2018年11月30日
三人会
絵本作家のN氏とは、かれこれ30年の付き合いになります。
イラストレーターの I 女史とも、20年以上になります。
年齢はバラバラで、僕を真ん中に三世代のひらきがあります。
なんと! N氏と I 女史とでは親子ほどの歳の差があるのです。
でも僕らは、とっても仲良しです。
なんと! 以前にはバンドを組んでいたこともあるのです。
N氏はドラム、僕はギター、そして I 女史がボーカルでした。
※(バンドは、すでに解散しています)
ところが、今になって思えば、“3人だけ” で会ったことがありません。
まして、“3人だけ” で酒を酌み交わしたことも……
いつも、まわりには他のメンバーや仲間がいたのです。
「じゃあ、3人で飲もう!」
「わ~、楽しそうですね」
ということで、突然、“三人会” が発足されました。
きっかけは、今月中旬に高崎市で開催された、落語家の三遊亭圓馬師匠と講談師の神田松鯉師匠の 「二人会」 というイベントの打ち上げの席でした。
I 女史は主催者の一員ということもあり、車で会場入りしたため宴席でもノンアルコールでした。
一方、N氏と僕は酩酊状態です。
「ああ、電車で帰るの面倒くさ~い!」
「でも、今行かないと最終に間に合いませんよ」
2人の会話を聞いていた I 女史が、ひと言。
「いいですよ、気にしないで飲んでください。私が2人を送って行きますから」
ヤッター! そのひと言を待ってました!
というか、わざと聞こえるように言ったんですけどね。
それにしても、持つべきものは元バンド仲間であります。
そして伊達に長い付き合いをしていませんって!
帰りの I 女史の車中にて
「ありがとう。本当、いつも感謝しています」
「タクシー使ったら、高く付きますよ~」
「だよね……。よし、今度、2人でおごるよ」
ということとなり、今週、初の “三人会” が行われました。
もちろん会場は、我らのたまり場 「酒処H」 であります。
「あら、3人って、珍しいね」
とママに言われるほど、3人が一緒にいるシチュエーションは、誰から見ても珍しいのであります。
飲むほどに、酔うほどに、3人が三様、雄弁に語ります。
世代を超えて、性別を超えて、長い付き合いが続いています。
ありがとう!
祝、結成!
“三人会”
2018年11月28日
尻焼温泉 「星ヶ岡山荘」
尻焼(しりやき)温泉ね、ああ、行ったことがあります。
川がそのまま風呂になっている温泉ですよね。
確か、何軒か宿があったと思うけど……
星ヶ岡山荘なんて、あったかしらん。
と思われた人もいるのではないでしょうか?
「星ヶ岡山荘」 は昨年の春にオープンした、尻焼温泉で一番新しい旅館です。
といっても以前は 「関晴館」 という老舗旅館でした。
尻焼温泉は旧六合(くに)村(中之条町) にある “六合五湯” の1つ。
中でも一番山奥にあるため、温泉地として開発されたのは昭和になってからでした。
温泉の発見は古く嘉永7年(1854) と伝わります。
村人たちが菅(すげ)や萱(かや) などを川底から湧き出す温泉に浸して、足で踏んでやわらかくして、草履(ぞうり)や筵(むしろ) を編むために利用していたといいます。
この作業は 「ねどふみ」(湯に寝かせて踏むの意味) といわれ、現在でも行われています。
手前の花敷(はなしき) 温泉が古くから開けていたのに比べ、この地の開発が遅れた理由は、花敷からの道が急峻だったことと、温泉周辺におびただしい数のヘビが棲息していて、人々を寄せ付けなかったからだといいます。
昭和元年(1926)、花敷温泉の老舗旅館 「関晴館」 の別館が、尻焼温泉に開業したのが温泉地としての歴史のはじまりでした。
のちに花敷温泉の本館が廃業したため、“別館” の名をはずして営業を続けていましたが、数年前に看板を下ろしてしまいました。
そして昨年、経営者が変わり、リニューアルオープンしたのが 「星ヶ岡山荘」 でした。
「いゃ~、見違えるほどにキレイになりましたね」
宿に着くなり、開口一番、僕はリニューアルされた館内を見渡しながら言いました。
「ありがとうございます。でも、浴室は前のままなんですよ」
と、和服姿で出迎えてくれた女将の大谷郁美さん。
「それが、いいんです!」
話には聞いていたので、僕はそれを確かめに来たのであります。
渓流、長笹沢川を望む露天風呂は、野趣に富んでいて、僕の大好きな露天風呂でした。
いえ、露天というよりは “野天” といったほうがしっくりくる、自然の中での湯浴みが堪能できる絶景風呂なのです。
湯屋への導線は、以前と変わっていません。
ただ内装は、昭和元年建築とは思えないほどに、新しくなっています。
そして、浴室のドアを開けると……
あの日、あの時に見た、同じ光景が出迎えてくれました。
「これ、これこれ、これじゃなくっちゃ!」
以前は、川を見下ろす露天風呂が男湯でしたが、今回は川辺に下りるほうが男湯でした。
ザザザザーーッ!!!
勢いよく、あふれ出る湯が川へと流れへ行きます。
なんて贅沢な光景なんでしょう。
加水なし、加温なし、で完全放流ができるなんて!
しかも、湯が冷めやすい露天風呂です。
源泉の温度と湯量に恵まれた温泉だからこそ味わえる贅沢なのであります。
「これでイイのだ!」
バカボンのパパなった気分で、川面を眺めながら至福の時を過ごしました。
2018年11月26日
ガンバレ! 人生百年
去年よりも今年、先月よりも今月と、日を追うごとに急速に老化が進んでいます。
僕の両親のことです。
オフクロは91歳。
脳梗塞と脳出血を患い、現在でもリハビリ施設に入院しています。
体の麻痺や言語障害はなくなりましたが、体力が乏しく、寝たきりの生活を続けています。
オヤジは94歳。
この歳まで病気一つせず、生きてきました。
健康がとりえの人でしたが、10年前から認知症が進んでいます。
もう家族のことは誰一人分かりませんが、頭以外は “健康” なので、デイサービスとショートステイを組み合わせながら在宅介護をしています。
ただ、肉体の老化は、凄まじいスピードで進んでいます。
立つ、起きる、歩く、座るという動作は、一人ではできません。
当然、介助が必要なのですが、いよいよ、介助付きでも危なくなってきました。
段差があると足が上がらない、歩くのにも一歩がなかなか踏み出せない、何よりも立っているだけで膝から崩れ落ちてしまいます。
「あー、疲れたよ」
「疲れたって、今、立ったところだよ」
「横になりたいよ。布団を敷いておくれ」
「まだ昼間だよ。寝るには早いよ」
「そうかい、オレは何をしたらいいんだい?」
そんな堂々めぐりの会話が、繰り返されます。
でも、無理はありません。
足を見れば、ガリガリですもの。
太ももは、細ももです。
ふくらはぎもありません。
膝から下は、ただの棒のようです。
これでは、歩くことも立つことも、できませんって!
ただ、おかげさまで食欲だけはあります。
食べて、寝て。起きて、食べて。そして、寝て。
そんな毎日が、何年も続いています。
オヤジ、人生百年時代なんだってさ。
あと6年じゃないか!
がんばろうぜ!
もっと、足に筋肉を付けなくっちゃ!
イッチニ、イッチニ、イッチニ……
今日も僕のかけ声とともに、部屋からトイレまでの数メートルを頑張って歩いています。
2018年11月24日
民話と伝説の舞台 “裏” 講座
10年前も、そうでした。
突然、電話がかかってきて、
「講師をお願いできますか?」
と言われたのです。
その時に開講したのが、現在も続いている野外温泉講座です。
でも最初は、違ったんです。
「里山ハイキングの講師をお願いできますか?」
でした。
実は当時、僕は山歩きのエッセイを連載していました。
それを読んでいた担当者が、電話をくださったのでした。
でも僕は登山のプロではありません。
ライターとして、趣味の山歩きを取材対象としていただけでしたので、お断りしました。
すると今度は、
「温泉の記事も連載していますよね! 温泉の講師ではいかがでしょう?」
ということになり、温泉の講師は全国でも珍しいということもあり、お受けすることになりました。
で、今回です。
今夏に出版した 『民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん) を読まれた担当者から連絡がありました。
「先生のご本、売れていますね。書店のランキングを見ましたよ」
と、いきなり持ち上げられ、畳み込まれてしまいました。
でもね、今回も一応は、断ったんですよ。
「僕は民話の研究家ではありません。そういうのは専門家にお願いしたほうが、よろしいんじゃないですか?」
って。
そしたら、
「いえいえ、体当たり取材した、その舞台裏の話をしてください。きっと面白い講座になりますよ」
とかなんとか言われて、気安く返事をしてしまいました。
と、いうことで、来年1月~3月の第3火曜日にNHK文化センター前橋教室で、『ぐんま県 民話と伝説の舞台裏』 講座の講師をすることになりました。
ご興味のある方は、お問い合わせください。
■1月15日から3回 (1~3月)
■第3火曜日 10:30~12:00
■会員 7,776円 一般 8,780円 教材費 1,000円
●問合/NHK文化センター前橋教室 TEL.027-221-1211
※詳しい講義内容については、後日ブログにて公表します。
2018年11月23日
酒のためなら何処までも
「なんで、こだわるの?」
と問われれば、
「酒が好きだから」
としか答えようがありません。
群馬という地方で暮らす以上、車は手放せません。
仕事に、レジャーに、日々の生活に、車は最低必要条件なのです。
だから、のん兵衛には困ります。
“飲んだら乗るな、乗るなら飲むな”
社会ルールに従えば、不便を覚悟で、公共交通機関と徒歩を利用するしかありません。
僕は2006年から 「ちいきしんぶん」 という高崎市のフリーペーパーに、車を使わない旅のエッセイを連載しています。
山を登り、里を歩き、滝や渓谷をめぐるシリーズは、2011年に 『電車とバスで行く ぐんまの里山てくてく歩き』(上毛新聞) という書籍として出版されました。
おかげさまで、すぐに増刷され、今でも春と秋の観光シーズンには書店の特設コーナーに陳列していただいています。
なぜに、長きにわたり読者に愛されているのか?
それは “不便な旅” を楽しみたいからに、ほかなりません。
ま、僕の場合、不便を楽しみたいからではなく、酒が飲みたいからなのですが、結果、不便も一緒に楽しんでいます。
昨日は丸一日、JRと私鉄の電車を乗り継いで、往復1時間半も歩いて、酒を飲んで来ました。
今回のテーマは、“晩酌” です。
これからの寒い季節、やっぱ熱燗が恋しくなります。
燗をするとなれば、やっぱ甘口の酒です。
県内でも唯一、もち米を使って甘口の酒を造っている酒蔵があるというので、訪ねてきました。
冷えた体に染み渡る、燗の酒!
酒自体に味があり、つまみが無くてもクイクイといけてしまうのが、甘口のなせる技です。
淡麗や辛口の酒が多過ぎると、お嘆きの貴兄、世の中捨てたもんじゃありませんぜ!
まだまだ晩酌専用の硬派な酒を造り続けている蔵人が、群馬にはいるんです。
ちょっぴり試飲が過ぎてしまい、ほろ酔い千鳥足で歩き出しました。
無人駅で電車を待つ間の風の冷たさが、いいのです。
「さ~、夕陽が沈むぞ~! 本番は、これからだ~!!」
と、カメラマン氏と連れ立って、夜の街へと繰り出したのでありました。
※次回 『群馬の地酒 ほろ酔い街渡(ガイド)』 は、「ちいきしんぶん」 12月21日号に掲載されます。
2018年11月21日
美肌と温泉と空っ風
今年も最下位でした!
毎年、化粧品会社が発表している 「ニッポン美肌県グランプリ」 です。
これで群馬県は、3年連続の最下位です。
昨年までは、テレビや新聞から取材を受けたんですけどね。
「全国屈指の温泉県なのに、どうしてなんでしょう?」 的な。
さすが3年目となると、温泉とのこじつけ取材は来ませんでした。
だから、あえて大きな声で言います。
「美肌ランキングと温泉は関係ありません!」
このグランプリ、上位の県をみれば、理由は一目瞭然です。
1位は島根県、2位は秋田県、3位は石川県……
そのあとも日本海側が続きます。
いわゆる、日照時間が短く、湿気の多い土地です。
一方、群馬県は日照時間が長く、紫外線を浴びやすく、湿気が少なく、冬には乾燥した “空っ風” が吹き荒れます。
肌にとっては、劣悪な環境なのです。
「温泉があるのにね」 と言われても、それ以上の過酷な土地ということです。
でも、恩恵もあります。
日照時間が長いということは、農作物の生育には好条件です。
だから群馬の野菜はうまいんです!
年間の生産量だって、全国5位以内の品目が20種もあるといいますから、まさに太陽の恵みを十分に活用している県なのです。
もし、これに温泉の効能が加わったら……
群馬県は肌には劣悪な土地なのに、美肌県グランプリのランキングは常に上位!
なーんてことになったら、群馬の “湯力(ゆぢから)” を証明できるんですけどね。
県民のみなさん、いかがですか?
もっともっと温泉に入って、美肌ランキングを上げましょう!
2018年11月19日
暮れ展の季節
今年も届きました。
墨一色で刷られた鬼の版画が印刷されたDM。
『でくの房 暮れ展』 のお知らせです。
「でくの房」 とは、木彫家で版画家で絵本作家でもある野村たかあきさんの工房であります。
そして 「暮れ展」 とは、年に1回、工房が一般開放される企画展であります。
野村さんといえば、読者の方は覚えていますよね!?
今年の8月、野村さんの絵本原画展の会場で、僕がゲストに呼ばれてトークショーを行いました。
※(当ブログの2018年7月4日 「ふたりのトークショー」 参照)
あの日は、僕の新刊 『民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん) 出版を記念した先行販売サイン会も同時開催していただき、僕の読者だけではなく、野村さんのファンの方々も大勢来てくださいました。
改めて、野村さんの知名度とファン層の厚さに、驚かされました。
そんな野村さんの工房が1年に1度、作品の展示会場となるのが 「暮れ展」 なのです。
開催初日の昨日、一番乗りで、会場を訪ねました。
(僕は毎年、初日に一番乗りをして、芳名帳の一番最初に署名することにしています)
会場には、野村さんの木彫や版画の展示のほか、絵本の販売がされています。
でも僕のお目当ては、ここでしか買えない木版画のカレンダーです。
ファンなら必ず毎年、年末になると購入するレア物であります。
・鬼月から暦 500円
・鬼の木版画ごよみ 1,000円
来年のことを話すと “鬼が笑う” といいますが、いいではありませんか!
大いに笑い、笑われながら、平成最後の正月を迎えましょう!!
『でくの房 暮れ展』
●会期 平成30年11月18日(日)~12月2日(日)
午前11痔~午後5時 (入場無料)
●会場 でくの房 TEL.027-243-7061
群馬県前橋市朝日町4-1-18
2018年11月18日
パネディスを終えて
昨日、僕が代表を務めるNPO法人 『湯治乃邑(くに)』 主催による公開パネルディスカッションが、高崎市産業創造館にて開催されました。
今年で、第3回を迎えました。
テーマは、一貫して “湯治場の復活を考える”。
消えゆく群馬の一軒宿を救済するべく、3年前の設立当初より掲げているテーマであります。
毎回、温泉関係者のほか、医療や介護など多方面からゲストを招き、楽しくて、ためになる温泉トークをしています。
今回は、日本の温泉文化を群馬からユネスコ無形文化遺産へ登録させようという運動を起こした高崎商科大学特任教授の熊倉浩靖さんと、僕が 「温泉大使」 を務める四万温泉(中之条町) から温泉協会事務局長の森博昭さんをお招きして、たっぷりと2時間にわたるトークショーを行いました。
熊倉さんは、日本の温泉文化のすばらしさと、なぜ今、群馬からなのか?について、資料を交えながら分かりやすく解説してくださいました。
森さんは、県内でも希少な湯治文化が残る四万温泉の歴史と、現代に継承された新しい湯治スタイルについて説明していただきました。
僕にとっても目からウロコの発見があり、ワクワク、ドキドキの楽しい2時間でした。
何よりも3回目にして一番の収穫は、参加された聴講者たちの幅広さでした。
年齢、性別を問わず、県内外から参加してくださいました。
下は40代から最高齢は90歳まで。
新幹線に乗って、わざわざ東京から来てくださった方もいました。
そして、みなさん、本当に熱心に聴いてくださいました。
今までになく、メモを取られていた人が多かった!
また、テレビや新聞など報道関係者が参加してくださったのも、新たな展開といえます。
最初は、一人の “温泉バカ” の小さなつぶやきでした。
でも、それが少しずつですが誰かに届き、声は大きくなりつつあります。
「このままではいけない」 「未来に温泉を残したい」
小さなつぶやきが、いつしか大きなうねりとなって、日本中を駆け抜ける日が来ることを夢見ています。
参加してくださったみなさん、本当に本当に、ありがとうございました。
これからも 『湯治乃邑』 の活動に、ご支援およびご鞭撻をよろしくお願いいたします。
2018年11月15日
あっぱれ! くまざわ書店
「小暮さん、続々と書店から追加注文が入っています!」
今週、出版元の担当編集者から興奮気味に、電話がありました。
8月に出版した新刊 『ぐんま謎学の旅 民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん) のことです。
著者としては、嬉しい限りであります。
「なかでも、くまざわ書店は圧巻ですよ!」
くまざわ書店とは、高崎駅ビル内にある大きな書店です。
一昨日、高崎市まで行く用事があったので、店をのぞいてみました。
お、お、おおおおおーーー!!!!
す、す、すごーーーーーい!!!!
入口正面の目の高さの棚に、ポップ付きでディスプレイされているではありませんか!
しかも、そこだけではありません。
奥の郷土書籍のコーナーにも、ポスター貼りでディスプレーされています。
とにかく、目立ちます。
さらに極め付きは、新聞の掲示です。
2ヶ所とも、本のまわりに、
① 日経新聞(9月8日付)
② タカタイ【高崎タイムス】(9月14日付)
③ 上毛新聞(9月16日付)
④ 毎日新聞(9月17日付)
掲載された4紙すべての書評や記事が、ご丁寧にラミネート加工され、ディスプレイされているのです。
まさに “破格の扱い”、圧巻であります。
あっぱれ! くまざわ書店。
店長をはじめとする従業員のみなさん、ありがとうございます。
今後とも、よろしくお願いいたします。
2018年11月13日
あめ玉とえびせん
「こんにちは。最近、おじいさんを見かけませんけど……」
愛犬のマロ君を散歩させていると、近所の人から声をかけられます。
「ええ、めっきり足が弱ってしまいましてね」
「おいくつになられました?」
「94歳になりました」
「あれ、まあ、ご長寿ですこと。お元気なんでしょう?」
「ええ、おかげさまで、頭と足以外は」
終わりある介護生活も終盤を迎えています。
オフクロは91歳。
脳梗塞と脳出血の後遺症もあり、リハビリ施設に入院しています。
まさに寝たきりの状態で、いつ訪ねていっても、爆睡状態です。
声をかけても、体をゆすっても起きないことが多く、そんなときは、そっと着替えと洗濯物を交換して帰ってきます。
オヤジは、相変わらずです。
それでも1年前と比べると、確実に老化は進んでいます。
完全に自力歩行ができなくなりました。
足の筋肉が衰えてしまったようです。
立ったり、座ったり、トイレへ行ったりは、介助なしでは動けません。
以前のように徘徊する心配はなくなりましたが、依然、片時も目は離せません。
自分は歩けると思い込んでいるので、一生懸命に立ち上がろうとします。
ところが手も足も力尽きて、ゴロンと転倒します。
そして、そのままカメのように起き上がることはありません。
なので、片時も目が離せないのです。
以前、ブログに 『キャラメル作戦』 というタイトルの記事を載せたところ、各方面から反響をいただきました。
介護中、目を離したい時に、キャラメルやあめ玉をオヤジの口に入れて、時間を稼ぐという話です。
※(2018年9月18日付、参照)
最近は、これに加え “えびせん戦法” も併用しています。
「かっぱえびせん」 です。
これまた、オヤジの大好物であります。
小さな菓子鉢に、えびせんを数個入れて渡します。
オヤジは歯がありませんので、これを1つずつ口に入れて、しゃぶりながら溶かして食べます。
菓子鉢に5~6個も入れておけば、かなりの時間、ジッとしていてくれるのです。
この間に僕は、仕事場へ行き、メールのチェックや資料探しをしています。
介護が長引けば長引くほど、こちらも知恵をつけるものです。
2018年11月10日
逃げろ!子どもたち!!④ いじめの呪縛
<変身ヒーローが集団で正義を振りかざすようになってから、子供たちのいじめがひどくなった>
という一文を小説の中で見つけました。
なるほど、その昔は、ヒーローは1人で、敵の悪人も1人、もしくはプラス、手下が大勢でした。
いつからか戦隊モノという複数のヒーローが現れて、1人(1匹?) の悪者(怪人) をよってたかって成敗するようになったのです。
“正義” という御旗の下、みんなで懲らしめるのです。
またしても、イヤなニュースが飛び込んできました。
都内の中学2年生の女子が、いじめから逃れるために転校したにもかかわらず、SNSによる誹謗中傷はなくならず、電車に飛び込んで自殺を図ってしまいました。
僕は、たびたび、このブログでも子どもたちに、「逃げろ!」 と言ってきました。
「学校がすべてじゃないんだ」 って。
とりあえず、逃げれば、新しい何かが始まるのだから……って。
だから、この女子は、親と先生に相談して、転校までしたのです。
なのに、なのに、なのに! なぜ?
いじめからの “逃亡説” を唱えていた僕には、いまだに激震が襲っています。
だって、逃げても逃げても “いじめ” が、追いかけて来るのですから!
SNSという見えないロープが巻きついて、恐怖でがんじがらめになるのです。
はたして、子どもにスマホは必要なのでしょうか?
我が家の3人の子どもたちには、高校生になるまでケータイを持たせませんでした。
さらにケータイを持つ条件として、“通信料は自分で払うこと” を約束させました。
だから当然、アルバイトを始めました。
自分で払えば、使い過ぎることもありません。
でも、あれから、さらに時代は変わりました。
ケータイは通信機器ですが、スマホはコンピュータです。
便利ではあるけれど、その先には計り知れない危険が隠されています。
大人だって使いこなせなくて、ガラケーに戻る人がいるのですから、まだ社会を知らない子どもに持たせるには、危険過ぎる “オモチャ” だと思うのです。
もし、この自殺した女子が、いじめから逃れるためにスマホを放棄していたら……
そしたら転校した学校で、仲間はずれにされていたのかもしれませんね。
ここまで来ると、さすがに降参です。
いじめは、“昭和の頭” では解決しそうにありません。
2018年11月07日
2週連続オンエア!
「生放送じゃ、ないんだ?」
「ええ、まあ、小暮さんの場合は……」
「えっ? なんで?」
「はあ……、なんというか、話が面白過ぎるというか……(苦笑)」
先日のエフエム群馬の収録前、打ち合わせの席でのことです。
馴染みのディレクターが、しどろもどろに答えます。
「俺の話が長いってか? 編集しないと時間内に収まらないということね」
「はい! いや、そうでじゃなくて、なんていうか、あのー、リスナーに、たっぷり話を聞いていただきたいので……(涙笑)」
ということで、なんと2週にわたり出演することになりました!
番組は 「G☆FORCE」。
パーソナリティーは、竹村淳矢さんと櫻井三千代さん。
「人間力向上委員会」 のコーナーで、たっぷりとお話します。
テーマは、題して “民話と伝説の舞台裏”。
新刊 『民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん) の取材秘話や舞台の裏話など、3人で爆笑バトルトークいたします。
※(関連ブログ=2018年11月3日 「民話と伝説の舞台裏トーク」 参照)
お聴き逃しなく!
●放送局 FMぐんま (86.3MHz)
●番組名 「G☆FORCE」 人間力向上委員会
●放送日 前編/2018年11月12日(月) 13:01~
後編/2018年11月19日(月) 13:01~
2018年11月06日
マロの独白(43) センダングサ撲滅作戦
こんにちワン! マロっす!!
ここんちの飼い犬、チワワのオス、12才です。
お久しぶりでやんした。
めっきり朝夕が寒くなりやしたね。
それでも日中は日差しがたっぷりで、散歩には最高の季節でやんす。
でも、でもでもでもーー!!!
この時季は毎日、ご主人様のカミナリが落ちっぱなしなんです。
読者の方なら、もう、お分かりですよね?
そう、“くっつき虫” の季節なんです!
ご主人様の言うところの 「くっつき虫」 とは、「センダングサ」 という雑草のことです。
図鑑によれば、
<葉が羽状複葉で、樹木のセンダンに似ているのでこの名がある。やや湿り気のある道ばたや川原に生える一年草。>
とありますが、問題は、その “実” なんでやんす。
<線状の実が放射状に集まってつく。実の先端には下向きの刺があり、動物や衣服にくっついて運ばれる。>
「おい、バカマロ! そっちへ行くな! くっつき虫がいるだろ!」
「あーーー、ほら、いったこっちゃない! 全身くっつき虫だらけじゃないか!」
と、毎日毎日、ご主人様のお怒りに触れてしまうのです。
というのも、オイラ、チワワでも毛の長いロングコートなんでやんすよ。
だから、ちょっと草むらに入っただけで、“けっこう毛だらけマロくっつき虫だらけ” になってしまいます。
「バカマロ! これ全部取るの大変なの分かっているだろ?」
「ごめんなさい、ご主人様」
「何度言ったら分かるんだよ。今度やったら、散歩は中止だからな」
「えっ、そんな……。悪いのオイラじゃなくて、くっつき虫なんだけどな……」
ある日のこと。
いつもはオイラが先に歩いて、ご主人様が後ろからついて来るのですが、気が付いたら逆になっていました。
ご主人が先を歩いて、道ばたにしゃがみ込んでは、何かをなさっています。
「ご主人様、何をしているのですか?」
「ほーら、こんなに抜けたぞ!」
「あっ、くっつき虫じゃないですか!!」
そーだったのです。
ご主人様は、オイラが通る前に、道ばたのセンダングサを抜いて歩いていたのです。
「これから毎日、散歩コースのくっつき虫を退治しような」
「それは名案ですね。さすが、ご主人様です」
それから数日経った昨日のこと。
いつものように、洗面所で足を洗ってもらっている時です。
「あれ、なんだよ、マロ! 首の下に、こんなにもくっつき虫がいるじゃないか! どこで付けたんだ?」
「いえ、知りません。いつもの散歩コースを歩いただけですよ」
すると、ご主人様ったら、
「うーーーーっ、にっくき、くっつき虫よ! かんべんならん! こうなりゃ、徹底的に抜き取ってやる。明日からは撲滅作戦だー!!!!」
と、怒り心頭のご様子。
ご主人様、がんばれ~!
オイラは、高みの見物でやんす。
2018年11月04日
7年ぶりのランクイン
今朝、のんびりとコーヒーをすすりながら、何気に新聞をめくっていました。
すると、
おっ! おおおおおーーー!!!
目に留まったのは、“小暮淳” という自分の名前でした。
寄稿した記事でもなく、取材を受けた記事でもありません。
上毛新聞の 「読書」 欄であります。
「週間ベスト10」 (10月21日~27日、前橋・煥乎堂本店調べ)
この 「単行本・新書」 の売り上げランキングの10位に僕の名前があるのです!
⑩ぐんま謎学の旅 民話と伝説の舞台 (小暮淳、ちいきしんぶん、1000円)
今年8月に出版した新刊であります。
僕の本が最後に、このランキングに登場したのは2011年10月でした。
著書は 『あなたにも教えたい四万温泉』(上毛新聞社)。
その後も毎年、本を出版してきましたが、書店の売り上げランキングに載ることはありませんでした。
7年ぶりの快挙であります!
今日は朝から出版・編集にたずさわった関係者から、祝福のメールが飛び交っています。
みなさん、ありがとうございました。
今夜は、7年ぶりの美酒に酔いたいと思います。
2018年11月03日
民話と伝説の舞台裏トーク
今週、エフエム群馬のスタジオにて、収録をしてきました。
番組は、ご存じ! 「G☆FORCE」 であります。
そしてパーソナリティーは、これまた人気不動のあのおふたり!
竹村淳矢さんと櫻井三千代さんであります。
前回の出演は昨年秋、中之条町からの公開生放送でした。
僕は、中之条町観光大使としてゲスト出演しました。
そして、今回は……
毎年僕は、春に温泉本のPRを兼ねて、スタジオにお邪魔してしています。
だから、いつもならば 「おなじみの “淳” レギュラーのジュンジュンこと、温泉ライターの小暮淳さんをお迎えして」 と始まるのですが、今回は違いました。
そーなんです!
温泉ライターとしてではなく、“謎学ライター” として出演してきました。
今年8月に出版した新刊 『ぐんま謎学の旅 民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん) のPRを兼ねて、民話と伝説に隠されたミステリーの読み解き方なんぞを、たっぷりと話してきました。
まー、話がはずんではずんで、ころがって、とんでもない方向にまで盛り上がってしまいました。
竹村さんも櫻井さんも、すでに本を熟読しているものだから、内容に詳しいんです。
僕に浴びせる質問だって、かなりコアなんです。
だから気が付いたら三つ巴のトークバトルが過ぎて、ディレクターから目線で仲裁が入るほどでした。
「あれ、本を読んだ人しか分からない盛り上がり方でしたよ」
収録終了後、僕が言うと、櫻井女史いわく、
「いーの、いーの、あれ聞けば、リスナーは本を読みたくなるから」
まあ、それくらい白熱した謎学の “舞台裏トーク” だったのであります。
今回は特番で、2週にわたり放送されます。
詳しくは後日、告知いたします。
お楽しみに!
2018年11月01日
湯宿温泉 「湯本館」④
「小暮さん、お久しぶりです。あーーーっ、ああ、頭が~!!!!」
相変わらずのオーバーリアクションで、出迎えてくださいました。
とってもユニークな方なんです。
だから僕も応えました。
「そーなんですよ、ちょっと竜宮城に行ってましてね。帰って来て、玉手箱を開けたら、このとおり、真っ白になってしまいました」
昨日は雑誌の取材で久しぶりに、みなかみ町の湯宿(ゆじゅく)温泉 「湯本館」 を訪ねました。
ご主人の岡田作太夫さんは、21代目であります。
代々館主は 「作太夫(さくだゆう)」 を襲名するのですが、21代目は本名も “作太夫” であります。
「父も祖父も曽祖父も本名は違いました。しばらく作太夫がいなかったので、父が私に付けたようです。でも本名は “さだお” と読みます」 と以前、話していました。
ところで、古い読者は 「海パンカメラマン」 という言葉を覚えていますか?
僕の入浴シーンを撮影するために、あえて自分も湯舟に入るため水着を着用するプロ根性のあるカメラマンことです。
「おおおおおーーー! 竹ちゃんじゃないか! 久しぶりだな~、また組めるなんてうれしいよ。よろしくな!」
「いゃ~、僕は小暮さんをいつもテレビや雑誌で見ているから、あんまり久しぶりの感じがしませんよ。頭が白くなったことだってテレビで見て知っているし」
湯本館の玄関で、初代海パンカメラマンの竹ちゃんと、感動の再会をしました。
竹ちゃんは、過去には雑誌連載のパートナーであり、拙著 『群馬の小さな温泉』(上毛新聞社) の表紙およびグラビア写真を撮ったカメラマンであります。
※(詳しくは、当ブログの2010年8月12日 「竹ちゃんの逆襲」 を参照)
そんな感動のダブル再会でスタートした取材だもの、テンションもアゲアゲです。
「小暮さん、いいですね。はい、その顔、いただきました!」
「は~い、ここまで歩いて来てください。はい、そこで立ち止まって、目線ください!」
相変わらずの竹ちゃん節が飛び出して、いつもよりもサービスショット多めの撮影となりました。
湯宿温泉の熱い湯も、なんなくクリア!
素晴らしい入浴シーンが撮れました。
竹ちゃん、これからも、よろしく頼むぜ!
ご主人、ご協力ありがとうございました。