温泉ライター、小暮淳の公式ブログです。雑誌や新聞では書けなかったこぼれ話や講演会、セミナーなどのイベント情報および日常をつれづれなるままに公表しています。
プロフィール
小暮 淳
小暮 淳
こぐれ じゅん



1958年、群馬県前橋市生まれ。

群馬県内のタウン誌、生活情報誌、フリーペーパー等の編集長を経て、現在はフリーライター。

温泉の魅力に取りつかれ、取材を続けながら群馬県内の温泉地をめぐる。特に一軒宿や小さな温泉地を中心に訪ね、新聞や雑誌にエッセーやコラムを執筆中。群馬の温泉のPRを兼ねて、セミナーや講演活動も行っている。

群馬県温泉アドバイザー「フォローアップ研修会」講師(平成19年度)。

長野県温泉協会「研修会」講師(平成20年度)

NHK文化センター前橋教室「野外温泉講座」講師(平成21年度~現在)
NHK-FM前橋放送局「群馬は温泉パラダイス」パーソナリティー(平成23年度)

前橋カルチャーセンター「小暮淳と行く 湯けむり散歩」講師(平成22、24年度)

群馬テレビ「ニュースジャスト6」コメンテーター(平成24年度~27年)
群馬テレビ「ぐんまトリビア図鑑」スーパーバイザー(平成27年度~現在)

NPO法人「湯治乃邑(くに)」代表理事
群馬のブログポータルサイト「グンブロ」顧問
みなかみ温泉大使
中之条町観光大使
老神温泉大使
伊香保温泉大使
四万温泉大使
ぐんまの地酒大使
群馬県立歴史博物館「友の会」運営委員



著書に『ぐんまの源泉一軒宿』 『群馬の小さな温泉』 『あなたにも教えたい 四万温泉』 『みなかみ18湯〔上〕』 『みなかみ18湯〔下〕』 『新ぐんまの源泉一軒宿』 『尾瀬の里湯~老神片品11温泉』 『西上州の薬湯』『金銀名湯 伊香保温泉』 『ぐんまの里山 てくてく歩き』 『上毛カルテ』(以上、上毛新聞社)、『ぐんま謎学の旅~民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん)、『ヨー!サイゴン』(でくの房)、絵本『誕生日の夜』(よろずかわら版)などがある。

2019年07月31日

夏だ! ビールだ! 屋上ガーデン


 夏が来た!

 いよいよ梅雨が明けて、関東地方にも待ちに待った夏がやって来ました。
 と思ったら、いきなり連日、35℃超えの猛暑です。

 あつい、アツイ、暑すぎる~!!

 こんな日は、ガンガンにクーラーの効いた屋内で、キンキンに冷えたビールを飲むのもいいですが、たまにはダラダラと汗をかきながら、豪快にグビグビとビールを飲み干すのも悪くはありません。
 ということで昨夜は、今年最初のビアガーデンを満喫して来ました。


 場所はJR前橋駅前のビルの屋上。
 時間は午後6時。
 エレベーターを降りた途端、ムッとする熱気が全身に張り付いてきました。
 たぶん外気は、まだ優に30℃以上ありそうです。

 「カンパーイ!」
 「ビアガーデンなんて、何年ぶりだろうか?」
 「ほとんど記憶にありませんね」
 「この会でも、初めてですよね」

 集まったのは、僕のことを勝手に “先生” とか “師匠” とか呼ぶ、自称・温泉マニアの面々。
 通称、「弟子の会」。
 3年前から2ヶ月に1回、こうやって集まって、酒を酌み交わしながら温泉談義を繰り返しています。

 今回の会場選びは、幹事のSさんの 「次回は、もう梅雨も明けていることでしょうから、ビアガーデンにしませんか?」 の一言で決まりました。
 ところが、いざ、飲み始めると、不安が……


 ゴロ、ゴロ、ゴロ
 遠くの空に、黒雲が立ち込め始めたのであります。

 「大丈夫ですよね。先生は “奇跡の晴れ男” ですから?」
 みなさん、ブログをお読みのようで、僕が超能力の持ち主であることをご存じのようであります。
 「ええ、大丈夫ですよ。安心して、飲んでください」
 と胸を張って言ったのも束の間、

 ポツ、ポツ、ポツ
 と大粒の雨が……

 「先生、これ使ってください。借りてきましたから」
 弟子の1人が、人数分の傘を持って走ってきました。
 あたりを見回せば、傘を差しながら飲んでるテーブルが、ちらほら。

 「だから大丈夫だって! ほら、見てごらん、あれは雨雲じゃないよ。すぐに止むから」
 と、僕は一心に念じ始めました。

 エロイムエッサイム、エコエコアザラク、テクマクマヤコーーーーン!!!!!!
 えーーーーっい!

 すると、どうでしょうか!
 本当に、ピタリと雨は止みました。


 「先生は、魔法使いですか?」
 「いえ、今はやりの 『天気の子』 の祖父です(笑)」


 そして僕らは、料金の元を取るべく、ジョッキを片手に会場内を何往復もしたのでした。

 夏だ! ビールだ!
 やっぱ、ビアガーデンは最高!
  


Posted by 小暮 淳 at 12:26Comments(0)酔眼日記

2019年07月29日

奇跡の晴れ男


 台風6号、接近中!

 「心配ですね」
 朝からバンドのメンバー間で、メールが飛び交う中、一行は四万温泉(群馬県中之条町) を目指しました。
 『四万温泉 レトロ ロック フェスティバル』 に出場するためです。

 僕らのバンドは、連続8回出場の最古参バンド。
 今年もイベントの大トリを務めます。
 雨だろうが、嵐だろうが、行かないわけにはいきません!


 前橋を出た時の天気は、時おり日の差す曇り空。
 気温は30℃と、かなり蒸し暑い。

 中之条町に入り、気温は28℃。
 国道353号を四万温泉へ向かうに連れて、外気は1℃、また1℃と下がっていきます。
 到着したのは午後3時。気温は25℃。
 だいぶ、しのぎやすくなりました。

 と、と、ところが、四万川河川敷の特設会場に着いた途端、ポツリ、ポツリ、と雨が降り出しました。
 「朝から、こんな感じです。降ったり止んだりですよ」
 とイベント実行委員のスタッフ。
 だから、僕は言ってあげました。

 「もう、ご安心ください。晴れ男が来ましたから!」

 僕は60年間の人生で、野外イベントで雨に降られたことは、数えるほどしかありません。
 また朝から雨でも、その時だけ晴れたり、と数々の奇跡を起こしてきました。

 「大丈夫です!」
 と大見得を切ったのですが……


 雨は次第に大降りとなり、僕らの1つ前のバンドが演奏中には、バケツをひっくり返したようなドシャ降りとなってしまいました。
 「ここに来て中止はないでしょうね?」
 心配するメンバーに、スタッフが、
 「少し様子をみましょうか? 最後のバンドですから」

 だから僕は言ってやりました。
 「大丈夫です。ほら、西の空を見てください。山の稜線が見えますから、雨は上がりますよ」
 そして……


 「お待たせしました。それでは今年も大トリを務めてくださる 『じゅん&クァ・パラダイス』 のみなさんです」
 と、予定時刻に司会者がバンド紹介をしたときには、完全に雨は止み、薄日まで差していました。
 テントの中に逃げ込んでいた観客も、ステージ前に集まりました。

 完璧です。
 奇跡の晴れ男、参上!

 「みんな~、ノッテるか~い!」
 「イェーーー!!!!」


 平均年齢58歳。
 高齢オヤジバンドの熱く暑い夏が、始まりました。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:08Comments(2)ライブ・イベント

2019年07月26日

「なんとかなる」 と 「なんとかする」


 「なんで、フリーのライターになったんですか?」
 と訊かれることがあります。
 新聞社や雑誌社の記者ではダメなのか?ということのようです。

 格好つけて答えれば、
 「本当に書きたいことを書きたかったから」
 となりますが、本音を言えば、
 「組織に向いていないから」
 であります。

 人を使うのも、人に使われるのも、僕には向いていません。
 「独りがいい」
 という結論に達したのです。


 自分が組織に向いていない理由は、他にもたくさんありますが、自覚したきっかけがあります。
 それは、今から20年以上前のこと。
 僕は、小さな雑誌の編集長を任されていました。

 仕事のことでトラブルがあり、上司に呼び出されました。
 そのとき、僕が言った言葉が上司の逆鱗に触れました。
 「なんとかなります」
 すると、
 「なんとかなるじゃなくて、なんとかするんだよ!」

 でも僕の人生は、いまだに “なんとかなって” います。


 「なんとかする」 は、ヒーローのようでカッコイイ言葉ですが、ともすると自分の意思とは別の力が加わります。
 意思とは別の 「なんとかしよう」 という付加な力が加わると、ブレを生じます。
 結果、解決したように見えても、意に反した行動を取った自分を責めることになりかねません。

 一方、「なんとかなる」 は、その時点での自分のベストです。
 “人事を尽くして天命を待つ” の状態ですから、どんな結果になろうと甘んじて受けるしかありません。

 これが自分一人の仕事であれば、誰にも文句を言われる筋合いはありません。
 ので、フリーランスの道を選びました。


 そう答えると、たいがいは、
 「ふーん」
 と、うなられてしまいます。
 なかなか納得してもらえないようですが、それは、その人たちが “なんとかして” 生きているからだと思います。

 人間万事塞翁が馬

 人生は、いい事もあれば、悪いこともあるのです。
 できれば、ブレずに生きていたいものです。

 ただ、どちらが幸せかどうかは、別問題ですけども……

  


Posted by 小暮 淳 at 18:27Comments(0)つれづれ

2019年07月24日

北軽井沢温泉 「御宿 地蔵川」④


 「先生は、『天気の子』 だからな~!」
 受講生の1人が、今話題のアニメ映画になぞって、笑いを取りました。
 「ですよ、正真正銘の “晴れ男” ですからね。ご安心ください」
 和気あいあいの中、バスは国道17号を北上し、渋川市→中之条町→長野原町へと向かいました。

 2009年に開講したNHK文化センター前橋教室の野外温泉講座。
 早いもので、11年目を迎えています。
 毎月、第4火曜日にJR高崎駅と前橋駅からバスを出して、日帰りで県内外の温泉地をめぐっています。

 すでに100ヶ所以上の温泉地を回っているのに、この10年間で傘を差したのは、たった2回だけ!
 出発時は雨でも現地は晴れていたり、天気予報は雨でもギリギリ降られずに一日過ごしたり、奇跡の “晴れ男” ぶりを発揮してきました。

 まさに今回も、神業のように雨をかわしながらの温泉講座となりました。


 今回、お世話になったのは北軽井沢温泉(群馬県長野原町) の一軒宿 「御宿 地蔵川」 です。
 僕にとっては、2014年4月に出版した 『新ぐんまの源泉一軒宿』(上毛新聞社) の取材以来ですから、約6年ぶりになります。
 また、この講座では7年ぶりです。

 「ああ、なつかしい!」
 「ここで写真を撮りましたよね」
 と、古参の受講生が数人。
 でも、ほとんどの受講生が、今回初めて訪ねる宿です。


 「小暮さん、お久しぶりです」
 3代目主人の土屋基樹さんと、女将の幸恵さんが出迎えてくださいました。
 僕と土屋家との付き合いは、かれこれ15年になります。
 先代の父、勝英さんを取材したのが、きっかけでした。

 創業は昭和17年(1942)、勝英さんの母が旅館業を始めました。
 当時は 「地蔵川旅館」 といってました。
 勝英さんの代になり、「地蔵川ホテル」 と改名。
 その後、基樹さんの代になり現在の 「御宿(おやど) 地蔵川」 となりました。

 だから僕が最初に訪れた時は、まだ洋風の「地蔵川ホテル」 だったのです。
 今はリニューアルして、モダンな和風旅館になりました。


 「あっ、先生の本が売ってる!」
 「はーい、みなさん! まだ持ってない本があったら、ここでお買い求めくださーい!」
 とロビーに入るなり、話題は僕の著書に。
 さながらサイン会となってしまいました。


 入浴をして、食事をしている間、外は雷鳴がとどろき、スコールのようなドシャ降りの雨。
 ところが、バスに乗る頃にはピタリと雨が止み、高原の夏空が戻ってきました。

 「やっぱり、晴れ男ですね」
 と僕が言うと、
 「でも先生、梅雨が明けたら “曇り男” くらいにしておいてください」
 「そうですよ、熱中症は困ります」
 またしてもバスの中は笑いに包まれ、一行は県境を越えて軽井沢町へと向かいました。
    


Posted by 小暮 淳 at 11:38Comments(0)温泉地・旅館

2019年07月22日

過去から届いたセピア色のハガキ


 <お元気でしょうか? ぼくは相変わらず仕事に追われた毎日を送っています。もう完全にぼくの生活は、東京でぼくの手によって動いています。そして、これからも夢を追いつづける以上、この街で生活しつづけるつもりです。>


 今年になって、2月そして5月と続けて両親を看取りました。
 数ヶ月の間に、通夜も告別式も四十九日の法要も、2回ずつ済ませました。
 なんとも、あわただしい両親との別れでした。

 先日のこと。
 「おい、オヤジとオフクロの遺品整理を手伝ってくれ」
 アニキから連絡があり、久しぶりに実家に顔を出しました。

 「こんなの要らないよな? お前、使うか?」
 オヤジの服や靴などは、処分することにしました。
 「本は、どうする?」
 オヤジの蔵書は、アニキと目を通し、必要な書籍だけ互いが譲り受けることにしました。

 「ああ、そうだ! これオフクロの持ち物なんだけどさ。全部、お前のだから持って行ってくれ」
 と手渡された大きな紙袋が1つ。
 覗き込むと、それは……

 僕の小学校の時の絵や作文、孫の写真など、こまごまとした懐かしい思い出の品が、ゴッソリ入っていました。
 「わかった。後で、ゆっくり見るよ」
 と言って、持ち帰ってきました。


 母親とは、ありがたいものですね。
 どうでもいいようなガラクタのような物でも、何十年と大事に取って置いてくれるのですから。
 いえいえ、僕の子どもの時の思い出の品だけではありませんでした。
 大人になって、この仕事に就いてから書いた新聞や雑誌の連載記事までもが、ちゃんとファイルに収まっていたのです。

 「かあちゃん、ありがとう」
 あらためて、感謝の思いが募ります。

 しみじみと遺品に目を通していたら、パラリと1枚のハガキが落ちました。
 セピア色に黄ばんだ20円の官製ハガキです。
 あて先は、実家の住所。
 あて名は、両親。
 そして差出人は、20歳の僕です。
 住所は、当時暮らしていた東京都中野区のアパート。


 冒頭の文章が、ハガキの書き出しです。
 そして、こう続けられていました。

 <よって、すべて自分の力で生きてみたいので、家賃の仕送りはもういりません。(中略) もうぼくは、この年になってまで親の視野の中で生きているのはイヤなのです。わかって下さい。つらく、くるしい時もあると思いますが、必ず乗り切ってみせます。ぼくの人生ですから。体に気をつけてください。いつまでも元気で! 淳>

 この手紙を書いた覚えはありませんが、仕送りを断った記憶はあります。
 僕なりの 「親離れ」 「独立宣言」 だったようです。


 あれから40年が経ちました。
 オフクロは40年間も、このハガキを大切に持っていてくれたのですね。

 過去から届いたハガキですが、長い間親の愛情に温められていたため、熟成して発酵して、なんとも味のある色に輝いてみえます。
 今日からは僕が、後生大事にすることにしました。
   


Posted by 小暮 淳 at 18:54Comments(0)つれづれ

2019年07月21日

やっぱ 「あくざわ」 でしょ!


 「ご自分で、なさるのですか?」
 「あ…、はい」
 「大変ですよ」
 「は…、はい」

 ということで、先週から法務局通いが始まりました。
 2月にオヤジが亡くなり、財産相続やら登記変更やら、人生で初めての手続きが発生しました。
 普通は司法書士に頼むらしいのですが、「俺は、もう済ませたから、お前もして来い」 などと、まるで床屋にでも行くようなことをアニキが言うものですから、無知識のまま出かけてしまいました。

 そしたら、なんだか大変なようで……
 床屋で散髪するようなわけには行かなくなり、何回も通うハメになってしまいました。
 ま、相続するような財産は無いのですが、土地の所有権の移転よる登記変更など、色々と手続きが必要らしいのであります。


 ああ、面倒臭い!

 これが正直な感想ですが、人生ってのは気の持ちようで、どこにでも楽しみは転がっているのです。
 実は、法務局からは 「あくざわ亭」 が目と鼻の先!
 歩いて数分であります。

 「あくざわ亭」 とは、僕が子供の頃に通った焼きそば屋を、ファンが数十年ぶりに復活させた “話題” の焼きそば専門店です。
 ※(詳しくは、当ブログの2019年4月28日 「やっぱ肉玉でしょ!」 を参照)

 で、つい先日、この焼きそば屋が全国ネットのニュース番組で取り上げられたのであります。
 こんな北関東の群馬の前橋の、しかも超々マニアックな小さい焼きそば屋がですよ!
 偶然にも、僕はテレビを観ていて、
 「お、お、おおおおおーーーー!!!!! あくざわ、食いてぇーーー!」
 と、雄叫びを上げてしまいました。

 で、法務局へ行ったら、絶対に 「あくざわの焼きそばを食ってやる!」 と心に誓ったのであります。


 今回も迷わず “大” を注文。
 いわゆる昔は 「肉玉」 と呼ばれていた、肉と玉子の入った焼きそばです。
 メニューは、これ1種!
 サイズのみ選べます。

 うまいとか、まずいとか、ではないのです。
 ただただ、懐かしいのです。
 口の中で、噛めば噛むほど、味があの頃へ僕をいざなってくれるのです。


 「ごちそうさまです。ニュース、観ましたよ」
 「ありがとうございます」
 「やっぱり、反響がありましたか?」
 「ええ、それはもう」
 焼きそばの元ファンで現主人が、嬉しそうに厨房の奥で笑っています。

 「また来ます」
 法務局へ来た時にね!
    


Posted by 小暮 淳 at 17:37Comments(0)つれづれ

2019年07月19日

殺夢鬼に告ぐ


 <僕たちは、世界がすこしでも豊かに、わずかでも良くなることを願ってアニメを作っています。あまりにも酷すぎる事件です。> 新海誠監督
 <素晴らしいものを作ろうとしている方たちが理不尽に傷付けられることが悲しいです。ただただ悲しいです。> アニメ原作者の武田綾乃さん
 <涙とまらん どうしよう みなさん無事でいてください。なんかできることないんかな> 声優の種崎敦美さん
 <怒りでどうにかなりそうです。> 音楽プロデューサーのヒャダインさん


 続々、アニメ業界の関係者からSNSに悲痛な声が上がっています。
 僕も憤りが収まりません。
 京都市で平成以降最悪の放火殺人事件が起きてしまいました。
 33人もの若きクリエーターたちが、尊い命を失いました。

 通り魔事件、幼児虐待、ストーカー殺人、暴走車事故など、理不尽で悲惨な出来事が、日々、テレビや新聞で報道されます。
 その都度、被害の残虐さや大きさを知るたびに、悲しく、重い気持ちになります。
 でも、涙をこぼしたことはありませんでした。

 なのに今回の事件は、涙が止まりません。
 テレビのニュースを観ていても、新聞の記事を読んでいても、くやしくて、くやしくて、怒りが涙腺をつつくのです。


 何も知らず、何も分からず、ただ、いつものように、大好きな仕事をしていた若きクリエーターたち。
 突然、夢が殺されました。
 この怒りを、私たちは、どこへ、ぶつければいいのでしょうか?


 殺夢鬼に告ぐ

 未来を返せ!
   


Posted by 小暮 淳 at 18:22Comments(0)つれづれ

2019年07月18日

夏だ! 四万だ! レトロック!


 今年も四万温泉(群馬県中之条町) に、とっておきの夏がやって来ます!
 四万の夏といえば、そう! ライブです。

 2012年にスタートした 『レトロ通りの懐かしライブ』。
 「四万温泉大使」 である僕は、昨年まで連続7回すべて出演しています。
 もちろん今年も出演しますが、今年はちょっと違います。

 何が違うのか?

 まず、イベント会場が変わります。
 昨年までは、昭和レトロな温泉街の落合通りで開催していましたが、今年からは、さらにスケールアップして、四万川河川敷の特設ステージに移ります。
 それに伴い、イベントタイトルも 『SIMA RETORO ROCK FESTIVAL』 と改名されました。

 略して 「四万レトロック」 と呼んでください。


 そして、そして、僕らのバンド名も変わります。
 昨年までは 「KUWAバン」 として出演していましたが、バンマスである桑原氏が病気のため実質解散しました。
 ※(解散の詳細については、当ブログの2019年4月12日 「グッド・ラック~いつの日か~」 を参照ください)
 でも、ご安心ください!
 そもそも 「KUWAバン」 というのは、オリジナルソングを演奏する 「じゅん&クァ・パラダイス」 との合併バンドだったのです。
 ので、このたび、元のメンバーを呼び戻して、再結成をいたしました。

 ということで、入れ替わったメンバーは1人だけですので、ステージの顔ぶれは、ほとんど同じであります。
 毎年来られている常連客のみなさん、今年も声援をお願いいたします。


 そして、今年も我々のバンドが、ステージの大トリを務めます。
 全曲、オリジナルソングを歌います。

 ぜひ、みなさん、今年の夏も四万温泉で、お会いしましょう!



     SIMA RETORO ROCK FESTIVAL 2019

 ●日時  2019年7月27日(土) 11:00~16:45
 ●会場  四万温泉 桐の木平河川敷駐車場 特設ステージ
 ●出演  四万温泉認定アーティスト+新参加バンド=10組
 ●観覧  入場無料
 ●問合  四万温泉協会 TEL.0279-64-2321
  ※じゅん&クァ・パラダイスの出演は16:15~16:45の予定です。
    


Posted by 小暮 淳 at 16:32Comments(0)ライブ・イベント

2019年07月17日

マロの独白 (49) 犬生100年時代


 こんにちワン! マロっす。
 ここんちの飼い犬、チワワのオス、13才です。
 お久しぶりでやんす。

 えっ、気づかれました?
 そうなんです!
 オイラ、先週誕生日が来て、13才になりました。

 13才ですよ~!!


 「よっ、マロ、おめでとう」
 誕生日の日、ご主人様が、散歩から返って来ると、いつものように、いつもと同じおやつをくださいながら言いました。
 「えっ、(モグモグ)、あぁ、(モグモグ)、ありがとうございます」
 「マロ、いくつになったんだ?」
 「は、はい……(モグモグ、ゴックン)、13才になりました」
 「じゅうさんさい! ヒヒヒ」
 「何が、おかしいんですか?」
 「だって、犬の13才っていったら、かなりのジジイだぞ!」
 「かなりと言いますと?」
 「たぶん、人間でいうと80歳以上だろうな」
 「えーーーーっ、まさか! そんなことありませんよ。オイラを見てください。そんなにオジイサンに見えますか?」
 「だいぶ足腰が弱っているしな、見えないこともないぞ」
 「そ、そ、そんな~! ちゃんと調べてくださいよ」

 ということで、ご主人様がネット検索で、犬の年齢というのを調べてくださいました。
 それによると、なんでも犬の歳のとり方は、計算がかなり複雑のようであります。
 また小型犬と大型犬とでも、異なるようです。

 で、小型犬の場合、2才までに成人して、人間の年齢でいうと24歳にあたります。
 その翌年からは、1年につき4才ずつ歳をとる計算になるので……

 「ねえねえ、ご主人様、それで、オイラは人間でいうと何歳なんですか?」
 「ちょっと待ってろ、今、計算しているから……えーと、えーと」
 と悩んでいるご主人様に、オイラ、言ってやりました。
 「ねえ、ご主人様、年齢の早見表というのがあるんじゃありませんか?」
 すると、
 「おお、そうか、そうだよな……。あった!」
 と大声を上げたご主人様。
 そして、そのまま黙ってしまいました。

 「どうしたのですか? オイラは、いったい、何歳なんですか?」

 「思っていたより、ジジイじゃねーな。68歳だよ」
 「ろくじゅうはっさい! ショック!! 十分、オジイサンじゃないですか!?」
 「何言ってるんだよ。人間の68歳は、まだまだ現役だぞ! オレのまわりの70歳は、みんなバリバリ仕事をしているからな」
 「じゃあ、オイラもまだまだ大丈夫でやんすね?」
 「そうだよ、マロ。まだまだ現役だ! って、オマエは何が現役なんだ?」

 「はい、散歩とおやつと昼寝でやんすよ!」


 全国の老犬のみなさん、犬生100年時代の到来です。
 一緒に長生きしましょうね。
 ちなみに、人間の100歳にあたる犬の年齢は、20才だそうです。

 あと7年!
 ご主人様、よろしくお願いいたしやす。チワワン!
  


Posted by 小暮 淳 at 11:17Comments(2)マロの独白

2019年07月15日

大使と蔵元のイイ関係


 「ぐんまの地酒大使」 に委嘱されて、3ヶ月が経ちました。
 この間に僕は、イベントに参加したり、酒蔵の取材に出かけたりと、大使としての任務を果たすべく、微力ながら広報活動のお手伝いをしてきました。

 そのご褒美なんでしょうか?
 一昨晩、高崎市内のホテルにて群馬県酒造協同組合主催による 「蔵元との親睦会」 が開催されたため、出席してきました。
 当然ですが、群馬の地酒が飲み放題の宴席であります。


 出席された蔵元の中には、すでに取材でお世話になった方も数名いました。
 が、初めてご挨拶する蔵元もいて、その都度、「今度、取材させてください」 と、結局は仕事の話になってしまいました。

 でも、こんな話も飛び出しました。
 「温泉同好会というのを作っているんですよ」
 蔵元の中に、温泉好きが何人かいるようです。
 「ぜひ、私も入れてください」
 と言えば、
 「では、小暮さんは顧問ということで」
 とかなんとか持ち上げられて、
 「まずは、どこの温泉へ行きましょうか?」
 なんて、話が盛り上がってしまいました。


 温泉と地酒、なんて相性がイイんでしょうか!

 群馬の温泉をめぐり、群馬の地酒に酔いしれる。
 これぞ、両方の大使である僕の望むところです!

 なんか、イイ感じになってまいりました。
  


Posted by 小暮 淳 at 18:35Comments(0)大使通信

2019年07月14日

表紙画展 今日から開催!


 いよいよ、始まりました!
 戸田書店高崎店の特設スペースにて、拙著 『ぐんま謎学の旅 民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん) の出版1周年を記念した 「『民話と伝説の舞台』 栗原俊文 表紙画展」 が、今日から開催されます。

 昨日は、作者の栗原氏と出版担当者とともに、会場の設営に行ってきました。
 とにかく、目立つ!
 本の表紙が、鮮やかな黄緑色の蛍光カラーということもあり、派手です。
 おまけに展示場所が、店内のド真ん中!
 どでかいポスターやフリフリの飾り物などでディスプレーされているので、否応にも目に入ります。

 展示パネルでは、作者が本の装丁デザインおよび表紙イラストの依頼を受けた時から完成まで、その創作過程を時系列に絵や写真を用いて、分かりやすく解説しています。
 ぜひ、本ができるまでの流れを楽しんでください。


 そ、そ、そしてーーーーっ!!!! 
 圧巻なのは、本の陳列数であります!
 通常、新刊の平積みでも2~4面ですが、ナ、ナ、ナント!

 常設コーナー1面+特設スペース9面=10面

 驚愕の10面平積み販売であります!
 もちろん、僕の著書としては新記録ですが、東野圭吾さんや村上春樹さんなどのベストセラー作家でも、なかなか10面平積み販売というのは、あまりないのではないでしょうか?
 ということは、今回、書店側の破格の扱いがあったということです。

 戸田書店高崎店の店長さん、主任さん、店員のみなさん、ありがとうございます。
 これから1ヶ月半の間、よろしくお願いいたします。


 読者のみなさ~ん、戸田書店高崎店に行きましょう!



    『民話と伝説の舞台』 栗原俊文 表紙画展
 ●会期  2019年7月14日(日)~8月31日(土) 10:00~23:00
 ●会場  戸田書店高崎店(下小鳥町) 特設スペース
 ●問合  ちいきしんぶん TEL.027-370-2262
  


Posted by 小暮 淳 at 12:03Comments(0)著書関連

2019年07月12日

字が小さい!


 若い頃、バイトの面接時に提出する履歴書を記入するのが、イヤでした。
 学歴も資格も特技も免許もありません。
 もちろん、職歴だってありません。
 それでも、その欄は素直に本当のことを書けばいいだけです。

 一番、頭を悩ませたのは 「趣味」 の欄でした。
 好きなことは、たくさんあったけど、それは興味があるだけで趣味ではないからです。
 仕方なく、ありふれてはいるけれど、読書と旅行と書いていました。

 本当のことは言えば、読書は趣味ではなく、僕にとっては子供の頃からの習慣です。
 旅行だって、数回、海外へ行ったことがあるだけでした。


 それが大人になって、ライターという職業に就くと、読書も旅行も仕事の一環となってしまいました。
 取材自体が旅行ですし、執筆のための資料読みは読書であります。

 ますます僕にとって読書は、趣味から遠ざかってしまいました。

 でも、唯一、仕事ではない読書があります。
 それは、好きな作家の小説を読むこと!
 この時ばかりは、仕事から解放されて、自由に読書を楽しんでいます。


 ただ、50歳を過ぎた頃から大きな問題が、眼前に立ちはだかりました。
 「字が小さ過ぎて、読めない」
 という、“ハズキルーペ問題” です。

 それでも、なるべく字の大きな単行本を読むようにしたり、文庫本の場合は、やむなく老眼鏡のお世話になって、この数年はクリアしてきました。
 また、近年は新聞にしても文庫本にしても、昔よりは字が大きくなっているので、これといった不自由は感じていませんでした。


 ところが、ある日のこと。
 突然、青春時代に読んだ本が、無性に読みたくなったのであります。
 「確か、全巻揃っていたよな」
 と思い、書庫を探すと、ありましたありました!

 五木寛之も松本清張も……

 「おお、懐かしい! 端から読み直してみるか!」
 と意気込んで、ページを開いたのですが、
 「じ、じ、字が小さ~い!!」
 老眼鏡をかけても、まだ小さいのです。

 40年前の文庫本って、こんなにも字が小さかったのですね。
 当時の高齢者は、読めたのでしょうか?
 それとも一字一字、虫メガネで拾い読みをしていたのでしょうか?


 結局、探し出した本は書庫にもどして、書店で、どうしても読み返したい本だけ、現代版の文庫本を買ってきました。
  


Posted by 小暮 淳 at 20:24Comments(2)つれづれ

2019年07月11日

鎌田温泉 「梅田屋旅館」⑤


 ♪ 夏がくれば思い出す はるかな尾瀬 遠い空 ♪


 2015年5月に出版した 『尾瀬の里湯』(上毛新聞社) の取材以来ですから、4年以上ぶりになります。
 鎌田温泉(群馬県利根郡片品村) の老舗旅館 「梅田屋旅館」 に行ってきました。
 今回は、雑誌の取材であります。

 梅田屋旅館といえば、映画の山田洋次監督や落語家の立川談志師匠が常宿にしていたのをはじめ、著名な俳優が数多く訪れる宿として知られています。
 が、その人たちのエピソードは、かつて著書や新聞記事にも、たびたび書いてきました。
 ので、今回は、尾瀬と関わりのある2人の人物にテーマをしぼり、梅田屋旅館を訪ねました。


 戦後間もない昭和24年(1949) に発表され、大ヒットした 『夏の思い出』。
 誰もが知る名曲であります。
 この歌を作詞したのは、江間章子さんです。
 江間さんは、岩手県出身で東京都在住。
 なぜ、尾瀬の歌を作詞したのでしょうか?

 そして、梅田屋の玄関脇には、江間さん自筆による 『夏の思い出』 の歌碑が建っています。
 なぜ、公共の場所ではなく、個人の旅館前なのでしょうか?
 しかも、“尾瀬の玄関口” とは言われていますが、尾瀬ではなく、尾瀬から離れた片品村に建てられたのでしょうか?

 この疑問を解き明かすため、4代目女将の星野由紀枝さんと、息子で常務の武志さんに話をお聞きしました。


 そして、もう一人は、“尾瀬の父” と呼ばれた植物学者で登山家の武田久吉博士についてです。
 明治38年(1905) 7月、尾瀬に初めて入山し、その景観の素晴らしさを世に広く知らせた人物です。
 博士が大正時代に著した 『尾瀬再探記』 という紀行文には、梅田屋について記した、こんな一文が残っています。

 <親切な宿屋。寝具や浴衣の清潔な宿屋。上白の米を食わせる宿屋。一言にして尽くせば感じのよい宿屋であった。私はこれを推奨するに躊躇しない。>
 と絶賛しています。

 今回も老舗ならではのエピソードを、たくさん拾ってきました。


 僕は、色紙へのサインを頼まれたときに、書く言葉があります。
 <守り継ぐ湯 語り継がれる宿>
 です。

 湯の数だけ歴史があり、宿の数だけ物語があるということです。
 だから僕は、同じ温泉、同じ宿に、何度も足を運ぶのだと思います。

 温泉の話は、尽きることがありません。
   


Posted by 小暮 淳 at 12:58Comments(0)温泉地・旅館

2019年07月09日

大塚温泉 「金井旅館」④


 ぬるくとも 効能あつき 湯の徳は
  <大塚温泉を称えて古人の詠める歌>


 “源泉風呂” と銘打って、加温した浴槽とは別に冷鉱泉を張った浴槽を除けば、温泉法の温泉(25度以上) を加温せずにメインの浴槽にしている温泉場としては、県内一温度の低い 「ぬる湯」 です。
 その温度は、34度!
 冬場は、ちょっと厳しいですが、この季節は、何が何でも入りたい温泉です。

 群馬県中之条町にある大塚温泉の一軒宿、「金井旅館」 であります。


 ということで、ひとっ風呂浴びに行ってきました。
 といっても、取材ではありません。
 取材の “途中” であります。
 それも、クルマで行ったのではありません。
 電車とバスを乗り継いで、行ってきました。

 というのも、現在、僕は高崎市のフリーペーパー 「ちいきしんぶん」(ライフケア群栄) に、『群馬の地酒 ほろ酔い街渡(ガイド)』 という紀行エッセイを連載しています。
 この記事のタイトルには、こんな副題が付いています。
 “公共交通機関で行く”

 もう、お分かりですね。
 酒蔵を訪ねて、酒を飲む旅ですから当然、クルマの運転はご法度であります。
 ので、毎回、取材へは、バスと電車と徒歩を利用しています。

 今回訪ねた中之条町の酒蔵は、大塚温泉とは約1kmしか離れていません。
 当然、取材の後に、てくてくと歩いて訪ねたのであります。


 「小暮淳さんでは、ありませんか?」
 こっそり、湯浴み客を装って、受付を通過しようとしたのですが、女将さんに見つかってしまいました。
 「ご無沙汰しています。ご主人は、おりますか?」
 すると、
 「おお、小暮さんかい! ゆっくり、入ってってくんない!」
 と、奥から4代目主人の金井昇さんが顔を出しました。
 相変わらず、声が大きくて、元気いっぱいであります。

 相変わらず、と言えば、湯の量もハンパありません!
 敷地内に自噴する2本の源泉の総湯量は、ナ、ナ、ナント!! 毎分800リットルもあります。
 当然、1軒の宿では使いきれません。
 ので、テラピア (和名:イズミダイ) の養殖池に利用しています。


 こんな田舎の一軒宿なのに、駐車場には車がビッシリと停まっています。
 近在の常連客やウワサを聞きつけた温泉ファンが訪れています。
 ぬるい湯なので、長時間入れるのがいいのです。
 温泉成分が皮膚から浸透しやすいので、血行が良くなり、老廃物や疲労物質が排出されやすくなるのです。

 のんびり、ゆったり浸かって、英気を養いました。
 「ご主人、女将さん、また来ます!」
 湯上がりに、そう別れを告げて、ふたたびバス停のある国道へ向かって、農道を歩き出しました。
  


Posted by 小暮 淳 at 19:09Comments(2)温泉地・旅館

2019年07月07日

『民話と伝説の舞台』 表紙画展


 昨年8月に出版した拙著 『ぐんま謎学の旅 民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん) の装丁および装画デザインを手がけた栗原俊文氏の表紙画展が開催されることになりました。


 栗原氏は、前橋市在住のデザイナー&イラストレーターです。
 過去には、『あなたにも教えたい四万温泉』 や 『みなかみ18湯』、『尾瀬の里湯』 など、僕の著書のデザインを数多く手がけてくださっています。

 今回、新刊の 『ぐんま謎学の旅 民話と伝説の舞台』 では、装丁デザインだけではなく、僕から無理なお願いをして、直筆によるイラストの作画をお願いしました。
 これまでの温泉がテーマだった著書と違い、全編が実態のない“民話” と “伝説” の世界です。
 装丁に写真を使うわけにはいきません。
 そこで、僕から装丁のイメージだけを伝え、自由に、かつ、奔放に 「栗原ワールド」 を描いてもらうことにしました。

 それが、あの! 魑魅魍魎で奇奇怪怪でありながらユーモラスな妖怪変化たちのイラストであります。


 今回の表紙画展では、原画を展示するだけではなく、書籍の装丁が出来上がるまでのプロセスまでも、氏が分かりやすく解説してくれています。
 会場が書店ということもあり、本好きにはたまらない企画となりました。

 ぜひ、家族や友人をお誘いあわせの上、お出かけください。



   『ぐんま謎学の旅 民話と伝説の舞台』
       栗原俊文 表紙画展

●会期  2019年7月14日(日)~8月31日(土)
       10:00~23:00
●会場  戸田書店高崎店 (高崎市下小鳥町438-1)
●問合  ちいきしんぶん TEL.027-370-2262
  


Posted by 小暮 淳 at 11:17Comments(0)著書関連

2019年07月05日

しおりちゃんは元気ですか?


 「しおりちゃんは、元気ですか?」

 僕の前で、上品に微笑みながら立つ、高齢の婦人。
 初対面なのに、「はじめまして」 でも 「こんにちは」 でもありませんでした。
 僕の顔を見た第一声は、
 「しおりちゃんは、元気ですか?」
 だったのです。


 読者の方は、覚えているでしょうか?
 今から7年前のことです。
 偶然、薬局の待合室に置かれていた僕が書いた絵本 『誕生日の夜』 を読んだ女性が、その薬局を通じて僕に手紙をくださった話です。
 ※(当ブログの2012年3月8日 「『誕生日の夜』が小学校で…」 参照)

 I さんは、元小学校の教師です。
 当時は、学童保育で絵本の読み聞かせをしていました。
 いただいた手紙は、こんな書き出しで始まっていました。
 <心音にしみとおる、こんな素晴らしい本をお書きになる小暮様は、どんな方なのでしょうか?>
 そして、
 <最初は1年生だけに読み聞かせていたのですが、反響が良かったので、他の学年の児童にも読んであげています。>
 と……。


 僕も、さっそくお礼の手紙を書きました。
 すると、その後も薬局を通じて、I さんからコメントが届くようになりました。
 <学童で育った子どもたちが、卒業後に “心に残った絵本” として 『誕生日の夜』 を挙げています>
 との連絡をいただいた時は、正直、感動で涙が流れました。

 「この話を世に出して、本当に良かった!」 と。


 あれから7年……
 先週、薬局へ行った時のことです。
 「小暮さん、あの方ですよ! あの方が、I さんです」
 薬剤師の方に言われて、振り向くと、婦人が立っていました。

 僕も驚きましたが、呼ばれた彼女も大変驚かれてました。
 「小暮です。やっと、お会いできましたね」
 僕から、声をかけました。
 そしたら、返ってきた言葉が、
 「しおりちゃんは、元気ですか?」
 だったのです。


 しおりちゃんとは、絵本の中に登場する4歳の女の子です。
 「はい、とっても元気ですよ。おとうさんも、おかあさんも……」
 僕は、そう言葉を返しました。

 縁ある人とは、いつか必ず会えるのですね。


 ※『誕生日の夜』 は、カテゴリーの中から全文を読むことができます。
  


Posted by 小暮 淳 at 18:05Comments(0)誕生日の夜

2019年07月04日

ブリカマのごほうび


 先週から講演と講座が続き、さらに週末には泊まりの出張が重なったため、さすがに還暦過ぎの老体は音を上げています。
 とはいえ、フリーランスの身。
 “締め切り” という絶対条件は待ってくれません。
 週明けから、原稿の執筆に取りかかっていました。

 「終わったーーーーッ!」
 思わず、仕事部屋で一人、大声を上げてしまいました。
 時計を見れば、まだ午後の4時……
 「ごほうびを上げますか?」 「上げましょう!」
 なんて、自問自答のひとり芝居を演じながら、いそいそと家を出たのであります。


 こんな時、頑張った自分へのごほうびは、酒処 「H」 と決めています。
 カウンター8席だけの小さな居酒屋です。
 従業員は、ママが1人だけ。
 でも、いつ行っても満席です。
 だから絶対に座りたいときには、事前予約を入れるか、オープン前に滑り込むのが得策です。

 常連客には、「月曜日の男」 とか 「火曜日の令嬢」 とか 「水曜日のダンディー」 など、必ず、その曜日に来る人がいて、顔ぶれがカレンダー代わりとなっています。
 さて、今日は、どんな顔ぶれなのでしょうか?


 「あら、ジュンちゃん!」
 ママのかん高い声が、カウンターの奥から出迎えてくれました。
 早くも初老の男性が、入口近くの席で、一人飲みしています。
 迷わず一番奥の席へ。
 先客がいない限り、僕は決まって、この席に座ります。

 「お2人は、初めてだっけ?」
 10年以上通っていても、一度も会ったことのない客というのが、この店にはいるのです。
 それだけ客層が広く、ファンが多いということです。

 「こちら、画廊オーナーの○○さん」
 「はじめまして。小暮です」
 「こちらはジュンちゃんね。ライターさん。本書いている人」
 とかなんとか、ママの紹介があり、とりあえず乾杯!
 「よろしくお願いします」
 「こちらこそ、よろしくお願いします」


 「ジュンちゃん、お疲れさまでした。講演で出かけていたんでしょ?」
 「だから今日は、ごほうびなんです」
 「そうだよね、頑張ってるんだもの。はい、カンパイ!」

 マ、マ、ママーーーー!!!!!
 そんなこと言ってくれるのママだけだよ。
 毎度のことですが、今にもママのやさしさに涙腺がブチ切れそうになります。


 1杯、2杯……
 いつもは生ビールは2杯と決めているのですが、解放感からか 「ビールをもう1杯だけ」。
 「あら、珍しい」 と言いながらもママは、ちゃんと客の好みを心得ていて、その次に僕が飲む冷酒の用意を忘れません。

 「はい、ごほうび!」
 目の前に出されたのは、な、な、なんと!
 大好物のブリのカマ焼きではありませんか!

 焼き加減といい、塩加減といい、絶品の味であります。
 「大当たりだ!」
 そうなんです。
 一切メニューのない、おまかせ料理の 「H」 で、ブリカマが出たら大当たり。
 おみくじで、大吉を引いたようなものです。


 1杯が2杯、3杯、4杯……
 ブリカマを突きながら、あわただしく過ぎ去った日々を見送ったのでした。

 おお~、“命の水” が五臓六腑に染み渡る~~!
  


Posted by 小暮 淳 at 11:56Comments(0)酔眼日記

2019年07月02日

宝川温泉 「汪泉閣」⑥


 2014年4月に出版した 『新ぐんまの源泉一軒宿』(上毛新聞社) の取材以来ですから、5年ぶりになります。
 宝川温泉(群馬県みなかみ町) の一軒宿、汪泉閣へ行って来ました。

 5年の月日は、長かった!
 すっかり雰囲気が変わっていました。


 先週末、僕は水上温泉で開催された某国立大学同窓会全国総会の講演会に、講師として呼ばれました。
 一夜明けた日曜日は、朝からバケツをひっくり返したかのような篠突く雨。
 それでも、雨天決行の “天下一の露天風呂ツアー” に出発しました。

 そう、宝川温泉の露天風呂の広さは、約470畳!
 湧出量は、毎分1,800リットル!
 源泉の温度は、約70℃!
 この規模の露天風呂で、かけ流しができるのは、湯量と温度に恵まれているからです。

 まさに、天下一であります。


 「戦後間もない頃、親を亡くした子熊を宿主が手塩にかけて育てあげたのが、クマとの出合いだったといいます。やがて子熊は、人間と一緒に入浴するようになったため、“入浴熊のいる温泉” として一躍有名になりました」
 とかなんとか、バスの中で僕は、以前、取材で仕入れた知識をひけらかしていたのです。
 「現在は条例により禁止されているため、残念ながらクマとの入浴はできません。でも、今でも熊園があり、愛くるしいクマたちが、みなさんをお出迎えしてくれますよ」
 と、自信たっぷりに解説してしまったのです。

 と、と、ところが!
 5年ぶりに訪ねてみると、熊園が跡形も無く消え去っているではありませんか!
 跡地は、きれいに整備され、遊歩道と展望テラスに変わっていました。

 なんでも、外国人観光客が増えたため、動物愛護の観点からオリを撤去したとのことでした。


 そ、そ、それから!
 なんといっても一番の変化は、入浴時の湯衣 (体に巻く布) の強制着衣であります。
 前回までは、バスタオルを体に巻く女性はいましたが、男性は基本、全裸でしたから時代の変化を感じます。
 ※露天風呂は混浴です(女性専用露天風呂あり)。

 クマも、フルチンおじさんも消え、健全な秘湯の混浴露天風呂になりました。
 でも、ちょっぴり淋しさを感じました。

 日本の文化が、欧米化しているようで……
 これも “2020現象” の1つなんでしょうか?
    


Posted by 小暮 淳 at 11:24Comments(2)温泉地・旅館