2010年11月29日
謎学の旅⑭ 「食用生物 “天狗の麦飯”」
その謎学の旅は、知人が言ったひと言から始まりました。
「昔、嬬恋村で、土を食べたことがある」
この後、いくら彼を追及しても、そこはどこだったのか? それは何だったのか? 誰に食べさせられたのか? 彼はまったく覚えていなかったのです。
あの日から、僕は独自の調査をつづけて、ついに “食べれる土” を探し当てたのです。
ところが、その調査の結果は、はるかに僕の予想を超えていました。
さらに、僕を好奇心のるつぼへと陥れたのです。
実は、その土は、土ではなく、土によく似た「食用生物」だったのです。
世界に類例のない、この日本特有の生物の名は、『天狗の麦飯』。
体長1~2mm、名前のとおりツブツブ状の生物で、麦飯に似ているという。
名前の由来は、飢饉(ききん)により、腹をすかせた村人のために、天狗がこの食用生物を配って、飢えをしのいだという伝説からきているようです。
これは、ぜひ一度、食してみたい究極のグルメであります。
某月某日、ついに、その日がきました。
願っていると、チャンスは突然に現れるものです。
どんなチャンスが訪れたかは、詳しくかけません。絶滅の危機にある生物であるため、関係者は盗掘・乱掘を恐れているからです。
仮にKさんとしましょう。
その人と、群馬県と長野県境にある湯の丸高原で、待ち合わせました。
あいさつも早々に、リフトに乗り込み、湯の丸山を目指します。
山頂駅からは、「つつじ平」を群馬県側へ入り、約30分ほど歩きました。
ここまで来ると、もう登山コースからはずれているため、観光客や登山者は、人っ子一人いません。
ツツジの群生の先に、突然、賽(さい)の河原のような草木の生えない、こんもりとした地表が見えました。
『天狗の麦飯』 は古来より、「飯粒」「味噌土」などの異名があり、本州中部の戸隠山・黒姫山・浅間山などの火山性高地に分布し、長野県では天然記念物に指定されている非常に貴重な生物です。
しかし、この不思議な生物は、群馬県内でも発見されています。
Kさんによれば、角間山南斜面と嬬恋村内の河川敷、そしてここ湯の丸山山中に自生が確認されているとのことです。
Kさんが石をどかして、木の枝で地面をほじくると、黄褐色の土が出てきました。
そして、「どうぞ、食べてみてください」と、僕の手のひらの上に謎の生物をのせました。
コイツの正体は藍藻類で、食べても人体には無害だと聞いていますが、かなり勇気のいる食事です。
指でつまんでみるとやわらかく、クニュッとつぶれます。
うわぁぁ、気も持ち悪りー!
いざ、覚悟! 口の中へ放り込む。
ムッ?
砂を噛んでるようなジャリジャリとした味気なさ……。
決して、おいしいものではありません。
が、確かに、飢えだけは、しのげそうですね。
ティッシュペーパーにくるんで持って帰りましたが、数日後に開いてみたら、パサパサに乾燥していて、ただの砂になっていました。
謎学の旅はつづく。
Posted by 小暮 淳 at 21:20│Comments(4)
│謎学の旅
この記事へのコメント
こんにちはー 謎・雑学の質問。 ①伊香保の語源は何からきているか?②伊香保の石段は登る時と降りる時では段数が異なるのは何故? 謎ですよね?①はアイヌ語系と聞いたことがありますが…?
今日の謎な食べ物は藍藻類と?この系統は確かに見た目は?でも栄養学的に優れている奴らな匂いがいたします。私も時々スピルピナという藻類を食べますがいい感じです。
今日の謎な食べ物は藍藻類と?この系統は確かに見た目は?でも栄養学的に優れている奴らな匂いがいたします。私も時々スピルピナという藻類を食べますがいい感じです。
Posted by ぴー at 2010年11月30日 14:36
追伸 正:スピルリナ 誤:スピルピナ でした。
Posted by ぴー at 2010年11月30日 14:40
ぴーさんへ
確かに、アイヌ語の 「湯」 から地名が付いたという説もありますが、民俗研究家の都丸十九一氏は、著書 『群馬の地名をたずねて』 の中で、次のように述べています。
伊香保は 「厳峰(イカホ)」 であろう。語源は険しく厳かな峰、という意味と思われる。したがって、もともとは温泉の名というより山の名であり、古代においては榛名山全体をさしていた。
とのことです。
石段の件は、分かりかねまする。
確かに、アイヌ語の 「湯」 から地名が付いたという説もありますが、民俗研究家の都丸十九一氏は、著書 『群馬の地名をたずねて』 の中で、次のように述べています。
伊香保は 「厳峰(イカホ)」 であろう。語源は険しく厳かな峰、という意味と思われる。したがって、もともとは温泉の名というより山の名であり、古代においては榛名山全体をさしていた。
とのことです。
石段の件は、分かりかねまする。
Posted by 小暮 at 2010年11月30日 18:28
今晩は、さすが小暮さん!参考になりました。
Posted by ぴー at 2010年11月30日 21:22