2015年01月24日
パンツの話
昨日、オフクロが入院したことをブログに書いたところ、何人かの知人から励ましのメールをいただきました。
ありがとうございます。
今日も朝から病院へ行ってきましたが、おかげさまで病状は悪化しておらず、ベッドの上で安静にして過ごしていました。
(言語は、まだハッキリしませんけど…)
それでも、一生懸命に何かを伝えようとするので、こっちも口元に耳を近づけて聞き取ろうとします。
「マスク……、テッシュ……」
翻訳すると、「マスクとテッシュを持ってきて欲しい」 とのことのようです。
「わかった。明日持ってくるから」
と言えば、にっこりと笑います。
なんだか、とっても不思議です。
オフクロといえば、一日中でもしゃべり続けている “口から生まれた口子さん” だったのにね。
「うるさいな、少し黙っていてくれないか!」
子どもの頃から、いっつも僕は、そうオフクロに対して怒鳴っていました。
今はベッドの上で、目だけキョロキョロと動かして、僕の姿を追っています。
そんなオフクロを見ていて、ふと、20年以上前に会ったスナックのママのことを思い出しました。
当時、僕はタウン誌の出版社に勤めていました。
時々、上司に連れられて行ったスナックでのこと。
ママのお母さんが入院しているという話になりました。
「母に下着を届ける時は、必ず私が一度、身に付けることにしているのよ」
「えっ、パンツもですか?」
と驚く僕に、
「そう、パンツも必ず私が履いてから渡すの」
そう言って、ほほえみました。
そのこころは・・・
買ってすぐのおろしたてや、洗いざらしの下着は、年寄りの肌には刺激が強いため、一度、娘であるママが身に付けて、繊維質をやわらかくしてから渡しているのだといいます。
実はその話を聞いたとき、えらく感動した記憶があるのです。
親子の愛情って、凄いって思ったのでしょうね。
それも母と娘だからこそできる愛情表現です。
だって、父と息子でも、母と息子でも、できませんもの!
「洗濯物はある?」
と問えば、ベッドの下を指さすオフクロ。
袋を覗き込めば、シャツが一枚入っているだけでした。
「まだいいね。次ぎに来たとき持って帰るから」
そう言って僕は、病室を後にしました。
Posted by 小暮 淳 at 20:11│Comments(0)
│つれづれ