2013年11月22日
霧積温泉 「金湯館」⑤
全国から温泉地が消えています!
何十軒も宿のある温泉地は、1軒の宿が廃業しても温泉地自体は残ります。
でも、“一軒宿” と呼ばれる温泉地は、たった一軒で源泉と温泉地名を守り続けているわけですから、その1軒が廃業してしまうと、温泉地自体が、この世から消えてしまうのです。
ですから僕は、一軒宿の温泉地のことを 「絶滅危惧温泉」 と呼んでいます。
群馬県内には、約100ヶ所の温泉地(宿泊施設のある) があります。
うち8割以上が、10軒の宿に満たない小さな温泉地です。
さらに、それの8割以上(全体の半数以上) が、たった1軒で営んでいる温泉地です。
僕が2009年9月に出版した 『ぐんまの源泉一軒宿』(上毛新聞社) には50軒の宿(=50温泉地) が掲載されています。
が、すでに4軒の宿が廃業しています。
さらに現在、僕のもとへは、廃業もしくは経営の撤退を検討している温泉宿の情報が、いくつか届いています。
実に、由々しきことであります!
これは、大変だーーーっ!
と思い、「日本秘湯を守る会」(朝日旅行) の加盟宿を調べてみたら、数年前まで群馬県内に15軒あった宿のうち、3軒もが廃業していることが分かりました。
まさに秘湯の一軒宿は、絶滅の危機に瀕しているのであります。
では、一軒宿の温泉は、減少する一方なのか?
と問えば、温泉の掘削により新しく誕生した宿もあります。
でも、それ以外の理由で、一軒宿の温泉地が誕生する場合があります。
それは、他の温泉宿が消えたことにより、1軒だけ残ってしまったケースです。
古くは、大正7年の大火により十数軒の宿が全焼して、湯元の 「紅葉館」 だけが残った鹿沢温泉などがあります。
近年では、数軒あった宿が次々と廃業して、現在、花敷温泉は 「花敷の湯」 ただ1軒になっています。
ここにきて、また、群馬県内に一軒宿の温泉地が誕生してしまいました。
それは、霧積(きりづみ) 温泉です。
そう、あの作家・森村誠一の代表作 『人間の証明』 の舞台になった温泉です。
一昨年の春に、2軒あった宿のうち、下にあった 「きりづみ館」 が後継者不在のために余儀なく廃業。
湯元である 「金湯館(きんとうかん)」 だけになってしまいました。
※( 「金湯館」 は、「きりづみ館」 が開業した昭和36年までは、やはり一軒宿だった。)
と、いうことで昨日は、一軒宿になってしまった 「金湯館」 へ行ってきました。
最後に僕が金湯館を訪れたのは、一昨年の1月ですから、1年11ヶ月ぶりになります。
あの時は、宿のシンボルである水車が全面凍結したという知らせを受け、その “氷の芸術” を鑑賞しに行ったのでした。
そして、その時は、まだ 「きりづみ館」 はありました。
で、今回、行ってみたら・・・
もう、旅館の建物は、跡形もなく、更地になっていました。
僕はしばらく、呆然と立ち尽くしてしまいました。
そのぶん、「金湯館」 の3代目主人の佐藤敏行さん、みどりさんご夫妻、4代目を継いだ淳さん、知美さん夫妻の元気な笑顔とお姿に、また会うことができました。
かの伊藤博文や勝海舟らも泊まったという、明治17(1884)年創業の老舗旅館です。
ぜひ、これからも5代目、6代目へと、群馬の宝物である温泉を未来に受け継いでいってください。
微力ながら、僕も応援させていただきます。
“入って残そう! 群馬の秘湯”
みなさんも、よろしくお願いいたします。
Posted by 小暮 淳 at 18:12│Comments(3)
│温泉地・旅館
この記事へのコメント
お早うございます!
今年のGWに霧積にMTBチームでツーリングに行きました!
その時に「きりづみ館」の閉館を知りました。
更地になってしまったとは(涙)
自分も残念でならないです
独特の風情の在る宿だったのに…
今日はグルメグランプリに参加
温泉友の会の先輩達と行きます
「きりづみ館」伝えます
今年のGWに霧積にMTBチームでツーリングに行きました!
その時に「きりづみ館」の閉館を知りました。
更地になってしまったとは(涙)
自分も残念でならないです
独特の風情の在る宿だったのに…
今日はグルメグランプリに参加
温泉友の会の先輩達と行きます
「きりづみ館」伝えます
Posted by うえちゃん at 2013年11月24日 07:55
こんにちは。ここのところぐんまの湯活が停滞気味のわたくしです。
閉館されていたのは知っていましたが、あの六角形のお風呂と古しきゆかしい建物がないのはショックですね。
いつかまた開館してくださるものと期待していましたから。。。
先生が呆然とされたお気持ちがよくわかります。
数年前、霧積温泉が台風で孤立したのを覚えていらっしゃいますか?
あの時も宿泊客の安全につとめ、尽力されていたのを思い出しました。
寂しいですね。
閉館されていたのは知っていましたが、あの六角形のお風呂と古しきゆかしい建物がないのはショックですね。
いつかまた開館してくださるものと期待していましたから。。。
先生が呆然とされたお気持ちがよくわかります。
数年前、霧積温泉が台風で孤立したのを覚えていらっしゃいますか?
あの時も宿泊客の安全につとめ、尽力されていたのを思い出しました。
寂しいですね。
Posted by G@さいたま at 2013年11月24日 13:26
うえちゃん、G@さいたまさんへ
建物が解体され、更地になったという情報は知らされていましたが、いざ、自分の目で見ると、呆然と立ちすくんでしまいました。
もう、これ以上、群馬の秘湯宿が消えていく姿を見るのは、忍びないですね。
群馬が、真の “温泉県” であるならば、それなりの対策を講じてほしいものです。
建物が解体され、更地になったという情報は知らされていましたが、いざ、自分の目で見ると、呆然と立ちすくんでしまいました。
もう、これ以上、群馬の秘湯宿が消えていく姿を見るのは、忍びないですね。
群馬が、真の “温泉県” であるならば、それなりの対策を講じてほしいものです。
Posted by 小暮 at 2013年11月25日 01:01