2010年09月12日
亡友の息子
真夜中、ケータイに、登録外メールの着信がありました。
「アドレス変更しました」と、たった1行……。
名前を見ると、聞いたことがあるような名前。でも、すぐに思い出せない。同じ名字の友人はいる。
いや、いたんだ。
彼の息子だ! 絶対、そうだ!
彼とは、友人の大河原義弘くん。カメラマンでした。
僕らは仕事で出会い、意気投合して、2年間にわたり離島を取材し続けました。
島の名は、「篠島」。
愛知県、知多半島の先端と渥美半島の先端のほぼ中間に浮かぶ、周囲約6キロ、人口約2000人の小さな島です。
今から7年前、僕と彼は、共通の友人と一緒に、偶然、篠島へ遊びに行きました。
何が偶然かって?
「篠島」と聞いて、えっ!と思い出せた人は、相当の拓郎ファンですね。
そう、1979年、夏。
この島に2万人を超える若者が押し寄せた、伝説のライブ『吉田拓郎 篠島アイランドコンサート』。
偶然にも、拓郎ファンの彼と僕が、四半世紀後に、この島を訪ねたのです。
「島が沈んじゃへんかと思ったがね」「父親の肩車で聴いたよ」「道といわず浜といわず、若者が寝転んでいた」……
最初は、そんな当時を述懐する島民の声が聞きたくて、通い出したのですが、いつしか僕らは、スーパーもコンビにも信号機もない、“モノのない島の豊かな暮らし”に魅せられてしまいました。
2年間で、通うこと14回。
彼が写真を撮って、僕が文章を書く。
いつしか、このライフワークは、展示会へと発展していきました。
フォト&エッセイ展 『島人たちの唄 ~豊かなる暮らし~』 と題した展示会は、前橋から始まり、宇都宮、横浜、そして地元愛知県の安城市でも開催されました。当時、新聞や雑誌など各メディアが取り上げるほど、話題にもなりました。
あれは、まるで青春のような日々でした。
40歳を過ぎたオッチャンが、2人して、夢中になって、離島に通い続けたのですから……。
でも、
でも、あの時から、すでに病魔は彼の体をむしばんでいたのですね。
僕は、すぐに息子さんにメールを返しました。
「小暮のおっちゃんじゃ! 元気にやってるか? いくつになった?」
すると、すぐに返ってきました。
「16です」
「そうか、子供と大人の真ん中だな。
あと4年たったら、おっちゃんが飲みに連れっててやるからな。
それまで、お母ちゃん泣かしたら、いかんぞ!」
しばらくして、
「ありがとうございます!!」
の文字。
早く、大きくなれよ。拓馬!
おっちゃん、待ちきれんぞ。
「アドレス変更しました」と、たった1行……。
名前を見ると、聞いたことがあるような名前。でも、すぐに思い出せない。同じ名字の友人はいる。
いや、いたんだ。
彼の息子だ! 絶対、そうだ!
彼とは、友人の大河原義弘くん。カメラマンでした。
僕らは仕事で出会い、意気投合して、2年間にわたり離島を取材し続けました。
島の名は、「篠島」。
愛知県、知多半島の先端と渥美半島の先端のほぼ中間に浮かぶ、周囲約6キロ、人口約2000人の小さな島です。
今から7年前、僕と彼は、共通の友人と一緒に、偶然、篠島へ遊びに行きました。
何が偶然かって?
「篠島」と聞いて、えっ!と思い出せた人は、相当の拓郎ファンですね。
そう、1979年、夏。
この島に2万人を超える若者が押し寄せた、伝説のライブ『吉田拓郎 篠島アイランドコンサート』。
偶然にも、拓郎ファンの彼と僕が、四半世紀後に、この島を訪ねたのです。
「島が沈んじゃへんかと思ったがね」「父親の肩車で聴いたよ」「道といわず浜といわず、若者が寝転んでいた」……
最初は、そんな当時を述懐する島民の声が聞きたくて、通い出したのですが、いつしか僕らは、スーパーもコンビにも信号機もない、“モノのない島の豊かな暮らし”に魅せられてしまいました。
2年間で、通うこと14回。
彼が写真を撮って、僕が文章を書く。
いつしか、このライフワークは、展示会へと発展していきました。
フォト&エッセイ展 『島人たちの唄 ~豊かなる暮らし~』 と題した展示会は、前橋から始まり、宇都宮、横浜、そして地元愛知県の安城市でも開催されました。当時、新聞や雑誌など各メディアが取り上げるほど、話題にもなりました。
あれは、まるで青春のような日々でした。
40歳を過ぎたオッチャンが、2人して、夢中になって、離島に通い続けたのですから……。
でも、
でも、あの時から、すでに病魔は彼の体をむしばんでいたのですね。
僕は、すぐに息子さんにメールを返しました。
「小暮のおっちゃんじゃ! 元気にやってるか? いくつになった?」
すると、すぐに返ってきました。
「16です」
「そうか、子供と大人の真ん中だな。
あと4年たったら、おっちゃんが飲みに連れっててやるからな。
それまで、お母ちゃん泣かしたら、いかんぞ!」
しばらくして、
「ありがとうございます!!」
の文字。
早く、大きくなれよ。拓馬!
おっちゃん、待ちきれんぞ。
Posted by 小暮 淳 at 11:58│Comments(0)
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