温泉ライター、小暮淳の公式ブログです。雑誌や新聞では書けなかったこぼれ話や講演会、セミナーなどのイベント情報および日常をつれづれなるままに公表しています。
プロフィール
小暮 淳
小暮 淳
こぐれ じゅん



1958年、群馬県前橋市生まれ。

群馬県内のタウン誌、生活情報誌、フリーペーパー等の編集長を経て、現在はフリーライター。

温泉の魅力に取りつかれ、取材を続けながら群馬県内の温泉地をめぐる。特に一軒宿や小さな温泉地を中心に訪ね、新聞や雑誌にエッセーやコラムを執筆中。群馬の温泉のPRを兼ねて、セミナーや講演活動も行っている。

群馬県温泉アドバイザー「フォローアップ研修会」講師(平成19年度)。

長野県温泉協会「研修会」講師(平成20年度)

NHK文化センター前橋教室「野外温泉講座」講師(平成21年度~現在)
NHK-FM前橋放送局「群馬は温泉パラダイス」パーソナリティー(平成23年度)

前橋カルチャーセンター「小暮淳と行く 湯けむり散歩」講師(平成22、24年度)

群馬テレビ「ニュースジャスト6」コメンテーター(平成24年度~27年)
群馬テレビ「ぐんまトリビア図鑑」スーパーバイザー(平成27年度~現在)

NPO法人「湯治乃邑(くに)」代表理事
群馬のブログポータルサイト「グンブロ」顧問
みなかみ温泉大使
中之条町観光大使
老神温泉大使
伊香保温泉大使
四万温泉大使
ぐんまの地酒大使
群馬県立歴史博物館「友の会」運営委員



著書に『ぐんまの源泉一軒宿』 『群馬の小さな温泉』 『あなたにも教えたい 四万温泉』 『みなかみ18湯〔上〕』 『みなかみ18湯〔下〕』 『新ぐんまの源泉一軒宿』 『尾瀬の里湯~老神片品11温泉』 『西上州の薬湯』『金銀名湯 伊香保温泉』 『ぐんまの里山 てくてく歩き』 『上毛カルテ』(以上、上毛新聞社)、『ぐんま謎学の旅~民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん)、『ヨー!サイゴン』(でくの房)、絵本『誕生日の夜』(よろずかわら版)などがある。

2022年11月30日

詩人の目 レンズの眼


  遊園地(るなぱあく)の午後なりき
  楽隊は空に轟き
  廻転木馬の目まぐるしく
  艶(なま)めく紅のごむ風船
  群集の上を飛び行けり。
    (「遊園地にて」 より)


 前橋市民にとって、「遊園地」 といえば、誰もが 「るなぱあく」 の思い出を語ることでしょう。
 「るなぱあく」 は、今でこそ “日本一なつかしい遊園地” として全国に知られるようになりましたが、昔も今も変わらない小さな小さな遊園地なのです。

 昭和29(1954)年11月、前橋市が周辺町村との合併を記念して、「前橋市中央児童遊園」 として開園しました。
 だから僕ら (昭和30年代生まれ) は、「児童遊園」 と呼んでいました。
 「前橋るなぱあく」 と改名されたのは平成18(2006)年のこと。
 市民公募により命名されました。

 でも、本当に一般公募だったのでしょうか?
 少し疑問が残ります。
 だって、「るなぱあく」 という名前は、萩原朔太郎の 「遊園地にて」 という詩に由来するからです。
 朔太郎は、“遊園地” に、あえて 「るなぱあく」 とルビをふっているのです。
 そのことを、どんだけの市民が知っていたでしょうか?


 ルナ=月、パーク=公園ですから、直訳すれば “月の公園” です。
 でも、ハイカラな朔太郎は、知っていたんですね。
 世界には、「るなぱあく」 と呼ばれる移動式遊園地があることを!

 やはり、かなりのセンスの持ち主だったのですね。


 そんな郷土の詩人、萩原朔太郎の没後80年となる今年は、日本全国52ヵ所の文学館や美術館で 「萩原朔太郎大全2022」 と題した朔太郎をテーマにした企画展が開催されています。
 このブログでも、たびたび紹介してきましたが、今日は現在開催中のちょっと変わった企画展を紹介します。

 萩原朔太郎は、明治、大正、昭和を駆け抜けた 「日本近代詩の父」 と称される、日本を代表する詩人です。
 でも、当時の詩人たちと比べ格段に飛びぬけていたのが、そのハイカラとセンスです。
 マンドリンやギターなどの洋楽器に親しんだり、作曲なども手がけています。

 そしてまた、カメラも朔太郎を象徴するアイテムの1つでした。
 17歳の時に初めてカメラを手に入れて以来、生涯を通してカメラに親しみ、写真を撮り続けました。


 アーツ前橋では、朔太郎が故郷、前橋を中心に撮影し続けた風景写真に加えて、朔太郎が撮影した同じ場所で時代を超えて新たに撮影した写真を比較しながら展示しています。
 この写真を撮影したのは、朔太郎の孫である萩原朔美さん (前橋文学館・館長) であります。

 この展示が、とにかく楽しい!
 よくもまあ、大正時代~昭和初期の風景を探し当てたな~と、感心します。
 大渡橋や馬場川などの今も現存する風景もありますが、空襲で焼かれる以前の市街地の同じ風景をも探し出しているところが、お見事です。
 (朔美さんだけでなく、文学館のスタッフが総力を挙げて、当時の撮影場所を探したそうです)


 この企画展は、前期と後期に分かれ、作品の入れ替えがあるところも魅力です。
 ぜひ、2回足を運んでみてください。

 朔太郎ファンはもちろんのこと、写真オタク、昭和レトロ好きも楽しめます。



     萩原朔太郎大全2022
      ―朔太郎と写真―

 ●会期  前期=会期中~2023年1月10日(火)
        後期=2023年1月12日(木)~3月5日(日)
 ●会場  アーツ前橋 1Fギャラリー
 ●開館  10時~18時
 ●休館  水曜日 (祝日の場合は翌日)
 ●観覧  無料
 ●問合  アーツ前橋 TEL.027-230-1144
        群馬県前橋市千代田町5-1-16
    


Posted by 小暮 淳 at 12:00Comments(0)ライブ・イベント

2022年11月29日

鼻毛とチャーハンと大型犬


 ♪ ハナゲが伸びる ジワジワ伸びる
    剃っても抜いても 伸びる
    伸びて縮んで また伸びる ♪
   (ソルティー・シュガー 『ハナゲの唄』 1970年)


 最近、ヘンな夢を見ます。
 寝覚めが悪く、一日中悶々とする日もあります。

 たとえば、鼻毛が伸びる夢。

 さあ、これから講演会のステージに立つ、という間際。
 鏡をのぞくと、ギェ―――ッ!
 右の鼻の穴から、束になって鼻毛がはみ出しています。

 「ハサミ、ハサミは、ないか?」
 と控え室で探し回るが、ありません。
 仕方なく、飛び出している鼻毛の束をつかみ、思いっ切り引き抜こうとしますが、抜けません。

 イタタタターーーッ!!!

 と、そこで夢が覚めました。


 これは、いったい何を暗示している夢なのだろうか?
 さっそく、「夢占い」 で調べてみました。
 すると……

 <「鼻毛を早く処理しなければ」 とあわてている夢は、自我がしっかりとした正常な精神状態。長い鼻毛を気にする夢は、観察力が高まっている証拠。近いうちに、新しい発見あり>
 とのことでした。

 体力や生命力にも満ちた、とっても良い夢だったのです。


 気を良くしたついでに、ここ数日に見たほかの夢も調べてみました。

 <「チャーハンを食べる夢」 は、良い話が舞い込んでくる暗示。現状に満足している状態で、運気上昇> とのこと。
 さっそく、この日は昼にチャーハンを食べました。


 そして先日、犬嫌いの僕にとって、最悪の夢を見ました。
 狭い家の中で、ゴールデンレトリバーやシベリアンハスキーなど何頭もの大型犬に囲まれて、身動きができずにいる夢です。
 これまた寝覚めの悪い、イヤな夢でした。

 ところが、夢占いを見ると……
 <「たくさんの犬に囲まれる夢」 は、モテ期到来。人脈が広がるとき>
 でした。


 気になっていた夢は、すべて良い夢だったのです。
 そう言えば最近、何をやってもうまく行くし、来年越しの吉報も舞い込んでいます。

 こうなったら、さらに運気を上げるために、現実でも “大型犬” の前で “鼻毛” を抜きながら “チャーハン” を食べるしかありませんね!(怖)
   


Posted by 小暮 淳 at 11:56Comments(0)夢占い

2022年11月27日

ぐんま湯けむり浪漫 (26) 妙義温泉


 このカテゴリーでは、2017年5月~2020年4月まで 「グラフぐんま」 (企画/群馬県 編集・発行/上毛新聞社) に連載された 『温泉ライター小暮淳の ぐんま湯けむり浪漫』 (全27話) を不定期にて掲載しています。
 ※名称、肩書等は連載当時のまま。一部、加筆訂正をしています。


   妙義温泉 (富岡市)


  修験者が集まる霊峰の麓


 上毛三山の一つ、妙義山 (1104m) は、言わずと知れた群馬を代表する名山だ。
 白雲山、金剛山、金鶏山の三峰からなり、その山容は中国の水墨画を思わせるような奇岩や奇石が連なる独特の景色をつくり上げている。
 香川県の寒霞渓(かんかけい)、大分県の耶馬渓(やばけい)とともに日本三大奇勝に選ばれている。

 「妙義」 の名の由来といわれている妙義神社が主峰、白雲山の東麓に鎮座する。
 創建は宣化天皇2(537)年と伝わり、平安、鎌倉時代は波己曾(はこそ)神社と称していた。
 元禄15(1702)年の 『妙義大権現由来書』 によれば、「寛弘3(1006)年に比叡山十三代座主尊意僧正がこの山に住み、悪魔を降伏し仏法を守って衆生を済度するために妙義権現と名付けた」 とある。
 以後、この山は 「妙義」 とされ、修験道の山として広く崇敬されるようになった。

 妙義山は奇岩の山ゆえ、修験者のみならず、諸大名や文人墨客らも訪れるようになった。
 門前の参道脇には宿屋やみやげ物屋が立ち、現在でも観光客やハイカーたちが訪れている。

 かつて昭和の時代、ここには鉱泉が湧いていた。
 登山口、ハイキングコースの起点ということもあり、往時は多くの登山者でにぎわった。


  名峰と平野を望む美肌の湯


 妙義温泉は平成時代に、妙義山東麓で掘削により湧出した温泉である。
 現在、2つの施設が営業をしている。

 「妙義グリーンホテル&テラス」 の創業は、平成6(1994)年。
 併設されているゴルフ場の宿泊施設としてオープンした。
 「ゴルフをされるお客さまの宿泊は3割、7割は温泉目当てのお客さまです」
 と、支配人の鬼形正人さん。
 オープンから温泉の評判が広まり、今では “西上州の名湯” との呼び声まである。
 富岡市や安中市などの近隣からのリピーターが多いことでも人気のほどが分かる。
 また一昨年、屋外にテントを張ったプライベートな宿泊スペース 「グランピング」 が誕生。
 大自然が味わえると、都会から若者やファミリー層がやって来るようになった。

 源泉は、ナトリウムイオンが海水の10倍という二酸化炭素を含む炭酸水素塩・塩化物温泉。
 美肌効果があるとされるトロリとした独特の浴感が、愛され続けている理由のようだ。
 なによりも奇岩が林立する妙義山の絶景を眺めながらの入浴は、ここでしか味わえない唯一無二の時間といえるだろう。


 一方、平成12(2000)年にオープンした 「妙義ふれあいプラザ もみじの湯」 は、日帰り入浴施設。
 「妙義山パノラマパーク」 と呼ばれる360度の大パノラマで妙義山を望める人気のエリアにあり、周辺には妙義神社、道の駅、美術館などが点在する。

 ここの売りは、妙義山を背に眼下に広がる関東平野を一望する景観にある。
 ロビーや露天風呂からは富岡や安中の市街地はもとより、高崎観音山や群馬県庁、遠く筑波山までを見渡すことができる。
 富岡製糸場をイメージしたレンガ調の浴室と、妙義山の岩肌をイメージした白亜の浴室は、週ごとに男女が入れ替わる。
 山桜、新緑、紅葉と四季折々に装いを変える妙義山。
 訪れるたびに、自然の美しさに気づかされる。


 <2020年2・3月号>
   


Posted by 小暮 淳 at 17:13Comments(0)湯けむり浪漫

2022年11月26日

落款は楽観の印


 「あっ、これ、見たことあります」

 先日の講演会終了後のこと。
 著書にサインを求められ、いつものように応じていた時でした。
 僕は必ず、サインの下に似顔絵のスタンプを押しています。

 書家や画家が作品に押印する落款(らっかん) とは、ちょっと違うんです。
 そんな大それたものではありません。

 だって似顔絵ですからね。
 クスッと笑っていただければ、というサービス精神から押しています。

 でも、この似顔絵、けっこう人気があるんですよ。
 もちろん僕の名刺にも印刷されていますが、僕が代表理事を務めるNPO法人 「湯治乃邑(むら)」 のマークにもなっています。
 でも、講演会で 「見たことある」 と言った方は、高崎市在住だったのでしょうね。


 高崎市のフリーペーパー 「ちいきしんぶん」 に、『小暮淳のはつらつ温泉』 というコラムを連載しています。
 このコラムのタイトル下には毎回、僕が温泉に入っているスタンプと同じ似顔絵が描かれています。
 だから高崎市在住の読者なら、見たことがあるはずなんです。

 サインを求められた方は、大変よろこんでくださり、「家宝にします」 とまで言ってくださいました。


 実は、このイラストは11年前のコンテストから誕生した作品なんです。
 「小暮淳キャラクターデザインコンテスト」 なるイベントが、地元の出版業界内で開催されました。
 その時のグランプリ作品が、この似顔絵でした。

 作者は、その後、僕の温泉本の装幀を手がけることになったデザイナーの栗原俊文氏です。
 彼は、拙著 『ぐんま謎学の旅 民話と伝説の舞台』 の、あの妖怪変化の表紙画を描いてくれたイラストレーターでもあります。


 そんなわけで、サインを求められるであろう講演やセミナーの時は、このゴム印を持ち歩いています。
 先日も講演会の主催者スタッフの女性が、駐車場まで追いかけて来て、こんなことを言いました。
 「先生のサインを拝見しました。かわいいですね。ぜひ、私の本にもサインしてください」

 いいですね。
 たかがサインなのに、初めて会った人をほっこりさせるなんて!
 これも、ひとえに栗原氏の画力の賜物であります。

 才能に感謝!


 ということで、僕のサインに押されているのは “落款” ではなく、「物事の成り行きが、うまく行きますように」 と願う “楽観” なのであります。
 出会った人すべてに、福が来ますように!
   


Posted by 小暮 淳 at 11:42Comments(0)著書関連

2022年11月25日

物言わぬ読者たち


 「ライターほめるに言葉はいらぬ、そっと著書を見せりゃいい」
 そんな言葉が何度も脳裏をよぎった、ここ数日でした。


 コロナ前までは、年間約30回の講演やセミナーがありました。
 ところがコロナ禍になり、一変しました。
 感染が始まった2020年は、1桁。
 翌2021年は、少し増え2桁に。
 そして迎えた3年目の今年……

 おかげさまでコロナ前ほどとはいきませんが、ほぼ例年並み近くまで回復してきています。
 これはひとえに、感染予防対策に徹底した配慮を行っている主催者側の努力のたまものと、感謝しています。
 それと、熱烈なる読者様のエールに、ほかなりません。
 ありがとうございます。


 今月は、ほぼ毎週どこかで、講演を行っています。
 テーマは、温泉だったり、民話だったり……
 なかには、「ぐんまの地酒大使」 という肩書から、“温泉と地酒” というテーマでの講演依頼もあります。

 いずれにせよ、ライターにとって講演会は、読者と直接、お会いできる夢のようなステージなのであります。


 考えてみれば、ライターとは、実に地味な職業です。
 取材して、文章にして、記事を新聞や雑誌に掲載します。
 どこで、どんな人が読んでくれているのかは分かりません。
 書籍化されても同じです。
 どこで、どんな人が買ってくれたのか?
 どんな感想を持たれたのか、知るよしもありません。

 もし、これが飲食業ならば、その場で、「ごちそうさまでした」 「美味しかった」 「また来ます」 と、お客様の声を直接聞くことができます。
 それに比べてライターは、なんて日の当たらない地味な職業なのでしょうか!


 そんなライターに日を当ててくださる場所が、講演会です。

 先週、200名という大きな会場で、2時間の講演を行いました。
 テーマは、温泉。
 200名というとステージの上からは、聴講者全員の顔は見えません。
 当然、最前列の人とも距離があるので、講話中に話しかけることもできません。

 このような大きな会場では、一方的に話が進むのが常です。

 でも、時々、胸を熱くする瞬間があります。
 「○○温泉では……」
 と、温泉地名を挙げた時、数名ですが、手元が動く人たちがいます。
 何をしているかと目で追えば、これが、僕の著書を取り出して、開いているのです。

 察するに、講演と同時進行で、温泉地名を調べているんですね。
 もちろん、メモをして後で調べる人もいるでしょうが、その場で調べる人がいるんです。

 そんなとき、冒頭の言葉が脳裏に浮かびます。
 「ライターほめるに言葉はいらぬ、そっと著書を見せりゃいい」

 読者と会えた瞬間ですからね。
 冥利に尽きる瞬間でもあります。


 昨日は高崎市の小さな公民館で、講演をしてきました。
 テーマは、民話と伝説。
 今年1月に同テーマで開催しましたが、あっという間に定員に達してしまったため、アンコール講演となりました。

 壇上に立って、驚きました。
 かなりの人の膝の上に、僕の著書が置かれているのが見えました。
 なかには、カラフルな付箋紙が貼られている人もいます。

 やはり、あの言葉が脳裏をよぎりました。 
 「ライターほめるに言葉はいらぬ、そっと著書を見せりゃいい」


 読者は、寡黙です。
 直接、声をかけて来る人は稀です。
 でも、いいんです。

 ちゃんと僕は気づいていますよ!
 そして、お会いできたことを心より感謝しています。 

 読者様は神様です。
 ありがとうございます。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:45Comments(0)講演・セミナー

2022年11月24日

おかげさまで3,500話


 「継続は力なり」 って、本当でしょうか?

 昨日、このブログの投稿回数が3,500話に達しました。
 これもひとえに、日々ご愛読いただいている読者様のおかげと、心より御礼申し上げます。

 いつもいつも、ありがとうございます。


 ブログの開設が2010年2月ですから、12年9ヶ月も続いていることになります。
 ざっと換算してみると、約1.3日に1話の割合で投稿していることになります。
 そう考えると、よく毎日、「そんな時間があるな~」 と、我ながら暇人の自分に感心してしまいます。
 (でも、その間に10冊の著書を出版しているんですよね)

 では、なぜ、僕は、ブログを書く時間を捻出できるのか?
 考えてみました。

 たぶん、それは “クセ” が付いているんですね。
 それも12年前に付いたクセではありません。
 52年前から付いているクセです。
 そう、中学1年生の時の担任から毎日、日記の提出を強制的にさせられたのであります。
 そのクセが大人になっても抜けずに、寝る前に必ず日記を付けていました。

 さすがに今は日記を書いていませんが、それがブログに替わったというだけのことです。


 でも、日記とブログって違いますよね。
 日記は、他人に読まれないことが前提で書いています。
 でもブログは、読まれることが前提で書いています。

 いわばブログは、エッセイやコラムに近いと思います。


 そう考えると職業柄、いやらしい計算が頭をよぎります。
 今まで書いたブログを書籍として出版すると……

 えーと、1話が見開き2ページとして、7,000ページ。
 単行本の平均ページ数が300ページとすれば……
 ひぇ~!
 20冊以上も出版できるじゃありませんか~!

 なーんて、秋の夜長に、捕まえてもいないタヌキの皮の枚数を数えてしまいました。


 たとえ継続が、自分の力になっていなくとも、このブログが読んでくれた誰かの力になっていたら幸いです。
 今後とも末永く、お付き合いのほど、よろしくお願いいたします。
   


Posted by 小暮 淳 at 11:03Comments(2)執筆余談

2022年11月23日

海うさぎ、跳んだ!


 「東京で観た、あの絵が、もう一度、身近なところで観られる……」
 と聞いて、群馬県庁昭和庁舎へ行って来ました。


 須賀りすさんといえば、このブログでは 「神社かみしばい」 でお馴染みですが、僕と彼女の付き合いは、かれこれ20年以上になります。
 紙芝居の共作だけではなく、過去には僕が原作の絵本の挿画も描いています。

 でも、あまり世間には、彼女の素顔は知られていないようですね。
 イラストレーターとして、数々の作品を世に残しています。
 「ぐんまこどものくに児童会館」 のキャラクターや 『ココロの絵本』 (大月書店) の装幀・挿画。
 また、企業や団体のポスターやカレンダーも数多く手がけていて、2003年には 「四万温泉観光ポスター」 (原画担当) で、群馬県知事賞を受賞しています。

 プライベートでは、朗読会を開いたり、アマチュアちんどん倶楽部の座員やアマチュア劇団員としても活躍したりと、多彩な顔を持っている人ですが、僕は一貫して彼女のことは “画家” として見ています。


 先月、東京・六本木の国立新美術館で観た 『水のまつり』 (50号変形) と題したアクリル画は、圧巻でした。
 (当ブログの2022年10月19日 「アートの秋を彩る女性たち」 参照)

 テーマは 「海うさぎ」
 たぶん、そう呼ぶのだと思います。
 以前、何かの本で読んだことがありました。
 瀬戸内海だか、どこかの地方では、白波が立つ海面のことを 「うさぎが跳ぶ」 というらしいのです。


 『水のまつり』 は、青く輝く大海原を何匹ものうさぎの群れが、まるでトビウオのように舞っています。
 近寄って見ると、その緻密で繊細な筆運びに驚かされます。

 「よくもこんな細かい筆致で、こんなにもダイナミックな絵に仕上げたものだ」
 と、改めて感嘆しました。


 展示会では、県内のアマチュア作家の作品が出展されていますが、須賀りすさんは特別ゲストとして、『水のまつり』 一点のみ出展しています。
 入場無料ですので、お時間のある人は覗いてみてください。



       「ひとつの輝きへ→」

 ●会期  開催中~2022年11月29日(火)
 ●会場  群馬県庁昭和庁舎 2階 第一展示室
         (群馬県前橋市大手町1-1-1)
 ●時間  10時~17時 (最終日は13時まで)
 ●閲覧  無料
 ●主催  国際芸術振興協会 TEL.027-384-8740
   


Posted by 小暮 淳 at 11:31Comments(0)ライブ・イベント

2022年11月22日

小麦の国の人だもの


 「群馬の人は、そばの味が分からない」
 と言われます。
 ご多分に漏れず、僕も分かりません。

 だって、生まれてこの方、“麺” と言えば、“うどん” ですから!
 群馬は、焼きまんじゅう、おっ切り込み、すいとん、と小麦粉まみれの食文化。
 その、もっとも身近な粉モノが、うどんです。

 「うどんは買うものではない。家で作るもの」
 きっと群馬県人は、そう思っていると思います。
 そして一軒一軒、家庭ごとに家庭の味があるソールフードであります。


 では、群馬県民は、そばの味は分からないけど、うどんの味は分かるのか?

 ハイ、分かります!
 ただし、一番うまいうどんの味だけです。
 たとえば僕ならば、子どもの頃に、ばあちゃんが打ってくれた太くてモチモチとした田舎うどんです。

 そして、少しとろみのある甘めのお汁。
 この味に近ければ近いほど、「うまいうどん」 ということになります。


 先週、久しぶりに、この味に出合いました。

 現在、僕は 「湯治乃邑(くに)」 というNPO法人の代表理事をしています。
 事務所が高崎にあり、月に1回、役員が集まり会議を開いています。
 時間は、午前11時から午後1時まで。

 そーなんです、毎回、ランチ会議をしています。
 だからといって、仕出し弁当やデリバリーではありません。
 ちゃんと、シェフがいるんです!

 役員の一人が、玄人はだしのアマチュア料理研究家なのです。
 和洋中、何を作らせても腕はプロ級。
 パスタでもラーメンでもチャーハンでも、すべてが手作りというこだわりよう。
 スープは出汁から、麵は手打ち、チャーシューだって自家製です。


 僕は毎回、会議よりランチが楽しみで通っています。
 月替わりのメニューは、シェフにお任せです。

 「今日は、寒くなると思って、うどんにしたんだけど、暖かくなっちゃったね。ごめん」
 と、テーブルに運ばれた丼には、見た目、ふつうのうどんが盛られていました。
 豚肉にキノコとネギ……

 ただし麺は、太くて不ぞろいの田舎風です。


 ひと口、食べて驚いた!
 ウルウルウル……
 「おいしい」 と味覚を感じる前に、「なつかしい」 と叫んでいました。
 そして、ばあちゃが一生懸命にうどんを打っている姿が、目に浮かびました。

 「これですよ、これ! これが群馬の、いや上州のうどんです!」


 「手打ちですけど、足踏みはしていないんです。コシが強くなり過ぎてしまいますから」
 とシェフ。
 そーだったのか、だから太くても硬くなく、モチモチとした食感なんですね。

 なにより、お汁がうまい!
 キノコの風味と豚肉のコク、そこへ青ネギが出しゃばらずに薬味として控えています。
 バランスが見事です。


 「小暮さん、おかわりできますよ?」
 「ハイ、いただきます!」


 たかが、うどん。
 されど、うどん。

 豪華じゃなくても、こんなにも心と胃袋をみたしてくれるうどんて、スゴイ!


 群馬にだって、こんなにもおいしいものが、あるじゃないか!!
 小麦大国、バンザーイ!
   


Posted by 小暮 淳 at 11:23Comments(0)湯治乃邑

2022年11月21日

霊感なんてないはずなのに


 テレビ番組の制作には、「ロケ日」 と 「ロケハン日」 があります。

 ロケ日は、屋外撮影の本番日のこと。
 ロケハン日は、その下見取材日のことです。
 ですから番組スタッフは、同じ現場に2度、足を踏み入れることになります。

 その2度ともに、異変が起こりました。


 番組のスーパーバイザーであり、リポーターでもある僕は、今回、ロケ&ロケハンの両日に同行しました。
 県北部の山腹に建つ古刹を訪ねました。

 まずロケハン日では、寺院の境内に入った途端、僕は強烈な腹痛に襲われました。
 “下り龍” という突然の下痢です。
 本堂に着くなり、トイレに駆け込みました。

 住職との打ち合わせに、参加できるような状況ではありません。
 ディレクターと放送作家に任せて、しばらくトイレの中で、うなっていました。


 痛みも治まり、トイレから出てくると、すっかり打ち合わせは終わっていました。
 「あの部屋、なんかありますね」
 「やっぱり、感じた?」
 「僕は寒くて、震えが止まりませんでしたよ」
 車の中での、ディレクターと放送作家の会話です。

 僕は、意味が分からず後部座席で聞いていました。


 そして、数週間後。
 ロケ本番日。
 今度は大型のバンに乗り込み、カメラマンや音声さんも一緒です。

 「やだな~、あの部屋に入るの」
 ディレクターが、一人ごちました。
 「霊感とかあるの?」
 訊けば、「まったくない」 と言います。
 「小暮さんは、ありますか?」
 「いや、俺もない……はず」

 と言ったものの、その昔、一度だけ幽霊らしきものを見たことがあります。
 (当ブログの2011年8月12日 「首のないボーイ」 参照)
 が、後にも先にも人生で、それ一回こっ切りです。

 だから霊感は、ないと思います。


 がーーーーーっ!!!!
 渋るディレクターの後をついて、その部屋に近づいた途端、またもや体に異変が起こりました。

 その部屋とは、本堂から続く、お位牌堂でした。
 四方の壁に、何百というお位牌が並んだ部屋の正面に、この寺の歴世和尚の木像が鎮座されています。
 お堂へ続く、渡り廊下を渡り始めた途端、
 「あっ、イタタタタタターーーーー‼」

 突然、左脚のふくらはぎと足の指が同時に、つりました。
 と思ったら、廊下を渡り終える前に、右脚のふくらはぎと足の指までもが、痙攣(けいれん)するようにピクピクと、つり始めたのです。
 僕は、その場でしゃがみ込み、ディレクターに伝えました。

 「ダメだ! 両足がつった! 俺は本堂で休んでいるよ」


 幸いにも、お位牌堂では木像の撮影だけで、僕の出番はありませんでした。


 その後、しばらく僕は足を引きずっていましたが、不思議なことに境内を出た途端、何もなかったように痛みは消えていました。
 「あそこ、何かあるんですかね?」
 と不安そうなディレクター。
 「そりゃ~、何かあるでしょう。温泉を発見して、湯の道を切り開いたほどの高僧が祀られているお堂だからね」
 「確かに……」

 オンエアの時、何かが映り込んでいなければ、いいんですけど……


 ※群馬テレビ 『ぐんま!トリビア図鑑』 の放送は、12月6日(火) です。
   


Posted by 小暮 淳 at 10:56Comments(3)つれづれ

2022年11月19日

公開講座 in 上郊


 「かみさと?」
 「上下の “上” に、郊外の “郊” です」
 「こうがい?」

 何度も訊き返してしまいました。
 ハッキリ言って、読めませんでした。
 「上郊」 と書いて、「かみさと」 と読むそうです。
 群馬県内の難読地名にも上げられているようです。

 現高崎市、旧群馬町。
 その昔は、西群馬郡上郊村だったそうです。


 3ヶ月ほど前に講演依頼の連絡をいただき、昨日、会場の下見を兼ねて、打ち合わせに行ってきました。

 公民館からの依頼の場合、高齢者や地域住民が対象の講演会が多いのですが、今回、珍しく年齢や居住エリアの制限のない公開講座ということです。
 平日の午前という時間帯ですが、お時間が自由になる方がいましたら、ぜひ、ご参加ください。

 たっぷり2時間、温泉三昧の講話をいたします。



      「湯の国ぐんま!温泉パラダイス」

 ●日時  2022年12月6日(火) 午前10時~正午
 ●会場  高崎市上郊公民館 2階 集会ホール
        (高崎市保渡田町2101-1)
 ●講師  小暮 淳 (温泉ライター)
 ●対象  成人
 ●定員  20名
 ●料金  無料
 ●問合・申込  高崎市上郊公民館 TEL.027-373-6786

 ※筆記用具、スリッパ等の室内履き持参。マスク着用。
   


Posted by 小暮 淳 at 11:29Comments(0)講座・教室

2022年11月18日

宝川温泉 「汪泉閣」⑧


 「これが男性用の “湯浴み着” です。時代の流れで、混浴のスタイルも変わりました」
 「ハイ、OKです!」

 晩秋の大露天風呂。
 紅葉は美しいけど、とにかく寒い!
 ふるえながら、腰巻のような湯浴み着一枚で、ディレクターの 「OK」 を何度も待ちました。


 群馬テレビ 『ぐんま!トリビア図鑑』 の新シリーズ 「温泉王国ぐんま」 のロケで、宝川温泉 (みなかみ町) の一軒宿 「汪泉閣」 へ行って来ました。
 冒頭のセリフは、番組のエンディングシーンです。
 この後、僕は露天風呂に入り、カメラに向かって、手を振りました。

 温泉ロケでは、よくあるシーンですが、違和感が残りました。
 なぜなら僕は今まで、著書でも新聞、雑誌、もちろんテレビでも、全裸で撮影に臨んで来ました。
 なぜなら、「ウソのないように」 という思いからです。

 近年ありがちな、≪撮影のためタオルを使用しています≫ というテロップだけは、避けたいからです。
 でも、時代は変わりました。
 もう、テロップもお断りもいりません。

 堂々と “湯浴み着” を着て、入浴すればいいのですから……


 宝川温泉は昭和の時代、クマと入浴できる温泉としてマスコミに取り上げられ、全国的に話題となりました。
 平成以降は、天下一の露天風呂として売り出し、コロナ前まではインバウンドが奏功して、外国人観光客でにぎわっていました。

 ところが時代は、思わぬ盲点を露呈しました。
 クマとの入浴はもちろん、クマ園自体の撤去。
 そして、宝川温泉の一番の売りであったはずの全裸での混浴にも、コンプライアンスの手が伸びました。
 (女性は2016年~、男性は2019年~、湯浴み着の着用が義務付けられました)


 日本固有の文化が薄れていく風景に、杞憂と寂莫を感じながら撮影を終了しました。


 ※『ぐんま」トリビア図鑑』 #308 「みなかみ18湯 いで湯発見伝説」 は、12月6日(火) 21:00~の放送です。
  


Posted by 小暮 淳 at 09:19Comments(4)温泉地・旅館

2022年11月16日

娘の気持ち


 <父はお酒を飲むと、まるでたあいない子供になってしまう。そして酔っくると、次第にお酒をびしゃびしゃお膳にこぼしはじめ、それにつれてお菜を、膝の上から畳の上一面にこぼすのだった。だから父の立ったあとは、まるで赤ン坊が食べ散らかしたようなのであった。>
 (『父・萩原朔太郎』 「晩酌」 より)


 遅ればせながら、萩原葉子さんの 『父・萩原朔太郎』 を読みました。

 初刊は昭和34(1959)年。
 その後、各社から新版や文庫本も刊行されていますが、なぜか手にする機会を逸して、今日まで来てしまいました。

 今回、読むきっかけとなったのは、2つ。
 1つは、今年没後80年となった前橋市出身の詩人、萩原朔太郎 (1886~1942) をテーマとする共同企画展 「萩原朔太郎大全2022」 が全国の文学館などで開かれていること。
 群馬県内でも10施設が参加、同時開催をしているため、ひまを見つけては足を運ぶようになったためです。

 もう1つは今年、小学館の 「P+D BOOKS」 という安価なブックレーベルから同書が発刊されたこと。
 「P+D」 とは、ペーパーバックとデジタルの略称で、現在、入手困難になっている作品を、B6判のペーパーバック書籍と電子書籍で、同時かつ同価格で発売・発信しています。

 ペーパーバックはブックカバーのない、ソフトカバー本なので、持ち運びも便利で、気軽に読めるところが気に入っています。


 萩原朔太郎については、さまざまな著書が刊行されているので、詩人としての作品や識者が評している人となりには触れることはできますが、“家庭人” としての朔太郎を知るには、やはり家族目線が一番リアルです。
 しかも “娘” となれば、親きょうだい、妻から目線とは、かなり異なるのではないでしょうか?

 同書には、こんなシーンが出てきます。
 <父はある日私を見ると、ちょっと笑いながら 「喫茶店に行ったことあるか?」 と聞いた。
  私は、喫茶店もバーも祖母のいうように、みんなこわい女のいるところだと思っていた。私が、ないというと、
  「じゃ連れて行ってやろう」 といった。耳の悪い祖母は、へんなときによく聞こえるもので、隣の部屋からあわてて出てくると、
 「女学生に喫茶店なんてところはもってのほかだよ」 と父に怒っていった。>


 それでも2人は、夕方になり、カフェへ出かけて行きます。
 <ボックスの向こう側にソフト (帽子) を脱いで坐った父は、まがわるそうに、たばこばかりのんでいた。私もどこを見てよいのか困った。こういう所で父と二人きりになるのが、妙にきまりわるくて嫌だった。>

 そして、僕も何十年も前の、ある日のことを思い出していました。
 長女と出かけたコンサートの帰り道。
 コーヒーショップに入った夕暮れの風景を……

 どんな会話をしたのだろうか?
 たぶんコンサートの感想を話し合ったのだと思いますが、今は何一つ思い出せません。


 娘とは、父親にとっては不思議な存在です。
 息子とは男同士という共通点があるので、言葉を交わさなくても分かり合えることがあります。
 でも娘は、違います。

 小さいときは、自分の子どもだという意識があるのですが、思春期を迎えると、もうダメです。
 父は、父として接しられなくなる瞬間が訪れるのです。
 我が子であり、我が子ではないような。
 娘であり、娘ではないような。

 時には、恋人を見るような面映ゆい想いを抱くこともありました。


 葉子さんの描写を通して、僕は、すでに巣立ってしまった娘たちの言動や行動を懐古しながら読み終えました。


 はたして、僕の娘たちは、父をどのように見ていたのでしょうか?
 また今は、どのように見ているのでしょうか?

 訊いてみたいような、怖いような……
 でも訊いてみたいような……


 複雑な読後感を味わいました。
   


Posted by 小暮 淳 at 13:15Comments(0)読書一昧

2022年11月15日

「神社かみしばい」 11月口演


 月日が経つのは、本当に早いものです。
 コロナだ! コロナだ!と騒いでいても、月日はめぐってきます。
 そして、そこには確かな足跡と新たな歴史が刻まれていくのです。

 2021年1月。
 そんなコロナ禍に、僕らが旗揚げした 「神社かみしばい」。
 僕らとは、興行主 「壽ちんどん宣伝社」 の座長、石原之壽(いしはらのことぶき)くんと画家の須賀りすさん、僕の3人です。

 石原君は、高校の同級生。
 須賀さんは、過去に僕と絵本を作ったパートナーです。
 そして石原君と須賀さんは、ともに同じアマチュアちんどん倶楽部の座員でした。

 そんな3人でコロナ禍に始めたのが、地元の民話を題材にした紙芝居の制作および上演でした。
 第1弾の 『いせさき宮子の浦島太郎』 は、地元の人にも知られていない民話であり、その物語の意表さがメディアの目に留まり、新聞やテレビでも話題になりました。


 そんな僕らの活動に、賛同して作品を提供してくださったのが、前橋市在住の絵本作家・野村たかあき先生でした。
 群馬のニューヒーロー、「焼きまんじゅうろう」 を主人公にした痛快時代活劇は、現在、シリーズ3作を上演中です。

 ただ今、来年の口演2周年を迎えるにあたり、新作の民話紙芝居を制作しています。
 近々、お披露目となります。
 良い子のみなさん、昔良い子だった大人のみなさん、首を長~くして待っていてくださいね!


 今月の 「神社かみしばい」 の日程は、下記のとおりです。
 たくさんの方のお越しを、お待ちしています



    「神社かみしばい」 11月口演
 
 ●日時  2022年11月19日(土)、20日(日)
       10時、11時、12時、13時 
       ※屋外開催 (悪天候時は室内)
 ●会場  伊勢崎神社 境内 (群馬県伊勢崎市本町21-1)
 ●入場  投げ銭制 ※ペイペイ可
 ●問合  壽ちんどん宣伝社 TEL.090-8109-0480

 ☆小暮は20日のみ在社いたします。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:32Comments(2)神社かみしばい

2022年11月13日

月夜野温泉 「みねの湯 つきよの館」⑮


 <月夜野盆地を見下ろす天空の浴室からは、掛け値なしの絶景の展望が広がる。まるで湯の舟に乗って、遠く南の国まで飛んでいけそうな気分になった。>
 (『みなかみ18湯』 下巻 より)


 急きょ今日、主催者とともに打ち合わせを兼ねて、ごあいさつに行って来ました。
 月夜野温泉 (群馬県みなかみ町) の一軒宿、「みねの湯 つきよの館」。
 来月開催される第3回 「ぐんま温泉サミット」 の会場です。

 打ち合わせは主催者に任せ、僕は久しぶりに眺める宿からの景色に、ただただ見惚れていました。
 春夏秋冬、どの季節に来ても飽きることがありません。
 僕は著書の中で、訪ねるごとに色彩を変える風景を、様々な言葉を用いて表現してきました。


 <南に子持山から続くなだらかな尾根筋を望み、西に大峰山、吾妻耶山と雄大な景色が広がる。眼下には青々とした棚田と、こんもり生い茂った鎮守の杜。なんとものどかな山里の景色に包まれている。>
 (『ぐんまの源泉一軒宿』 より)

 <若葉の萌える頃もいいが、ホタル舞う夜もいい。紅葉は見事だし、雪景色も格別である。おすすめは季節に関係なく、天空が鮮やかな緋色に燃え上がる日没時。刻々と色を変える “日暮らしの景” は、いつまで眺めていても飽きることがない。>
 (『新・ぐんまの源泉一軒宿』 より)

 今日の絶景は、息を吞むような色とりどりの “錦秋美”。
 まさに錦絵を眺めているような美しさでした。


 もちろん打ち合わせ終了後には、“天空の湯舟” に乗ってきました。
 トロンとしているのに、サラッとした湯切れの良さは、今日も健在でした。
 日没までは居られなかったので、空が緋色に燃え上がる夕焼け美は見られませんでしたが、ぜひ、サミットでは参加者と一緒に観賞したいと思います。

 まだ定員には、若干の空きがあります。
 締め切りまで、残り1週間となりました。
 たくさんの方の参加を、お待ちしています。



   第3回 ぐんま温泉サミット IN つきよの

 ●日時  2022年12月3日(土)~4日(日)
 ●会場  月夜野温泉 「みねの湯つきよの館」
        群馬県利根郡みなかみ町後閑1739-1
 ●受付  11:00~ (昼食は各自)
 ●定員  宿泊 25名 日帰り 10名 ※先着順
 ●会費  ①1泊2食 12,000円
        ②日帰り(夕食付) 5,000円
        ③日帰り(入浴付) 2,500円
 ●締切  2022年11月20日(日)
 ●問合・申込
   群馬温泉サミット事務局 (関口) TEL.080-1023-9558 FAX.0270-50-1182
   mail kcc@eos.ocn.ne.jp  Facebook関口のメッセンジャーにて受付
 ※「みねの湯つきよの館」では受け付けていません。


   〖スケジュール〗
 13:00~ 開催あいさつ&旅館女将あいさつ
 13:30~ 講演会 (講師/小暮淳 演題/「令和版 みなかみ紀行」) 
 15:00~ 座談会 (サミット)
 16:00~ 自由時間&入浴タイム
 17:30~ 食事会 (交流会)
 20:00   終了
 翌日    朝食後 解散
  


Posted by 小暮 淳 at 18:59Comments(0)温泉地・旅館

2022年11月12日

走れ! マロ号


 イヌ派?ネコ派?と問われれば、0対100で僕は、絶対的にネコ派であります。
 たぶん、幼少の頃にイヌに噛まれた記憶が、トラウマになっているのだと思います。

 そんな僕の家に、「マロ」 がやって来たのは16年前のこと。
 家族が、僕の意思を確認することもなく、独断で飼ってしまったのです。
 小型犬のチワワ (オス) といえども、イヌはイヌです。
 僕はしばらく、近寄れずにいました。

 ところが奇跡は起きました。
 数日後、「こいつとは、うまくやれるかも」 と思え始め、やがて、「こいつはイヌではなく、“マロ” という別の生き物なんだ」 と思えるようになりました。
 それからは、無二の親友になれました。
 (マロとの日々は、当ブログのカテゴリー 「マロの独白」 をお読みください)


 マロが亡くなって3年。
 依然、僕のイヌ嫌いは治っていません。
 やはり、マロだけが特別だったのですね。

 人と人、人と動物に相性があるように、最近、“モノ” とも相性があることを知りました。


 自動車派?自転車派?と問われれば、10対90で僕は、自転車派です。
 100%でないのは、群馬で暮らす限り自動車は必需品なので、仕方なく乗っています。
 ので、不要不急の場合、10キロ以内なら自転車、10キロ以上ならば電車とバスを利用するようにしています。

 自動車が嫌いな理由は、たった1つ!
 点から点への移動をする乗り物だからです。
 移動の行程や景色、人との出会いを楽しめないことに、“素っ気なさ” を感じてしまいます。

 よって、僕にとって自動車は、急を要す場合に目的地まで身体を運んでくれる道具に過ぎません。
 だから、動けば何でもいいのです。


 今夏、そんな僕のポンコツ車が、ついに廃車となりました。
 「動けばいい」 と思っていた車が、「車検を通らない」 と言われてしまったのです。
 嫌いでも、この土地で暮らす限り、やはり無いと不便なのです。
 仕方なく、自動車関連会社に勤める息子に 「動けば何でもいいから」 と頼んで、中古車を一台、持って来させました。

 ところが、奇跡が起こりました!
 免許を取得して、45年。
 乗り換えた車は、6台目。

 大嫌いな車なのに、納車された日に乗った瞬間、
 「あっ、こいつとは、うまくやっていけるかも」
 という、不思議な予感がよぎりました。
 そうです、イヌ嫌いの僕が、マロと出合ったときのような……


 あの日から3ヶ月が経ちました。
 相変わらず、僕の自動車嫌いは治っていません。
 が、不思議なんです。

 「こいつとなら出かけてもいいかな」
 と思え、エンジンをかけている自分がいます。
 しかも、45年間で初めて 「運転が面白い」 とも思えています。

 やっぱり、人と物にも相性ってあるんですかね?

 だから僕は、こいつに “マロ号” と名付けました。


 人は見かけによらぬもの。
 イヌも見かけによらぬもの。
 自動車も見かけによらぬものであります。

 走れ! マロ号
  


Posted by 小暮 淳 at 12:08Comments(2)つれづれ

2022年11月11日

シリーズ 「温泉王国ぐんま」 続々決定!


 どんな土地にも年輪があり、古き良き暮らしがあった。
 大合併で記憶が日々に遠のいてゆく群馬県。
 そこには、今残さなければならない遺産がある。
 二度と聞けなくなる証言がある。
 地域に埋もれた情報を掘り起こして、トリビアに紹介する 『ぐんま!トリビア図鑑』。
 さあ! 今回のトリビアは?
 <『ぐんま!トリビア図鑑』 オープニングのナレーションより>


 群馬県全域および埼玉県、栃木県、茨城県、千葉県、長野県、新潟県の受信可能エリアにお住いのみなさん、こんにちは!
 群馬テレビ 『ぐんま!トリビア図鑑』 スーパーバイザー (監修人) の小暮です。
 (でも時々、リポーターとしても番組に出演しています)


 早いもので番組開始から8年目に入りました。
 放送回数も300回を超えました。
 歴史、文化、民俗、風習……と、さまざまな切り口で群馬の情報をお届けしていますが、ついに今年の夏から “温泉トリビア” が加わりました!

 題して、シリーズ 「温泉王国ぐんま」。


 第1回は、“泉質が変わった温泉” を紹介しました。
 現在、第2回 “いで湯発見伝説” の撮影・制作が進行中です。

 そんな最中、番組の企画会議が開かれ、僕もスーパーバイザーとして出席してきました。
 会議室に集まったのは、プロデューサー、ディレクター、放送作家ら約10名。
 たっぷり2時間、来春までの番組内容について話し合いました。


 その結果、なななんと!
 「温泉王国ぐんま」 の企画が、2つも採用されることになりました~!
 第3回と第4回、群馬の温泉にまつわるマニアックなネタの制作が決定したのです!

 いやいや、これは温泉ライターとしてだけではなく、番組のリポーターとしても感無量であります。
 それだけ、温泉ネタが好評ということでしょうか?
 それとも他のネタが尽きてきた?

 理由は何でも、いいんです。
 群馬の温泉の魅力を少しでも多くの人に伝えることができれば、それが本望です。


 ということで、今後も 『ぐんま!トリビア図鑑』 を、よろしくお願いいたします



     ぐんま!トリビア図鑑

 ●放送局  群馬テレビ (地デジ3ch)
 ●放送日  火曜日 21:00~21:15 (毎月最終火曜日を除く)
 ●再放送  土曜日 10:30~10:45 月曜日 12:30~12:45
  


Posted by 小暮 淳 at 11:28Comments(2)テレビ・ラジオ

2022年11月10日

ミルコト+ミエナイコト=サワルコト


 会場に一歩足を踏み入れて、驚いた!

 目の前の観客がしゃがみ込んで、床に展示されている作品を素手で触っているのです。
 一般の展示会では、あり得ないことです。

 <作品には手を触れないでください>
 そう注意書きが貼られているのが常です。

 でも、ここは違いました。
 「ああ、そういうことなのか……」
 最初に感じた違和感は、すぐに心地よい手の感触ともに消えて行きました。


 一風変わった彫刻展が開催されているというので、行ってきました。
 『ミルコト ミエナイコト サワルコト』

 この展示会を企画したのは、一般社団法人 「メノキ」 。
 代表理事の三輪途道(みわ・みちよ)さんは、群馬県下仁田町在住の彫刻家です。
 三輪さんが視力を失い出したのは15年前のこと。
 網膜色素変性症という目の難病を発症しました。
 時間経過の中で少しずつ視力を失い、昨年暮れには、ほぼ見えなくなったといいます。
 彫刻家が視力を失うことは、致命的なはずです。

 でも三輪さんは作品を作り続けています。
 <『表現する』 という立ち位置になんら変わりはありません。加えて、見えなくなってから 『見えてきたこと』 もたくさんありました。>
 と、今回の展示会にコメントを寄せています。


 彫刻展は2期構成で、前期は 「三輪途道 個展」 で、すでに終了しました。
 現在は、三輪さんの活動に賛同する仲間の作家たちによる 「グループ展」 が開催中です。

 このグルーブ展には、当ブログでも紙芝居 『焼きまんじゅうろう 旅すがた』 でお馴染みの絵本作家・野村たかあきさんの作品も出展されています。
 野村さんは、絵本作家でもありますが、木彫家であります。


 ぜひ、この機会に、見て、触れて、“ミエナイコト” を感じてみてください。
 素晴らしい展示会だと、僕は思いました。



    『ミルコト ミエナイコト サワルコト』
        後期 グループ展

 ●会期  開催中~2022年12月3日(土)
 ●開館  午前9時30分~午後5時
 ●休館  日曜・祝日
 ●会場  株式会社ヤマト 本社1階 ギャラリーホール
        (群馬県前橋市古市町118)
 ●観覧  無料
 ●問合  株式会社ヤマト TEL.027-290-1800

 <出展作家>
 三輪途道、齋木三男、林耕史、野村たかあき、丸尾康弘、カナイサワコ、群馬大学教育学部美術専攻彫刻研究室学生 (敬称略)
  


Posted by 小暮 淳 at 12:00Comments(0)ライブ・イベント

2022年11月09日

牧水気分で浮かれ酒


 <其処へ一升壜を提げた、見知らぬ若者がまた二人入って来た。一人はK―君という人で、今日我らの通って来た塩原多助の生まれた村の人であった。一人は沼田の人で、阿米利加(アメリカ)に五年行っていたという画家であった。画家を訪ねて沼田へ行ったK―君は、其処の本屋で私が今日この法師へ登ったという事を聞き、画家を誘って、あとを追って来たのだそうだ。そして懐中から私の最近に著した歌集 『くろ土』 を取り出してその口絵の肖像と私とを見比べながら、「やはり本物に違いはありませんねエ。」 と言って驚くほど大きな声で笑った。>
 (若山牧水・著 『みなかみ紀行』 より)


 先日、四万温泉に泊まった晩のこと。
 県内外から温泉好きが集まり、酒を酌み交わし、宴たけなわとなった頃、宿に中年の男女が訪ねて来ました。
 2人は夫婦で、なんでも、僕がこの宿に泊まっていることを知り、やって来たのだといいます。

 手には、僕の著書が握られていました。
 見れば、新品であります。

 はて、なぜに新品なのだろうか?
 僕の読者ならば、読み込んで、手垢にまみれているはずです。

 「それ、どうされました?」
 「ええ、先生が四万温泉に来られると聞き、会いたくて……」
 「いえ、その本です。新しいですよね?」
 「ああ……、今、宿で買ってきました。サインをお願いします」


 たぶん、こういうことなのでしょうね。
 この日、僕と泊まっている温泉ファンの誰かが、SNSか何かで、つぶやいた。
 すると偶然、同じ四万温泉の別の宿に泊まっていた温泉ファンの夫婦が、僕がこの宿に泊まっていることを知った。
 会って、サインをもらおうと思ったが、あいにく本は持って来ていない。
 ところが運よく、夫婦が泊まっている宿に僕の本が売っていた。
 取り急ぎ購入して、僕が泊っている宿を訪ねて来たということのようです。

 もちろん、こころよくサインをいたしました。
 ついでに、「よろしかったら一緒に、一杯やりませんか?」 と宴の席に誘いました。


 「まるで牧水のようですね」
 誰かが言いました。
 「本当だ、悪い気はしないね。冥利に尽きる」
 と僕は、牧水気分で美酒に酔いしれたのであります。

 たかが温泉、されど温泉。
 旅と湯と酒を愛した牧水に、乾杯!
   


Posted by 小暮 淳 at 11:45Comments(0)酔眼日記

2022年11月08日

「吾妻の温泉文化」 開催中!


 温泉ファンのみなさん、こんにちは!
 中之条町観光大使および四万温泉大使からのお知らせです。

 読者のみなさんは、覚えていますか?
 以前、僕が中之条町の歴史と民俗の博物館 「ミュゼ」 に、次回企画展の打ち合わせに行った話を?
 (当ブログの2022年9月2日 「ダブル大使がゆく!」 参照)
 その企画展が現在、開催中であります。


 令和4年度第2回企画展
 『吾妻の温泉文化 ~温もりと憩いの名泉に集う人々~』

 中之条町のある吾妻郡は、群馬県の奥地にありながら草津温泉を筆頭に、「草津の仕上げ湯」 とも呼ばれる四万温泉、沢渡温泉など、独特の温泉文化が発展した地域です。
 現在、大小約30カ所の温泉地が点在しています。

 企画展では、「上州の三名湯」 といわれる草津温泉と四万温泉を中心に、温泉の歴史と文化を細かく丁寧に解説しています。
 ※もう一つの三名湯は、伊香保温泉です。


 文学ファンには、「温泉を愛した文豪・田山花袋と若山牧水」 のコーナーが必見!
 ともに群馬の温泉地を旅した作家で、花袋は大正7(1918)年に 『温泉めぐり』 を、また牧水は同11年の旅を 『みなかみ紀行』 に著しています。

 会場では、牧水が草津温泉を発ち、花敷温泉に一泊して、暮坂峠を越えて沢渡温泉、四万温泉を経て利根郡へ向かうまでの再現ビデオを視聴することができます。
 たっぷり20分間、“牧水ワールド” に浸れますよ!


 ということで、温泉ファンのみならず、歴史や文学好きも楽しめる企画展です。
 ぜひ、晩秋の吾妻路をドライブがてら、お立ち寄りください。



       吾妻の温泉文化
  ~温もりと憩いの名泉に集う人々~

 ●会期  開催中~2022年12月14日(水)
 ●時間  午前9時~午後5時
 ●休館  木曜日
 ●料金  大人200円 子ども100円
 ●問合  中之条町 歴史と民俗の博物館 「ミュゼ」
        TEL.0279-75-1922       
        群馬県吾妻郡中之条町大字中之条町947-1

  


Posted by 小暮 淳 at 12:07Comments(0)大使通信

2022年11月07日

四万温泉 「もりまた旅館」②


 「師匠に、ご主人が会いたがっていましたよ」

 2ヶ月ほど前、僕の “一番弟子” を名乗る温泉ファンの女性から電話がありました。
 「だったら久しぶりに会いに行くか!」
 と返したところ、後日、また電話がありました。

 「ご主人も喜んでいました。当日は全館貸し切りにしてくださるそうです」
 「貸し切り!?」
 驚く僕に、彼女は、こう言いました。
 「ええ、人数を集めましたから貸し切りです」


 ということで、四万温泉の 「もりまた旅館」 に行って来ました。

 四万温泉 (中之条町) は、四万川沿いに5つのエリアが連なる温泉地で、「もりまた旅館」 は下流から2つ目の山口地区に、ひっそりとたたずむ小さな宿です。

 2代目主人の森博昭さんは、元四万温泉協会の事務局長です。
 僕が 「四万温泉大使」 に委嘱された時、任命証を授与してくださったのが森さんでした。
 また、コロナ前まで毎年開催していた、NPO法人 「湯治乃邑(くに)」 主催によるパネルディスカッションにも、ゲストパネラーとして出演してくださったことがありました。


 そんな森さんが経営する旅館に、自称・一番弟子を名乗る知人が泊った際に、僕の話が出て、「だったら、みんなで泊まりにおいでよ」 ということになったようです。

 で、その “みんな” とは?
 温泉ソムリエなどの資格を持つ、コテコテの温泉ファンたちであります。
 旅館に現れた選ばれし5人は、男性3人、女性2人。
 年齢は40~50代。
 県内からは2人、あとの3人は埼玉県、東京都、大阪府から、わざわざ来てくださいました。


 「ひと風呂浴びてからにしますか?」
 の問いに、
 「まだ、だいぶ日が高いですよ」
 と僕。
 「だったら、これ、やりますか?」
 と、ご主人が、芋焼酎 「魔王」 の一升瓶を差し出しました。

 「おおおおおーーー!!」
 と一斉に、声が上がります。
 「これがウワサのプレミアム焼酎ですか!」
 「一本、2万円くらいしませんか?」
 「いや~、遠慮なくいただきましょう!」

 ということで、ひと風呂前のウエルカムドリンクで盛り上がりました。


 実は、この5人とは、この日が初対面ではありません。
 全員が僕の読者で、過去に講演会やサミットなど、なんらかの会場でお会いしている人たちであります。
 よって、この日は、いきなりサイン会から始まってしまいました。

 僕は平成23(2011)年に、『あなたにも教えたい四万温泉』(上毛新聞社) という著書を出版しています。
 この本、出版社のちょっとした粋なはからいがあり、書店販売と地元の四万温泉販売では、本の帯が違うって知ってましたか?
 書店用は緑色の帯ですが、四万温泉用は、えんじ色の帯に僕の直筆で、こう書かれています。

 ≪何もないとは なんて素敵な ことだろう≫


 そのことに知っている人も知らない人もいましたが、「だったら四万バージョンが欲しい!」 ということなにり、急きょ、ご主人が温泉協会に電話をして、人数分の本を宿まで届けさせたのであります。
 そのサプライズに、参加者全員、大興奮!

 さすが、ご主人!
 元事務局長の権力を発揮してくださいました。


 もちろん、その晩は勢いそのままに、温泉談話まみれの酒まみれ。
 永い永い晩秋の宴が、夜深くまで続きましたとさ。

 みんな、ありがとうね。
 楽しかったよ!
  


Posted by 小暮 淳 at 11:30Comments(2)温泉地・旅館