2017年08月06日
蚊取り線香とうちわと23年目の夏
しのぎやすかった陽気が続いたのもつかの間、また灼熱の太陽が照りつける暑い日がもどってきました。
読者のみなさんは、お変わりありませんか?
夏は、なんだかんだとイベントに借り出されることの多い季節です。
昨日は、町内の納涼祭でした。
お祭り自体は夕方からの開催ですが、僕は今年、班長なんです。
ということで、朝から会場作りのお手伝いに参加してきました。
ここは前橋市の南郊外。
田畑が広がる田園地帯です。
23年前、長女が小学校に入学するのと同時に、旧市街地から家族で引っ越してきました。
田んぼがあり、川が流れ、雑木林が残る自然豊かな環境が、子育てに適していると思っての一大決心でした。
古い土地柄、最初は近所付き合いに苦労しましたが、“住めば都” であります。
おせっかいな住人たちに囲まれて、3人の子どもたちを育て上げました。
♪ チャンチャン、チャンチャカチャン
♪ ピーピー、ピーヒャララ
軽快な八木節のリズムとともに、祭りが始まりました。
我が町内には、空き地や公園がありません。
入り組んだ昔ながらの町並みなので、お祭り会場は町内の交通を閉鎖して、公民館の前の道路で行います。
ステージは、大型トラックの荷台です。
大人の八木節が終わると、今度は子ども八木節踊りです。
揃いの衣装で、クルクルと傘を回しながら踊る姿が、なんとも愛くるしい。
「子どもの数が少ないですね?」
「今年の子ども会は、17人ですって」
「へー! 少子化ですね」
「みこしだって、子どもたちだけでは担げなくなったんで、小さくなったんですよ」
隣に居合わせた見知らぬ町民との会話です。
「先日、BSに出てたね」
「群馬テレビ、観たよ」
「紀伊国屋でサイン会、やったんだって?」
「おとといの日経新聞の記事、あんただよね!?」
本部テントの脇で、缶ビールとうちわを片手に涼をとっていると、次から次へと声をかけられました。
「ありがとうございます。お恥ずかしい限りです」
その都度、僕は恐縮してしまいます。
だって、町内の人って、なんだか身内のようで、照れくさいんですよね。
でも、それだけ僕が、この町に溶け込んでいる証拠かもしれませんけど。
会場内のそこかしこに置かれた蚊取り線香から、ゆらゆらと煙が上がっています。
ステージでは、老人会によるカラオケ大会が始まりました。
都会では、ラジオ体操や盆踊りが “騒音” だといわれ、自粛傾向にあると聞きます。
なんとも世知辛い世の中になったなったものです。
この町には、無縁な話ですけどね。
「小暮さん、いっくらでもありますからね。ジャンジャン、飲んでくださいよ」
自治会長さんが、キンキンに冷えた缶ビールを両手にもってやって来ました。
「ありがとうございます。遠慮なくいただきます。年に一度のお祭りですから!」
23年目の夏は、こうして、やぶ蚊と暑気と戦いながら過ぎていきました。
Posted by 小暮 淳 at 14:33│Comments(0)
│つれづれ