2023年10月31日
死者に会える場所
「先生のお父様の知り合いだという人が見えてます」
昨日、高崎市の講演会場の控え室で、出番の準備をしていると、主催者が僕を呼びに来ました。
「オヤジの知り合い?」
「ええ、Aさんという方で、なんでも生前に大変お世話になったとかで、先生にごあいさつしたいと」
講演開始までには、まだ10分以上あります。
そーっと会場をのぞくと、すでに用意されたイスは満席でした。
本来、開演前に会場へ入ることはないのですが、オヤジの知り合いとなれば、ごあいさつをしないわけにはいきません。
「どの方でしょうか?」
「えーと、ですね。ああ、あの右通路の後ろから3番目の女性です」
僕は他の受講者たちに講師だと気づかれないように、そーっと、女性に近づきました。
「Aさんですか?」
肩越しに、声をかけました。
一瞬、その高齢の女性は驚いたようですが、すぐに笑顔になり、
「目元が、お父さんに、そっくりですね。お会いしたくて来ました」
聞けば、この女性も日本野鳥の会の会員だといいます。
オヤジは生前、この会の群馬県支部前橋分会長をしていました。
僕も子どもの頃からオヤジに連れられて、よく探鳥会に参加していましたから、なんとなくですが、Aさんの名前は覚えていました。
「確か、いつもご主人と一緒でしたよね?」
「ええ、本当は主人が来たがっていたんですけど、用事があって来られませんもので、私が代わりに来ました。とっても先生に会いたがっていました」
といっても、僕が小学生の頃ですから半世紀以上も昔の話です。
それから僕は2時間の講演を終え、また控え室に戻りました。
主催者たちと雑談をしていると、Aさんが、またあいさつに現れました。
「お話が大変お上手で、話し方が、お父さんそっくりでした」
オヤジも晩年は、県内の公民館や小学校をまわり、「野鳥のおじさん」 として講演活動をしていたのです。
「なんだか小暮さんにお会いしているようで、うれしくなりました。ありがとうございます」
と、丁寧にお辞儀をすると、部屋を出て行きました。
講演は、オヤジに会える場所……
実は、これが初めてではありません。
以前も、講演終了後に高齢の男性が現れ、
「生前、お父様に世話になったものです。ぜひ、お墓参りをしたいので、場所を教えてください」
と、声をかけられたことがあります。
この男性は、息子である僕の講演会に行けば、オヤジの墓地を聞き出せると思ったようです。
オヤジが亡くなって4年半が経ちます。
それでも、こうやってオヤジのことを忘れずに、会いに来てくれる人たちがいます。
オヤジ、オヤジって、人望が厚いじゃん!
金も名も残さなかったけど、徳は残したよな!
ありがとう、オヤジ。
こうやって、オヤジの面影に会いに、わざわざ息子の講演を聴きに来てくれる人たちがいるんだよ。
うれしいね。
2023年10月30日
店員を呼んでください!
新聞の投稿欄に、世の中の急速な無人化を憂う、こんな記事がありました。
投稿者が同僚と居酒屋に行くと、店員から 「QRコード」 が付いたメニューを渡されたといいます。
スマホで画面を読み込んで、注文するシステムです。
<店員を呼ぶ手間は省けるが、画面は小さいうえ料理の画像も見にくい。とりあえず、同僚とメニューに目を通したものの、私には紙に大判でカラー印刷されたメニューの方が見やすい。同僚も 「ボタン操作より、口で頼んだ方が早いな」 とこぼす始末だ。>
と、逆に難儀した様子。
投稿者は、40代前半の男性です。
それでも戸惑う “デジタル化” の普及。
高齢者は、ついて行けるのでしょうか?
いえいえ、僕のようにスマホを持たない人は、いずれ外食ができなくなってしまうのではないかと不安です。
“いずれ” なーんて、対岸の火事のように高をくくっていたら先日、わが身に火の粉が降りかかりました。
我が家の近くの行きつけのラーメン店でのことです。
いつものように入口の自動券売機で、いつものラーメンを選択して、画面をタッチ。
いつものように千円札を投入して、会計ボタンを押しました。
ところが!
食券とおつりが出て来ません。
それどころか、アラームが鳴り出し、
≪店員を呼んでください! 店員を呼んでください!≫
と券売機が騒ぎ出しました。
あわてて店員を呼ぶと、若いバイト風の男の子がやって来ましたが、勝手がわからない様子。
厨房へ走って行き、店長らしき人を呼んできました。
店長らしき人は、キーで券売機を開け、何やら操作をしています。
やがて、
「すみませんでした。もう一度お願いします」
と言って、厨房へと戻って行きました。
再度、メニューを押して、千円札を投入!
ジージージーと機械は作動して、発券されましたが、今度はおつりが出てきません。
そして、
≪店員を呼んでください! 店員を呼んでください!≫
と券売機は騒ぎ出しました。
またもや店長らしき人が、やって来たのですが、今度は再起動にかなり難航しています。
その間にも、次から次へと店内には客が入って来ます。
振り返ると、僕の後ろには6人の客が並んでいます。
厨房は店長らしき人一人のようで、すべての料理は中断。
フロアーのアルバイト君は、ただ突っ立っているだけです。
「がんばれ、店長!」
と、心の中で応援しましたが、なかなか機械は反応してくれません。
その間に6人の後続客は全員、店の外へ出て行ってしまいました。
結局、10分後に機械は再起動され、僕の前にラーメンが出てきたのは、さらに5分後でした。
ま、急いではいなかったので、僕の場合は問題なかったのですけどね。
でも、そのとき、新聞の投稿記事を思い出しました。
<ボタン操作より、口で頼んだ方が早いな>
会計も、しかり!
あと一人、店員がいれば、レジで支払いができたのです。
すべては、人手不足が原因のようです。
人間には、ヒューマンエラーがあります。
人間だもの……
機械だって、故障します。
所詮、機械だもの……
でも結局、最後は機械も人間を頼るんですね。
≪店員を呼んでください! 店員を呼んでください!≫
2023年10月29日
『いせさき宮子の浦島太郎』 パネル展示
昨日に引き続き、ローカルネタで恐縮です。
2年半前から毎月1回、伊勢崎市の伊勢崎神社境内にて上演している 「神社かみしばい」。
僕は、演者の石原之壽(いしはらのことぶき)氏の友人として、地元の民話を題材にした紙芝居の制作に参加しています。
第1作のオリジナル紙芝居が、『いせさき宮子の浦島太郎』 でした。
●文/小暮 淳 (フリーライター)
●画/須賀 りす (画家・イラストレーター)
現在、伊勢崎市の中心市街地で開催中の 「伊勢崎まちなか文化祭」 の関連イベントとして、アイオー信用金庫大手町出張所ロビーにて、紙芝居 『いせさき宮子の浦島太郎』 のパネル展示が行われています。
物語のあらすじ、紙芝居画の一部、そして主催者である 「壽ちんどん宣伝社」 座長の石原之壽氏のコメントが寄せられています。
入場無料ですので、近くまでお越しの際は、お立ち寄りください。
紙芝居 『いせさき宮子の浦島太郎』 パネル展示
期間 2023年10月27日(金)~11月10日(金)
会場 アイオー信用金庫大手町出張所ロビー (伊勢崎市大手町12-20)
時間 9:00~11:30 12:30~15:00 (平日)
問合 アイオー信用金庫大手町出張所 TEL.0270-24-7551
※次回の 「神社かみしばい」 は、11月11日・12日に開催します。
2023年10月28日
広瀬川に遊びにおいでよ!
このブログでも 「神社かみしばい」 でお馴染みの画家でイラストレーターの須賀りすさん。
僕の作品では、絵本 『誕生日の夜』(よろずかわら版) や紙芝居 『いせさき宮子の浦島太郎』 『女堀と桜姫』(壽ちんどん宣伝社) などの作画を担当していただいています。
そんな彼女が来週の日曜日に、ワークショップを出店します。
会場は広瀬川河畔 (前橋市) 、中央前橋駅近くの緑地遊歩道沿いです。
ハンドメイド、キッチンカー、ワークショップのほか、占い、紅茶インストラクター、絵本、Tシャツショップなど24店が出店。
お好み焼きやケバブなどの食品販売店も集まります。
当日は、僕も須賀さんのブースを間借りして著書を販売します。
お時間のある方は、遊びに来てください。
※(須賀さんのブースは一番東の中央前橋駅側)
川風に吹かれながら、一緒にビールでも吞みましょう!
第1回 広瀬川ハートフルマルシェ
日時/2023年11月5日(日) 10:00~16:00頃
場所/広瀬川右岸河畔 展望橋付近 (前橋市城東町3-3)
主催・問合/カプンカ TEL.090-9309-7413
※会場駐車場はありません。周辺有料駐車場をご利用ください。
2023年10月27日
群馬県民は草津を 「くさつ」 とは言わない
先日のフジテレビ 『ホンマでっか!?TV』 に出演以降、SNS上で僕の発言について物議をかもしていることを知りました。
番組の中で、僕が草津温泉のことを 「くさつ」 ではなく、「くさづ」 と発音していたことについてのようです。
ハハハハ(笑)
書き込んだ人は、すべて群馬県民ではありませんね!
根っからの県民は、「くさつ」 なんて言わない。
「くさづ」 と濁るんですよ!
確かに、草津温泉の正しい表記は 「くさつ」 です。
でも、それは標準語のようなもの。
江戸っ子が 「ひ」 と 「し」 を区別できないように、ネイティブ県民は 「つ」 なんて言えません。
生まれてからこのかた、ずーーーっと、草津は 「くさづ」 なのであります。
では、どちらが正しいのか?
草津の語源には諸説あるようですが、あの独特の硫黄成分のにおいから 「臭い水」 を表す 「くさみず」 だといわれています。
「くさみず」 → 「くそうづ」 → 「くさづ」 → 「くさつ」
ほらね、最終表記は 「くさつ」 でも、言葉の由来でみれば 「づ」 と濁るわけです。
しかも “水” を意味するわけですから 「づ」 ではなく、「ず」 が正しいことになります。
結論、どちらも正しいと思います。
現代表記では、「くさつ」 と発音します。
(パソコンでも 「くさつ」 で変換)
でもネイティブの県民語では、「くさづ」 が一般的ということになります。
群馬県民御用達の 『上毛かるた』 の 「く」 の札には、なんと書かれているか、ご存知ですか?
「草津 (くさづ) よいとこ 薬 (くすり) の温泉 (いでゆ)」 です。
ほらね、ルビは、しっかりと 「くさづ」 とふられています。
かつて、「た」 の読み札が、地元民の要望により変更されたことがありました。
「滝は吹割 片品渓谷」
改定前のルビは 「ふきわり」 でしたが、「地元では “ふきわり” とは言わない」 との意見が多く寄せられ、ネイティブ語の 「ふきわれ」 と書き換えられました。
ということで、いずれ草津温泉も 「くさづ」 が主流になる日が来るかもしれませんね。
2023年10月26日
視聴御礼申し上げます
昨晩放送のフジテレビ 『ホンマでっか!?TV』、ご覧になりましたか?
いやいや、僕のところには放送終了後から電話、メール、コメントが続々と寄せられました。
なかには、中学校の同級生や静岡、鹿児島など遠方の友人知人からも 「見ました!」 コールが届きました。
僕は、そのとき、呑み屋にいました。
ママさんが常連客を集めて、貸し切りにてパブリックビューイングを開いてくださったのです。
とにかく、日頃から気の置けない仲間たちです。
「あと2時間」 「あと1時間」 とカウントダウンが始まりました。
「ほら、5分前だよ!」
のかけ声に、
「トイレ行かなくっちゃ!」 「みんな酒の用意は大丈夫か?」 と大騒ぎ。
そして、テレビに明石家さんまさんが登場すると、「うわ~!」 と歓声が上がり、僕が画面に映ると 「おおー!」 という声とともに拍手が沸き上がりました。
ノンストップの54分間。
面白かったですね。
みなさんも充分に楽しめたんじゃないですかね。
群馬の魅力も大放出でした。
視聴していただいた、すべての人に感謝を申し上げます。
ありがとうございました。
今後も群馬と群馬の温泉を、よろしくお願いいたします。
おかげさまで、このブログが 「グンブロ」 の人気ブログランキング (2,083ブログ中) で、1位になりました。
これも読者様のお陰であります。
お礼を申し上げます。
ありがとうございました。
2023年10月25日
今夜オンエア! 『ホンマでっか!?TV』
先日、さる大学教授の講演を受講して、会場を出たところで見知らぬ男性に声をかけられました。
「小暮さんですか?」
「あ、……はい」
不意を突かれて戸惑っている僕に、彼は言いました。
「ブログ、読んでます」
な~んだ、読者様だったのですね。
それにしても、よく僕だと分かりましたね?
ブログの写真は10年以上前に写したものです。
現在の僕は、だいぶ風貌が違います。
訊ねると、
「トリビア、見ていますから」
とのこと。
トリビアとは、群馬テレビで放送中の 『ぐんま!トリビア図鑑』 のことです。
「ありがとうございます」
とお礼を言うと、
「“ホンマでっか” も、もう録画予約しました」
とは、うれしい!
ということで、いよいよ、泣いても笑っても今夜放送です。
みなさん、準備は、よろしいですか?
僕ですか?
そりゃあ、もう、万全であります。
行きつけの呑み屋を貸し切り、今夜は常連客らとパブリックビューイングを楽しむ予定です。
オンエアまでは、まだ時間がありますが、そろそろ出かけようかと思っています。
だって、とても素面(しらふ)では、さんまさんにいじられている自分の姿は、見られませんもの。
早いとこ酔っぱらって、仲間とお祭り騒ぎ状態で視聴しようと思います。
では、みなさん!
今夜9時に、お茶の間で、お会いしましょう!
フジテレビ 『ホンマでっか!?TV』
10月25日(水) 21:00~21:54
「群馬県の魅力放出SP」
【M C】 明石家さんま
【進行】 井上清華 (フジテレビアナウンサー)
【ゲスト】
中山秀征、井森美幸、大友花恋、JOY、関太 (タイムマシーン3号)
宮下兼史鷹 (宮下草薙)、和田颯 (Da-iCE)
【パネラー】
EXIT (りんたろー。、兼近大樹)
島崎和歌子
ブラックマヨネーズ (吉田敬、小杉竜一)
【ゲストパネラー】
カミナリ (竹内まなぶ、石田たくみ)
【評論家】
池田清彦 (生物学)
牛窪恵 (マーケティング)
小暮淳 (群馬魅力)
2023年10月24日
締切間近! 出前講座 in 四万温泉
以前も告知しましたが、現在、群馬県立歴史博物館で開催中の企画展 『温泉大国ぐんま』 (~11/26) の協力企画として、出前講座を開催します。
当日は博物館のある 「群馬の森」 とJR前橋駅南口からバスが発着し、四万温泉(中之条町) へと向かいます。
このイベントの運営委員であり、四万温泉大使の僕が講師としてバスに同乗。
車中にて 「四万温泉あれこれ」 をお話しします。
参加者の特典として、拙著 『あなたにも教えたい四万温泉』(上毛新聞社) が進呈されます。
ぜひ一緒に、秋の四万温泉を満喫しましょう!
第109回 群馬県立歴史博物館企画展 『温泉大国ぐんま』 協力企画
温泉ライターに学ぶ 「四万あれこれ」
●日時/11月21日(火)
●コース/群馬の森(東奥駐車場)集合(9:00)~出発(9:10)~前橋駅南口・東横イン前付近(9:30)~四万温泉到着(10:30)~奥四万湖~日向見薬師堂~やまぐち館(昼食、入浴)~温泉街散策~出発(15:00)~群馬の森(16:30)帰着。
●講師/小暮 淳 (温泉ライター、友の会運営委員)=車中及び現地で講義
●参加費/会員1万円(バス代、やまぐち館での昼食代込み、参加者には講師著書 『あなたにも教えたい四万温泉』 をプレゼント)
※会員以外は1万2千円(会員になることをおすすめします)
※参加費は車中で徴収します。
●定員/25人(中型バス使用、応募多数の場合は申し込み順)
●締切/11月1日(水)消印有効
●申込/通常はがきに下記をご記入の上、お申込みください。
※裏面に①見学会名【四万温泉あれこれ】②会員番号(会員外は一般と記入)③氏名④住所⑤生年月日(保険のため必要)⑥電話番号または携帯番号⑦緊急連絡先⑧乗降希望場所(①群馬の森、②前橋駅南口)
●宛先/群馬県立歴史博物館友の会事務局、〒370-1293 高崎市綿貫町992-1
●問合/群馬県立歴史博物館 「友の会」 事務局 TEL.090-2568-5522 (水曜日 14:00~16:00)
2023年10月23日
老神温泉 「東秀館」②
旅館のパンフレットには、こう書かれています。
<老神温泉郷 穴原湯 東秀館>
なぜ、“温泉郷” なのでしょうか?
かつて、片品川沿いのこの地区には、3つの温泉地がありました。
老神(おいがみ)、大楊(おおよう)、穴原(あなばら)です。
老神は片品川の右岸、大楊と穴原は左岸にありました。
しかし、昭和10年(1935)年4月、3つの温泉地を統合して 「老神温泉郷」 として一本化し、老神温泉旅館組合を発足しました。
これにより従来の小さな湯治場から群馬を代表する温泉地の仲間入りをするようになりました。
今でも温泉街の入り口に立つ案内板には、「老神温泉郷」 と書かれています。
ですから正しくは、ここは温泉郷なのです。
いつしか “郷” が取れて、誰もが 「老神温泉」 と呼ぶようになりました。
片品川をはさんだ温泉街の対岸、ここ穴原地区には古くから湯が湧いていました。
東秀館の創業は、明治27(1894)年。
現在の老神温泉には明治時代に創業した老舗旅館が4軒ありました。
が、すでに2軒が廃業し、1軒は経営が交代しています。
直系の一族が経営している温泉旅館としては、老神温泉で最古の宿といえます。
今から130年前。
片品川対岸の 「穴原」 という集落が、大火に見舞われ、壊滅の危機に瀕してしまいました。
「どうにか、この村を残したい」 「元の村のように再建したい」 と、まわりの集落に助けを求めたところ、「大原」 に住む現主人の曽祖父が、穴原が所有していた源泉を買い上げて、村の危機を救ったといいます。
そのため、ここ東秀館だけは、昭和のはじめまで 「穴原温泉」 と呼ばれていました。
「これはこれは小暮さん、今日はお越しくださり、ありがとうございます」
湯から上がり、まだ体を拭いている時でした。
僕の来館を知った4代目主人の小林利之さんが、わざわざ脱衣所まであいさつに来てくださいました。
小林さんとは今年の5月、老神温泉の 「大蛇まつり」 で、お会いしたばかりです。
でも東秀館に泊まるのは、平成27(2015)年5月に出版した 『尾瀬の里湯』(上毛新聞社) の取材以来ですから8年ぶりになります。
「今日は、よろしくお願いいたします」
「では、後ほど」
浴衣に着替え、僕は仲間の待つ客室へもどりました。
仲間とは、県内外から集まった温泉ソムリエの資格を持つ温泉好きの面々です。
僕はゲストとして、呼ばれました。
夕食までは、まだ時間があります。
当然、湯上りのビールをいただくことになりました。
「カンパーイ!」
早くも温泉談議が始まりました。
まだまだ夜は長い。
窓からは紅葉が始まったばかりの山並みが見えます。
こうやって、住む土地も年代も違う人たちと呑み明かせる幸せ……
すべては、温泉が導いてくれた出合いです。
ただただ、温泉に感謝であります。
温泉ライターになって、良かった!
2023年10月21日
酒乞食
死んだオヤジは生前、自分のことを自ら 「麺乞食(めんこじき)」 と呼んでいました。
それほどまでに無類の麺好きでした。
こんなエピソードがあります。
オヤジとオフクロが、まだ結婚する前のこと。
オヤジがオフクロの家を訪ねると、オフクロの母親 (僕の祖母) が、うどんを打ってくれたといいます。
オヤジいわく、
「こんなうまいうどんが、いつでも食べられるんなら」
と、プロポーズしたとのことです。
真偽のほどは定かではありませんが、確かに、朝昼晩と麺を食べていたほどの麺好きではありました。
そのDNAは、僕にも受け継がれています。
でも僕には、麺類よりも好きなものがあります。
はい、酒類です!
“酒” とは言わずに “酒類” と言ったのは、酒ならば洋の東西を問わずに、なんでも好きだからです。
1年365日、成人したその日から1日たりとも欠かしたことはありません。
どんなに疲れていても、風邪をひいても、毎晩必ず酒を口にします。
オヤジに言わせれば、「お前は酒乞食っていうやつだな!」 と笑われそうです。
酒好きには、悪いクセがあります。
それは、どこでもかまず、酒好きを自称してしまうことです。
たとえば、このブログです。
プロフィール写真を見てください。
僕は、うれしそうにビールのロング缶を持っています。
しかも、銘柄までハッキリと分かります。
「一番搾り」
だもの読者は、「小暮さんは、キリンの一番搾りが好きなんだ!」 と勘違いするわけです。
もとい!
勘違いではありません。
事実ですが、ビールなら何でも呑みます。
でも、この1枚の写真が読者の脳裏に刷り込まれるわけです。
すると……
お中元、お歳暮に限らず、宴の席でも僕のところには 「一番搾り」 が届くようになりました。
ブログの力は偉大です。
数年前から芋焼酎の 「赤兎馬(せきとば)」 が届くようになりました。
これも、僕が好きな酒として、ブログに書いたからです。
う~ん、まるでブログはアラジンの魔法のランプのようです。
記すと、願い事が叶ってしまいます。
以前、取材先で、生まれて初めてウイスキーの 「山崎」 を呑んだことを書きました。
そして、忘れられない美味しさだったことも……
でも、僕のような低所得者が、ふだん気軽に呑める酒ではありません。
一本、何万円もする高級酒であります。
ところが!
読者の中には、奇特な人がいるものです。
「小暮さん、ミニボトルですが山崎が手に入りましたので、お持ちします」
との連絡がありました。
「えっ、本当? 冗談でしょ? 酒乞食だと思って、からかってんじゃないの?」
と半信半疑でいると……
なななんと、本当に届きました!
しかもラベルには、“1923” の文字が!
1923とは、山崎蒸溜所が稼働を始めた年であります。
大変貴重なビンテージ物じゃありませんか!
意を決して昨晩、開封しました。
うわわ~、この香り、たまら~ん!
「し・あ・わ・せ」
の4文字が、フワーっと口の中一杯に広がり、やがてスーッと喉の奥へと流れて行きました。
ああ、酒乞食で良かった!
読者のみなさま、今後とも、この吞兵衛を末永くよろしくお願いいたします。
2023年10月20日
ガラケー3兄弟の奇跡
♪ 一番上は ライター (ライター)
一番下は 社長 (社長)
間にはさまれ オーナー (オーナー)
ガラケー3兄弟 ♪
読者のみなさんは、覚えていますか?
年齢も職業も異なる3人の男たちが、数十年ぶりに再会したら全員、携帯電話が “ガラケー” だっという話を?
(2022年4月30日 「ガラケー3兄弟」 参照)
当時の日本のスマホ保有率は、94%でした。
なのに、現役の第一線で働く40代の飲食業社長、50代の小売業オーナー、そして60代の文筆業 (僕です) が、揃いもそろって、二つ折りのガラケー。
しかも、色は黒!
「仕事にスマホはいらない!」
「仕事ができる人はスマホを持たない!」
「そうだーーー!!」
と叫びながら、酔いしれたのでした。
ただし、弱気な一面も……
時代の中でガラケー保有者は、差別や偏見にさらされているのも事実です。
しかも、通信電波も3Gから4Gへと移行されています。
まさに、現代においてガラケー保有者は、絶滅危惧種であります。
「断固として、守り通しましょう!」
「そうだーーー!」
と、結束を固く誓い合ったのであります。
が……
その時、こんな弱気な意見も出ました。
「次、3人が会う時には、3人ともスマホを持っているかもしれないね」
「ただしくは、ガラケーを持てない世の中になっているかもしれない」
あの日から1年半の時が流れました。
僕ら3人は、ふたたび再会をしました。
現在、日本のスマホ保有率は96%まで伸びています。
残り、4%の奇跡を信じて、僕らは集まりました。
「えー、乾杯の前に全員、テーブルの上に携帯電話を出してください。せーの、で、お願いします」
長男の僕が音頭を取りました。
「せーの!」
黒、黒、黒!
ガラケー、ガラケー、ガラケー!
見事に1年半前と同じ光景がよみがえりました。
「俺のは、4Gだけどね」
と僕。
「まだ3Gです」
「僕のもです」
と次男と三男。
いずれにせよ、我ら3兄弟は、ポリシーを守り通したのであります。
「カンパ~イ!」
「次回会う時もガラケーのままで!」
「我ら、ガラケー3兄弟!」
3人は、歳の差を超え、本当の兄弟のように夜の街を歩き出しました。
♪ 一番上は ライター (ライター)
一番下は 社長 (社長)
間にはさまれ オーナー (オーナー)
ガラケー3兄弟 ♪
2023年10月19日
いよいよ来週放送! 『ホンマでっか!?TV』
たびたびブログでも、お騒がせしているフジテレビ 『ホンマでっか!?TV』 に出演した件です。
放送まで1週間を切り、番組ホームページにも詳細がアップされました。
ので、今日は出演者の一覧を公表します。
以下の19名です。
【M C】 明石家さんま
【進行】 井上清華 (フジテレビアナウンサー)
【ゲスト】
中山秀征、井森美幸、大友花恋、JOY、関太 (タイムマシーン3号)
宮下兼史鷹 (宮下草薙)、和田颯 (Da-iCE)
【パネラー】
EXIT (りんたろー。、兼近大樹)
島崎和歌子
ブラックマヨネーズ (吉田敬、小杉竜一)
【ゲストパネラー】
カミナリ (竹内まなぶ、石田たくみ)
【評論家】
池田清彦 (生物学)
牛窪恵 (マーケティング)
小暮淳 (群馬魅力)
放送は10月25日(水) 21:00~21:54 です。
お楽しみに!
2023年10月18日
消えたことば辞典
めっきり秋めいてまいりました。
秋といえば、スポーツの秋、食欲の秋、芸術の秋……
やっぼり僕は、「読書の秋」 ですかね。
ま、季節に関係なく仕事柄、一年中、本は読んでいますけど、秋の夜長の読書は格別です。
暑くなく、寒くなく、心地よい風を感じながら虫の声をBGMにページをめくる……
なんとも充実した、やすらぎのひと時であります。
みなさんは、どんな本をお読みですか?
小説、エッセイ、専門書、ビジネス書……
僕は今、辞典にハマっています。
えっ?
辞典は “読む” ものじゃなくて、“引く” ものでしょって?
ええ、僕の仕事部屋に並ぶ辞典・辞書の類いは、すべて調べ事を “引く” ためにあります。
でも最近、夢中になって読んでいる辞典があるんです!
『三省堂国語辞典から 消えたことば辞典』 三省堂 (1900円+税)
これが面白い!
いわゆる使われなくなった死語や廃語が、あいうえお順に並べられているのですが、その理由まで書かれています。
たとえば死語では、「歌本」 「赤電話」 「芋版」 など、昭和の時代にはあったけれど、現代では見かけないレトロな品名が多く掲載されています。
「一番館」 (最初に封切りをする映画館) や 「ゲルピン」 (お金がない状態)、「メリケン」 (アメリカン) などの懐かしい言葉もあります。
興味深かったのは、差別語・性俗語が多いこと。
「裏日本」 「女だてら」 「女の腐ったよう」 など、現代ではNG!
「愛液」 「視姦」 「オナペット」 「千人斬り」 などのワードも、むべなるかな。
言葉は、生き物です。
時代とともに生まれ、そして役目を終えれば死んでいきます。
ただし、この本は、あくまでも 「三省堂国語辞典」 から消えた言葉であり、他の辞典・辞書には現在も掲載されている言葉もあります。
そのうえで、興味を持った人は、書店で手に取ってみてください。
「えっ、こんな言葉、知らない!」
という驚きが満載の一冊です。
秋の夜長の酒の友に、どうぞ!
2023年10月17日
蜩の夏
♪ カナカナ カナカナ 蜩と
二度と戻らぬ 日を過ごす ♪
あれは高校2年の夏休みでした。
一人暮らしをする兄を訪ねて、上京しました。
アパートを訪ねると兄は、あいにく家庭教師の最中でした。
近所の中学生に、勉強を教えていたのです。
「悪いな、1時間ばっかし、外で時間をつぶしてきてくれないか」
兄に言われ、仕方なく、知らない街をあてもなく歩きました。
住宅街の一角に小さな公園を見つけ、ベンチに腰掛けました。
そして、カバンの中から一冊の本を取り出しました。
『蜩~ひぐらし~』 (八曜社)
フォークグループ 「アリス」 のリーダー、谷村新司さんのエッセイ集です。
『蜩』 は前年(1974) に発売されたソロアルバム 『蜩』 と同タイトル。
アルバムには、タイトル曲の 『蜩』 が収録されています。
僕にとっては思い出深い曲で、「こんな歌を作りたい」 と何度も何度も聴き込んだ曲です。
その2年後、僕はギターを抱えて、ふたたび東京へ向かうことになります。
だから僕にとって、「アリス」 といえば 『冬の稲妻』 でも 『チャンピオン』 でも 『遠くで汽笛を聞きながら』 でもありません。
「アリス」 =谷村新司であり、『蜩』 なのであります。
昨晩、訃報が飛び込んで来ました。
谷村新司さんが亡くなられました。
74歳でした。
団塊の世代……
今夏、やはり73歳で亡くなられた絵本作家の野村たかあきさんも同世代です。
僕らにとっては、常に目標となる水先案内人的世代の人たちです。
また、船頭を一人失いました。
残念でなりません。
でも、もう一人で舟を漕ぐことができますので、安心してください。
チンペイさん、ありがとうございました。
ご冥福をお祈りいたします。
2023年10月16日
湯を沸かして飯を炊く
つくづく、日本語って面白い。
そして便利な言語だと思います。
日本語を覚えたての子どもや外国人が疑問に思う日本語に、目的語の解釈があります。
「湯を沸かす」 のではなく、水を沸かすんじゃないの?
米を炊くのであって、「飯を炊く」 とベチョペチョになっちゃうよ?
「穴を掘る」 って言うけど、土を掘って穴を作るんでしょ?
おっしゃるととおりで、物理的には変です。
でも、これ、間違いではないんですね。
ていうか、我々は普通に使っています。
この辺、日本語の融通性を感じ、僕は大好きです。
「沸かす」 も 「炊く」 も 「掘る」 も他動詞です。
目的があって、意味を成すわけです。
ところが 「沸かす」 には、「水」 を沸かすことも、 「湯」 を沸かすこともできるんですね。
これを目的語といいますが、くっつく相手によって 「対象目的語」 と 「結果目的語」 に分かれます。
「水」 ならば 「沸かす」 対象を意味しますが、これが 「湯」 になると結果を指します。
目的が変わってしまうんですね。
しかも 「結果目的語」 を使うと、長い文章を短縮することができます。
「水を火にかけて沸かして湯にする」 = 「湯を沸かす」
とっても便利です。
「ステーキを焼く」 なんて言います。
でも、「肉を焼く」 とも言います。
肉を焼いたものがステーキになるんですけど、どちらも間違いじゃない。
対象か、結果か、その違いだけです。
まだまだ、ありますので探してみてください。
2023年10月15日
温泉好き、集まれ!
群馬県立歴史博物館 「友の会」 運営委員からのお知らせです。
現在、会期中の第109回企画展 『温泉大国ぐんま』 (~11/26) では、いくつかの関連行事を開催しています
すでに2つの講演会が開催され、僕も受講してきました。
残り2つの講演会は、まだ間に合いますので興味のある方は、ご予約ください(参加無料)。
また、学芸員による展示解説も行われます。
(観覧券/一般800円、大高生400円、中学生以下無料)
ぜひ、この機会に、温泉通になってください。
◆講演会
時間/各回 13:30~15:00
会場/視聴覚室
定員/140名 (1カ月前より電話予約)
※観覧券がなくても参加できます。
日時/10月22日 (日)
講師/齊藤 純氏 (天理大学文学部教授・日本民俗学)
演題/「温泉発見伝説を考える~杖立清水(つえたてしみず)と動物の導き~
日時/11月18日 (土)
講師/日下裕弘氏 (茨城大学名誉教授・文化社会学)
演題/「レッツ・エンジョイ!日本の名湯・世界のOnsen」
◆学芸員による展示解説
日時/10月29日(日)、11月4日(土) 各回14:30~(約30分)
担当/江原幸太郎 (学芸員)
会場/企画展示室 (予約不要)
※観覧券が必要です。
<申込・問合>
群馬県立歴史博物館 TEL.027-346-5522
(群馬県高崎市綿貫町992-1 群馬の森公園内)
2023年10月14日
元気がなくてもカラ元気
すでに新聞報道等で、多くの方がご存知かと思います。
前橋市在住の絵本作家で木彫家の野村たかあきさんが亡くなられました。
73歳でした。
正しくは、亡くなられていました。
僕が訃報を知ったのは、葬儀が済まされてから10日後のこと。
「四十九日までは誰にも知らせるな」 との故人の遺志でしたが、ご家族の判断で親しい人だけには知らせてくださったのです。
その日は、8月8日。
僕の誕生日でした。
65年間生きて、こんなにも茫然自失とした誕生日は初めてです。
見る見るうちに全身から力が抜けていくのが分かりました。
35年前、僕は、たまたま入った作品展で、作家の野村さんに会いました。
その日のうちに意気投合し、その晩は呑み明かしました。
それからというもの、迷える無能の民に対して、数多くの助言をくださり、生きる術と道をくださいました。
最初にいただいた言葉が、「元気がなくてもカラ元気」 です。
どんなに疲れていても、どんなに落ち込んでいる時も、他人を不機嫌にしてはならないという教えです。
カラ元気でも元気でいれば、必ず、その姿を誰かがどこかで見ているのだといいます。
この言葉は、今でも僕の座右の銘であります。
野村さんの死後、悲しみを超えた啓示を感じる出来事が起こるようになりました。
次々と、仕事の話が舞い込み出したのです。
連載、寄稿、講演の依頼が、矢継ぎ早に飛び込んで来ました。
「あっ、野村さんが紹介してくれたんだ!」
あまりの環境の変化に、そう感じざるを得ません。
極めつけは、東京のテレビ局からの出演依頼です。
収録日は決まっていたので、僕のスケジュールが合わなければ、辞退するしかありません。
ところが手帳を見ると、その週は、その日だけ予定が空白だったのです。
「ラッキー!」
と思った途端、顔面蒼白となり、鳥肌が全身をおおいました。
なんと、その日は、野村さんの四十九日であり、納骨日だったのです。
「ジュンちゃん、気張ってこいや!」
天からの声が聞こえました。
収録当日、スタジオ入りをする際、群馬の方角に向かい頭を下げました。
「行ってきます! 野村さん、見ていてください」
そして無事、収録を終えました。
人生の師を失った悲しみを、まだ僕は現実として受け止められていません。
でも、どこかで見ていてくれると信じて、今日も座右の銘を心に一日をスタートさせたいと思います。
「元気がなくてもカラ元気」
師匠の冥福を心よりお祈り申し上げます。
2023年10月13日
再放送! 「奇跡の湯 法師温泉」
今週火曜日に放送された群馬テレビの 『ぐんま!トリビア図鑑』 は、ご覧になりましたか?
僕は観ました。
しかもパブリックビューイングで!
えっ、何のことかって?
ハハハ、いつもの呑み屋ですよ。
常連客が集まり、ママの 「ハーイ、ジュンちゃんのテレビが始まるよ」 の合図とともに、店内に設置されている2台のモニターでテレビ番組を観賞しただけです。
僕は、この番組のスーパーバイザー (監修人) をしています。
が、ときどき、リポーターとして出演します。
今回はシリーズ 「温泉王国ぐんま」 の第4弾、“奇跡の湯” と題して法師温泉 (みなかみ町) の一軒宿 「長寿館」 を紹介しました。
とっても真面目な番組なのに、常連客らは終始、笑い転げています。
僕が画面で出るたびに、「キャハハ、キャハハ」 と大笑い!
女性客の一人は、「キャ~! もうダメ!」 と言いながら腹を抱えていました。
何が、そんなにおかしいのだろう?
と翌日、録画を観てみましたが、別に笑えるシーンは一つもありません。
きっと常連客らは、のん兵衛の僕とテレビに出ている真面目な僕とのギャップに笑っていたんでしょうね。
番組では、“奇跡の湯” と呼ばれる全国でも1%未満しか存在しない足元湧出泉の湯舟を紹介。
ほかにも国の登録有形文化財に指定されている建物や来遊した文人墨客らを紹介しています。
与謝野晶子、若山牧水、川端康成が泊まった部屋が現存し、一般客も泊まることができます。
で、番組では紹介していませんが、ここだけのトリビアを一つ!
実は、女優・夏目雅子さんが泊まられた部屋もあるんですよ。
(この部屋は一般には公表されていません)
ということで見逃した人は再放送を、ご覧ください。
『ぐんま!トリビア図鑑』
温泉王国ぐんま
奇跡の湯 「法師温泉」
●放送局 群馬テレビ (地デジ3ch)
●再放送 10月14日(土) 10:30~ 16日(月) 12:30~
2023年10月12日
お笑い怪獣 VS テレビモンスター
いや~、とにかく凄かった!
何が?って、先日の東京・お台場でのテレビ収録ですよ。
タレントや芸人って、タダもんじゃありませんね。
そのトーク術に圧倒されました。
MCは 「お笑い怪獣」 の異名を持つ、明石家さんまさん。
それを迎え撃つ、群馬代表は 「テレビモンスター」 こと中山秀征さん。
両者とも、今やテレビで見かけない日はないのではないかというほどの売れっ子スターであります。
番組冒頭からスタジオでは、その二人のバトルトークが炸裂します。
その姿は、まさにキングギドラとゴジラの死闘に見えました。
地球征服をたくらむ巨大な宇宙怪獣キングギドラ。
立ち向かうは、ゴジラを先頭に集まった群馬を愛するタレントや芸人たち。
とにかく、キングギドラは強い!
若手芸人らが放つボケやツッコミを、すべてハネ返します。
そこへゴジラのマシンガントークが迎撃!
群馬軍団は、援護射撃をくり返します。
それでも絶対王者のキングギドラは動じません。
いやいや、その2倍3倍のギャグが放射攻撃となって浴びせられます。
こんなシーンがありました。
群馬軍団が切り札で投げつけた群馬を代表する景勝地。
世界有数の景勝地に 「そっくり」 だと、キングギドラに攻め寄ります。
ところが、「どこが!?」 と一笑に付されます。
そこでゴジラの登場。
戦うのかと思えば、土下座する勢いで手を合わせて懇願しました。
「そこは、ぜひ、『ホンマや!』 でお願いします」
会場は、ドッと笑いの渦に包まれました。
え?
そのあと、どうなったかって?
それはオンエアを見てのお楽しみです。
他の出演者は、誰がいたのかって?
それは来週、お話しします。
この回のフジテレビ系 『ホンマでっか!?TV』 は、10月25日(水) 午後9時~の放送です。
2023年10月11日
力あわせる何百万?
何かと群馬ネタでは話題にのぼる 『上毛かるた』。
児童福祉法第八条の文化財として推薦されている、群馬が誇る由緒正しい遊具であります。
生粋の群馬県民ならば、「あ」 の 「浅間のいたずら鬼の押し出し」 から 「わ」 の 「和算の大家 関孝和」 までの44枚の読み札をスラスラと空で言うことがでるという、他県では類を見ない県民性をあらわにする踏み絵的存在でもあります。
※(『上毛かるた』 は 「いろはがるた」 なので、正しくは 「い」 から 「す」 の札です)
で、ここからは群馬県民にしか分からない、マニアックな話になります。
昭和22(1947)年の初版発行以来、読み札が変わり続けている札が一枚だけあります。
それは 「ち」 の札です。
現在、発行されている最新の札は「力あわせる二百万」。
この数字は、県人口を表しています。
当然ですが、初版が発行された76年前は、もっと人口が少なかったわけです。
「力あわせる百六十万」 でした。
その後、人口が増えるたびに10万人単位で改訂されています。
昭和48(1973)年に百七十万、同52(1977)年に百八十万、同60(1985)年に百九十万、そして平成5(1993)年に現在の二百万になりました。
(ちなみに僕は、百六十万で覚えました)
ところが!
群馬県の人口は、平成16(2004)年7月の203万5477人をピークに、その後は減少の一途をたどっています。
で!
群馬県の移動人口調査によると、先月発表された9月1日時点の県人口は190万1375人。
この減少推移でいくと、早ければ年内、遅くとも来年前半には190万人を割り込むそうです。
そうなると!
いよいよ、『上毛かるた』 史上初の 「ち」 の札が逆戻りする現象が起きるということです。
県文化振興課は、この件について、こう述べています。
「どのタイミングで札を変えるか検討している。混乱がないようにしたい」(上毛新聞より)
ということは!
近々、改訂版が発行されるわけですが、単に数字が “百九十万” に戻るだけですから新しいかるたを買わなくても、昭和60年発行版が手元にあれば済むわけです。
我が家でいえば、長女が育った時代ですから探せばあるかもしれませんね。
時代が変われば、かるたも変わるということです。
覚えた札の数字で、年代が分かってしまうというのも面白い県民性です。
ちなみに、過去に読み札が変わった札が、もう一枚あるのをご存知ですか?
それは 「た」 の 「滝は吹割 片品渓谷」 です。
現在は 「ふきわれ」 とルビが振られていますが、かつては 「ふきわり」 でした。
これは、地元の強い要望で修正されたとのことです。