2014年02月06日
ゴーストライターという仕事
今日は朝から、新聞やテレビで、何回この言葉を聞いたでしょうか!
「ゴーストライター」
広島市出身の被爆2世で、両耳が聞こえないことから 「現代のベートーベン」 と称された作曲家の佐村河内守さん(50)の楽曲は、18年前から別人が作っていたという報道です。
ゴーストライターをしていたのは、大学非常勤講師の新垣隆さん(43)。
今日、東京都内で新垣さんの記者会見が開かれました。
う~ん、興味深い話題なので、ライブで会見を見てしまいましたが、僕としては複雑な感想を抱きました。
というのも、音楽に限らず、文章の世界でも 「ゴーストライター」 というのは、常に存在する仕事ですからね。
しかも、「だました」 のかと問われれば、暗黙のうちの了承だってあるわけです。
たとえば、アイドルやタレントの本です。
最近は、多彩な芸能人もいますから、実際に自分で書いている人もいるでしょうが、昔は、み~んなゴーストライターの仕事でしたからね。
だからって、誰も 「だまされた」 と思う人はいませんでしたし、訴える人もいませんでした。
では、なぜ、この時期になって、新垣さんは名乗り出たのでしょうか?
フィギュアスケートの高橋大輔選手がソチ冬季オリンピックで使用する曲が含まれているから・・・
とか言っていますが、そういう問題ではないと思います。
なぜなら、ゴーストライターは、あくまでもゴーストライターであり、最後までゴーストライターを演じなくてはならないからです。
これは、“盗作事件” ではないのです。
と、いうのも、僕もその昔、ゴーストライターの仕事をしたことがあるからなんです。
お金をもらい、その人になりきって書く。
これがゴーストライターの仕事です。
※(過去に僕がどんなゴーストライターをしたかは、当ブログの2010年6月9日 「ゴーストライター」、2012年2月17日 「自叙伝の代筆」 を参照)
この場合、後になって、「あの文章は、実は私が書いたんです。あの人が書いたものじゃありません!」 なんてことは、絶対に公言しないことが条件なんです。
名の知られていない、無名のラスターだからこそ回ってくる裏方仕事の1つなんです。
今回の報道を見ていて、僕は東野圭吾の 『悪意』 という小説を思い出しました。
ゴーストライターが作家を殺害してしまうミステリーですが、そうなる前に、公表に踏み切ったことは、勇気ある英断だったのかもしれませんね。
ただし、CDの販売が停止したり、コンサートが中止になるのは、ちょっと過敏な反応なんじゃありませんかね。
騒動を理由に、楽曲の価値をおとしめたり、演奏することや聴くことを否定するのはおかしな行動だと思います。
作品に、罪はありませんって!
Posted by 小暮 淳 at 20:43│Comments(0)
│執筆余談