2016年12月12日
原点回帰
なぞなぞ、です。
「最初は4本、次は2本、最後は3本、な~に?」
答えは、「人間の一生」です。
赤ちゃんはハイハイ、やがて二足歩行となり、老人になると杖をつく。
まさにオヤジが現在、“3本” なのであります。
もちろん二足歩行もできますが、家の外へ出るときは杖と介助が必要です。
でも、このなぞなぞには、続きがありそうですね。
本当の最後は、“0本” です。
寝たきり、または車イス生活です。
まさに、オフクロが今、その状態であります。
「いいかい? 上げるよ」
リモコンを使って、僕はオフクロが寝ているベッドを操作します。
上半身が起き上がると、オフクロは手の力だけで移動し、ベッドの縁に座ります。
「ちょっと待ってておくれよ」
3度の食事以外はベッドで寝たきりのため、上半身を起こしただけでも、めまいがするそうです。
ここで3~4分、座ったままの状態で安静にさせます。
「さっ、もう、いいだろ? 一気に乗り移っちゃおう!」
「いち、にの、さん。いち、にの、さん、いち、にの……」
何度か一緒に、かけ声をかけながら、ゆっくり、ゆっくりと車イスに移動させます。
オフクロは、89歳。
頭もしっかりしているし、これといって大きな病気は抱えていません。
でも、日に日に老齢による衰弱が始まっています。
すでに体重は、40キロを割ってしまいました。
体は、骨と皮だけとなり、筋肉がまったくありません。
そのため、歩行が困難になってしまいました。
「ごちそうさま。おいしかったよ」
「体力が無いわりには、食欲はあるね」
「はい、大変おいしゅうございました」
オフクロは僕が作る料理を、いつも 「おいしい、おいしい」 と言って、残さず食べてくれます。
「もう寝るかい?」
「はい、そうします」
「だったら、オムツを替えないとね」
「はい、お願いします」
半年前までは、ベッド脇の簡易トイレに一人で行けたのですが、今は到底無理です。
オムツ(リハビリパンツ) のお世話になっています。
でも、今の大人用オムツって、とっても便利にできているんですよ。
ズボンを脱がずに着脱ができるんです。
「ほら、テーブルに手をついて」
「怖いんだよ。早くしておくれね」
「もっと足を開かなくっちゃ、交換できないじゃないか」
なんとも不思議な光景です。
58年前、2人の関係は逆だったのですからね。
僕が、この人にオムツを替えてもらっていたのです。
「どう? すっきりした?」
「ああ、気持ちがいいよ。ありがとうね」
小さな小さなオフクロは、まるで幼子のよう。
すっかり昔と、立場まで逆転してしまいました。
「おやすみ」
「ありがとね。おやすみなさい。明日もよろしくお願いします」
僕が洗い物を済ませて、振り返ると、もうオフクロは寝息を立てて寝ています。
さーて、お次は、オヤジの番だ!
こっちは、手ごわいぞ!
じいさん、待ってろよ!
逃げるんじゃ、ないぞ!
(オヤジは、オムツ交換が大嫌いなのです)
Posted by 小暮 淳 at 14:49│Comments(2)
│つれづれ
この記事へのコメント
お疲れさんです
うちのばぁさんも 前から両手を持ってやってギリギリのよちよち歩き
家の中は何とか手すりと杖で移動
ネジが緩んできたと言うか壊れてきたと言うか・・・
JUNちゃんはWちゃんと二人三脚ですね
うちは おかぁちゃんと二人三脚と言いたいけど
ほとんどおかぁちゃんが頑張っているかな?
お互い恩返しなのか親孝行なのか頑張りましょう
うちのばぁさんも 前から両手を持ってやってギリギリのよちよち歩き
家の中は何とか手すりと杖で移動
ネジが緩んできたと言うか壊れてきたと言うか・・・
JUNちゃんはWちゃんと二人三脚ですね
うちは おかぁちゃんと二人三脚と言いたいけど
ほとんどおかぁちゃんが頑張っているかな?
お互い恩返しなのか親孝行なのか頑張りましょう
Posted by 前んちの子 at 2016年12月16日 17:49
前んちの子さんへ
ま、僕の場合は若い頃に親不孝をした罪滅ぼしでしょうか。
認知症と寝たきりの両親ですが、親は生きているだけで、ありがたいものです。
ま、僕の場合は若い頃に親不孝をした罪滅ぼしでしょうか。
認知症と寝たきりの両親ですが、親は生きているだけで、ありがたいものです。
Posted by 小暮 淳 at 2016年12月17日 14:13