2015年05月07日
小さくな~れ
つかの間の休息を楽しみに、一時帰宅しております。
先日のブログでもお伝えしたように、1月に脳梗塞で倒れたオフクロが、先週から実家にもどって三たび生活を再開しました。
これにより小暮家は(といっても僕と兄だけですが)、いよいよ介護戦争の佳境に入り、臨界体制が敷かれることになりました。
一瞬でも気の抜けない、戦闘モードであります(ちょっと大げさですが)。
目と耳と頭が不自由な痴呆老人のオヤジと、口と足が不自由な障害老人のオフクロとのW介護!
この2人が同じ空間で暮らすと、ひっちゃかめっちゃかなことになるので、部屋を分けました。
オヤジは、従来の2階の和室。
オフクロは、1階のリビングを半分カーテンで仕切って、医療ベッドと簡易トイレを設置した部屋で暮らしています。
「おい、コイツは誰だ?」
と、いきなりオヤジがオフクロを呼び止め、肩に手をかけました。
「きゃ~、おとうさん、やめてくださいよ。怖いよ~!」
オフクロは歩行器がないと、室内でも移動ができません。
ですから、突然、オヤジに肩をつかまれたことに、おびえているのです。
「えっ、誰なんだい?」
と、延々と続きます。
あんまり、しつこいので、
「H子さんですよ。じいさんの愛しい恋女房でしょう!」
と言えば、
「なーんだ、ばあさんか」
ですって。
ま、たわいない保育園児のじゃれあいみたいな会話なんですけどね。
病後のオフクロとしては、こんなやりとりでも大変疲れるらしいんですよ。
「ほら、じいさん。2階へ行って昼寝をしよう。起きたら散歩へ連れてってやるから」
そう言ってなだめて、2人を引き離します。
ふーーーーーっ!
と、長~いため息をひとつ。
夕食を食べさせ、後片付けをして、2人が寝たのを確認すると、僕は冷蔵庫から缶ビールを取り出して、思いっ切りプルタブを引きます。
そして、一気に飲み干すと、もう一度、長いため息をひとつ。
老人の介護は、子育てに似ています。
でも目指している方向は、まったく逆なんですね。
子育ては、日々、成長を楽しみに頑張れますが、老人は日々、衰退する一方ですから…。
だからって、絶望しているわけではありません。
日々、老いていく親の姿を楽しむことだってできるんです。
僕は自分が床に就く前に、その日最後の見回りに行きます。
オヤジの寝顔を見て、毛布を肩までかけ直します。
オフクロの寝息を聞きながら、そっと枕もとのスタンドライトを消します。
2人とも、とっても小さくて、まるで子どものよう。
ふと、我が家の3人の子どもたちを思い出しました。
今は、みーんな大きくなってしまったけれど、あの頃は本当に可愛かった!
夜中に、布団をかけ直すたびに、
「大きくなれよ」
と、声をかけたものでした。
今僕は、両親の寝姿を、
「小さくなったね。もっと小さくなるんだね」
と、不思議な思いで見つめています。
でも、それで、いいんじゃないんかなぁ。
「小さくな~れ」 で・・・
Posted by 小暮 淳 at 15:09│Comments(2)
│つれづれ
この記事へのコメント
ご両親への愛情が溢れていて
涙が出てしまいます。
私も看病、介護は苦労しましたが、今になってみると
悔いはありません。
先生、がんばって!!でも無理は絶対
しないでくださいね、
時には放棄(良い良いで)することが介護を
長続きする秘訣だと思います。
涙が出てしまいます。
私も看病、介護は苦労しましたが、今になってみると
悔いはありません。
先生、がんばって!!でも無理は絶対
しないでくださいね、
時には放棄(良い良いで)することが介護を
長続きする秘訣だと思います。
Posted by mimi at 2015年05月07日 22:47
mimiさんへ
ありがとうございます。
はい!無理はしませんので、ご安心ください。
アニキと交互に息抜きをしながら、闘っています。
でもね、親っていうものは、本当に生きているだけでありがたいものです。
だんだん両親が、神や仏に見えてきましたよ。
ありがとうございます。
はい!無理はしませんので、ご安心ください。
アニキと交互に息抜きをしながら、闘っています。
でもね、親っていうものは、本当に生きているだけでありがたいものです。
だんだん両親が、神や仏に見えてきましたよ。
Posted by 小暮 淳
at 2015年05月08日 10:55
