2015年08月03日
一期二会
読者のみなさんは、覚えていますか?
今から1ヶ月半ほど前、僕がスクーターで北海道を旅する初老の男性に出会った話を。
※(2015年6月22日の 「男は二通り」 を参照)
今日僕は、この間の駐車場で、そっくりなスクーターを見かけました。
「ホンダ スーパーカブ50」。
郵便配達のような真っ赤なボディも、同じです。
さらに近寄って見れば、ナンバープレートは 「鎌倉市」。
間違いない!
あのオッサンのバイクだ!
もしかして、北海道を一周して、また戻って来たのかもしれない!
そう思うと、ドキドキしてきました。
しばらく眺めていると、向かいのホテルの中からヘルメットを抱えた男性が出てきました。
「あっ!」 と驚く僕に、
「ただいま帰りました」 と笑うオッサン。
相変わらず、顔の半分をおおったヒゲがカッコイイ!
「ビックリしました。どうして、また前橋に?」
「昨日の朝早く、フェリーで新潟に着いたんだけど、一気に鎌倉まで帰る気力と体力がなかったんだ」
こんな偶然って、あるのだろうか……。
「いゃ~、でも楽しかったな。雨にもよく降られたけど」
「ご無事で何よりでした。ケガや病気もなく?」
「ああ、オレはね。でも、ほれ、コイツが」
と指さしたスクーターの後部ウィンカーの片方が、ガムテープで固定されていました。
その後、僕らは10分ほど、1ヶ月半前と同じように、とりとめもない雑談をしました。
結局、また最後まで互いの名前を名乗り合うこともなく。
「それじゃあ」
そう言って、オッサンはヘルメットをかぶり、エンジンを始動させました。
「次の旅は、もう決まっているんですか?」
「うん、中山道を日本橋から京都まで」
「うわぁ~、すごい! いつですか?」
「今月中には出発したいと思っているんだけど」
「前橋は通らないですね」
「そうだね」
「お気をつけて」
「ありがとう」
やっぱり男って、二通りあるんですね。
Posted by 小暮 淳 at 21:58│Comments(0)
│つれづれ