2014年10月11日
丸沼温泉 「環湖荘」③
湖 煎 好 山 洞
雲 迎 佳 客 来
座禅温泉(群馬県片品村) に泊まった翌日、栃木県との県境まで足を延ばして、丸沼温泉の一軒宿 「環湖荘(かんこそう)」 に寄ってきました。
冒頭の漢詩は、旅館の玄関に彫られています。
「“湖は好山を潤して広し、雲は佳客を迎え来る” と読みます」
そう教えてくれたのは、支配人の井上勝さんです。
井上さんとは、もうかれこれ10年近い付き合いになります。
雑誌や著書の取材、または野外温泉講座でも訪れています。
もちろん、玄関に大きな文字で漢詩が書かれていることは知っていました。
でも、なんでなんでしょうかね。
今まで、一度も 「どういう意味なんだろう?」 と考えたことがありませんでした。
「とっても古い物なんですよ。昭和8(1933)年の創業当時、すでにこの彫刻はオーナーのコレクションとしてあり、この彫刻に合わせて玄関を設計したと聞いていますから」
とは、なんて素晴らしい!
それほどに価値のある彫刻なんですね。
と、いうことで作者を教えてもらいビックリ!
書は、書家の松本芳翠。
彫刻は、てん刻家の中村蘭台。
もちろん、名前を聞いただけでは、僕は分かりませんが、帰宅後に調べたところ、どちらも、とんでもない巨匠ではありませんか!
「たぶん、今では、値がつけられないほど高価で稀少なものだと思いますよ」
と言った支配人の言葉を、いまさらながらに噛みしめているのであります。
知っているつもりで、知らない温泉。
何度訪ねても、知り尽くすことなんてないんですね。
ん~、と感慨無量のため息をつきながら、丸沼の湖水のように澄んだ湯に浸かってきました。
Posted by 小暮 淳 at 18:03│Comments(0)
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