2013年08月05日
読むべからず!
みなさんは、本を買ったら、どこから読みますか?
僕の場合、まず書店で、帯やカバーに書かれた宣伝コピーに目を通し、興味が湧いたら、おもむろに店頭で1ページ目の冒頭部分を読み出します。
最初の10行が勝負です!
すーっと、入り込めれば、その本は “買い” となります。
問題は、家に帰ってからであります。
すぐに続きを読み出せば、いいのですが、僕は、「あとがき」 や 「解説」 を先に読むクセがあるんです。
(たぶん、そういう人は、多いと思います)
「あとがき」 は著者が書いているので、先に読んでも別段問題はないのですが、「解説」 は他の作家や評論家が書いているので、人によっては先に読むのは良し悪しなのであります。
特に、ミステリーやサスペンスの場合、“あらすじ” を書いてしまう人もいますから・・・
で、先日、やっちまいました!
<ラストでそれが作者の仕掛けたワナだったことを知らされる。その驚きは圧巻だ。>
<著者が絶対の自信を持って読者に仕掛ける超絶のトリック。>
との宣伝コピー。
読者や本屋が選ぶミステリーでも、評判の推理小説であります。
「これは、ぜひ、一読しなくては!」 と、胸を躍られながらページをめくり出しました。
ええ、「解説」 のページを・・・
そしたら、読み出して数行で突然、こんな文章が、飛び込んできたのです。
<尚、これ以降、事件の真相とトリックについて言及していますので、必ず作品を読んでからこの先に進んで下さいますようお願い致します。>
ほほう、この解説者は、いきなり真相を明かしちゃうわけね。
他に、著者の経歴だとか、他の作品についてだとかの知識はないのかよ。
いわゆる、「あらすじ」 の暴露解説だったのです。
ちぇっ、分かりましたよ。
この先は読みませんよ。
ええ、読んでなんか、やるもんか!
と、半分、キレ気味に、ペラリと、もう1枚ページをめくった時です。
<本書の最も大きなトリックは、○○が××で△△という、いわゆる●●トリックです。>
という一文が、目に飛び込んできたのです。
あっ、しまった!
と思った時は、時すでに遅く、僕は、これから読もうとする “読者に仕掛けた超絶のトリック” を、いとも簡単に知ってしまったのであります。
バカなことをした。
もっと早く、引き返せば良かった。
と思いましたが、もう、あとの祭りです。
その昔、学生時代の休み時間に推理小説を読んでいたら、クラスメイトがやって来て
「あっ、その本、オレ読んだ。犯人は○○だぜ!」
と、告げられたとき以来のショックであります。
そして、怒りまで、こみ上げてきました。
もちろん、この解説者に対してですよ!
いや、でも、解説者は、“この先は読むな” と但し書きをしているのであります。
悪いのは、みんなみんな、自分なのです。
で、その後、どうしたのかって?
はい、トリックと真相を百も承知で、小説を読みました。
アッと驚くことはありませんでしたが、それでも小説としては充分に楽しめましたよ。
みなさんは、「解説」 を先に読む場合は、くれぐれも注意をしてくださいね。
※ちなみに読んだ本は、群馬県出身のミスティー作家、中町信氏の 『模倣の殺意』(創元推理文庫) です。
Posted by 小暮 淳 at 21:33│Comments(0)
│読書一昧