2018年09月07日
酒蔵てくてく歩き
「えっ、公共交通機関だけで行くっていっても、かなり便の悪い所もあるでしょう?」
と、ちっと驚いたような顔をした放送作家のT氏。
神奈川県在住の彼は、さらに言葉を続けました。
「だって東京や埼玉だって、不便な所はあるんだから、まして群馬ならなおさらだ!」
某テレビ局の暑気払いの酒宴でのこと。
なんのことかと言えば、僕が今年から酒蔵をめぐる記事の連載を始めたという話をしたからでした。
“趣味と実益を兼ねる”
これが、僕がフリーのライターになった一番の理由です。
温泉が好きだから、温泉に入り、記事を書く。
山が好きだから、山を歩いて、記事を書く。
そして、それ以上に酒が好きだから、必ず取材では酒を飲み、そのことを包み隠さず記事に書く。
という仕事をしてきました。
でもあるとき、はたと気づいたのであります。
だったら、酒を訪ねて、酒を飲み、記事を書いてもいいのではないか……と。
でも、そうなるとクルマの運転はできない。
カメラマンに運転させれば、いいか?
いや、彼も僕に負けず劣らずの酒好きである。
そんな酷なことは、口が裂けても言えない。
だったらやっぱ、あの手しかないじゃないか~!!
ということで、またしても奥の手を使うことになりました。
それは、“公共交通機関で行く” シリーズです。
かつて僕は、高崎市のフリーペーパー 「ちいきしんぶん」 紙上で、この “公共交通機関で行く” を冠にした 「里山をゆく」 と 「ぶらり水紀行」 という紀行エッセイを連載したことがありました。
そして、このシリーズは、のちに 『電車とバスで行く ぐんまの里山てくてく歩き』(上毛新聞社) というタイトルに改題され、書籍として出版された経緯があります。
今回も、この取材方法を利用することにしました。
群馬県内の酒蔵を訪ね、取材をしながら酒を飲む。
近くに温泉があれば、一浴して、酒を飲む。
そして夜、電車とバスに揺られて高崎市内にもどり、昼間取材した酒が置かれている居酒屋を訪ねる。
おかげさまで、このシリーズも3話目となりました。
昨日は、JR上越線の最寄り駅から片道40分歩いて、酒蔵を訪ね、近くの温泉で汗を流してきました。
もちろん、夜の居酒屋での取材も、しっかりこなしてきました。
ということで、冒頭の放送作家氏からの問いの答えは、「最寄の駅、またはバス停から、ひたすら歩く」 であります。
でも、こんな過酷な取材ができるのも、体が動くうちですね。
※次回、「公共交通機関で行く 群馬の地酒 ほろ酔い街渡(ガイド)」 の掲載は、「ちいきしんぶん」 9月21日号の予定です。
Posted by 小暮 淳 at 11:13│Comments(0)
│取材百景