2014年04月06日
タカか、カエルか?
昨晩、僕が部屋で仕事をしていると、バイトから帰った息子が、いきなり2階へ上がって来た。
トントン、ノックの音。
「なんだ?」
「今、大丈夫?」
なんともイヤな予感がする。
まず、いつもならバイトから帰った息子は、「腹減った~!」 とキッチンに直行するはずである。
なのに、僕の仕事部屋へ来た。
それに、今までに一度として、彼が僕の部屋を訪ねたことなんてない。
この事からして、重大な話があるに違いない。
突然、<学校を辞める>と言い出すのだろうか?
さては、<彼女が妊娠したので、結婚する>とでも言うのだろうか?
僕の心情は、穏やかではありません。
「ああ、いいよ。入れ」
と、僕は息子を部屋の中に、招き入れました。
「なんだい? 改まって」
僕のほうが緊張しています。
息子は、ちょっとはにかんでいます。
「ああ、あのね……」
僕は固唾をのんで、次の言葉を待ちました。
「○○○○○から内定をもらいました。第一希望なので、来年の4月からそこに就職します」
と、某有名企業の名前を告げました。
こんな時、父親は、なんと言葉を返すものなのでしょうか・・・
就職活動なんて、したことのない僕には、皆目リアクションが思い浮かびません。
「そうか、それは良かったな」
「はい、ありがとうございました」
とは、なんと他人行儀な息子なのだろうか!
と、いうか、コイツは、本当にオレ息子か?
息子は、大学4年生。
親や教師への反抗期もなく、何一つ問題を起こさず、品行方正に育ってきました。
でも僕はといえば、親や教師に散々迷惑をかけた、ろくでもない10代でした。
彼の年齢の時は、就職なんて考えたこともなく、フリーターを続けながらライブハウスや路上でパフォーマンスをしていたという、これまた箸にも棒にもひっかからない20代を過ごしていました。
「あなたが反面教師なのよ」
とは、家内の口ぐせです。
まあ、「同じ人生を歩め」 とは僕も言う気はありませんが、それでも絵に描いたような人生を歩もうとしている息子に対して、父親として一抹の不安がないわけでもありません。
人生は、何があるか分かりませんって・・・
「とりあえず、乾杯するか!」
と、僕と息子は階下へ降りていき、冷蔵庫からビールを取り出しました。
「まずは、おめでとう!」
「ありがとうございます」
ビールを飲み干す息子の横顔。
コイツは、トンビが産んだタカなのか?
はたまた、今後の人生でドロップアウトするカエルの子なのだろうか?
親としては前者を望むが、男としては後者の人生も悪くないと思うのです。
Posted by 小暮 淳 at 15:07│Comments(0)
│つれづれ