温泉ライター、小暮淳の公式ブログです。雑誌や新聞では書けなかったこぼれ話や講演会、セミナーなどのイベント情報および日常をつれづれなるままに公表しています。
プロフィール
小暮 淳
小暮 淳
こぐれ じゅん



1958年、群馬県前橋市生まれ。

群馬県内のタウン誌、生活情報誌、フリーペーパー等の編集長を経て、現在はフリーライター。

温泉の魅力に取りつかれ、取材を続けながら群馬県内の温泉地をめぐる。特に一軒宿や小さな温泉地を中心に訪ね、新聞や雑誌にエッセーやコラムを執筆中。群馬の温泉のPRを兼ねて、セミナーや講演活動も行っている。

群馬県温泉アドバイザー「フォローアップ研修会」講師(平成19年度)。

長野県温泉協会「研修会」講師(平成20年度)

NHK文化センター前橋教室「野外温泉講座」講師(平成21年度~現在)
NHK-FM前橋放送局「群馬は温泉パラダイス」パーソナリティー(平成23年度)

前橋カルチャーセンター「小暮淳と行く 湯けむり散歩」講師(平成22、24年度)

群馬テレビ「ニュースジャスト6」コメンテーター(平成24年度~27年)
群馬テレビ「ぐんまトリビア図鑑」スーパーバイザー(平成27年度~現在)

NPO法人「湯治乃邑(くに)」代表理事
群馬のブログポータルサイト「グンブロ」顧問
みなかみ温泉大使
中之条町観光大使
老神温泉大使
伊香保温泉大使
四万温泉大使
ぐんまの地酒大使
群馬県立歴史博物館「友の会」運営委員



著書に『ぐんまの源泉一軒宿』 『群馬の小さな温泉』 『あなたにも教えたい 四万温泉』 『みなかみ18湯〔上〕』 『みなかみ18湯〔下〕』 『新ぐんまの源泉一軒宿』 『尾瀬の里湯~老神片品11温泉』 『西上州の薬湯』『金銀名湯 伊香保温泉』 『ぐんまの里山 てくてく歩き』 『上毛カルテ』(以上、上毛新聞社)、『ぐんま謎学の旅~民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん)、『ヨー!サイゴン』(でくの房)、絵本『誕生日の夜』(よろずかわら版)などがある。

2016年02月29日

若いって素晴らしい?


 「テレビで見るより若いですね」

 先日のライブ終了後、何人かの方から同じことを言われました。
 「そうですか、ありがとうございます」
 と、その時は言葉を返したものの、あとになって、
 「これって、うれしいことなのかな?」
 と疑問に思ってしまいました。

 だって、“年齢より” とは言われてませんものね。
 “テレビで見るより” とは、テレビのほうが実際より老けて映っている場合だってあるわけですから。
 だから、決して 「小暮さんは若いですね」 と、ほめられたわけではありません。


 歳を重ねると、年々、この手の話は増えるのであります。
 さすがに若い人みたいに、初対面の人に 「いくつに見えますか?」 とは訊きませんけど、「あの人は若い」 とか 「若作りだ」 とか、自他共に気になるようです。
 特に女性は顕著であります。

 ま、男性だって 「老けてる」 と言われるよりは、「若い」 と言われたほうがうれしいようですが、僕は昔からちょっとひねくれていました。
 そう、“老け願望” があったのです。

 10代の頃からヒゲを生やしていたし、20代ではプロフィールの年齢を多くサバ読んでもいました。
 きっと生意気だったんでしょうな。
 大人の人たちからなめられたくないと、いきがっていたのかもしれません。
 だから、いっつも “今” という時代がキライで、早く時間が過ぎないかと願望していました。

 20代は30代にあこがれ、30代は40代にあこがれ、40代は50代にあこがれていました。

 そして50代も後半となった今、60代にあこがれているかというと、これがピタッと止まってしまったのであります。
 だからといって、40代や30代にもどりたいとは思いません。
 理由は分かりませんが、50代は居心地が良いのかもしれませんね。

 無茶もしました。いい目も見ました。酸いも甘いも苦いも辛いも、いろいろあって、たどり着いた年齢なんですね。
 来た道を振り返ることはあっても、引き返したいとは思わないし、行く道に不安や期待はあるけれど、あせる気持ちはありません。

 “年相応でありたい” と思うのです。
 若くもなく、老いてもなく……。

 でも、それって、一番むずかしい生き方なのかもしれませんね。
  


Posted by 小暮 淳 at 17:40Comments(0)つれづれ

2016年02月27日

月夜野温泉 「みねの湯 つきよの館」⑬


 <若葉に萌える頃もいいが、ホタル舞う夜もいい。紅葉は見事だし、雪景色も格別である。おすすめは季節に関係なく、大空が鮮やかな緋色に燃え上がる日没時。刻々と色を変える “日暮らしの景” は、いつまで眺めていても飽きることがない。> ( 『新ぐんまの源泉一軒』 より)

 もう何度も何度も訪れているのに、いつも新鮮な感動がある。
 お気に入りの “天空の湯舟” もしかり、全天周映画を観ているような絶景もしかり、そして、何よりも女将をはじめとするスタッフの人柄に癒されるのだと思う。


 昨日は仕事ではなく、プライベートでもなく、バンドの一員としてコンサートに出演してきました。
 スーパーローカルオヤジバンド 「KUWAバン」。
 結成から約20年。平均年齢は58歳と高齢化が進んでいますが、いえいえ、どうして、老いてますます円熟味が増して、ファンも急増中であります。

 「つきよの館」 でのライブは3年ぶりとなります。
 前回は雪の日にもかかわらず、60席のチケットは完売し、当日は立ち見も含め約80名の観客が来てくれました。
 さて、今回は?
 おそるおそる女将に尋ねると、
 「おかげさまで、チケットは90枚売れましたよ」
 さらに問い合わせがあり、当日券の予約が入っているとのこと。

 メンバーは、やる気満々で、開演の時間を待ったのであります。


 控え室となった2階の客室からは、まさに僕が本に著したような夕景が始まっていました。
 月夜野盆地を黄金色に染めています。

 「カンパーイ! 今日はよろしく!」
 と、恒例のライブ前の成功を誓う儀式が行われました。
 1本が2本、3本と、ライブ前とは思えないハイピッチで缶ビールが空いていきます。
 これが、バンドが長続きする秘訣であります。


 アンコールも含め、約2時間にわたるステージは無事終了。
 満席のお客さんたちも満足して帰られました。

 ライブが終わると、汗びっしょり!
 まずは、ひと風呂浴びてから……。
 とロビーを抜けて、浴室へ向かおうとしたら、

 「小暮さーん、良かったよ。まあ、こっちへ来て」
 と、知らないオジサンに呼び止められ、宴会客の輪の中へ。
 「さあ、座って、座って!」
 と、いきなり日本酒をコップに注がれてしまいました。

 でも、その飲み干した一杯のうまかったこと!


 もちろん、その後、夜景を眺める “天空の湯舟” を満喫してから、本格的に打ち上げ会が始まったことは言うまでもありません。

 女将さん、スタッフのみなさん、大変お世話になりました。
 そして、たくさんの観客のみなさん、ありがとうございました。
 また、会いましょう!
   


Posted by 小暮 淳 at 18:49Comments(0)温泉地・旅館

2016年02月25日

バキッとバキバキ


 ちょっと驚いています。
 ヴァイオリニストの高嶋ちさ子さんが、息子さんのゲーム機を壊した話題です。
 なんでも彼女のツイッターが炎上したんですってね。

 実は僕、こんなに話題になる前に、高嶋さんが書いた新聞のコラムを読んだんです。
 タイトルは 『ゲーム機バキバキ事件』。
 息子さんが約束を守らなかったから、カーッとなってゲーム機を 「バキバキ」 と折ってしまったエピソードを、壊れたゲーム機の写真付きで紹介していました。

 で、その時、思ったんです。
 「あっ、オレと同じだ!」ってね。
 僕もかつて、娘のゲーム機を壊したことがありました。
 ま、高嶋さんほど激しくありませんけど、「バキッ」 くらいに。
 やっぱり原因は、「ゲームは宿題が終わってから」 という約束をやぶったからです。

 多かれ少なかれ、親なら子育ての過程で似たようことをしているのではありませんか?
 もちろん、愛情のある “しつけ” の範疇での荒業であります。

 ところが、このエピソードがネット上で賛否両論の物議をかもしているというのだから驚きです。
 当然、肯定派の意見も上がっていますが、テレビのワイドショーなどでは教育評論家などが出てきて、「やりすぎだ!」 「物を大事にしない」 などと否定派の意見が目立っていました。

 確かに言われてみれば、“壊す” という行為は、やりすぎかもしれないし、物を大事にしていないと言われれば、そのとおりであります。
 でも、それって一般論であって、家庭によってしつけの仕方は違うし、子どもの性格やタイプも異なるので、絶対に間違っているということではないような気がします。


 だって昔の親は、こんなものじゃありませんでしたよ。
 うちのオヤジなんて、「そんなに勉強が嫌いなら、みんなヤメちまえー!」 って、本をやぶかれたり、捨てられたりしましたからね。
 ま、僕はその程度でしたが、アニキは手足を紐で縛られて、押入れに突っ込まれていましたもの。

 いえいえ、うちだけではありませんよ。
 友だちの家に遊びに行ったら、そいつが庭木にロープで縛り付けられていたことがありました。
 「おまえの父ちゃん、怖いなぁ~」
 って言ったら、
 「違うよ、母ちゃんだよ」
 だって。

 さらに、僕がロープをほどいてやろうとすると、
 「やめてくれ、そんなことされたら、後がもっとコワイんだよ」
 ですって。
 結局、その日は友だちと遊べませんでした。


 時代なんですかね?
 いま、そんなことをしたら 「虐待だ!」 なんて言われて、通報されちゃいます。

 かなり乱暴だけど、大らかだった昔が良かったのか?
 なんでもかんでも、世間の目を気にしながら生きている今のほうが平和なのか?

 むずかしい世の中になりました。
    


Posted by 小暮 淳 at 22:39Comments(2)つれづれ

2016年02月24日

谷川温泉 「水上山荘」②


 久しぶりに谷川温泉(群馬県みなかみ町) へ行って来ました。
 昨日は、僕が長年講師を務めているNHK文化センターの温泉講座日でした。

 みなかみ町には、18の温泉が湧いています。
 水上温泉、猿ヶ京温泉といった有名所を除けば、残りの16湯は小さな温泉地ばかりです。

 谷川温泉も、そんな小さな温泉地。
 現在、4軒の温泉旅館があり、今回、訪ねた水上山荘は、温泉街の一番奥にある静かな和風旅館です。


 僕が水上山荘を最初に訪ねたのは、6年前のこと。
 2010年に著した 『群馬の小さな温泉』(上毛新聞社) の取材でした。
 その時から、いつか自分の講座でも来てみたい! 受講生たちにも、ぜひ、この感動を味わってほしい! と思っていました。

 その理由は2つ。

 1つは、ロビーからラウンジに入った途端に、視界いっぱいに広がる絶景です。
 “谷川岳に一番近い宿” だけあり、その迫力は圧巻!
 まるでスクリーンに映し出されたような大パノラマを眺めることができます。

 「ワ~~~!」
 って、案の定、受講生たちからは驚きの喚声が沸き起こりました。


 もう1つは、湯にあり!

 使用している3本の源泉の総湯量は、毎分520リットルと豊富で、それゆえ館内すべの浴槽が源泉かけ流しです。
 館内には、主人からのこんなクイズがかかげられています。
 「オールシーズン、沸かしも薄めもしないで0.1℃きざみで温泉の温度を調節しています。さて、その秘密は?」

 みなさんは分かりますか?
 僕は6年前、見事に答え、2代目主人の松本英也さんから「300人に1人の正解率ですよ」 とおほめの言葉をいただきました。
 そんな湯にとことんこだわる松本さんのことを、かつて温泉ジャーナリストの故・野口悦男さんは “源泉王” と呼んだことがあります。
 それほどの湯の達人なのであります。


 そして特筆すべきは、県内でも数少ない、湯の中で酒が飲める宿であること!
 のん兵衛の多い当講座であります。
 いざ、竹筒に入った日本酒を手に、露天風呂へ!

 「先生、最高だね」
 「この景色があれば、つまみはいらないね」

 広い湯舟のあちこちで、至福の声が聞こえてきます。


 景色良し、湯良し、酔って良し!

 みなさんが大満足した素敵な講座となりました。
   


Posted by 小暮 淳 at 17:10Comments(0)温泉地・旅館

2016年02月22日

今日は何の日?②


 今日は2月22日です。
 何の日か、ご存知ですか?

 「ニャン、ニャン、ニャン」 で 「猫の日」 は有名ですね。
 「フー、フー、フー」 と息を吹きかけることから 「おでんの日」 なんていうのもあります。

 でもね、今年から、そう! まさに今日から始まった記念日があるのですよ。
 それは、「温泉マークの日」 です。


 群馬県民なら誰もが知っている、温泉記号発祥の地 「磯部温泉」。
 万治4年(1661)、磯部地区で起きた土地争いのことが書かれた古文書に、あの有名な温泉マーク(逆さクラゲ) が描かれていたのです。

 ということで、冬場の観光客の増加につなげようと 磯部温泉組合が日本記念日協会に申請し、登録されました。
 では、なんで2月22日なのでしょうか? 分かりますか?

 答えは、温泉マークの3つの湯気です。
 「222」 に見えるからだそうです。
 温泉協会では、すでにロゴを制作して、今月27日(土) に開くお披露目イベントの準備を進めています。


 ちなみに毎月22日は 「夫婦の日」 だそうで、4月が 「良い夫婦」、11月が 「いい夫婦」 だとか。
 とんちの効いたところでは、毎月22日は 「ショートケーキの日」 なんていうのもあります。
 なんでか分かりますか?
 ※(理由は、当ブログの2014年1月31日 「温泉の日を作ろう!」 参照)

 も一つ、ちなみに 「犬の日」 は、11月1日だそうです。
   


Posted by 小暮 淳 at 14:03Comments(0)温泉雑話

2016年02月21日

脳内新陳代謝


 「最近、温泉ネタが少ないですね」
 ブログを読んでいる温泉好きの知人から言われました。

 よく気づかれましたね。
 実は毎年、この時期(年明けから春先まで) は、執筆期間に入っているのであります。

 僕は2009年から毎年1冊の割合で、温泉本を出版しています。
 その発売日が、ここ数年はゴールデンウィーク前の4月下旬か5月上旬と決まっています。
 ということは、逆算すると年内にほぼ取材を終えてなくてはなりません。
 よって、この時期は制作期間ということになります。


 でもね、このスケジュールパターンって、嫌いじゃないんですよね。
 緊張と弛緩、多忙と閑散・・・
 メリとハリのある暮らしこそが、僕がライターという職業を選んだ一番の要因であります。

 自分でいうのもヘンですが、僕はかなりワガママな性格でして、にぎやかな場所も好きだけど、静かな場所も好きだったり、アウトドアも好きだけどもインドアも好きで、みんなとワイワイ騒ぐことも好きで、部屋にこもってジーッと過ごすことも好きなのです。
 で、そのどちらか一方の環境が長く続くと、オーバーヒートしてしまいます。

 忙しいときは忙しいけど、ヒマなときヒマ!
 この極端なライフスタイルが、脳の新陳代謝を活性化してくれ、いつも元気で楽しく生きられるのであります。


 ということで、現在、今春発売予定の新刊本の執筆に追われています。

 でも、すべての取材が終わっているわけではありません。
 桜が咲く頃までには、取材を終え、原稿を書き上げるられるよう頑張りたいと思います。

 読者のみなさま、もうしばらくお待ちください。
   


Posted by 小暮 淳 at 13:25Comments(0)著書関連

2016年02月19日

アリギリス


 <夏の間、アリたちは冬の食料を蓄えるために働き続け、キリギリスはバイオリンを弾き、歌を歌って過ごす。やがて冬が来て、キリギリスは食べ物を探すが見つからず、アリに物乞いをして食べ物を分けてもらおうとするが断られ、キリギリスは飢え死にしてしまう。>

 ご存知、イソップ物語 『アリとキリギリス』 の話です。


 ま、どちらかというと僕なんかは、キリギリス派ですからね。
 子どもの頃から、「そしてアリは過労死してしまいました」 なーんてオチを茶化していたものです。

 ところが、アリの世界にも働かないアリがいるんですってね。
 まさに、“アリギリス” であります。


 北海道大学などの研究チームの発表によると、アリの集団には常に2~3割の働かないアリが存在するそうです。
 で、働くアリだけを集めると一部のアリが働かなくなり、逆に働かないアリだけを集めると今度は、7~8割のアリが働き始めるのだそうです。

 実は、このことは以前から分かっていたらしいのですが、このたび、その理由が解き明かされました。
 研究の結果、“働かないアリ” は、働くアリが疲労した時の交代要員だったのです。
 なんでも、働いていたアリが疲れて休むようになると、それまで働いていなかったアリが働き出すそうです。

 要は種族存続のために、常に2~3割の余力を残しているということです。
 でも考えてみれば、そうですよね。
 全員で働いていたら、一斉に疲れて働けなくなり、その集団は滅びてしまいます。
 自然界というのは、実に良くできているものです。


 僕もアリの世界を見習って、2~3割の余力を残して生きていこうと思います。
 えっ、もっと楽して生きているだろうって?

 はあ、まあ、平日の昼間は、たいがいワイドショーとサスペンスドラマを観て過ごしていますけど……。
 でもね、やるときは、やりますから!
 それまでは交代要員ということで……。

 アリギリス、ばんざ~い!
   


Posted by 小暮 淳 at 22:01Comments(0)つれづれ

2016年02月18日

無駄な我慢


 461人

 なんの数字か分かりますか?

 群馬県内で昨年自殺した人の数です。
 毎日、1人以上の人が、自ら命を絶っていることになります。

 この数字が多いのか、少ないのか?
 人口10万人あたりの自殺者数で見ると、23・3人で47都道府県中7位。
 そう、ワースト上位県なのであります。

 県警の発表によると自殺の動機は、トップは健康問題、次いで経済・生活問題、家庭問題、職場問題となっていますが、注目すべきは、40代以上の男性が70%以上を占めている点です。

 日本のお父さんは、精神的に病んでいる人が多いといえそうです。


 先日、さるテレビ番組で、日本人男性と結婚した外国人妻の討論会なるものを観ました。
 すると、全員が全員、夫の口ぐせとして 「しょうがない」 という言葉を挙げていました。

 「仕事だからしょうがない」 という言葉で、すべてをあきらめてしまうことに、理解ができないようです。
 これに対して外国人妻たちは一様に、「日本人男性は、無駄な我慢をしている」 との指摘を。

 これは、お国柄の違いかもしれませんが、とかく日本人は我慢することを美徳と感じている向きがありますからね。
 「会社のため」 「家族のため」って。
 それに対して、外国人妻たちは 「ファ~イ ジャパニーズ ピープル?」 と首をかしげます。

 なかには、「日本に来て初めて “うつ病” という病気があることを知った」 というラテン系の妻もいました。


 ことのほか僕は、彼女たちがしきりに発していた 「無駄な我慢」 という言葉に耳を奪われたのであります。
 そうか、そうだよな。
 我慢には、必要な我慢もあるけど、無駄な我慢だってあるよなぁ~、と深く納得してしまいました。

 たぶん、それは自分のためにする我慢と、他人のためにする我慢の違いなんでしょうね。
 日本人の自殺者が多いのも、この 「無駄な我慢」 と無関係ではないような気がします。
   


Posted by 小暮 淳 at 18:23Comments(0)つれづれ

2016年02月17日

ため息のシーズン


 「良かったですね。文春のおかげで」
 ブログを読んでいる友人からかけられた言葉です。
 ※(2016年2月9日 「sentence spring」 参照)

 彼もまたフリーランスで働く、その日暮らしの自由人です。
 同じく綱渡りのような人生を送っているからこそ出た言葉なんでしょうね。

 そんな僕らにとって年に1度、厳しい現実を突きつけられる時期がやって来ました。
 そう、確定申告です!


 フリーで仕事をするようになって、ちょうど20年。
 20回目の確定申告となります。

 貧乏ヒマなしで、いつも支払いに追われているイメージの強い僕ですが、過去にはハブリのいい時だってあったのですよ。
 事務所を借りちゃって、毎夜毎夜、ネオン街へ繰り出していたようなバブリーな時期がね。
 でも所詮、泡は泡なんです。
 風が吹いたら、フワ~ッと飛んで、プチプチって弾けて、消えてしまいました。

 「あの時、ちゃんと貯金しておけば良かったのに。バカだ!」
 なーんて、家人には今でも言われますが、それは無理というものです。
 あの頃の僕は今よりも、もっともっと好奇心が旺盛で、「なんでも見てやろう!」 ってな勢いで、海外やら離島やらへ出かけていたのであります。
 いずれ、それが体験という財産になるだろうと……(今でも、そう思ってますが)。


 でもね、家人には内緒ですが、あの時、バブルの泡を吹き飛ばしたのは時代ではなく、何を隠そう僕自身だったのです。
 「自分が書きたいものを書きたい!」 ってね。
 お金になるから頼まれた仕事をするのではなくて、自分でなければできないこと、そして形として残る仕事をしたいと、そのときの環境を自ら放棄したのです。

 その数年後、僕は温泉をめぐり出します。
 そして代償として、安定を手離したのでした。


 さて、今週から電卓に向かい、確定申告の準備に着手しております。
 が、もうすでに脱力感を感じています。
 最終的な収支計算はまだですが、今年も例年並みの所得であることは間違いありません。

 「今年こそは頑張ろう!」
 と、毎回、同じことを思うのですが、一向に懲りないのであります。


 ふーーーう!

 ため息のシーズン到来です。
   


Posted by 小暮 淳 at 12:30Comments(2)つれづれ

2016年02月15日

残りあとわずか!


 三々五々、赤城山麓のスタジオにオッサンたちが集まりました。
 平均年齢、58歳。
 スーパーローカルオヤジバンド 「KUWAバン」 の面々です。

 いよいよライブが近くなったので、「1回くらいは音合わせをしよう」 ということになったのです。
 平日の午後から集まれるというのが、フリーランスのいいところです。
 音を出す前に、まずは雑談から。
 近況報告にはじまり、「最近は疲れやすい」 とか 「腰にくる」 「目がかすむ」 など、昔では考えられなかった話題に花が咲きます。


 さて、来たる2月26日の月夜野温泉ライブでは、懐かしのフォークやらオールディーズやらグループサウンズに加え、オリジナル4曲を含めた15曲を披露するため、通し稽古をするだけでも、たっぷり1時間半を要します。
 ギターとボーカルを担当する僕は、後半、もう立っているだけでも、しんどくて、しんどくて……。
 すぐに、「ちょっと休まない?」 なんて、弱音を吐いてしまいます。

 それでも通し稽古を2回、4時間にわたる練習をなんとか、こなしてきました。


 なんでも旅館の話では、定員80名のチケットは、ほぼ完売状態だとか!
 「残りあとわずか」 と、女将さんは言ってました。

 ということですので、温泉が好きで、懐かしの音楽が好きで、時間がある方は、お急ぎください。
 一緒に、飲んで、歌って、踊りましょう!
 ※(会場ではアルコール、ソフトドリンク、軽食の販売あり)



     2016 月夜のライブ with KUWAバン
        ~あの頃のキミたちへ~ 

 ●日 時   2016年2月26日(金)
         19:00~ (開場 18:45)
 ●料 金   1,000円 (宿泊客は無料)
 ●会 場   月夜野温泉 「みねの湯 つきよの館」
         群馬県利根郡みなかみ町後閑1739-1
 ●問合・申込  つきよの館 TEL.0278-62-1207
       


Posted by 小暮 淳 at 23:30Comments(0)ライブ・イベント

2016年02月13日

マロの独白⑫ オイラもポチですか?


 こんばんワン!
 マロっす。
 ここんちの飼い犬、チワワのオス、9才です。

 お久しぶりでやんした。
 みなさん、元気でしたか?
 オイラは、チョー元気っす!
 だって雪も解けて、気温も上がり、なんとなく春めいてきたじゃありませんか。
 散歩をしていても、野の花が、ちらほら咲き出して、気持ちがルンルンしてきます。


 えーと、今日は、ちょっと、ご主人様について書かせていただきます。
 実は、ご主人様って、大の犬嫌いだって知ってましたか?
 (オイラは知ってました。ここんちに来た時、飼うか、飼わないかで奥様ともめていましたから)

 その理由は、子どもの頃に、近所の犬に噛まれたことがあるかららしいんです。
 以来、それがトラウマとなって、犬には近寄らない生活をしていたとのことです。
 オイラが、この家に来るまでは……。


 先日、ご主人様と一緒にテレビを見ていたときのことです。
 「ネコ派 vs イヌ派」 と題して、猫好きと犬好きの芸能人が出ていました。

 「やっぱり、ネコは可愛いよな~」
 ご主人様は、オイラがいる前で無神経にも言い出したのです。
 「イヌってさ、口がでかいし、よだれをたらすし、吠えてうるさいんだよな~」
 って、失礼にもオイラをチラ見したのです。

 えーえー、どうせオイラは口がでかいし、よだれはたらすし、吠えますよ!
 だからって、面と向かって、あからさまに言わなくてもいいじゃありませんか。
 こう見えてオイラ、けっこうナイーブなんすから。
 傷つきます(ご主人様のいけず~)。


 猫好きのご主人様は、散歩をしていても猫を見かけると、オイラをほったらかしにして、すぐ近寄って行くんですよ。
 「あ、ミーちゃんだ! おいで、おいで」 ってね。

 「あら、ご主人様、お知り合いのネコですか?」
 「知らないよ」
 「だって今、ミーちゃんって、名前を呼んでいたじゃないですか?」
 「いいの、ネコはみんな、ミーちゃんなの!」
 ですって。

 だからオイラ、聞いてやりましたよ。
 「だったら、イヌはなんていう名前ですか?」
 すると、
 「イヌは全部、ポチに決まっているだろ! ま、呼ぶことはないけど」

 ガーーーーン! ショックっす。

 ご主人様にとっては、オイラも嫌いな “ポチ” の仲間だと思うと、急に悲しくなってきて・・・
 ついつい、バカなことを聞いてしまったのであります。
 「ていうことは、オイラも “ポチ” なんですね?」
 「え、なんでマロがポチなんだよ?」
 「だ、だ、だって、今、ご主人様は、イヌは全部 “ポチ” だって言ったじゃないですか!」

 そしたら少し間をおいて、ご主人様はオイラを抱きかかえながら、こう言ってくださったのです。
 「マロはマロだよ。イヌは苦手だけど、マロだけは特別だ」
 ですって!

 「……(ウルウル)」
 オイラ、胸がいっぱいになって、もう何にも言えなくなってしまいました。

 ご主人さま~、オイラ、一生ご主人様について行くだワン!
  


Posted by 小暮 淳 at 18:13Comments(3)マロの独白

2016年02月12日

鬼の居ぬ間に


 一時帰宅しております。
 今週は、僕が介護当番なのであります。
 先ほど、無事に両親をデイサービスの送迎バスに乗せ、見送りました。

 「ふ~ぅ」 っと、深いため息を一つ。
 さて、戸締りをして、つかの間の休息を楽しみに、いったん家に帰るとするか……。
 と思ったのですが、いやいや、そうは問屋が卸しません。
 朝食の洗い物が、まだでした。

 でも、手馴れたものですよ。
 さささっと、ベテラン主婦よろしく、迅速に洗い物を済ませました。

 「さてと……、もう忘れていることはないよなぁ~」
 と、ガスの元栓やストーブ、こたつのコンセントを指差し確認しました。

 「あっ、あああああーーーーーっ、あった!」

 一番大切なことを忘れていました。
 それは、トイレ掃除です。


 オフクロは脳梗塞の障害があるため、一人では歩けません。
 そのため、ベッドの脇に簡易トイレを設置しています。
 1日1回、その汚物処理をしなくてはならないのです。

 でも、オフクロより大変なのが、オヤジの下の処理。
 認知症のオヤジは、何度 「おしっこは、座ってするんだよ」 と言い聞かせても、立ってしてしまうのです。
 そのため、トイレの床は尿だらけ!
 異臭が放ち、ほかの人は誰も使えません。
 だから2階のトイレは、オヤジ専用になっています。

 1日1回、トイレの床に敷き詰めた新聞紙を交換しなくてはなりません。
 ゴミ拾いに使う大きなハサミで、汚れた新聞紙をかき集めます。

 「ふ~ぅ」 と、2度目のため息を一つ。
 以上、完了です!


 両親がデイサービスから帰って来るまで、残りあと5時間。
 仕事をするも良し、本を読むも良し、昼寝をするも良し……。

 鬼の居ぬ間に、つかの間の休息を楽しみたいと思います。
   


Posted by 小暮 淳 at 11:19Comments(3)つれづれ

2016年02月10日

「死ね」 ってなに?


 ♪ 好きだった人 ブルージーンをはいていた
   好きだった人 白いブーツをはいていた
   好きだった人 ステテコもはいていた
   好きだった人 Tシャツが似合ってた
   失恋という言葉は知ってたけれど
   失恋という言葉は知ってたけれど ♪
    (『好きだった人』 by かぐや姫)


 またもや悲惨な事件が起きてしまいました。
 北海道で母娘が殺傷されたストーカー殺人事件です。

 1999年10月に埼玉県桶川市で白昼、当時21歳の女子大生が刺殺された 「桶川ストーカー事件」。
 この事件がきっかけとなり、ストーカー規正法が施行されたものの、その後、一向に被害はなくなりません。
 逆に、警察の中途半端な介入により、犯人が激昂して、殺人を招いてしまうケースも少なくないようです。

 まさに今回が、そうでした。
 なぜ警察は犯人に警告するだけでなく、被害者を護衛することができなかったのでしょうか?
 無念でなりません。


 で今回、このニュースを聞いて、真っ先に頭の中に流れたのが、昔、かぐや姫が歌った 『好きだった人』 でした。
 だって、ストーカーって、たいがい “元カレ” か “元夫” ですよね。
 彼らはフラれた男たちです。
 要は、失恋です!

 自慢じゃないけど、僕だって若い頃は、情けない別れ方をずいぶんしましたからね。
 ゴミのように捨てられてボロボロになって、雨の街を傘もささずに飲んだくれたことだってありました。
 それが、どーですか? 今となっては、いい思い出じゃないですか!

 一度たりとも、相手の女性を 「殺したい」 なんて思ったことはありませんって!(ま、ふつうは思わないんですけどね)
 ストーカーになる人って、どこが違うんでしょうか?
 自分をフッたことが、許せないんでしょうか?
 プライドが高いんですか?

 それよりも、もっといい女と付き合って、見返してやろうって思えないんですかね。
 “失恋=殺人” では、あまりにも短絡的過ぎます。


 ところで、散歩の途中で、よく下校途中の小学生と会うのですが、今どきの子どもたちにビックリしました。
 昔のように寄り道や道草をしている子は、ほとんどいません。
 集団下校のようで、一列に並んで行儀良く帰ります。

 それでも、なかにはヤンチャな子もいて、それなりにケンカをしてたりします。
 でも、取っ組み合いのような派手なケンカではありません。
 口ゲンカです。

 そしたら突然、片方の子が相手に向かって、「死ね!」 って言ったんです。

 ケンカで、「死ね」 ですよ。
 驚きました。
 僕らが子どもの頃は、相手をののしる言葉といえば、「バカ」 「カバ」 「アホ」 「オタンコナス」 「おまえのかあちゃん、出べそ~」 程度でしたからね。
 いくらなんでも、友だちに対して 「死ね」 だなんて言えないし、絶対に死んで欲しくありません。

 なんで今の子どもは、すぐに 「死ね」 って言うんでしょうか?

 核家族化が進み、身近に死を体験する機会もなく、ゲームの世界で簡単に人を殺しているから、死に対して恐怖心がないのかもしれませんね。


 自分の思い通りにならないと、相手が死ねばいいという発想は、大変に怖いことだと思うのです。
  


Posted by 小暮 淳 at 22:52Comments(2)つれづれ

2016年02月09日

sentence spring


 「ありがとう 文春!」
 なんて言うと、まるでベッキーちゃんのようですが……。


 ま、フリーで生きるということは、“保障” や “安定” と無縁の人生をしいられるということで。
 毎月がバクチのような、自転車操業を繰り返しているわけで。
 そんな生活が、もう何十年も続いているわけで。
 家族には、「今に見てろよ」 「そのうち満塁逆転ホームランを打つから」 なんて根拠もない自信を吹いているものだから、いつしか 「サギ師」 やら 「ペテン師」 呼ばわりされているわけで。

 それでも懲りないからこそ、こうして今日も僕がここにいるわけで……。


 「あれ、もしかして、今日までだっけ!?」
 と、あわててみても、ない袖は振れないのであります。
 公共料金が残高不足で銀行から引き落としができず、督促状が届いていたのであります。
 その納入期限が今日までだったのです。

 「あちゃ~、どうするっぺ!」
 なんて、おどけてみても、どうにもならないのが現実です。
 「ああ、またアニキに無心するしかないか…」
 と、家の玄関を出たのであります。

 郵便受けを開けると、1通のハガキが。
 「ん? どこからだ?」
 と差出人を見ると、

 “株式会社 文藝春秋” の文字

 「なんだ?」
 と、密着されたハガキを矢印にしたがい開けてみると…

 お、おおおおおおっ!
 な、なななななんと!

 “取材協力謝礼” の文字が!

 それも、すでに振り込まれているとのこと。
 先月、週刊文春(1月28日号) に掲載された記事のギャラが、もう支払われたということです。

 ああ、神様、仏様、ご先祖さま~!
 あなたたちは、僕を見放さなかったのですね。
 間一髪、崖っぷちで、こうやっていつも手をさしのべてくださるのですね。
 だから僕は図に乗って、「人生はなんとかなる」 なんて開き直ってしまうんですよ。

 でも、みなさんには、感謝しています。
 これからも、あたたか~く、大きな心で、僕を見守っていてくださいね。


 と、いうことで、その足で銀行へ走り、事なきを得たのであります。

 ありがとう 文春!
   


Posted by 小暮 淳 at 21:59Comments(3)つれづれ

2016年02月08日

四人五脚


 「オフクロが病院に連れてってくれって」
 「だったらオヤジも一緒に連れて行ってくれ」
 64歳と57歳の老兄弟の会話です。
 今日は両親の検診日でした。

 そうとなったら、さあ、大変!
 オヤジ91歳は、体は健康ですが、頭は要介護2の認知症をわずらった痴呆老人です。
 オフクロ88歳は、頭はノーマルですが、脳梗塞と心筋梗塞の後遺症が残る障害老人です。
 到底、僕一人で2人を病院へ連れていくことは不可能です。

 「だったら、あんちゃんが車を出してくれ」
 「わかった。診察が終わったら電話をくれ。また迎えに行くから」
 こんな会話が、ここ何年か続いています。



 駐車場からは、アニキがオヤジの手を引いて、僕がオフクロの腕をつかんで歩きます。
 端から見たら、まるで重病患者を搬送しているようなんでしょうね。
 かなり大げさな光景に映ると思います。

 「あらら、小暮さん、こんにちは~。今日はお2人お揃いで、と思ったら一家全員で!」
 病院の受付で、看護師が出迎えてくれました。それも2人。
 ここからは2人にバトンタッチをして、アニキはいったん帰宅しました。

 「小暮さ~ん、えーと、どちらからにしますか?」
 名前を呼ばれ、すかさず僕は、
 「オヤジからお願いします。もう、あきてしまっていますから」
 と、オヤジを診察室へ送り出しました。


 「ありがとね、感謝してます」
 待合室のイスの奥で、置物のようにうずくまっているオフクロが、済まなそうに言いました。
 「仕方ないだろう。2人とも自分じゃ来れないんだから」
 「世話かけるね」
 「いいから、黙ってろって!」

 やがて、ドッサリと服を持った看護師と一緒にオヤジが診察室から出てきました。
 「なんだよ、その服の枚数は?」
 ジャンパーが2枚にベストが1枚。すでに2枚を着込んでいるのですから、計5枚!

 「じいさん、こんなに着て、暑くないんかい?」
 「分からない」
 「ま、いいや。今度は、ばあちゃんの番だから、ここで待っているんだよ」
 「うん、分かった」
 そう言って、待合室のイスに腰を降ろしましたが、すでに本人はここがどこだか、何をしに来たのだか、分からないようであります。


 診察の結果、2人とも血圧も正常で、「特に異常なし」 との医者のお墨付きをいただきました。
 これを“健康” というのかどうかは知りませんが、とりあえず老兄弟は、ホッとひと安心したのであります。
   


Posted by 小暮 淳 at 18:17Comments(2)つれづれ

2016年02月06日

死んだ博士の呪い


 ♪ 死んだ博士が出てくるかもね
   死んだ博士が出てくるかもね
   本当に出てくるよ 本当に出てくるんだ
   死んだ博士が出てくるかもね ♪


 先日の新年会でのこと。
 ひょんなことから転校生の話になり、僕は小学校3年生の時に転校して行ったO君の話をみんなにしました。

 もう50年近くも昔のことなので、記憶もおぼろなのですが、彼についてはキョーレツな思い出が残っています。
 それが 「死んだ博士」 の唄です。
 気が付くと、いつでもO君は、この唄を歌っていました。

 作者は不明(もしかしたらO君自身なのかもしれません)。
 歌詞は、たったこれだけ。
 メロディーは、単調でお経のようでした。

 たとえば遠足などのバス旅行の車中。
 マイクが回ってくると、ふつうの子は、当時流行っていた歌謡曲を歌いましたが、彼だけは一貫して、この 「死んだ博士」 をたんたんと歌うのでした。
 そして、ついには転校する日にも、彼はあいさつのスピーチ代わりに、この唄を歌って去って行きました。


 「死んだ博士って、誰だろうね?」
 気が付けば、宴席の話題は “死んだ博士” で持ちきりになっていました。
 「世代で言えば、鉄腕アトムが流行っていた頃でしょう?」
 「だったら、お茶の水博士?」
 口々に、推測を始めました。

 「お茶の水博士ではないと思うよ。だって……」
 僕は忘れかけていた記憶をしぼり出すように、もう1つの事実を告げました。
 「この唄には、フリがあるんだよ」

 そうなんです。
 O君は唄を歌う時、必ずするポーズがありました。
 両手にこぶしを握り、それを重ねて、アゴに付けるのです。
 たぶん、これはアゴヒゲを意味しているものと思われます。

 「だったら、天馬博士だよ!」
 「天馬博士?」
 「そう、アトムを作った生みの親だよ」
 「お茶の水博士が作ったんじゃないんだ?」
 「お茶の水博士は、育ての親だよ」
 なーんてね、侃々諤々(かんかんがくがく) と謎解きの討論会が始まってしまったのであります。


 数日後、同席していた友人からメールが届きました。
 <ふとした瞬間に思い出して、無限ループにはまり抜け出すのに難儀してます>

 実は僕もあの日以来、なにかの瞬間に「死んだ博士」 がやって来て、頭の中をグルグルと駆け回り出すのであります。
 もしかしたら、これは、博士の呪いなのかもしれませんね。

 と、いうことで、もし 「死んだ博士」 について何か知っている人がいたら、ぜひ、ご一報ください。
   


Posted by 小暮 淳 at 20:52Comments(0)謎学の旅

2016年02月05日

ブログの恩人


 「ランチでもしながら、話しませんか?」
 時々、そう言って僕を誘い出してくれる某社の社長さん。
 彼が社長になる前からですから、かれこれ10年以上の付き合いになります。

 「ほらね、こうやって小暮さんのブログをチェックしているわけですよ」
 と、レストランのテーブル越しに、スマホの画面をこちらへ向けました。
 彼の愛読しているブログ一覧のようです。
 僕の名前のほかに、著名なジャーナリストの名前を見ることができます。


 何を隠そう、彼こそが、僕にブログを書かせた張本人なのです。

 6年前、ネット音痴の僕は、「ブログを書いてみませんか?」 という彼の誘いを一度は断りました。
 それでも執拗に彼は、「読者が待っています」 「絶対に話題になりますから」 と僕を口説いて、しまいには 「私が教えますから」 と手取り足取りレクチャーされながら、なんとか書き出したのであります。

 その記念すべき開設が2010年2月。
 ちょうど今月で満6周年を迎えたことになります。
 今までに書いた記事の総数は1,749話、アカウント数は58万4054アクセスになります。
 ま、この数が多いのか少ないのか、相変わらずネット音痴の僕には分かりませんが、よくもまあ、飽きもせず、懲りもせず、続いていることだけは確かです。

 そして、少なくともブログによる効用があるということです。
 テレビ出演や講演の依頼、雑誌の取材や新聞の寄稿など、このブログを通じて、舞い込んで来た仕事は数えきれませんからね。
 これは、ひとえに読者のおかげなのですが、その読者に会わせてくれた恩人が、目の前でランチを食べている彼なのであります。

 「今度は、夜に会いましょう。以前のように店を決めず、プラプラと街を歩きながら気になる店を何軒もハシゴしましょうよ」
 そう言うと彼は、忙しそうに手を振りながら午後の仕事へと出かけて行きました。


 まったく僕とは違う生き方をしている人ですが、昔からなんだか馬が合うのであります。
 そして、何よりも僕の生き方をいつも肯定してくれる、心強い味方なのであります。

 Yさん、いつもご支援ありがとうございます。
 おかげさまで、このブログも7年目に入りました。
 今後もよろしくお願いいたします。
  


Posted by 小暮 淳 at 13:08Comments(0)執筆余談

2016年02月03日

みんなゲゲゲになあれ!


 『いい大学を出れば幸せになれる』

 78%の小学生が、そう考えているそうです。
 先月28日に、ベネッセ教育総合研究所が発表した調査結果です。

 ふ~ん、今どきの小学生は、バカに現実的なんだなぁ~、なんて記事を眺めていたのですが、あれれ、ちょっと待ってくださいよ。
 “いい大学” = “幸せ” の公式って、ちょっと飛躍し過ぎじゃありませんかね?
 そんな一足飛びの考え方が、小学生にできるわけがありませんて。
 たぶん、その間には省かれた項目があるはずです。

 いい大学 → いい会社 → 高給料 → 幸せ

 そんなところでしょうか!?
 そして、それを教えた人は、親にほかなりません。

 でもね、それって実体験ですか?
 自分が “いい大学” を出たおかげで “幸せ” になれたから、「ぜひ子どもたちも、そうなってもらいたい」 と望んだわけではありませんよね。
 だって8割の家庭が一流大学を出ているわけではありませんからね。
 むしろ、その逆です。
 自分は “いい大学” を出てないから、“幸せ” じゃないと思っている親が多いということです。

 しかも、この場合、“幸せ” とは “お金” ということになります。

 ちなみに、同じアンケートでは、中学生61%、高校生51%と、だんだん “いい大学” 志向は低くなっています。


 ところが!
 もう1つの設問、『お金がたくさんあると幸せになれる』 では、小学生58%、中学生64%、高校生67%と、まったく逆の数字となっています。
 高学年になるほど、よりリアルに現実を見るようになり、“いい大学” よりも “高給料” を望む傾向にあることがわかります。

 で、僕はハッと思ったのであります。
 「あっ、ゲゲゲの真逆だ!」 ってね。
 ゲゲゲとは、漫画家の故人・水木しげる氏が生前に唱えた 「幸せになるための七ヶ条」 であります。
 ※(当ブログの2015年12月26日 「ゲゲゲの七ヶ条」 参照)

 <第二条> しないではいられないことをし続けなさい。
 <第四条> 好きの力を信じる。
 <第六条> 怠け者になりなさい。

 よっぽど、こっちの法則を教えてあげたほうが、子どもたちにとっては生きやすいと思うのですがね。

   


Posted by 小暮 淳 at 13:51Comments(0)つれづれ

2016年02月01日

21通の感想文


 昼に郵便受けを開けると、DMや請求書に交ざって、1通だけやけに分厚くて重い封筒がありました。
 送り主を見ると、前橋市です。

 「ん?」 といぶかしがりながら封を切って中身を取り出してみると・・・
 <先日はお忙しい中、講義をしていただきありがとうございました。>
 と手紙が添えられ、
 <学生の感想文を同封しましたので、お読みいただければ幸いです。>
 と、A4にプリントされた用紙が、どっさり同封されていました。
 その数、21通!
 昨年暮れに、前橋市中央公民館で行った講演会の担当者からでした。
 ※(2015年12月21日 「納演」 参照)


 僕が講師を務めたのは、明寿大学という60歳以上を対象にした高齢者教室で、1~4年生まで約400名の学生の前で2時間の講義をしました。

 今までにも講演後、個別に手紙やメールをもらうことはありましたが、こんなにもたくさんの感想文をいただくのは初めてのことです。
 <温泉好きな自分にとって、今回の講義はワクワク気分で興味深く、大変勉強になりました。> 
 <温泉とは? 成り立ち、目的、効能、種類など、楽しく受講できました。先生のキャラクターが良く、あっという間の一時でした。>
 <楽しいお話しありがとうございます。時間が経つのも忘れて聞きほれていました。先生の話術も唄も人を引き付ける力がありますね。>
 などなど、読んでいてうれしくなる内容ばかりです。
 なかには、<ずーっと新聞の連載を読んでいました> とか <さっそく本を買いました> という読者もいたりして、ライターとしても、うれしい限りです。

 みなさん、本当に勉強熱心なんですね。
 21通のレポート用紙は、どれも文字でビッシリと埋まっています。
 たぶん、講義中にメモを取っていたんでしょうね。
 話した本人が覚えていないことが、感動したこと、ためになったこととして、たくさん書かれていました。


 さて、今年はどんな町で、どんな受講生たちが待っているのでしょうか?
 そして、一人でも多くの人が温泉に興味を持ってくれて、温泉を好きになってくれたら、こんな幸せなことはありません。

 あなたの町にも行きますよ、待っていてくださいね!
   


Posted by 小暮 淳 at 22:54Comments(0)講演・セミナー