2018年09月29日
マーチンの軌跡
ちょうど40年前の秋のことでした。
その頃、僕は東京で音楽活動をしていました。
ライブが終わった帰り道、仲間と寄った楽器店で、運命的な出合いをします。
あこがれのマーチン
もちろん、見るだけです。
でも 「いつかは弾いてみたいな」 なんて、眺めていました。
すると店員さんが、
「弾いてみますか?」
と声をかけてきました。
「えっ、いいんですか? でも、買えませんよ!」
値札をみれば、当然、当時の僕などには手の届かない数字が書かれていました。
“450,000円”
「うわ~、いい音ですね」
「でしょう! ヘリーンボーンカスタムっていって、限定品なんですよ」
ボディの中を覗きこむと、魚の骨のような美しい構造になっていました。
「いかがですか?」
「えー、ムリムリ。冗談でしょう?」
「いえ、今なら頭金ナシで、ローンを組めますよ」
「それでも、無理ですよ」
「今日、このまま、お持ち帰りになれますよ」
「えっ、……(迷う僕)」
なんと、帰り道には、僕はギターケースを、もう1つぶら下げていました。
それから月日が経ち、27歳のソロコンサートを最後に、僕はマーチンを封印してしまいました。
※(理由については、当ブログの2013年12月5日 「我が青春のマーチン」 を参照)
20年前からバンド活動を始めましたが、直接ラインで音がとれるオベーションというギターを使っています。
そのマーチンと思わぬ再会をしたのは、2年前のテレビ出演がきっかけでした。
地元のテレビ局が、『温泉ライター小暮淳の素顔』 という番組を制作してくださり、その中でオリジナルの温泉ソングを弾き語りで歌うことになったのです。
その時、30年ぶりに、人前でマーチンを弾きました。
そして、昨晩。
まさか、こんな日が訪れるとは、夢にも思っていませんでした。
有志たちが、僕の “還暦ライブ” を開いてくれたのです。
会場は、伊香保温泉の 「和心(なごみごころ) の宿 オーモリ」。
観客は、還暦を祝ってくれた有志たちと、宿泊客です。
30年以上も昔に作った曲の弾き語りと、バンド演奏含むオリジナルソングを計7曲も歌わせていただきました。
暗いホールに響き渡る、マーチンの繊細な音色。
一番、酔いしれていたのは、僕自身だったのかもしれませんね。
ご来場のみなさん、ありがとうございました。
素敵な還暦祝いになりました。
心より感謝を申し上げます。
ありがとうございました。
Posted by 小暮 淳 at 18:10│Comments(0)
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