2011年06月19日
父の父の日
男って、日頃は自分が “父親” だなんてことは、意識して生きてたりはしないものです。
父性なんてものも、あるのだか? ないのだか?
仮にあったとしても、それは母性の足元にも及ばない、きっと瑣末(さまつ)なもんでしょうな……
昨夜、末の娘が「1日早いけど」と言って、発泡酒をくれました。
「えっ、なんだ?」 と戸惑う僕に、「明日は、父の日でしょ」と言う。
父の日・・・
ああ、そういえば昔は、保育園で子どもたちが絵を描いてきてくれたっけ。
長男が描いた僕の絵は、傑作だった。
人間じゃ、ないんだから!
完全に体は、クルマだった。
それでも、嬉しかった記憶はある。
その長男も今は、大学生。
昨晩、バイトを終えて、遅くに帰ってきた。
「お帰り」と言ったって、いつも「あぁ」としか言葉を返さない、そっけないヤツである。
ま、でも僕だって、10~20代はオヤジとなんて、口をきいた覚えはないのだから仕方ない。
かえって、父親とベラベラと世間話をする息子のほうが、不気味だ。
だから、いつものように「お帰り」と廊下ですれ違いざまに、声をかけた。
すると、今日は珍しく、息子らしくなく、返事が返ってきた。
「あ、冷蔵庫に入ってる」
「えっ、何が?」と僕。
「父の日……」
それだけ言うと、息子は風呂場へ入ってしまった。
なんのこっちゃ?
なにが父の日だ?
と、台所へ行って冷蔵庫を開けてみると、スーパーの袋が無造作に放り込んであった。
取り出して開けてみると……
ビール(発泡酒ではない)が3本と、おつまみが2袋。
久しぶりに交わした息子との言葉らしい言葉。
そして、銘柄まで、ちゃんと僕の好物のビールだ(もしかしたら 『ぐんまの里山 てくてく歩き』 のプロフィール写真を見たのか?)
しばし、見つめていたら、ちょっぴり目頭が熱くなってしまった。
と、その時!
いきなり背後から 「良かったですね!」 と家人が大きな声をかけたので、あわやビールを落としそうになってしまったではないか。しかも、驚いた拍子に、涙腺が切れちまった。
うるさい!
今、オレはひとりで感動に浸っているのだぞ!
少しは気を効かせろい!
バカ、女が!
と、いうことで、今日は朝から、無性に僕の父(はい、オヤジです)に、会いたくなってしまったのです。
御歳、87歳。
生きているけど、覇気はありません。
時々動くけど、止まっていることのほうが多いです。
息子の名前は覚えていますが、孫たちは区別がつきません。
昔のことは覚えていますが、今日あったことはすべて忘れてしまいます。
そんなオヤジに、好物を届けてやることにしました。
まぁ、血筋は争えないということで、オヤジの好物も “酒” であります。
焼酎を手みやげにしようかと、家人に相談すると、「ダメよ、おじいちゃん、昼真っから飲んで、大声あげるからお酒は隠したって、おばあちゃんが言ってたわよ」とのこと。
そーか、仕方ない。酒はあきらめよう、ということになった。
で、僕が買ったのは、パズルです。
「ナンプレ」って言うんですか?
僕はやらないので分からないのですが、オヤジは、いつーも窓辺の座イスでパズルを解いているのですよ。
「オヤジ、生きてるかー!?」
「おお、生きてる生きてる」と本人の声が、部屋の中からしました。
案の定、窓辺の席で、ひとり黙々とパズルを解いています。
「はい、これ」
「なんだ?」
「父の日」
「誰が?」
「オヤジだよ」
「なんで?」
もーいい、何でもいいから、受け取れ!
確かに今はただのボケ老人だけど、かつてはオレの父親をやっていた人でしょう?
「おおー、ナンプレの本だ!」
「そーだよ」
「これ、くれるのか?」
「父の日だから」
「どーして?」
ああああああーーーっ、こりゃダメだっ!
父性なんてものも、あるのだか? ないのだか?
仮にあったとしても、それは母性の足元にも及ばない、きっと瑣末(さまつ)なもんでしょうな……
昨夜、末の娘が「1日早いけど」と言って、発泡酒をくれました。
「えっ、なんだ?」 と戸惑う僕に、「明日は、父の日でしょ」と言う。
父の日・・・
ああ、そういえば昔は、保育園で子どもたちが絵を描いてきてくれたっけ。
長男が描いた僕の絵は、傑作だった。
人間じゃ、ないんだから!
完全に体は、クルマだった。
それでも、嬉しかった記憶はある。
その長男も今は、大学生。
昨晩、バイトを終えて、遅くに帰ってきた。
「お帰り」と言ったって、いつも「あぁ」としか言葉を返さない、そっけないヤツである。
ま、でも僕だって、10~20代はオヤジとなんて、口をきいた覚えはないのだから仕方ない。
かえって、父親とベラベラと世間話をする息子のほうが、不気味だ。
だから、いつものように「お帰り」と廊下ですれ違いざまに、声をかけた。
すると、今日は珍しく、息子らしくなく、返事が返ってきた。
「あ、冷蔵庫に入ってる」
「えっ、何が?」と僕。
「父の日……」
それだけ言うと、息子は風呂場へ入ってしまった。
なんのこっちゃ?
なにが父の日だ?
と、台所へ行って冷蔵庫を開けてみると、スーパーの袋が無造作に放り込んであった。
取り出して開けてみると……
ビール(発泡酒ではない)が3本と、おつまみが2袋。
久しぶりに交わした息子との言葉らしい言葉。
そして、銘柄まで、ちゃんと僕の好物のビールだ(もしかしたら 『ぐんまの里山 てくてく歩き』 のプロフィール写真を見たのか?)
しばし、見つめていたら、ちょっぴり目頭が熱くなってしまった。
と、その時!
いきなり背後から 「良かったですね!」 と家人が大きな声をかけたので、あわやビールを落としそうになってしまったではないか。しかも、驚いた拍子に、涙腺が切れちまった。
うるさい!
今、オレはひとりで感動に浸っているのだぞ!
少しは気を効かせろい!
バカ、女が!
と、いうことで、今日は朝から、無性に僕の父(はい、オヤジです)に、会いたくなってしまったのです。
御歳、87歳。
生きているけど、覇気はありません。
時々動くけど、止まっていることのほうが多いです。
息子の名前は覚えていますが、孫たちは区別がつきません。
昔のことは覚えていますが、今日あったことはすべて忘れてしまいます。
そんなオヤジに、好物を届けてやることにしました。
まぁ、血筋は争えないということで、オヤジの好物も “酒” であります。
焼酎を手みやげにしようかと、家人に相談すると、「ダメよ、おじいちゃん、昼真っから飲んで、大声あげるからお酒は隠したって、おばあちゃんが言ってたわよ」とのこと。
そーか、仕方ない。酒はあきらめよう、ということになった。
で、僕が買ったのは、パズルです。
「ナンプレ」って言うんですか?
僕はやらないので分からないのですが、オヤジは、いつーも窓辺の座イスでパズルを解いているのですよ。
「オヤジ、生きてるかー!?」
「おお、生きてる生きてる」と本人の声が、部屋の中からしました。
案の定、窓辺の席で、ひとり黙々とパズルを解いています。
「はい、これ」
「なんだ?」
「父の日」
「誰が?」
「オヤジだよ」
「なんで?」
もーいい、何でもいいから、受け取れ!
確かに今はただのボケ老人だけど、かつてはオレの父親をやっていた人でしょう?
「おおー、ナンプレの本だ!」
「そーだよ」
「これ、くれるのか?」
「父の日だから」
「どーして?」
ああああああーーーっ、こりゃダメだっ!
Posted by 小暮 淳 at 18:25│Comments(4)
│つれづれ
この記事へのコメント
関西に行っている一人娘から電話があった。
どうしたんだと言ったら父の日だからと言う。
普段は、母親にしか電話をしてこないのに。
何をしゃべって良いのか分からず元気で頑張れよと言ってしまった。
頑張っている娘に頑張れよでは、しゃれにも成らない。
気の利くことも言えない親父。
でも、誰よりも応援しているからな。
小暮さん、父の日に、子供に優しくされると変に気まずいですな。
どうしたんだと言ったら父の日だからと言う。
普段は、母親にしか電話をしてこないのに。
何をしゃべって良いのか分からず元気で頑張れよと言ってしまった。
頑張っている娘に頑張れよでは、しゃれにも成らない。
気の利くことも言えない親父。
でも、誰よりも応援しているからな。
小暮さん、父の日に、子供に優しくされると変に気まずいですな。
Posted by ヒロ坊 at 2011年06月20日 00:38
父の日なので 実家へ行き 露骨に現金を渡し 帰ってきました
市内の中心に実家は 有るのですが……
空き家と駐車場が目立ち
(^_^;) 限界集落みたい
前三で 遊んでいた頃を懐かしく 思いだしました
(「・・) 古きよきモノよ 何処へ行ったのか?
市内の中心に実家は 有るのですが……
空き家と駐車場が目立ち
(^_^;) 限界集落みたい
前三で 遊んでいた頃を懐かしく 思いだしました
(「・・) 古きよきモノよ 何処へ行ったのか?
Posted by momotaka at 2011年06月20日 12:58
ヒロ坊さんへ
いやいや、不器用なオヤジでいいんですよ。
所詮、オヤジですから。
でも一人娘さんが関西に行ってしまっているとは、お淋しいですな。
うちも嫁いだ長女がいますが、県内にいるもんで、時々、孫を連れて会いに来てくれます。
それだけで、充分です。親子なんだから、言葉はいりませんよ。
momotakaさんへ
前三をご存知とは、古い!
屋上の観覧車に乗って、レストランでカツカレーを食べて帰るのが楽しみでした。
いやいや、不器用なオヤジでいいんですよ。
所詮、オヤジですから。
でも一人娘さんが関西に行ってしまっているとは、お淋しいですな。
うちも嫁いだ長女がいますが、県内にいるもんで、時々、孫を連れて会いに来てくれます。
それだけで、充分です。親子なんだから、言葉はいりませんよ。
momotakaさんへ
前三をご存知とは、古い!
屋上の観覧車に乗って、レストランでカツカレーを食べて帰るのが楽しみでした。
Posted by 小暮 淳
at 2011年06月20日 18:50

小さい頃の記憶は それなりに思い出す事ができるので^^;
カツカレーですか^^b ネ申 でしたよね。
自分は 焼き饅頭を食べ 豆電車が好きでした。
ネズミ叩きと ドライブゲームに ハマッテました。
カツカレーですか^^b ネ申 でしたよね。
自分は 焼き饅頭を食べ 豆電車が好きでした。
ネズミ叩きと ドライブゲームに ハマッテました。
Posted by momotaka at 2011年06月21日 21:07