2015年09月02日
兄への手紙
先週、オフクロが入所している施設を訪ねたときのことです。
「お前、紙とペンを持っていないかい?」
「あ、ごめん。カバンを車の中に置いてきちゃった。取りに行ってこようか?」
「いいよ。あとで介護師さんに頼むから」
「何を書くのさ?」
「ふふふ」
そう言って88歳の老母は、楽しそうに笑うのでした。
昨日、また洗濯物を取りに、オフクロを訪ねました。
すると、
「はい、これ。W(兄の名前) に渡しておくれ」
「アニキに?」
「そう」
「なんだい、これ?」
「お手紙だよ」
「へー、読んでもいいかい?」
「いいけど、大した事は書いてないよ」
現在、僕の両親は同じ施設に、しばらくの間お世話になっています。
いつまでか、というと、アニキが退院するまでの間です。
先月、アニキがケガをして、突如、入院することになり、僕一人では両親の面倒を見切れなくなり、短期間ですけど施設に預けることになったのです。
※(これまでのいきさつは、2015年8月10日 「ピンチ到来!」、8月17日 「2つのXデー」 をお読みください)
と、いうことで僕は、その足でアニキが入院している病院へと向かいました。
病室へ、そーっと入っていくと、左足をギブスと包帯でグルグル巻きにした痛々しい格好のアニキが、ベッドで本を読んでいました。
「おー、ビックリした! なんだよ、ジュンか」
「だいぶ退屈そうだね」
「ああ、テレビは有料で金がかかるし、ラジオは電波の具合が悪くてNHKしか入らない。結局、一日中本を読んでいるしかないんだ。ところで、何しに来た? オレのところは来らっといいって、言ってあるだろう」
「これをオフクロから預かってきた。渡してくれって」
「なんだい、これ?」
「手紙だってさ」
そう言って、小さな2枚の紙切れをアニキに渡しました。
オフクロの言うとおり、重要なことは何一つ書かれていません。
「元気にやっていますか?」 から始まり、あとは日記のようにダラダラと自分の今の日常が記されているだけです。
「私もリハビリを頑張っているから、Wも先生の言うことを聞いて、1日も早く退院できるように頑張りなさい」 と締めくくられていました。
「ははは」
と、一読した64歳の老兄が笑いました。
「オフクロらしいな」 と。
「ふふふ」 と 「ははは」
ちょっぴり、僕は2人に、やきもちを焼いてしまいました。
Posted by 小暮 淳 at 11:30│Comments(2)
│つれづれ
この記事へのコメント
ほっこりしました。
Posted by 優・寛の母さん at 2015年09月02日 16:45
優・寛の母さんへ
いつもコメントありがとうございます。
忙しい家事や仕事の合い間に、一服の清涼剤になれたら幸いです。
今後もご愛読のほど、よろしくお願いいたします。
いつもコメントありがとうございます。
忙しい家事や仕事の合い間に、一服の清涼剤になれたら幸いです。
今後もご愛読のほど、よろしくお願いいたします。
Posted by 小暮 淳 at 2015年09月03日 10:52