕は揚げ足を取る気はありませんので、笑いながら観ていましたけどね。
そういえば、HPにもパンフレットにも 「源泉かけ流し」 と書かれている温泉宿に行ったら、循環ろ過式だったなんてこともありました。
これでは、一般の読者はダマされてしまいます。
経営者と報道する側は、正しい知識の元に “正しい温泉の表示” をしてほしいものです。
お願いします。