2011年06月02日
湯檜曽温泉 「林屋旅館」②
いい温泉宿には、いい湯守(ゆもり)がいる。
そして、いい湯守は、その心を伝え継いでいる。
これは僕の持論であります。
今日、また守り継いだ湯心に触れ、感動してきました。
昔、豪族が落ちのびて、湯けむりの立つ谷にたどり着いた。
湯にひそんでいたことから、「湯のひそ村」と呼ばれるようになったという。
湯檜曽(ゆびそ)温泉には、現在、湯檜曽川沿いに5軒の宿がありますが、一番の老舗旅館が 「林屋旅館」 です。
最後に訪れたのが昨年の6月ですから、ちょうど1年ぶりにお邪魔しました。
前回は1泊して、4代目主人の林伸幸さんと深夜まで熱く熱く温泉話を語り合いましたっけね。
今日は、3代目女将の茂子さんと4代目若女将の敦子さんに、じっくりと話を伺ってきました。
約束の時間よりも1時間近く前に着いてしまったので、取材までの時間、湯をいただくことにしました。
前回のブログ(2010年6月18日)にも書きましたが、ここは、とにかく湯が絶品です!
4代目の伸幸さんが、それはそれは大切にしている湯ですから、匠の技で調合しています。
調合って何?って思われました?
「混合泉」という言葉は、聞いたことがあるかと思います。
これは何本かの源泉を貯湯槽に集めて、各旅館へ給湯している温泉のことです。
僕がここで言う「調合」とは、天候や気温の変化にあわせて、毎日、湯を調合している湯守の仕事のことです。
でも、どこの温泉でもやっている、いや、できる技ではありません。
恵まれた湯量と複数本の源泉を所有していなければできない、究極の湯技なのであります。
林屋旅館は、2本の自家源泉を所有し、1本の共有泉から給湯されています。
その総湯量は、毎分150リットル以上!
しかも男女別の内風呂のみ。露天風呂なし!
当然、使い切れませんから、厨房や自宅でも使用していますが、それでも半分以上は、湯檜曽川へ流れてしまっているといいます(なんという、贅沢)。
で、当然ですが、加水も加温もなく、完全かけ流しです。
では、どうやって温度調節を行っているのかと言えば、そう、それが温度の異なる源泉の調合です。
3本の源泉の温度は、約40℃と約47℃と約50℃。
季節や気温、天候により、これらの調合率を微妙に変えながら、つねに “その日の湯の適温” を作り出しているのです。
これぞ、究極の湯技でありす。
で、僕は取材の最後、若女将に、4代目女将としての抱負を訊きました。
すると若女将は、こんなことを言いました。
「湯を分かる、本当に温泉が好きな人が、ちょこっと来てくれればいいんです」
ああ、シビレましたね。
美人だからじゃありませんよ。
まだお若いのに、ちゃーんと湯守の心を知っていらっしゃる。
さらに、こんなことも。
「いつまでも、湯が涸(か)れないでいてくれると、いいですね」
くぅーーーっ、なかなか言えない言葉ですぞ!
今日は、久々に湯守の心に触れて、感動いたしました。
Posted by 小暮 淳 at 21:19│Comments(3)
│温泉地・旅館
この記事へのコメント
先月、林家旅館に日帰り入浴に行って来ました。
源泉垂れ流し状態の素晴らしい温泉でした。
湯量が有るのに、内風呂だけなのも好感が持てます。
天井のモザイクタイル張りも素晴らしい
良い温泉を教えていただきありがとうございます。
源泉垂れ流し状態の素晴らしい温泉でした。
湯量が有るのに、内風呂だけなのも好感が持てます。
天井のモザイクタイル張りも素晴らしい

良い温泉を教えていただきありがとうございます。
Posted by ヒロ坊 at 2011年06月02日 22:50
小暮様が絶賛する 温泉なのですね
他県の温泉で
温泉宿は 温泉が命(メ°皿°) と 言わんばかりの 宿の人に 温泉を褒めちぎり…
その夜の夕飯は 豪華になった記憶があります(笑)
一つの職人技ですが 評価されないのは 残念な事だと思います。
他県の温泉で
温泉宿は 温泉が命(メ°皿°) と 言わんばかりの 宿の人に 温泉を褒めちぎり…
その夜の夕飯は 豪華になった記憶があります(笑)
一つの職人技ですが 評価されないのは 残念な事だと思います。
Posted by momotaka at 2011年06月03日 11:54
ヒロ坊さんへ
そーですか、行って来られましたか。
あのアーチ型のモザイク天井は、昭和の戦争中に張ったものらしいですよ。
スキーのタイル絵は、ご主人の姿。
元国体の選手です。
momotakaさんへ
湯をほめると喜ぶ主人のいる宿が、湯守のいる宿なんですね。
いっぱい、ほめて差し上げましょうよ!
そーですか、行って来られましたか。
あのアーチ型のモザイク天井は、昭和の戦争中に張ったものらしいですよ。
スキーのタイル絵は、ご主人の姿。
元国体の選手です。
momotakaさんへ
湯をほめると喜ぶ主人のいる宿が、湯守のいる宿なんですね。
いっぱい、ほめて差し上げましょうよ!
Posted by 小暮 淳
at 2011年06月03日 16:08
