温泉ライター、小暮淳の公式ブログです。雑誌や新聞では書けなかったこぼれ話や講演会、セミナーなどのイベント情報および日常をつれづれなるままに公表しています。
プロフィール
小暮 淳
小暮 淳
こぐれ じゅん



1958年、群馬県前橋市生まれ。

群馬県内のタウン誌、生活情報誌、フリーペーパー等の編集長を経て、現在はフリーライター。

温泉の魅力に取りつかれ、取材を続けながら群馬県内の温泉地をめぐる。特に一軒宿や小さな温泉地を中心に訪ね、新聞や雑誌にエッセーやコラムを執筆中。群馬の温泉のPRを兼ねて、セミナーや講演活動も行っている。

群馬県温泉アドバイザー「フォローアップ研修会」講師(平成19年度)。

長野県温泉協会「研修会」講師(平成20年度)

NHK文化センター前橋教室「野外温泉講座」講師(平成21年度~現在)
NHK-FM前橋放送局「群馬は温泉パラダイス」パーソナリティー(平成23年度)

前橋カルチャーセンター「小暮淳と行く 湯けむり散歩」講師(平成22、24年度)

群馬テレビ「ニュースジャスト6」コメンテーター(平成24年度~27年)
群馬テレビ「ぐんまトリビア図鑑」スーパーバイザー(平成27年度~現在)

NPO法人「湯治乃邑(くに)」代表理事
群馬のブログポータルサイト「グンブロ」顧問
みなかみ温泉大使
中之条町観光大使
老神温泉大使
伊香保温泉大使
四万温泉大使
ぐんまの地酒大使
群馬県立歴史博物館「友の会」運営委員



著書に『ぐんまの源泉一軒宿』 『群馬の小さな温泉』 『あなたにも教えたい 四万温泉』 『みなかみ18湯〔上〕』 『みなかみ18湯〔下〕』 『新ぐんまの源泉一軒宿』 『尾瀬の里湯~老神片品11温泉』 『西上州の薬湯』『金銀名湯 伊香保温泉』 『ぐんまの里山 てくてく歩き』 『上毛カルテ』(以上、上毛新聞社)、『ぐんま謎学の旅~民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん)、『ヨー!サイゴン』(でくの房)、絵本『誕生日の夜』(よろずかわら版)などがある。

2024年01月31日

吞兵衛大国ぐんま


 今日は、「ぐんまの地酒大使」 から緊急報告があります。
 やっぱり、群馬県民は、吞兵衛だった!
 という調査結果が、届きました。


 総務省の家計調査を基に群馬経済研究所が調査したところ、群馬県 (前橋市) の一世帯当たりの日本酒への支出額が全国4位であること分かりました。
 「日本酒」 への年間支出額は7,772円 (2022年)。
 これは、福島市、仙台市、金沢市に次いで多いそうです。

 でも、ちょっと待ってくださいよ!
 記憶力の良い読者なら覚えていると思いますが、僕は以前このブログで、前橋市が全国47都道府県庁所在地の一世帯当たりの清酒の年間支出額が、日本一になったニュースを取り上げましたよね!?
(2022年4月21日 「ノンデル係数 日本一!」 参照)

 あの時の年間支出額は、8,852円 (2020年)。
 ちなみに、2位は秋田市、3位は熊本市でした。


 支出額は1,000円以上もダウン。
 順位も1位から4位と落ちています。

 これって、どういうことでしょうか?
 察するに、前回の調査はコロナ禍だったので、「家呑み」 が多かったのでは。
 ところが今回は、コロナ禍も回復傾向にあり、「外呑み」 が増えた結果、順位を落としたのではないか。

 群馬は、車社会です。
 圧倒的に 「家呑み」 派の県民が多いということです。


 それでも4位でからね!
 胸を張って、吞兵衛県民であることを自慢して、いいと思います。

 呑んで残そう、群馬の地酒!
 “地産地飲” に、ご協力ください。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:56Comments(0)大使通信

2024年01月30日

「いいちこ」 の夢 


 「なあ、K、今年の夏休みだけどさ」
 「うん」
 「部活動、忙しいの?」
 「なんで?」

 僕には中学生の男の子の孫がいます。
 K君です。
 男の子の孫にしては、祖父である僕に、なついています。
 この日も、僕が活動するイベント会場に家族でやってきました。


 「ジイと、旅しないか?」
 「えっ、ジイジと2人で?」
 「そう、男同士の二人旅」

 一瞬にして、Kは満面の笑みに包まれました。

 「それって、泊まり?」
 「もちろん」
 「やったー! 温泉も入る?」
 「もちろん」
 「スッゲー! やったー!」

 本人はOKのようですが、こればかりは2人だけで決めるわけにはいきません。
 親の許可が必要です。
 いつもは一人で僕に会いに来ているKですが、今日は両親連れです。
 だから、あえて僕は、この日を選んで提案したのでした。


 「ということだけど、今年の夏休みに、Kを借りでもいいかね?」
 母親である我が娘に、訊いてみました。
 すると、二つ返事で、
 「どうぞ、どうぞ! 何日でも」
 と、その場で承諾をもらいました。

 “爺と孫の二人旅” 決定!


 ところが、娘いわく、
 「でもKは、すでに反抗期に入ってるからね。大変だよ」

 「大丈夫だよな、K! ジイの言うことは効くものな?」
 「うん」
 すると、またしても娘いわく、
 「誰に似たんだか!? 外面だけは、いいんだから」

 その言葉に、一緒にいた婿までもが大笑い。
 「えっ、誰にって、誰?」
 も、も、もしかして、僕のことですか?


 でも娘は、こんなことも言ってくれました。
 「よかったね、K。ずーと言ってたものね。いつかジイジと温泉に行きたいって!」

 実は僕、そのことは知っていました。
 でもKは当時、まだ小学生だったのです。
 その頃に行っても、ただの家族旅行に終わってしまいます。
 思い出にはなるかもしれないけれど、僕は孫と、もっと絆になるような旅がしたかったのです。


 「ありがとう。その晩は“いいちこ” を呑むよ」
 と娘に、お礼を言いました。

 「いいちこ」 は、死んだオヤジが晩酌に呑んでいた焼酎です。
 娘は子どもの頃、実家へ連れて行くと、いつも、その光景をみていました。
 だから今でも娘は墓前に、「いいちこ」 のワンカップを供えています。

 「だね、おじいちゃんも喜ぶよね」
 「ああ、“いいちこ” を呑みながら、Kに曾祖父(オヤジ)の思い出話をしてやろうと思うんだ」


 思えば、かなり遠くへ来たもんです。
 まさか、こんな日が来るなんて……

 20歳の頃には、思いもよらなかった未来です。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:24Comments(5)つれづれ

2024年01月29日

神付く獅子


 ピーヒャラ、ピーヒャラ、ピーピー、ヒャラヒャラ、ピーヒャララー

 笛の音が、さやけし冬空に響き渡ります。
 それに合わせて、境内で踊る真っ赤な獅子頭。

 今年も 「神社かみしばい」 が始まりました。


 あけましておめでとうございます。
 壽ちんどん宣伝社ひきいる街頭紙芝居 「神社かみしばい」 および 「玉村かみしばい」 を、よろしくお願い申し上げます。

 我々一座は、群馬県内の民話や伝説を紙芝居にして、興行を続けています。
 毎月1回、伊勢崎神社 (伊勢崎市) にて。
 隔月にて、玉村八幡宮 (佐波郡玉村町) で街頭紙芝居の口演を行っています。


 1月口演は毎年、恒例の獅子頭舞いが行われます。
 昨日も4回口演が行われ、たくさんの方々が来社されました。
 そして、すべての回で獅子頭が舞い、観客一人一人の頭を 「ガブッ」 と嚙んで行きました。

 なんで、獅子舞いは、人の頭を噛むのか?
 それは、「嚙みつく」 → 「神付く」 からなんですね。

 遠くインドでは、獅子は、邪気を食べる想像上の動物。
 それが中国に渡り、日本でも正月や祭りなどで縁起物として舞うようになったいいます。
 特に正月は、新しい年の始まりです。
 一年間の厄除け、無病息災を祈願する恒例行事となりました。


 ピーヒャラ、ピーヒャラ、ピーピー、ヒャラヒャラ、ピーヒャララー
 ピーヒャラ、ピーヒャラ、ピーピー、ヒャラヒャラ、ピーヒャララー

 今年も一年間、よろしくお願いいたします。


 ※2月の 「玉村かみしばい」 は2/10~12、「神社かみしばい」 は2/17~18の開催です。
  


Posted by 小暮 淳 at 10:28Comments(0)神社かみしばい

2024年01月27日

老いは若さに優る


 「覚えているかな?」
 「最後のライブから、だいぶ経っているからな」
 「一度集まって、音合わせないか?」
 ということで今週、バンドのメンバー4人が集まりました。

 バンドとは、長年、僕がボーカルをつとめているオヤジバンドのこと。
 「じゅん&クァ・パラダイス」 といいます。
 近々、久々にライブをするため、急きょ、招集がかかりました。
 (ライブ日程については、昨日のブログをご覧ください)


 メンバーの平均年齢は、61.5歳。
 正真正銘の “オヤジバンド” です。
 いえいえ、結成から20年近くが経ち、すでに “ジジイバンド” の域に入ってきました。

 僕らは、とっても仲がいいんです。
 遊びだけでなく、仕事も一緒。
 というのも同じ業界ですから、話も合うし、価値観も同じ。
 だから仕事と遊びが、ごっちゃになって、ときどき仕事なのか、遊びなのか、分からないまま会っている時も多々あります。


 最年少のKちゃんとですら、もう20年以上の付き合いになります。
 ギターのKさんとは、仕事で知り合って、かれこれ30年です。
 さらに “陰のバンマス” ことベースのS君にいたっては、小学1年生からの付き合いですから半世紀以上。
 来年で、竹馬の友歴60年になります。

 だもの、会えば、阿吽の呼吸で、すぐに話が盛り上がります。
 盛り上がり過ぎて、一向にバンドの練習が始まりません。


 最近の話のテーマは、寄る年波の御多分に漏れず、体の不調話です。
 「よく足がつる」 とか 「血圧が高い」 とか 「結石が出た」 とか 「便秘に苦しんでる」 とか……
 オジサンは年を重ねると、オバサン化するのですね。
 体の不調話が止まりません。

 でも誰一人、大病をした者はおらず、笑い話程度なのが、いいですね。


 「そろそろ、やる?」
 と、僕が口火を切ったのは、お茶を飲み出して1時間後のこと。
 ところが、いざ全員、楽器を持つと、途端、熟年ミュージャンの顔になります。

 「おお、そうだった」
 「思い出した」
 と、1回目の音合わせは、ちょっとおぼつかないものの、2回目では完全に勘を取り戻して、全員ご満悦。


 「一回、休もうか」
 と、また井戸端会議が始まります。
 今度は、過去のライブでのエピソードトークです。
 温泉地でのハプニングや失態話で、またもやジジイたちは笑い転げます。

 結局、3時間も居て、練習したのは正味30分くらいのものでした。


 でもね、僕らは気づいているんです。
 若い頃のように、体力や情熱は薄れたけれど、要領とコツは昔より、つかんでいること。
 互いに尊重し合い、足りないところを無意識に補い合っていることを。

 それは、音を出してみれば分かります。
 僕はボーカルですからね。
 彼らの出す音の一つ一つを聴きながら、それに声をのせているわけです。

 「あ、心地よい」
 という瞬間が、何度もありました。
 これは、若い頃には感じなかった感覚です。


 とにかく楽しいんです。
 とっても嬉しいんです。

 還暦過ぎても、こうやって昔の仲間と、あの頃と同じように、1つの曲を一緒に奏でていることが……


 “老いは若さに優る”
 そう思えた、ひと時でした。

 みんな、ありがとう!
 ライブ、弾けようぜ!
  


Posted by 小暮 淳 at 12:13Comments(4)つれづれ

2024年01月26日

テライブ IN 節分会


 あの伝説のスーパーローカルオヤジバンドが帰って来る!


 こんにちは、シンガーソング温泉ライターの小暮です。
 僕がリードボーカルをつとめる 「じゅん&クァ・パラダイス」 が、4年半ぶりに野外ライブに出演します。

 最後に出演したのが2019年夏の四万温泉でのイベントでした。
 その前年には、伊香保温泉の老舗旅館で単独ライブを行いました。

 そうなんです。
 僕らは、温泉地御用達バンドなんです。
 というのも、演奏するのは全曲、オリジナル曲。
 しかも、ご当地温泉地ソングぱかり。


 知らない人がほとんどでしょうが、最大のヒット曲(?)は、『GO!GO!温泉パラダイス ~湯の国 群馬県篇~』。
 県内主要の27温泉地が歌詞に読み込まれた、群馬の温泉応援ソングです。
 15年前のCD発売(?)当時は、テレビやラジオ、新聞等でも、たびたび取り上げられ、イベントに引っ張りだこでした。

 ついには県からの依頼を受け、「群馬デスティネーションキャンペーン」 の会場 (グリーンドーム前橋) でも歌唱。
 県内温泉地の女将さんら50人と一緒に、歌って踊りました。
 その時の司会は、タレントの中山秀征さんと井森美幸さんです。


 時はめぐり、その後はコロナ禍の影響もあり、活動は休止していました。
 が!
 ここに来て、出演依頼がありました。
 しかも、温泉地からではなく、開山500年の歴史ある寺院での伝統ある 「節分会」 という行事会場です。


 商売繫盛、身体健康、開運厄除、入試合格、家内安全、安産子宝……
 福は内、鬼は外!

 ぜひ、御祈願に、お越しください。



        仁叟寺(じんそうじ) 「節分会」

 ●日時  2024年2月3日(土)  
        第1回豆まき 14:00~ 第2回豆まき 15:30~
 ●会場  仁叟寺 高崎市吉井町神保1295  TEL.027-387-3080

 ※ライブは第1回と第2回の豆まきの間に開催されます。
   


Posted by 小暮 淳 at 12:01Comments(3)ライブ・イベント

2024年01月25日

鹿沢温泉 「紅葉館」⑦


 マイナス11℃
 横殴りの雪が舞う、極寒の鹿沢温泉に行ってきました。


 4代目主人と女将、5代目の若主人にお会いするのは、5年ぶりです。
 ストーブが燃える暖かなラウンジで、コーヒーをいただきながら思い出話に花が咲きました。

 僕が最初に先代を訪ねのは、25年も前のこと。
 温泉の取材ではなく、この地方に伝わる 「天狗の麦飯」 という謎の食べ物(?)を探して、一緒に山を歩き回りました。

 「そうでしたね、覚えています」
 「今でも 『天狗の麦飯』 は存在しますか?」
 「ええ、ありますよ」
 そんな話から始まり、現在の宿のことを、あれこれと聞いてきました。


 今回、僕が鹿沢温泉を訪れたのは、テレビのロケハンでした。
 ロケハンとは、ロケーションハンティングの略。
 一般に業界では、ロケと言えば、本番の撮影のことを言います。
 ロケハンは、その下準備。
 現地に出向き、取材や打ち合わせをすることを言います。

 ということで昨日、僕はディレクターと放送作家とともに雪の中、鹿沢温泉の一軒宿 「紅葉館」 をロケハンしてきました。


 僕は、群馬テレビのドキュメント番組 『ぐんま!トリビア図鑑』 のスーパーバイザー(監修人)をしています。
 が、ときどきリポーターとしても番組に出演しています。
 今回は、僕が監修およびリポーターを務める、シリーズ 「温泉王国ぐんま」 の第6弾の制作です。

 昔は、「山の湯」 と呼ばれ、信州の温泉だった鹿沢温泉。
 延々と峠沿いに百体の観音像が並ぶ 「湯道」 とは?
 なぜ、「鹿沢」 というなのか?
 その伝説と真実とは?
 そして、ここが 「雪山讃歌」 の発祥地といわれるゆえんは?

 番組では、そんな数々のトリビアを紹介します。


 放送は3月予定。
 ロケは、2月に行います。

 乞う、ご期待!
  


Posted by 小暮 淳 at 10:59Comments(2)温泉地・旅館

2024年01月23日

ドラゴンへの道


 さる婦人と、新年のあいさつを交わしたときのこと。

 「これ、小暮さんにあげます」
 と小箱を渡されました。
 見ると、“辰” の文字と、竜の絵が描かれていました。

 「干支の置物ですか?」
 「そう、でも石けんなのよ」

 パッケージの裏側を見てみると、確かに 「花王初春石鹸」 と書かれていました。
 顔に近づけると、いい香りがします。


 「ありがとうございます。でも、どっちに使おう?」
 「どっちって?」
 「置物にするか、石けんとして使うか……」

 すると婦人は、いきなり “オバチャン” に変身して、こう言いました。

 「そりゃ~、これで体を洗うのよ。辰年だけに、小暮さんのも “立つ” ようにね! ハハハ~!」
 と大口を開けて、バカ笑い。


 いや~、久々に昭和のオバチャンの下ネタギャグを聞きました。
 最近では、めっきり聞かなくなったセクハラトークです。
 若い人が聞いていたら、完全に 「アウト!」 ですよね。

 でも、このオバチャンは、あっけらかんとしていて、実に気持ちがいい。
 下ネタには、下ネタで返すのがオッチャンの流儀です。

 「いやいや、僕のは辰は辰でも、タツノオトシゴですから」
 するとオバチャンもさることながら、さらにヒートアップしてきます。

 「大丈夫、この石けんでゴシゴシやれば、タツノオトシゴもドラゴンになるから! 試してごらんなさいよ」


 ということで、ありがたくいただいて、家に持って帰りました。

 えっ、それで、竜の形をした石けんは、どうしたのかって?
 ええ、とりあえず、トイレに芳香剤代わりに置いてあります。

 そして時々、タツノオトシゴを横目で、にらみつけています。
 「なんだソレ? ドラゴンにはなれんな」
 と言いたげに……
   


Posted by 小暮 淳 at 14:59Comments(5)つれづれ

2024年01月22日

御礼 『温泉大国ぐんま』 と 『出前講座』


 昨年 (2023年10月7日~11月26日)、群馬県立歴史博物館で開催された第109回企画展 『温泉大国ぐんま』。
 歴史博物館ならではの多彩な切り口で群馬の温泉について焦点を当てた企画は、予想を上回る来館者数があり大盛況でした。
 ありがとうございました。

 また関連事業として開催された 『出前講座』 (2023年11月21日)。
 歴史博物館友の会運営委員でもある僕が、「温泉ライターに学ぶ 『四万温泉あれこれ』」 の講師としてバスに添乗し、秋の四万温泉を探訪しました。
 参加者のみなさん、お世話になりました。


 先日、歴史博物館友の会から会報 「友の会ニュース」 が届きました。
 この1面に、『出前講座』 の記事が写真入りで大きく掲載されました。
 記事では、参加者からの寄稿文が掲載されています。

 タイトルは 「群馬の温泉学ぶ好機に」。
 寄稿者は、高崎市在住のSさんです。


 <「温泉ライターに学ぶ 『四万温泉あれこれ』」 という出前講座の開催を知ったのは、倉賀野町の義母の家に届けられた 「ちいきしんぶん」 でした。早速、事務局に参加連絡をし、友の会にも入会しました。> 
 こんな書き出しから始まっています。

 文中では、奥四万湖や日向見薬師堂の見学に触れ、昼食をいただいた旅館での食事や入浴についても細かく丁寧に書かれています。


 最後は、こんな言葉で締めくくられていました。
 <出前講座では、小暮先生の温泉ライターとしての体験や知識、独自の見解などを伺い、さらに一層群馬の温泉に興味がわいてきました。これからも県内各地の温泉を訪ねてみたいと思います。>

 Sさん、ありがとうございます。
 大変うれしいです。

 フリーペーパーに載っていた小さな記事。
 それを見て知った、小さな講座案内。
 でも参加してみたら、大きな出合いと発見があったのですね。
 Sさんの前向きなチャレンジ精神と向上心に、拍手を送ります。

 ぜひ、これからも群馬の温泉の魅力を追求してください。
 そして、また会いましょう!
  


       群馬県立歴史博物館友の会

 ●会費 (年間)
   個人会員  大人2,000円 大高生1,000円 小中生700円
   家族会員  1家族3,000円 (同居家族5人まで)

 ●特典
   会員証提示により博物館に入館できます。
   友の会・博物館の催物に参加できます。
   友の会・博物館の各種の情報が無料で送付されます。

 ●問合
   群馬県立歴史博物館友の会事務局
   群馬県高崎市綿貫町992-1
   TEL.070-2636-0560 (水曜 14:00~16:00)
  


Posted by 小暮 淳 at 11:57Comments(0)歴博便り

2024年01月21日

おーい!中村くん


 コロナ禍で翻弄された数年間。
 思えば、もう何年も新年会らしい新年会には、出席していませんでした。

 たぶん、4年ぶりだと思います。
 昨日、某社の新年会に出席してきました。


 会場は、古民家をリノベーションした、今はやりのダイニングバー。
 居酒屋慣れしている僕らシニア層には、勝手がわからず、戸惑うばかりです。

 貸切られた個室には、大きなテーブルが2つ。
 三々五々に集まった出席者が着座しますが、暗黙の裡に世代が分かれました。
 右は、40歳以上のシニアテーブル。
 左は、30歳以下のヤングテーブル。

 総勢15名の内訳は、老若男女とりあわせ、最年長は75歳、最年少は20歳です。


 さて、トラブルは、乾杯を前に発生しました。
 原因は、テーブルで分けられた世代格差にありました。

 メニューがなくて、乾杯のドリンクの注文の仕方が分からないのです!
 そうです、今はやりのQRコードをスマホで読み取って、オーダーするスタイルだったのです。
 ヤングテーブルは、すでに手際よくオーダーを済ませています。

 一方、シニアテーブルは悪戦苦闘。
 「店員を呼びましょうよ」
 「まったく、便利なんだか、不便なんだかわかりゃしませんよ」
 「これだから年寄りは、置いて行かれるんですよ」
 とかなんとか口だけは動きますが、一向に注文はできません。

 すると……

 「注文しましょうか?」
 と名乗り出た一人の青年。
 最年少20歳の中村君です。

 そう言うと、シニアの注文を聞き取り、手際よくスマホからオーダーしてくれました。


 「カンパ~イ!」
 「今年もよろしくお願いしまーす」
 無事に宴が始まりました。

 ところが……

 「おーい、中村くん」
 「おーい、中村くん」
 と、ひっきりなしにシニアテーブルから声がかかります。
 そうです、追加注文のたびにシニアたちは、重宝で使い勝手のいい中村君を呼ぶのです。

 そのたびに、笑い声が上がります。


 「何が、おかしいんですか?」
 と、キョトンとする中村君。
 「そういう歌があるの」
 と僕が教えてあげました。

 昭和33(1958)に大ヒットした若原一郎の 『おーい中村君』 です。

 当然、ヤングテーブルからは 「知らな~い」 の声が。
 まあ、昭和も昭和、かなり昔のヒット曲ですからね。
 知っていたのは60代以上だったですけどね。


 「今度、歌を覚えて、カラオケで歌ってごらん。ウケるよ」
 と僕。
 「はい、覚えます」
 と中村くん。

 「両親だって知らないかもよ? って、親御さん、いくつ?」
 「52歳と51歳です」

 聞いた途端、シニアテーブルからは 「ワ~!」 と驚きの声が上がりました。


 「おーい、中村くん! ビールね」
 「おーい、中村くん! こっちは冷酒」
 「おーい、中村くん! 箸と取り皿、注文して」

 歳の差55歳のなんとも不思議で愉快な新年会でした。
  


Posted by 小暮 淳 at 12:25Comments(0)酔眼日記

2024年01月20日

観る、読む、食べる。


 「『福田村事件』 を観ました」
 「『ゴジラ-1.0』 観たよ」
 「『PERFECT DAYS』 観てきました」

 何人もの人から声をかけられました。
 映画の話です。
 そして、すべて僕がブログで触れた映画でした。

 みなさん、このブログを読んで、「小暮が観たんなら、観てみるか!?」 という気になってくれたようです。
 なんだかインフルエンサーになったようで、うれしいですね。

 でも、僕は映画ファンじゃありませんよ。
 全然、詳しくありません。
 ヒマつぶしに、話題の映画を観ているだけです。


 声をかけてくれる読者の話題は、映画だけではありません。
 「○○読みました」 「××食べました」
 と、本や食べ物の話をしてくる人もいます。

 やはりブログで紹介したり、食べておいしかったお店のメニューです。

 そんな時、僕は、
 「えっ、ただブログを読んでいるだけじゃないんだ~!」
 と感心しきり。
 読者って、奥が深いんですね。

 だもの、いい加減なことは書けません。


 ただし、僕は映画ファンではないように、読書家でもグルメでもありません。
 にわか知識による主観でしか書いていませんので、あしからず。
 それでも何か、みなさんのお役に立てているのであれば、これ幸いです。

 これからも日々出合う、観るもの、読むもの、食べるものについて、徒然なるままにつづっていこうと思います。
 お付き合いのほど、よろしくお願いいたします。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:59Comments(0)執筆余談

2024年01月19日

妖精の棲む町


 シューーーーー!
 アレが現れるときは必ず、スプレーを噴射しているような音が聞こえます。

 その後、地上3~4メートルの高さを、ロケット花火のような火の粉を散らしながら僕を追い越して行きます。
 そして突然、パン!という音を立てて、消えてしまいます。


 僕はアレを、5回も目撃しています。
 季節は様々ですが、時刻は夜です。
 何よりも不思議なのは、目撃する場所。
 すべて、我が家から半径2~300メートルの範囲内なのです。


 謎の発光体の正体とは?
 分からないでいると、ある日、友人が教えてくれました。
 「それは妖精だよ」

 冗談でしょ?
 でも、とりあえず呼び名が付きました。
 以来、僕は “アレ” のことを 「妖精」 と呼ぶことにしました。


 「小暮さん、絶好調ですね。その運気、あやかりたいな」
 昨年夏、さる社長から言われました。
 「やっぱり、妖精を見る人は違いますね」

 驚きました。
 その社長は、僕のブログを読んでいたのです。
 しかも、5回目の目撃談を。

 そのブログを書いた直後、東京のテレビ局から出演依頼がありました。
 社長は、そのことを言っていたのです。


 妖精が現れると、いいことが起こる?
 気になり、過去のブログをチェックしてしました。

 過去の目撃談は、下記の5回です。
 ① 2010年11月16日 「妖精目撃」
 ② 2018年8月15日 「妖精ふたたび」
 ③ 2021年4月23日 「三度目の妖精」
 ④ 2021年5月21日 「妖精多発地帯」
 ➄ 2023年7月25日 「妖精のいる夏」

 言われてみれば、本の出版や著書フェア、大使の任命など、何かしら節目となる年に現れているようです。


 さて、今年は現れるのでしょうか?
  


Posted by 小暮 淳 at 11:22Comments(0)謎学の旅

2024年01月17日

生まれ直しの儀


 昨晩は、友人の 「還暦祝いパーティー」 に出席してきました。
 まさか、年下の還暦を祝うとは思いませんでした。

 それにしても彼は、若々しい。
 髪の毛は真っ黒だし、肌つやもいい。
 本人も自分が還暦を迎えたことに、驚いている様子でした。


 だって昔、還暦といえば、赤いちゃんちゃんこを着て、赤い頭巾をかぶって、上座に座っているイメージがありましたものね。
 そして、座っている人は、正真正銘の老人でした。

 でも今の60歳は違います。
 人生100年時代の還暦は、まだまだ老人とは程遠い。
 ですが、とりあえず、人生の節目であることには違いありません。

 ので、彼には、赤いちゃんちゃんこならぬ、赤い靴下が贈られました。


 でも、なんで、昔は 「赤いちゃんちゃんこ」 を贈ったのか?

 それは還暦が、“生まれ直しの儀” だからなんですね。


 生まれ直し、とは?

 干支(えと)が一巡することです。
 干支とは、「十干十二支(じっかんじゅうにし)」 のこと。

 十干は、甲(きのえ)、乙(きのと)、丙(ひのえ)などの10日まとまりで数える呼び名(符号)のことです。
 これに子、丑、寅、卯……の十二支を組み合わせると、60通りになります。
 だから、ちょうど60歳は干支が一巡して、また生まれた干支に戻ることになります。
 文字通り、「暦(こよみ)が還(かえ)る」 わけです。
 これを 「本卦還(ほんけがえ)り」 といい、一種の生まれ直しであると意義付けられています。


 では、なぜ、赤いちゃんちゃんこなのでしょうか?

 「ちゃんちゃんこ」 とは、赤ちゃんや子どもが着る袖なしの羽織のこと。
 まさしく、“生まれ直し” を意味します。
 そして、赤は魔除けの色です。


 時代は変わりました。
 それでも、人生の節目を祝う人の心は不変なのですね。

 Aちゃん、おめでとう!
 これからの人生も長いぞ!
 よろしく!
  


Posted by 小暮 淳 at 11:57Comments(0)つれづれ

2024年01月16日

「神社かみしばい」 新春スペシャル口演


 早いもので、伊勢崎神社 (伊勢崎市) の境内で、創作紙芝居の街頭口演を始めて、丸3年が経ちました。
 今月より4年目に入ります。

 毎月のことですから、「よくもまあ、続いているものだ」 とスタッフながら感心しています。
 これもひとえに、来社してくださっているお客様がいるお陰と感謝を申し上げます。


 主催者の石原之壽(いしはらのことぶき)君と伊勢崎神社の宮司、そして僕の3人は高校の同級生です。
 同級生が再会をして、夢を語り、何か一緒にできないか? という話になりました。
 それが地元の民話をテーマにしたオリジナル紙芝居の口演だったのです。


 若い時は、体力も気力もあります。
 夢も希望も未知数です。
 でもただ一つ、不足しているものがあります。

 それは経験。

 この経験こそが、体力や気力にも引けを取らない未知数を生み出します。
 僕らは還暦を過ぎてから再会して、タッグを組みました。
 そして知恵を出して、各々ができるパートを引き受けて、この 「神社かみしばい」 を始めました。


 満3周年記念の今月は、新春スペシャルと銘打ち、獅子頭舞いが登場します。
 観覧する方全員に、福のご利益を届けます。
 ぜひ、暖かい格好で、お越しください。

 お待ちしております。



      「神社かみしばい」 新春スペシャル口演
 
 ●日時  2024年1月27日(土)、28日(日)
       10時、11時、12時、13時 
       ※屋外開催 (悪天候時は室内)
 ●会場  伊勢崎神社 境内 (群馬県伊勢崎市本町21-1)
 ●入場  投げ銭制 ※ペイペイ可
 ●問合  壽ちんどん宣伝社 TEL.090-8109-0480

 ※小暮は28日のみの在社となります。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:45Comments(0)神社かみしばい

2024年01月15日

テンで話になりません


 その昔、まだ固定電話さえ普及していなかった昭和の時代。
 緊急の知らせは、もっぱら電報でした。

 若い人の中には、見たこともない人がいるかもしれませんね。
 緊急を要するため、全文がカタカナで書かれています。
 なので、読みづらい。

 そこで最重要視されるのが、読点の位置です。


 <オヤジシンダ>

 この場合、父親の死を知らせるのであれば、読点 「、」 は、「オヤジ」 の後に打つことになります。
 = <おやじ、死んだ> 

 ところが、「オヤ」 の後に打つと意味が変わってしまいます。
 = <おや、地震だ>

 僕ら文筆業に関わる者は、この読点の扱い方に細心の注意をはらいます。
 さもないと、まったく異なる内容が伝わってしまうからです。


 昨日の地元新聞に、目を疑う記事を見つけました。
 この一文を読んで、みなさんは、どう解釈しますか?

 <渋川市は能登半島の付け根にあり、大規模な断水が起きた富山県氷見市に飲料水を届けた>

 ちょっと、ビックリしませんか?
 渋川市が能登半島にあるのって?

 群馬県民なら渋川市の位置を知っていますが、他県民が読んだら渋川市は能登半島にあると勘違いしてしまう文章です。
 能登半島の付け根にあるのは氷見市ですよね!
 ならば、読点の位置が違います。

 正しくは、<渋川市は> の後です。
 より分かりやすくするなら、<能登半島の付け根> と <富山県氷見市>」 の距離を近づけたほうがいいですね。
 僕なら、こう順列を変えます。

 <渋川市は、大規模な断水が起きた能登半島の付け根にある富山県氷見市に、飲料水を届けた>

 いかがですか?
 これで誤解は生じなくなったと思います。


 今日は、まじめな話をしてしまいましたね。
 ちょっと気になってしまったもので、あしからず。

  


Posted by 小暮 淳 at 11:35Comments(2)つれづれ

2024年01月14日

鴨が葱を背負って来た!


 「そば派」 か 「うどん派」 かと問われれば、完全なる 「うどん派」 です。
 だって、“小麦の国の人” だもの!

 たぶん群馬県民は、ほぼほぼ、うどん好きだと思います。
 焼きまんじゅうに、おっきりこみ、すいとん、もんじゃ焼き……
 生まれてからずーっと小麦の味に慣れ親しんでいますから、小麦の味には “うるさい” のです。

 「やっぱ、ばっちゃんが、ぶった(打った) うどんが、いっちゃ、うんめー」
 ということになります。


 一方、生まれてこの方、“そば” に馴染みのない群馬県民は、たいがいが “そばオンチ” であります。
 不味いそばは分かるけど、美味いそばは分かりません。
 だから知らないそば屋に入ると、無難なうどんを注文してしまうというのも “県民あるある” だと思います。

 御多分に漏れず、僕もそんな県民の代表です。
 ですから年がら年中、うどんは食べていますが、そばは年に1度か2度。
 だって、そばの味が分からないのだから仕方ありません。


 そんな僕が、今、そばにハマっています。
 それも有名そば店のそばではなく、なんと! 某外食チェーン店のそばです。

 きっかけは、昨年の大晦日のこと。
 昼に買い物に出たついでに、昼めしをとることにしました。
 なんでもいいんです。
 特別食べたいものなんてありません。

 街道筋に、某外食チェーンを発見!
 「ここで、いいや」
 程度の選択で入りました。


 入口に大きくポスターが貼られています。
 “鴨そば”

 「ほほう、鴨そばね。年に一度、大晦日くらい、そばを食うか」
 と注文。
 そして出て来た鴨そばは、イメージ通りの品でした。

 カモ肉が数枚と刻みネギ、それと小さな油揚げがパラパラ……


 見た目からして、そば屋のそれとは違います。
 なんとなく、チープな感じ。
 でも、しょうがないですよね。
 そば屋で食べたら、たぶん倍の値段がすると思います。
 でも、ここはリーズナブルな外食チェーン店。

 しかも、そば専門ではありません。
 メインは丼物です。
 そばは、この時季だけの期間限定メニューなのです。

 だもの期待はしていません。


 が、一口すすって、驚きました。
 「うまい! うそだろ?」
 麺は歯ごたえがあり、しっかり汁がからんでいます。
 なにより、その汁がうまい!
 ちょっぴり甘めで、ダシもきいている。

 「へー、この値段で、この味なら、そばという選択もありだな」
 そう思いながら店を出ました。


 異変は、年明けに起こりました。
 無性に、あの鴨そばが食べたくなったのです。
 口の中で、あの汁の味と麺の感触が、よみがえってきます。

 ということで、今度は鴨そば目当てで、わざわざ店へ足を運びました。
 すると!
 ビックリしました!

 僕以外の他の客も、鴨そばを食べているじゃありませんかーーー!!!


 レジで店員に声をかけました。
 「鴨そば、人気なの?」
 「ええ、僕も大好きで、いつも食べてます。カモの脂がうまいですよね」
 と、バイトらしきお兄さん。

 「でも、これ期間限定なんでしょ?」
 「そうなんですよ。残念ながら冬だけの限定メニューなんです」
 「一年中、食べられるようにしてよ」
 「あ、……はい」


 「はい」 と言っても、このお兄さんはバイトさんです。
 権限はないことは知ってますが、僕はうれしいのです。

 そばオンチの僕が、「うまい」 と思ったそばを他の客らも注文していて、さらに店員までもがファンだったということ。
 もしかして、このそば、本当においしいのかもしれませんよ。


 そば通のみなさん、ぜひ、評価をお寄せください。
  


Posted by 小暮 淳 at 13:03Comments(0)つれづれ

2024年01月13日

連載ヒストリー


 ライターの仕事は、大きく2つの作業に分かれます。
 「取材」 と 「執筆」 です。

 取材は、現地へ行ったり、関係者に会ったり、資料を調べたりと “動” の作業です。
 執筆は、ただひたすらに文章をつむぐ “静” の作業です。
 この真逆の作業が実に心地よくて、何十年と、のめり込んでいます。


 さらに執筆は、依頼内容により大きく3つに分かれます。
 1つは、「寄稿文」。
 特定のテーマで書く、一回こっきりの単発受注です。
 新聞や雑誌の特集などで依頼されることがあります。

 2つめは、「連載」。
 1年、2年とスパンを決めて、同一テーマで依頼されるコラムやエッセイです。
 これらは、のちに書籍化されることもあります。

 3つめは、「書き下ろし」。
 書籍の出版を前提として、期日までに取材して、原稿を収めます。
 制作期間が1~2年と長いため、他の仕事をしながらライフワークとしてこなします。


 で、この中で一番テンションが上がる執筆は、どれかというと、断然、「連載」 です。
 ライターという職業の根幹をなす、メイン (花形) の仕事だと思っています。

 連載を持っているかどうかによって、ライターとしての真価を問われるからです。
 真価とは?
 アイデンティティーです。

 ライターとして、何をテーマに追い求めているのか?
 飲食店でいえば、看板メニューのようなもの。
 だから僕は、常に連載ネタを探して、媒体に対して提案を続けています。


 最初に連載を持ったのは、20年前のこと。
 「月刊ぷらざ」 (ぷらざマガジン社) という生活情報誌に書いた 『源泉ひとりじめ』 (2004年4月~06年9月) という温泉記事でした。

 はい、そうです!
 “初心忘るべからず” という思いを込めて、このブログのタイトルにしました。

 以来、新聞や雑誌に、いくつもの連載を書いてきました。
 その中のいくつかは書籍化され、現在でも書店に並んでいます。


 現在、僕は4本の連載を抱えています。
 内訳は、週刊1本、不定期3本。
 テーマは、パズル、温泉、民話、地酒とバラバラです。

 今年は、これに新聞連載が加わります。
 すでに初回の原稿を入稿しました。
 ただし、新聞社との取り決めがあり、今ここで掲載日を公表することができません。

 ごめんなさい!
 掲載日当日に知らせしますので、突然のサプライズを楽しみに待っていてください。

 
 ということで、今年も新しいことが、てんこ盛りです。
 ライターという職業が天職だと思い、取材と執筆に奔走してまいりますので、よろしくお願いいたします。
  


Posted by 小暮 淳 at 12:09Comments(0)執筆余談

2024年01月12日

愛と性と生の物語


 食べ物に対して、その見た目や素材の味から 「食わず嫌い」 というのがあるように、本に対しても 「読まず嫌い」 があります。
 僕の場合、仕事として読む本は、すべて資料なので、好き嫌いに関係なく目を通していますが、やはり娯楽としての読書となると、好き嫌いがハッキリしてしまいます。

 小説は、時代劇やSF物が苦手です。
 翻訳物も登場人物のカタカナ名前が覚えられなくて、ついつい敬遠してしまいます。
 ビジネス書、実用書の類いも、滅多に手に取ることがありません。


 その本の存在は知っていました。
 一時、話題になり、漫画化やドラマ化されたことも知っています。
 でもね、やっぱりタイトルが……

 書店で見かけても、手に取ることさえためらってしまった記憶があります。


 こだま著 『夫のちんぽが入らない』 (講談社文庫)


 誰だって、手に取るのを戸惑いますよね。
 読むまでもなく “キワモノ” だと、はなから決めつけてしまっていました。
 ところが……

 先日、時間つぶしで入った古書店で、また、そのタイトルを見かけました。
 「ああ、キワモノね」
 と何気なく手に取り、ペラペラとめくり、解説文にチラチラと目を通すと、こんな言葉がありました。

 <いじらしいほど正直な愛と性の物語>


 ほほほう、ただのキワモノじゃないのね。
 感動の物語なんだ。
 でも、それにしてもタイトルがね。

 なんて思いながら 「あとがき」 を読み出した僕。
 そこには著者と編集者のやりとりが書かれていました。

 <さすがにこの題名で世に出すのは難しいだろうと思っていたが、編集者の高石智一さんに 「このタイトルがいいんです。最高のちんぽにしましょう」 と力強く言われた。>

 それにしても、なぜ、「ちんちん」 でも 「ちんこ」 でもなく、「ちんぽ」 なのでしょう?
 その辺についても、書かれていました。


 ということで、“読まず嫌い” を克服するために購入しました。
 そして読んで思ったことは、世の中には “普通” という呪いにかかった人たちが、なんて多いことか。
 “みんな違って、みんないい” のにね。

 人も本も、見た目やタイトルで判断してはいけないということです。
 これは、性と生をめぐる健気な夫婦の愛の物語です。
 そして、「なぜ入らないのか?」 という謎解きミステリーでもあります。
 まだの人は、ぜひ一読をおすすめします。


 ただし、本をレジに差し出す勇気のある人に限ります。
 あしからず。
   


Posted by 小暮 淳 at 12:33Comments(4)読書一昧

2024年01月11日

なぜ 「みなかみ」 は 「18湯」 なのか?


 群馬県から依頼があり、群馬県観光公式サイトに寄稿しました。

 依頼内容は、下記のようなものでした。
 「『みなかみ18湯』 という言葉に、まだ県民でも馴染みのない人が多いようです。そこで、みなかみ温泉大使であり、『みなかみ18湯』 の名付け親である小暮さんに書いてほしいのですが」


 名付け親?
 そもそも 『みなかみ18湯』 という言葉は、著書のタイトルで、僕の造語です。
 命名を頼まれて付けた名前ではではありません。
 僕は著書のタイトルの使用を許可しただけのことです。

 ま、それでも名付け親には違いありません。
 ということは、名付け親は親も同然
 我が子を世に出した責任を取ることにしました。


 「みなかみ18湯」 とは、なんぞや?
 その疑問に答える文章が、県のサイトにアップされましたので、ぜひ、ご覧ください。

 ●群馬県観光公式サイト 「心にググっと観光群馬」
  ~県内最大の温泉郷 「みなかみ18湯」~
  https://gunma-kanko.jp/features/68
 
 


  


Posted by 小暮 淳 at 12:20Comments(2)大使通信

2024年01月10日

遠くで昭和を聴きながら


 ♪ 沖の鴎に 深酒させてヨ いとしあの娘とヨ 朝寝する ダンチョネ ♪


 その訃報を知ったのは、いつもの店のいつものカウンターでした。
 テレビ画面に突然映ったニュース速報。

 <歌手の八代亜紀さん(73) 死去>


 早々に酔い始めた4人の常連たち。
 「えっ!」
 皆一様に、息を呑みしまた。

 すぐさま客の一人がスマホで検索。
 「去年の夏から体調を崩して、活動を停止していたらしいよ」
 ママが会話に加わります。
 「いくつだったの?」
 僕が答えました。
 「73だって」

 「また昭和が遠くなっちゃったね。さみしいね」


 そのあと、1人2人、3人4人と常連客が顔を出して、あっという間に小さなカウンターは満席状態に。

 「お正月だから歌おうか?」
 ママがマイクを差し出しました。
 「当然、このメンバーじゃ、昭和の歌だね」
 と言った僕の言葉通り、1960~70年代の歌謡曲がオンパレード。
 一番若い人で還暦、上は80代が2人もいます。

 誰か、八代亜紀を歌わないかな……
 聴きたいな、「舟唄」 を……


 「ほら、ジュンちゃんも入れて! 正月なんだからさ」
 ママにせかされて、タブレットの歌手一覧を操作する僕。

 八代亜紀は歌えないもんな……
 だったら追悼の意を込めて、やっぱり谷村新司かな……
 ソロの曲もいいけど、今日はアリス時代の好きな曲を歌っちゃおうか……


 ♪ もう行かなくちゃ つらくなるから 最後の言葉だ ありがとう ♪

 「ああ、昭和がどんどん遠くなっていっちゃう」
 しもじみと感じた夜でした。


 ご冥福をお祈り申し上げます
  


Posted by 小暮 淳 at 11:04Comments(2)昭和レトロ

2024年01月09日

「膕」 の呪縛


 正月早々、実に不謹慎な物を見てしまいました。
 懺悔の値打ちもありません。
 ただただ猛省しております。


 今年は元日から大変な年明けとなりました。
 大きな震災が列島を襲い、翌2日には航空機事故が発生しました。
 僕の “不謹慎” は、2日目の事故で起こりました。

 テレビのニュースで、乗客が撮影した避難時の映像が映りました。
 「体を低くして、口を押さえてください」
 とCA (キャビンアテンダント) の声が聞こえる中、乗客たちが床に伏せている映像です。

 当然、映像はローアングルです。
 冷静に行動するCAの下半身が映っています。
 それも後ろ姿です。
 その時です、僕の中で “不謹慎” な妄想が始まりました。

 「ふくらはぎが見える。ということは、もしかすると……」


 勘のいい読者ならば、もう察しが付きますよね!?
 そうです、こんな緊迫した映像の中に、僕は自己中心的な “癒やし” を求めていたのです。

 その “癒やし” の名は、「膕」。
 これで 「ひかがみ」 と読みます。
 人間の体の部位の呼称で、ひざの裏のくぼんだ所です。
 ※(「膕」については過去ブログの2023年11月10日「膕の誘惑」、同年11月20日「膕の逆襲」 を参照)


 そう思った次の瞬間、一瞬ですが “ひかがみ” が映りました。
 「おおおおおーーーーーっ!」
 と雄叫びを上げた瞬間、自分の不謹慎さに気づき、自己嫌悪に陥ってしまいました。

 「自分は、なんていう人間なんだ。不謹慎さにも程がある。今すぐ出家せよ!」
 ってね。

 許してください。
 もう二度と妄想はしません(本当?)。


 ただ救いは、乗客と乗員全員が無事に脱出できたことです。
 でも、衝突した海保機の搭乗員が亡くなっています。
 謹んでお悔やみ申し上げます。

 今年は、“ひかがみ” の呪縛を解くことが、僕の最大の目標となりました。
 精進します。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:57Comments(0)つれづれ