2015年08月30日
逃げろ! 子どもたち!! ② 不登校のすすめ
いじめられ蝉の時雨を聴けず逝く
2学期の始業を前に、全国で子どもの自殺が止まりません。
日本という国は戦争をしていないのに、毎年3万人もの命が自らの手で失われています。
その数は交通事故死の5倍!
約半数を中高年男性が占めています。
うち未成年の割合は約2%です。
「な~んだ少ない」 と思われますか?
僕は思いません。
毎年、600人以上のもの子どもたちが、学校へ行けずに死を選んでいるのですから・・・
冒頭の句は、中学生俳人といわれる小林凛君の作品です。
先日(8月28日) の東京新聞の記事で、彼は、このように話しています。
<先月、岩手県で十三歳の男の子がいじめを苦に自殺した事件が起きました。僕と同じ中学二年でした。その後梅雨が明けて、蝉が鳴き始めました。「ああ、亡くなった彼は、この蝉時雨を聴くことができなかったんだ」 と思った。蝉の声でいっぱいの近所の雑木林で句を詠んだ後、涙が流れました。>
また彼は、俳句との出合いについて、こんなエピソードを語っています。
<僕は小さく生まれて小学生の時からいじめっ子の標的になり、危険を逃れるために不登校になりました。そんな僕を支えてくれたのは俳句を詠むことでした。>
そーだよ! 学校へ行かなければいいんだ!
ズルと言われようが、卑怯と言われようが、命あっての自分だもの。
学校は “組織” なんだよ。組織に向かない人間だって、この世の中にはゴマンといるのだ。
かくいう僕も、そうだった(いや、今でもそうだけど)。
幸いにも不登校にはならなかったけど、ズル休みなら日常茶飯のこと。
学校へ行くふりをして、友だちの家にこもって、一日中、音楽を聴いていたものです。
でも、その時の音楽との出合いが、その後の人生をつくるきっかけになったのです。
おい、子どもたち! 死ぬことはないぞ!
いずれ時期が来れば、ちゃんとお迎えが来るのだからさ。
それまでは、逃げて、逃げて、逃げ続ければいいんだよ。
おっちゃんを見てみい!
いまだに、イヤなことから逃げ切ろうとしているんだぞ。
大丈夫、学校なんて、行くことはないんだよ。
逃げろ! 子どもたち!!
2015年08月28日
介友だより
「小暮さんとこは、介護認定いくつ?」
「両親とも、1だよ」
「うちはさ、急にオフクロの認知症が進んじゃって、3になっちゃった」
「だったら、特養が使えるじゃないか?」
「それがさぁ~……」
介護認定とは、正しくは要介護認定のことで、その度合によって1~5段階に判定されます。
要介護認定が3以上になると、特養(特別養護老人ホーム) の入所許可が得られます。
一昨日、都内在住の友人から電話がありました。
彼は早くに父親を亡くし、現在は家族と離れて、母親の介護のために実家で暮らしています。
僕らは、こうやって時々、互いの近況報告をしています。
今風に言うならば、“介友(かいとも)” であります。
その彼が、悲鳴を上げています。
「特養の入所を申し込んだらさ、300人待ちだって」
「さ、ん、びゃく、に~ん!」
「ああ、1年間に約100人が死んで空きができるらしいんでけど、それでも3年は待たされる」
「3年かぁ~、キツイな」
現在、デーサービスとショートステイを組み合わせて、なんとかやっているというのだが、かなり彼も介護の限界に近づいているらしい。
「デーサービスの場合、夕方には帰って来てしまうからね。だからオレが会社から戻るまでの4時間、オフクロは一人っきりなんだ。いつも、死んでるんじゃないかと心配しながら、あわてて帰ってるんだ」
そう言って彼は、深~いため息をついた。
そして、こんなことも。
「この間なんてさ、家に帰ったら、オフクロがウ○コまみれになっていた。自分のウ○コを壁に塗りたくってんのよ。最悪だ~」
僕は、「そうかぁ~」 と言ったきり二の句が継げませんでした。
うちのオヤジなんて、可愛いものです。
時々、息子の顔も名前も分からなくなるけど、まだトイレも着替えも一人でできますからね。
僕の苦労なんて、彼に比べたら苦労のうちに入りませんって!
「来月の連休に、群馬へ遊びに行くよ」
「ああ、息抜きに来るといい」
きっと、その晩は、介護話に花が咲くんでしょうな。
2015年08月26日
湯ノ小屋温泉 「ホテル サンバード」
「うっ、さむ!」
昨日は、朝から時おり雨がパラつく曇り空。
8月とは思えないほど気温も低く、前橋は少し肌寒いほどでした。
だもの、みなかみ町は、まるで秋のような風が吹いてましたよ。
まして、ここ宝台樹キャンプ場は、標高1,000メートルの高地。
長袖のシャツを着てこなかったことを悔みつつ、白樺林に囲まれた 「自然花苑」 を散策しました。
ヤナギラン、マツムシソウ、フシグロセンノウ、レンゲショウマ・・・
咲き誇る夏の山野草に、受講生と一緒に僕も、はしゃいでしまいました。
そうです。昨日は、NHK文化センター主催による野外温泉講座日だったのです。
僕は7年前から、この講座の講師をしています。
平成27年度前期の第5回講座は、群馬県最北の温泉地、湯ノ小屋温泉を訪ねました。
ここでも、温泉宿の過疎化は進んでいます。
2011~13年にかけて、僕はみなかみ町の18の温泉地を訪ね、すべての温泉宿(※)を取材して、『みなかみ18湯』(上毛新聞社) という上・下2巻の本を出版しました。※(みなかみ町観光協会加入旅館)
この著書には、湯ノ小屋温泉の宿は11軒掲載されています。
あれから、たった2年しか経っていないのに、今は9軒の宿になってしまいました。
経営不振、後継者不在などの理由により、年々県内から温泉宿が姿を消しています。
1軒でも多くの宿を残したい、1本でも多くの源泉を残したい、そんな思いからNPO法人を立ち上げたんですけどね。
まだまだ力及ばず、いつも厳しい現実が目の前に立ちふさがっています。
で、昨日は 「ホテル サンバード」 に行ってきました。
「ホテル サンバード」 と聞くと、すぐにコスモスを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?
今から20年ほど前、“一目百万本”のコピーが話題となった花の名所です。
スキー場のゲレンデに、百花繚乱のコスモスが咲き誇ります。
でも、まだちょっと時期が早かったようですね。
咲いていたことには咲いていましたが、一面を埋めつくすほどではありませんでした。
それでも高原の涼やかな風に吹かれ、揺れる可憐な花に心がなごみました。
そして、サンバードといえば、風呂の数の多さでも有名です。
大浴場と大露天風呂のほか、「温泉道楽」 と名づけられた11種類の個室貸切露天風呂があります。
なんと! 2代目社長の松本亨太さんのはからいにより、これらの風呂全部に入れることになりました。
そりゃ~、みなさん大喜びであります。
でもね、僕としては、ここに来たら、ぜひ入っていただきたい風呂があるのです。
それは、ホテルから離れたゲレンデ内の森の中にある “野天風呂” であります!
自然の地形そのままに造られた、滝を眺める野趣に富んだ岩風呂です。
もちろん歩いても行けますが、マイクロバスでの送迎もしてくださいます。
温泉にのんびり浸かったあとは、お決まりのビールで乾杯!
いい湯と、いい仲間に囲まれて、毎回、本当に楽しい講座です。
受講生のみなさーん、いつもありがとうございます。
これからも、よろしくお願いしますね。
来月は、いよいよ県外の “あの” 名湯を訪ねますよ。
お楽しみに!
2015年08月24日
トリビア博士
「ブルーバック」 って知っていますか?
テレビ局などの専門用語で、合成を用いる映像素材を撮影する際に、青い布などの背景を用いる技術のことです(「クロマキー」ともいう)。
そう、『YOUは何しに日本へ』(テレビ東京) で、いつもバナナマンがやっているやつです。
今日、僕はこのブルーバック撮影をしてきました。
今年の4月から毎週火曜日(最終火曜日を除く) の午後9時~、群馬テレビで放映されている 『ぐんまトリビア図鑑』。
僕は、この番組の監修とアドバイザーをしています。
いつもは番組のエンディングロールに、名前が出るだけなんですけどね。
このたび、番組出演もすることになりました。
で、その役どころは?
それが、番組の質問に答える 「トリビア博士」 という役なんですよ。
今日撮影されたのは、9月15日放送予定の 「高崎版ロミオとジュリエット(仮)」 の収録です。
高崎市内を流れる烏川に伝わる 「佐野の舟橋」 という民話の謎解きドキュメントです。
もちろん、ネタの提供者は僕であります。
と、いうことで、アドバイザー自らが 「トリビア博士」 となって、謎を解くことになりました。
撮影は、ものの30分で無事に終了!
さて、どんな映像になっているのでしょうか?
来月15日の放送日が、今からとても楽しみです。
『ぐんまトリビア図鑑』
●放送局 群馬テレビ(地デジ3ch)
●放送日 毎週火曜日(最終火曜日を除く) 21:00~21:15
●再放送 土曜日 10:30~10:45 翌月曜日 12:30~12:45
2015年08月22日
洗濯物当番② ふたたび
あれから、ちょうど半年。
またしても洗濯物当番が回ってきました。
※(2015年2月18日 「洗濯物当番」 参照)
今週、無事に “2つのXデー” を迎えました。
※(2015年8月17日 「2つのXデー」 参照)
18日に、両親を揃って施設に入所させ、19日にアニキが入院。
翌20日、義姉より 「手術は無事に終わりました」 との報告あり。
今後は、週末のたびに義姉が東京から前橋まで来て、アニキの身の回りの世話をしてくれることになりました。
と、いうことは、前回同様、僕が両親の担当ということであります。
しかも前回はオフクロだけでしたが、今回はオヤジも一緒です。
でも一緒といっても、同じ部屋にいるわけではありません。
オフクロは一般棟ですが、認知症のオヤジは専門棟です。
だから僕は訪ねるたびに、エレベーターに乗って、昇ったり降りたり。
何が大変かって、その洗濯物の量であります。
オフクロの入浴日が、月曜日と木曜日。
オヤジの入浴日が、火曜日と金曜日。
週4回も洗濯物が出るのであります。
しかもオヤジの場合、すぐに “おもらし” をしますからね。
その着替えの量といったら、ハンパじゃありませんって!
施設に頼めば洗濯をしてくれますが、もちろん有料です。
週4回×4週間=16回分
これを有料で頼むと、かるく万札が飛んでいきます。
ま、これも昔した親不孝の罪滅ぼしだと思って、せっせせっせと通うことにしました。
それにしても、圧巻ですぞ! 我が家のベランダは・・・
1階は家族の洗濯物、2階はオヤジとオフクロの洗濯物で埋め尽くされています。
まるで、大家族の家のようです。
2015年08月21日
夢の架け橋
昨日は、月に1回の役員会議日でした。
僕は、NPO法人『湯治乃邑(くに)』 の代表理事をしています。
いつもは高崎市街地にある事務所で、昼間に行われるのですが、昨晩は “暑気払い” を兼ねて、駅前の居酒屋で行いました。
生ビールで乾杯をした後、この半年間の活動を振り返りました。
設立は今年の1月。まだ産声を上げたばかりの、赤ちゃん団体です。
でも志だけは熱く、いくつもの案件に着手しています。
その中に、「夢の架け橋事業」 というのがあります。
これも、僕らがかかげる “湯治場再生プロジェクト” の一環です。
夢の架け橋、とは?
浅間隠(あさまかくし)温泉郷(群馬県東吾妻町) には、3つの温泉地があります。
薬師温泉、鳩ノ湯温泉、温川(ぬるがわ)温泉です。
そして、そのすべてが一軒宿です。
温泉郷といっても、源泉の異なる3軒の宿が、温川という清流をはさんで肩を寄せ合うようにたたずんでいます。
どの温泉も約300年の歴史を持つ、古湯です。
かつては、江戸と信州を結ぶ裏街道にある湯治場として栄えていました。
現在、3つの温泉地は同じ集落にあるのに、身近な橋がないため、住民たちはとても不便を強いられています。
そこで我々が、地域住民と手を合わせて、手軽に行き来ができる木の簡易橋を架けることになったのです。
すでに、地主さんの協力のもと、山から木を切り出しました。
いよいよ、“夢の架け橋” の製作です。
「今後とも、よろしくお願いします」
僕ら役員たちは、もう一度、乾杯をして、志を新たにしたのであります。
“夢の架け橋” 支援金は下記から
2015年08月19日
下仁田温泉 「清流荘」⑥
昨日、今日と2日間、下仁田町(群馬県甘楽郡) にて、取材活動をしてきました。
八千代温泉や西下仁田温泉の入浴施設などをめぐり、夜は、下仁田温泉の 「清流荘」 に泊まりました。
最後に訪ねたのは、昨年の9月でしたから約1年ぶりになります。
夕食時には、2代目主人の清水雅人さんも同席してくださり、注しつ注されつ、温泉談義に花を咲かせました。
「清流荘」 といえば、「日本秘湯を守る会」 の会員宿として、温泉ファンには広く知られています。
湯上がりのビールを1杯飲み干す早々、この話題から始まりました。
実は、このところ、秘湯の宿の会員数が減少しているといいます。
今、僕の手元には 「日本秘湯を守る会」 の会員宿が掲載された平成19年発行の『日本の秘湯』(朝日旅行) があります。
これには群馬県内の14軒の会員宿が掲載されていますが、清水さんによれば現在、9軒にまで減少しているといいます。
その一番の理由は、経営者の高齢化と後継者不在による廃業です。
すでに 「湯ノ小屋温泉 葉留日野山荘」(みなかみ町)、「武尊温泉 萱の家」(川場村)、「湯の平温泉 松泉閣」(中之条町) が廃業しています。
ほか2軒は脱会。計5軒が会員宿から消えています。
これは群馬県に限ったことではなく、全国的な傾向とのこと。
やはり “秘湯” と呼ばれる小さな温泉宿は、絶滅の危機に瀕しているということです。
だからこそ僕は、今年1月にNPO法人 「湯治乃邑(くに)」 を設立したんですけどね。
今後、日本の温泉宿はどうあるべきか?
そんなテーマで、熱く熱く、ご主人と語り明かしたのでありました。
もちろん、全国でも1%未満という二酸化炭素を含む炭酸泉にも入ってきましたよ。
源泉の温度は、約12度。
そのため加温をしていますが、炭酸泉は熱を加えると気泡が消えてしまいます。
でも温泉ファンのために、ちゃーんと源泉のみを引き込んだ浴槽があるのです。
ま、冬場は心臓が止まってしまいそうに冷たいものですから遠慮しているのですが、この時季ならプールと同じです。
「うっ!」 と気合を入れて、源泉風呂の中へ。
しばらくすると、プチ、プチプチと泡の粒が体に付き出すのがわかります。
その粒は、一般的な炭酸泉の気泡に比べると、かなり大きめです。
夏季限定の二酸化炭素を含む冷鉱泉ならではの醍醐味なので、ぜひ一度、お試しあれ!
(心臓の強い人は、真冬でも勝手にどうぞ)
2015年08月17日
2つのXデー
先週(8月10日)、ブログに 『ピンチ到来!』 というタイトルで、我が家の介護危機について書いたところ、これを読んだ友人・知人、読者からたくさんの “励ましメール” をいただきました。
なかには仕事関係の方からもあり、「予定を延期しましょうか?」 との気づかいまでしていただきました。
また、飲み屋のママまで 「予約をキャンセルしてもかまいませんよ」 との気のつかいよう。
ただただ、感謝であります。
そんなメールの1つ1つに、大変勇気づけられました。
本当に、みなさん、ありがとうございます。
僕ら兄弟は、なんとか窮地を脱することができそうですよ。
さて、お盆が明けて、いよいよ2つの 「Xデー」 が近づいてきました。
1つは、アニキの入院です。
これは19日に決定しました。
翌20日が手術。その後2週間~1ヶ月間の入院が予想されます。
で、問題は、その間、両親をどうするかであります。
とってもじゃありませんが、僕一人では毎日の介護は無理です。
先週から義姉を交えて 「首脳三者会議」 を重ねた結果、2人まとめて施設に預かってもらうことになりました。
なるべくなら、デイサービスとショートステイを上手に組み合わせて、自宅で面倒を看てやりたかったのですが、僕も取材やら不在になることが多々あるものですから、苦渋の末の決断であります。
とりあえず、アニキが退院して来るまでの1ヶ月間は、入所させることにしました。
そのXデーが、明日です。
ま、入所させるとなると、これはこれで大変なんです。
なんせ、2人同時ですからね。
手続きから準備まで、この数日間は実家に通いっきりです。
で、いよいよ明日の午前、両親を施設まで連れて行くことになりました。
準備完了。
とりあえず、ピンチ脱出です。
2015年08月16日
のようなもの
みなさんは、どんな夏休みを過ごされていますか?
「そんなものは、ねーよ!」
と、盆休みもなく働いている人は、たくさんいるでしょうね。
特に、個人事業主の方々、心中をお察しいたします。
“世間並み” に盆休みくらいは取りたいものです。
かくいう僕も、そんな “世間並み”の暮らしをできずにいる小市民の一人であります。
まして今年の僕の夏は、心身ともに疲れ果てています。
※(理由は、当ブログの2015年8月10日 「ピンチ到来!」 を参照)
そんな僕にも、真夏のサンタさんからプレゼントがありました!
“夏休みのようなもの” をいただきました。
8月14日~16日は、磯部温泉(群馬県安中市) の 「磯部温泉祭り」 です。
日頃から温泉組合、旅館組合の方々には、大変お世話になっているものですから、今年は、この祭りに参加してきました。
といっても、そこは “温泉のプロ” です。
ただ参加して、遊んでくるのでは、もったいない!
ということで、ディレクター氏とカメラマン氏も同行してもらい、「祭りのドキュメントを取材しちゃおう!」 ということになりました。
で、どんな取材をするのかといえば・・・
ええ、まあ、あの、その……
温泉に入ってですね、湯上がりは浴衣に着替えて、下駄をカランコロン鳴らしながら温泉街を歩いてですね、ビールなんか売っていたら、すぐ買っちゃって、グビグビと飲みながら、たこ焼きなんかをつまみつつ、お祭り広場までの道程を歩くだけなんですけどね。
午後8時、温泉街に光と音が響き渡り、花火大会の始まりです。
おのおの散策をしていた僕らは、温泉街を見渡す 「見晴らし広場」 に集合!
ビール片手に、「たーまーやー」 と叫びながら、つかの間の夏休みを過ごしたのでありました。
磯部温泉のみなさん、大変お世話になりました。
取材協力、ありがとうございます。
2015年08月13日
マロの独白⑥ 誕生日
こんにちワン!
マロっす。
ここんちの飼い犬、チワワのオス、9才です。
えっ、いつ9才になったのかって?
それがね、ちょっと、聞いてくださいよ。
ご主人様ったら、オイラの誕生日を勘違いしていたんです。
数日前の夕食時のこと。
「なあ、マロの誕生日って、8月何日だっけ? そろそろだよな」
「なに言ってるの、7月よ」
「7月? 8月じゃないのか? オレとおんなじ」
「確か、7月13日よ」
これは、ご主人様と奥様の会話です。
その後のご主人様の落ち込みようったら、ありませんでしたよ。
その晩遅く、ご主人様は一人でリビングへやって来て、オイラを抱きしめるのです。
「マロ、ごめんな。誕生日を間違えて覚えていたよ。本当に、ごめん。今から、誕生日パーティーをしようか?」
そう言って、台所からお皿を持ってきて、オイラの大好きなおやつを、いつもの倍も盛ってくださったのです。
「待て! 待てだよ。歌が歌い終わって、“よし” って言ってからだよ」
そして、歌い出したのです。
♪ ハッピーバースデー ツーユー ハッピーバースデー ツーユー ♪
ってね。
でも、オイラは我慢ができません。
ご主人様、ごめんなさい。
歌い終わった時には、すっかりお皿のおかしは、きれいに食べ終わっていました。
だってオイラ、「待て」 は、3秒しか持たないんですもの。
ご主人様だって、知っているじゃありませんか。
でもね、とーーーっても、うれしかったワン!
2015年08月12日
復活! 民話と伝説の舞台
高崎市民のみなさ~ん、こんばんは!
今日は、地域限定でお送りします。
創刊30周年を迎えた高崎市のフリーペーパー 「ちいきしんぶん」(発行/ライフケア群栄)。
発行部数10万部の県内最古の老舗タウン誌であります。
僕は以前、この冊子に、いくつか連載をしていました。
その1つ、2007年11月~2013年12月の6年間に連載していたシリーズ 『民話と伝説の舞台』 が、このたび、2年間の沈黙を破って帰ってきます!
このシリーズは、連載開始当時から読者のみならず、各方面のメディアからも賛辞をいただくほど評判となり、長期シリーズ化となったエッセイです。
テーマは、群馬県内に伝わる民話や伝説。
物語を追いながら、その舞台となった現在の場所を訪ねます。
そして、物語に隠された“嘘” と “真実” を解き明かす歴史検証ミステリーなのであります。
たとえば、こんなテーマがありました。
●「姫よ、なぜにあなたは竜になった!?」(木部姫伝説)
●「高崎版 ロミオとジュリエットの悲劇」(佐野の舟橋)
●「しだれ桜を寺から移したのは誰だ!?」(夜泣き桜)
●「巨人が射抜いた岩は、どこへ落ちたのか?」(百合若大臣)
●「オオカミの首をねじ切った大男は実在した!」(鬼利兵衛)
●「茶釜のふたは、どこへ行った?」(分福茶釜前世物語)
などなど。
※バックナンバーは、当ブログ 「お気に入り」 より閲覧することができます。
と、いうことで、今日は久しぶりに奇妙な伝説を求めて、県内某村へ取材に行ってきました。
その村にある “森” には、必ず縁を切ることができる石祠があるといいます。
そして、その根拠となる伝説には、悲しく残酷な物語が隠されていました。
『民話と伝説の舞台』 の連載再開は、9月の第3金曜日発行号からです。
乞う、ご期待!
2015年08月10日
ピンチ到来!
深夜や早朝に、突然、電話が鳴ると、ドキッとするものです。
先週末の早朝、ケータイに着信歴が2件入っていることに気づきました。
発信元は、アニキです。
ドキッ!
来る時が来た~!
でも、どっちだ?
オヤジか? オフクロか?
あわてて電話をすると、
「すまん、ジュン! 今からすぐ来てくれ!」
という悲痛なアニキの声。
「わかった、すぐに行くよ。で、どっちだい? オヤジか、オフクロか」
すると、
「ねん挫した」
「誰が?」
「オレだよ」
「なに? アニキかい?」
「ああ、散歩していて転んだんだ。医者に行くから、その間、オヤジとオフクロを看ていてくれ」
とは、人騒がせな!
ところが・・・
実家で両親の面倒を看ながら、アニキの帰りを待っていたのですが、昼を過ぎても帰って来ません。
そして、やがて帰って来た彼は、左足を包帯でグルグル巻きにして、松葉杖を突いていました。
「なんだよ、その格好は? たかが、ねん挫で大げさだな」
「そーじゃないんだ。大変なことになっちゃってさ。オレ、入院することになったんだ」
「えっ、なんで!?」
アニキは毎日の習慣で、早朝に散歩に出かけます。
この日は、趣味の太極拳をしようと、近くの河原へ行ったそうです。
で、土手を下りようとした時に、スッテンコロリン転がったといいます。
「ねん挫じゃなかったの?」
「ああ、複雑骨折していた。どうりで、ねん挫にしては痛いと思ったんだ」
足の腫れが引くまでは手術ができないとのことで、とりあえず痛み止めをもらって帰って来たとのこと。
盆が明けたら、入院することになったらしい。
「どーするのよ? オヤジとオフクロの面倒は? オレ一人じゃ無理だよ」
「だから、それをお前とこれから話し合うんだよ」
と、いうことで、急きょ翌日、東京から義姉にも来てもらい、親族会議を開いたのであります。
とりあえず、お盆までは義姉に休暇を取ってもらい、実家に居てもらうことになりましたが、その後は、まだ未定です。
僕も今まで以上に、実家に寝泊まりすることになりそうです。
問題は、お盆が明けて、義姉が東京に帰り、アニキが入院してしまってからのことです。
すでに、両親が世話になっている介護施設には、SOSの相談をしてありますが……
さて、これから先、いったいどうなるのでしょうか?
僕ら兄弟は、途方に暮れています。
ピンチ到来!
2015年08月09日
ビールといえば
昨日、8月8日は、僕の57回目の誕生日でした。
いやいや、ずいぶんと歳を重ねてきたものです。
ま、本人には自覚があったものの、別に何をするでもなく、いたっていつもと変わらない平凡な1日を過ごしていました。
ところが、夜遅く、仕事から帰って来た息子が、珍しく僕の仕事部屋を訪ねてきました。
「お父さん、ちょっといい? うちって、アウトドア用の折りたたみイスってあったっけ?」
なんでも、キャンプに出かけるといいます。
昔、子どもたちが小さい頃、よく山や川へ行った記憶がよみがえります。
結局、以前使用していたものは古過ぎて、使えないことが分かると、息子は、
「じゃあ、いいや」
と言って、部屋を出て行こうとしました。
そして振り返り、ひと言、こう言いました。
「冷蔵庫にビール入れて置いたから」
そう、息子は、ちゃんと父親の誕生日を覚えていてくれたのです。
「おめでとう」 の言葉はありませんでしたが、それがまたシャイな息子らしい。
「ならば、さっそく」 と、ご相伴に預かりに階下へ。
冷蔵庫を開けて、笑ってしまいました。
500mlのロング缶が6本。
そして銘柄は、キリンの 「一番搾り」 です。
やっぱり!
なぜだか、息子が買ってくるビールは、決まってコレなんです。
ふだん、僕は家ではビールを飲まないんですけどね。
たぶん、お中元やお歳暮で届くビールが「一番搾り」 だからだと思います。
もちろん、美味しいと思うし、大好きな銘柄なのですが、なんで、みなさん、このビールを贈ってくださるのでしょうか?
イベントなどの差し入れの際にも、決まって、「小暮さんは、これですよね」 と言わんばかりに 「一番搾り」 が手渡されます。
読者のみなさんは、もうお分かりですね!
そう、僕のイメージなんです。
このブログのプロフィール写真を見てください。
うれしそうに、缶ビールを持っているじゃありませんか!
でもね、これは、たまたま同行したカメラマンが撮ったスナップ写真の一枚なんですよ。
キリンビールから宣伝費をもらっているわけではありませんからね。
と、いうことで実際には、僕はビールの銘柄にこだわりはありません。
ドライもモルツもエビスも好きですよ。
ので、今後ともよろしくお願いいたします。
(誰に向かって言っているのだか!)
2015年08月08日
続・電車で行く 駅から温泉
群馬テレビ、夕方6時~の 『ニュースジャスト6』 は、ご覧になっていますか?
早いもので、僕がコメンテーターを務めて4年目になります。
毎回、群馬県内のさまざまな温泉を紹介してしていますが、先月は 「電車で行く 駅から温泉」 と題して、上越線の駅から歩いて行ける3つの温泉を紹介しました。
だって、夏だもの!
のんびり、ゆったり、スローライフを楽しみましょうよ!
と、いうことで、今月も引き続き、電車に乗って、駅から歩いて行ける温泉を紹介します。
今回は、吾妻線です。
駅から徒歩4分という交通至便な “花の宿”。
露天風呂に入りながら眼下にローカル線を望む “隠れ宿”。
無人駅の前にポツンとたたずむ “秘湯の宿” などなど、
一般の旅雑誌では紹介しないような、とっておきの情報も一緒に教えちゃいますよ。
お楽しみに!
●放送局 群馬テレビ(地デジ3ch)
●番組名 「ニュースジャスト6」
NJウォッチのコーナー
●出演日 8月10日(月) 18:00~18:35
●ゲスト 小暮 淳(温泉ライター)
●テーマ 「吾妻線で行く 駅から温泉」
2015年08月07日
温泉ではあるけれど
僕は今までに、計7冊の温泉本を書いています。
掲載されている温泉宿の数は、延べ306軒。
でも、取材した宿は、それ以上になります。
そう、取材はしたけれど、掲載されなかった宿があるのです。
では、その理由は?
僕は、自分の著書で取り上げる “温泉宿” の条件を、次の2点に定めています。
①自家源泉を保有していること。
②または共有源泉から引き湯していること。
取材した結果、この条件から外れている場合が、稀にあるのです。
それは、“源泉を運搬している場合” です。
いわゆる俗に 「スポイト温泉」 と呼ばれる温泉のことです。
温泉法には、希釈に関する定義がありません。
ということは、源泉を10倍に薄めても、100倍に薄めても、1000倍に薄めても、違法にならないということです。
「スポイト温泉」 とは、浴槽に水道水を溜めて、スポイトで一滴だけ源泉をたらしても温泉であることを揶揄して言った言葉なのです。
と、いうことで、取材をして初めて、ポリ容器で源泉を運んでいたことが判明して、掲載をお断りしたケースが何軒かありました。
違法ではありませんが、温泉本として希釈の度合が判然としない温泉を掲載するわけにはいかないという、僕なりのこだわりによるものです。
そのほかにも、「温泉分析書」の提示または掲示がされなかったために、掲載をお断りしたケースがあります。
読者のみなさんには信じられないことかもしれませんが、何十年と泉質を分析せずに、井戸水や湧き水を “温泉” と呼んで、使用している宿がいまだに存在しています。
入浴の際には、必ず分析書の有無を確認することをおすすめします。
※(一般的には、脱衣場の壁に掲示されています)
2015年08月06日
磯部温泉 「旭館」
アツイ!
たぶん、前橋より暑い!
車から降りた瞬間、気のせいじゃなく、体が感じたのです。
案の定、最初に訪ねた某施設の屋外の日陰に掛かった寒暖計の温度は、38℃を差していました。
そんな酷暑の中、昨日は昼過ぎから磯部温泉(群馬県安中市) に入り、温泉街を取材しながら歩き回りました。
「たまりませんね、この暑さ! 汗が一向に止まりません」
と言うと、同行のカメラマン氏が、
「確か、駅前に食堂があったと思います。生ビールを飲みましょう!」
とナイスな提案。足取りも軽く、温泉街を抜けて磯部駅を目指しました。
ところが、ガーーーーン!
「準備中」 の札が出ています。
もうダメです。取材続行は不可能です。
僕らは、街中取材を断念して、熱中症防止策という名目により、早めに宿に入ることにしました。
創業は明治43年(1910)、百年以上の歴史を持つ、磯部温泉屈指の老舗旅館 「旭館」。
宿前の駐車場には、初代群馬県令、楫取素彦(かとりもとひこ) 別邸跡の碑が立っています。
明治時代、ここ磯部温泉は別荘が林立する避暑地として大変にぎわっていたといいます。
その跡地に建てられたのが 「旭館」 だったということです。
「暑かったでしょう。とにかく上がって、上がって~」
と、気さくに迎えてくれた3代目女将の宮川雪江さん。
生まれも育ちも磯部温泉という生粋の “いそべっ子” であります。
これは取材が楽しみです。温泉街の歴史やら女将でなければ知りえない秘話が聞けるかもしれません。
「お忙しいでしょうけど、どこかで時間を取ってください」
と取材を申し込めば、
「私はいつでも結構ですけど、とりあえず部屋で休んでから、ゆっくり温泉入ってください」
と、心の底までジーンとしみるような言葉をかけてくださいました。
では、お言葉に甘えて、ということで、まずはクーラーの効いた部屋で、キーンと冷えたビールを1杯!
ほどよく汗が引っ込んだところで浴衣に着替えて、露天風呂へ。
いやいや、何が気に入ったって、湯の国群馬広しと言えども、温泉に浸かりながら酒が飲める宿は、いくつもありませんって!
そう、ここ 「旭館」 は、県内でも稀少な、湯舟で枡酒(ますざけ) が飲める、のん兵衛御用達の温泉宿なのであります。
「小暮さん、いいですね。その角度、はい、止めて。もう1枚いきます」
カメラマン氏の指示にしたがいながら、その都度、枡の縁に盛られた塩をペロッとなめ、中の日本酒をキューッと胃の中へ流し込みます。
ぺロ、キュー。ぺロ、キュー。
その度に、全身に幸福感が染み渡るのであります。
ぺロ、キュー。ぺロ、キュー。
結局、女将さんへの取材は、夜になって、ほろ酔いの中で行われました。
(いつものことですが…)
2015年08月04日
とねふるさと風のまつり
僕は昨年の春から1年間、老神温泉(群馬県沼田市利根町) に取材で通い、今年の5月に 『尾瀬の里湯~老神片品11温泉』(上毛新聞社) を出版しました。
そんな経緯もあり、老神温泉の人たちには大変好意にしていただき、さまざまなイベントや催し物に呼んでいただいています。
夏の終わりを飾る一大イベント、「とねふるさと風のまつり」 にも参加させていただくことになりました。
今年で第13回を迎えるこの祭りは、老神の本村地区内の武尊神社境内にある 「お諏訪さま」 の祭りです。
「お諏訪さま」 は、風から農作物を守る神様。さわやかな風が吹くことを祈り、毎年8月の終わりに開催されています。
フィナーレは、「老神温泉納涼花火大会」。
祭りの最後(20:00~) に、約3,000発の花火が打ち上げられます。
イベント会場では、郷土芸能の発表や尾瀬高校吹奏楽部による演奏、群馬のご当地アイドルAKGのショーなどが開催されます。
で、このステージに、我がスーパーローカルオヤジバンドの 「KUWAバン」 も出演することになりました!
しかも、2回登場しますよ(16:00~、19:30~)。
暑かった今年の夏を惜しみながら、温泉とビールと音楽と花火に酔いしれませんか?!
会場で、お待ちしています。
とねふるさと風のまつり
●日 時 2015年8月23日(日) 13:30~21:00
●会 場 沼田市利根老神多目的広場
●料 金 入場無料
●問 合 利根町観光協会 TEL.0278-56-2111
2015年08月03日
一期二会
読者のみなさんは、覚えていますか?
今から1ヶ月半ほど前、僕がスクーターで北海道を旅する初老の男性に出会った話を。
※(2015年6月22日の 「男は二通り」 を参照)
今日僕は、この間の駐車場で、そっくりなスクーターを見かけました。
「ホンダ スーパーカブ50」。
郵便配達のような真っ赤なボディも、同じです。
さらに近寄って見れば、ナンバープレートは 「鎌倉市」。
間違いない!
あのオッサンのバイクだ!
もしかして、北海道を一周して、また戻って来たのかもしれない!
そう思うと、ドキドキしてきました。
しばらく眺めていると、向かいのホテルの中からヘルメットを抱えた男性が出てきました。
「あっ!」 と驚く僕に、
「ただいま帰りました」 と笑うオッサン。
相変わらず、顔の半分をおおったヒゲがカッコイイ!
「ビックリしました。どうして、また前橋に?」
「昨日の朝早く、フェリーで新潟に着いたんだけど、一気に鎌倉まで帰る気力と体力がなかったんだ」
こんな偶然って、あるのだろうか……。
「いゃ~、でも楽しかったな。雨にもよく降られたけど」
「ご無事で何よりでした。ケガや病気もなく?」
「ああ、オレはね。でも、ほれ、コイツが」
と指さしたスクーターの後部ウィンカーの片方が、ガムテープで固定されていました。
その後、僕らは10分ほど、1ヶ月半前と同じように、とりとめもない雑談をしました。
結局、また最後まで互いの名前を名乗り合うこともなく。
「それじゃあ」
そう言って、オッサンはヘルメットをかぶり、エンジンを始動させました。
「次の旅は、もう決まっているんですか?」
「うん、中山道を日本橋から京都まで」
「うわぁ~、すごい! いつですか?」
「今月中には出発したいと思っているんだけど」
「前橋は通らないですね」
「そうだね」
「お気をつけて」
「ありがとう」
やっぱり男って、二通りあるんですね。
2015年08月02日
祭りの夜に・・・
オヤジが泣くんです。
「ウェーン、ウェーン」 って、声を上げて。
でも、涙は出ていません (あんたは、聖子ちゃんかっ!)。
「じいさん、お祭りに行くか?」
「お祭り? どこでやってんだい?」
「○○公園だよ」
昨日は、実家のある町内の納涼大会でした。
夕方4時から、大音響で音楽が流れてきます。
「ビールが飲めるよ」
「えっ、ビールが飲めるのか?」
「ああ、ほれ!」 と僕は、オヤジの目の前に、町内に配られた模擬店の引き換え券を差し出しました。
「行くよ。連れてっておくれ」
ところが、オヤジの格好を見ると……、まるで冬の服装です。
半袖のシャツの上に長袖のシャツをきて、短パンの上に長ズボンをはいています。
年寄りは、自分の体温管理ができないのです。
このクソ暑い中、電源を入れたこたつに入っている時だってあるのです。
「おい、じいさん! なんちゅう格好をしているんだい。熱中症で死ぬぞ! 暑くないんかい?」
「暑くない。ちょうどいい」
「ダメだ! その格好じゃ、お祭りには連れていかない」
「どうしたら、いい?」
「一度、全部脱いで! 靴下もだよ。Tシャツと短パンだけになりなよ」
そう告げて、僕は階下へ降りました。
10分、20分、いつまで経ってもオヤジは下へ降りて来ません。
行ってみると……
上はTシャツを着ていますが、下は右足に短パン、左足に長ズボンを突っ込んだまま立っています。
「何しているんだよ! もう、いいよ。お祭に行くのは、ヤメにしよう。ビールもなしだ!」
頭に血がのぼってしまった僕は、つい大声を上げてしまいました。
すると、泣くんです。
両手で顔をおおって、「ウェーン、ウエーン」 って。涙を出さずに。
「勘弁してくれよ。ウソ泣きしたってダメだよ」
そう言えば、
「だって、どっちをはいて行くんだか、分からなくなっちゃんたんだよ。お願いだから、もう一度、言ってくれないかなぁ~?」 だって (幼稚園児以下だな)。
でも、これで終わらないんです。
「さあ、行くよ」 と先に外へ出れば、やっぱり来ない。
行ってみると今度は、右足に僕の靴をはいて、左足を無理やり、オフクロの靴に突っ込もうとしているのです。
「なんだか、こっちの靴が小さいんだよ」
「勘弁してよ、もう! 裸足なんだから、サンダルに決まっているだろう!」
結局、出かけるまでに30分以上もかかってしまいました。
でもね、公園では、やぐらの下のベンチで、おいしそうに生ビールを飲んでいましたよ。
「先生、いいですね。親子でビールが飲めるなんて、幸せだ」
そう、近所の人たちが声をかけて行きます。
オヤジは、長年、この町で塾の教師をしていたのです。
だから、町の人はみんなオヤジのことを 「先生」 と呼ぶんですね。
「ええ、幸せです。長生きはするもんですよ」
まっ、いっか。
いつものことですけど、オヤジのうれしそうな顔を見ると、許してしまうんですね。
来年の夏も、こうして一緒に、ここでビールが飲めるといいんですけど……。
2015年08月01日
寝不足解消術
名づけて、「Xデー」。
ついに恐れていた、その日がやって来ました。
こうなることは分かっていたんです。
みーんな自分が悪いんです。
頼まれると断れないものだから、「ハイハイ、いいですよ」 って受けてしまう性分。
とどのつまり、過密スケジュールになってしまうのです。
昨日、7月31日は、その恐れていた1日でした。
睡眠時間、たったの3時間。
午前中は屋外での過酷な労働に耐え、そのまま市内の講演会場へ。
終了後、某テレビ局にて、番組の構成会議に出席した後、場所を居酒屋に替えて “暑気払い” という名のスタッフ懇親会に参加予定です。
何よりも心配していたのは、寝不足に加え、連日のこの猛暑。
はたして、この過酷なスケジュールに体が持つのだろうか?
今日こそは、熱中症で倒れるのでは?
そんな瞬間が、何度もありました。
午後12時。
講演会が開催される公民館に着いたときには、すでに頭痛が始まっていました。
危険信号です。
食欲はあまりないけど、それでも無理やり出された弁当を食べ、水分を摂って、開講までの時間、クーラーの効いた控え室で体を横たえていました。
講演会には、一般公開だったこともあり、このブログの読者が、たくさん来てくれました。
著書の販売が禁止されている公共施設での講演ですから、当然、サイン会はありません。
それでも終了後に、僕の本を何冊も持って来てくれた聴講者が、何人もいましたよ。
読者とは、ありがたいものです。
1冊1冊、ていねいにサインを書かせていただきました。
公民館を出られたのは、午後4時。
すでに構成会議は始まっています。
クーラーを全開にした車を飛ばして、なんとか30分遅れでテレビ局へ。
とどこおりなく、年内放送分のテーマを選出することができました。
午後7時30分。
日没したとはいえ、まだ外気は32℃もあります。
頭痛は去りましたが、ここに来て寝不足がたたり、フラフラと足がふらついています。
それでも、キーンと冷えたビールが僕を呼んでいます。
沖縄料理の店 「K」。
まずは、オリオンビールで乾杯。
海ぶどう、島らっきょう、ゴーヤーチャンプルーに舌鼓。
すると、どうしたことでしょう!
それまで、今にも倒れ込みそうな肉体が、点滴を打ったかのように、シャキッ、ビンビンビーン!と元気になりだしたのであります。
「では、一本締めで! 下半期もよろしくお願いします。よー!」
Nディレクターの発声で、締めとなり、午後10時にお開きとなりました。
さて、今日は十分疲れているから、もう帰って休もうか……。
いや、待てよ?
今日の講演会に、S君が来ていたよな。
「今夜、Hに行ってますから。よかったら来てください」
「いや、無理だと思うよ。3時間しか寝てないんだよ。たぶん体力が持たないね」
そう、S君は、たびたびこのブログに登場する酒処 「H」 の常連客の1人なのです。
「あっ、ジュンさん!」
「本当に来た!」
「体、大丈夫ですか?」
大丈夫じゃなくったって、大丈夫にしちゃうさ!
根っから明るい飲み友と、いつだって元気いっぱいのママさんの笑顔を見れば、寝不足だって、熱中症だって、恐いものなんてない!
「カンパ~イ!」
「今日は講演会、お疲れさまでした」
その言葉に、僕の肉体は完全復活したのであります。