2012年02月26日
水上温泉 「松乃井」②
先週の木曜日、水上温泉の 「松乃井」 を訪ね、戸澤千秋社長に話をうかがってきました。
思えば、戸澤社長とお会いするのは、2度目なのですね。
ちょうど1年前の2月7日でした。
雪が舞う水上駅に降り立ったのは・・・。
その日は、観光でも取材でもなく、僕は某協会が主催する大会に呼ばれ、基調講演の講師として会場となっている 「松乃井」 を訪れたのでした。
確か、その時、お話はできませんでしたが、社長とは名刺交換だけした記憶があります。
「そうでしたか、あのときの!」
と、社長も驚かれていましたが、しっかり講演のことは覚えていてくださいました。
そして、ご丁寧にも個室を用意してくださり、じっくりと創業の歴史から再建への経緯に至るまでを話してくださいました。
業界通の方なら 「松乃井」 のことは、ご存知かと思います。
まあ、ひと言で言えば、いろいろあった旅館です。
創業は昭和31年。
県内の名士が手がけ、30年代、40年代、50年代、そして60年代に入っても増改築をして大きくなった水上温泉の隆盛の歴史を担った旅館の1つであります。
しかし、バブルの崩壊とともに経営は悪化。
ついには倒産へと追い込まれました。
平成19年、戸澤社長が新会社を設立して、再建させたのが、現在の新生「松乃井」 であります。
さすが、元経営コンサルタントだけあって、社長の話には含蓄があります。
「温泉経営は、針の穴に糸を通すようなもの」
「入口は勘で入って、出口は運で出る」
う~ん、実に深過ぎるお言葉です。
でもね、温泉の有り様では、僕と社長の意見は一致しましたよ。
再建にあたり、唯一の望みが 「源泉」 だったと!
実は、同館は昔から4本もの自家源泉を所有しているのです。
それも、アルカリ性単純温泉とカルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉(旧、含食塩石膏泉) の2種類。
その総湯量は約500リットルもあります。
社長は、この宝を生かさない手はないと考えたわけです。
そして、誕生させたのが 「生」温泉です。
いくつも浴室がある大きな旅館ですから、すべての浴槽を源泉かけ流しにすることは不可能です。
そこで、男女とも内風呂だけは、完全放流式にしました。
でも、それだけではありません。
「生」 というくらいだから、その給湯方式にこだわりました。
それは・・・
温泉の鮮度を保つために、湯口(源泉の注ぎ口) を浴槽の底に取り付け、空気に触れる時間を極力減らすことに成功しました。
入浴の感覚は、まさに “足元湧出温泉” であります。
でも、法律や設備工事等の問題で、この方式を使用している温泉は、まだ県内にはいくつもありません。
僕の知る限りでは、自然湧出泉か湯量豊富な源泉を所有する数軒の温泉宿のみです。
社長の湯へのこだわり、そして再建への熱意が、ひしひしと伝わってきた楽しい語らいのひと時でした。
群馬の温泉は、まだまだ奥深いぞ!
Posted by 小暮 淳 at 18:13│Comments(3)
│温泉地・旅館
この記事へのコメント
日帰りが徐々に衰退、銭湯化してゆき
源泉をもつ宿の誠実な経営が光ってくる感じですね
源泉をもつ宿の誠実な経営が光ってくる感じですね
Posted by ぴー at 2012年02月27日 13:42
巨大な箱を持つ 温泉ホテルだから 損益分岐点が高い事でしょうね
利用者は お客様だぞ〜的な考えは いい加減止めた方がいいですね
その分 料金に反映されるだけなのに
巨大な温泉ホテルを見ると 痛々しい
明日から水上〜 今回は秘密兵器持参〜
利用者は お客様だぞ〜的な考えは いい加減止めた方がいいですね
その分 料金に反映されるだけなのに
巨大な温泉ホテルを見ると 痛々しい
明日から水上〜 今回は秘密兵器持参〜
Posted by momotaka at 2012年02月27日 14:23
ぴーさん、momotakaさんへ
今後は、熱烈なファンのいる 「源泉主義」 または一般大衆を呼び込む 「激安施設」 が、さらに顕著になっていくことでしょうね。
すべての温泉地が、今、過渡期を迎えています。
今後は、熱烈なファンのいる 「源泉主義」 または一般大衆を呼び込む 「激安施設」 が、さらに顕著になっていくことでしょうね。
すべての温泉地が、今、過渡期を迎えています。
Posted by 小暮 at 2012年02月28日 00:56