2019年01月16日
働かない理由
蛙の子は蛙、鳶が鷹を生む……
とかく親子は、似てても似ていなくても、比べられるものです。
トンビがタカならいいが、タカだと思っている親からトンビが生まれてくると、時に悲劇が起きます。
また、イヤな事件が起きました。
20代の若者が父親に、定職に就かずにいることをとがめられ、刺し殺したといいます。
世の中には、その逆のパターンもあったりして、親子間の問題というのは、他人には計り知れないのであります。
僕の場合も、加害者の若者と同じ状態でした。
20代半ばで夢敗れ、一時、実家に居候していた時期がありました。
無職のフリーターです。
でもオヤジもオフはロも、不思議と 「定職に就け」 とは言いませんでした。
「息子には、息子の考えがあるんだろう」
と、黙って見ていてくれたようです。
そんな両親に育てられた僕は、自分が大人になってからも、子どもたちに一切の価値観を強制しませんでした。
「勉強しろ」 とか 「勉強しているか」 も、一度も言った記憶がありません。
それより、生涯 “夢中になれるモノ” を探し当ててほしいと思っていました。
忘れられない出来事があります。
長男が大学4年生になった春のことです。
スーツ姿で玄関に立っていました。
「なんだい、その格好は?」
「就職活動に決まっているじゃないか!」
「今からか?」
「遅いぐらいだよ」
就職活動なんてしたことない僕には、そこまでして働きたい理由がわかりません。
「まだ、いいんじゃないの?」
「……」
「卒業したらさ、しばらくバイトでもしながら、世界の国々を回るなんていうのも、いいんじゃないのかな……」
僕が言い終わらないうちに、
「そうは、いかないんだよ!!」
と、ピシャリと言葉をさえぎって、出て行ってしまいました。
その後、会話を聞いていた家内に、こっぴどく叱られたことは言うまでもありません。
でもね、それで、いいと思うんですよ。
親子であっても、人それぞれですからね。
子の人生は親の人生じゃないし、親の人生だってしかり。
互いの生き方を認め合うことのほうが、大切だと思うのです。
ただ、ついつい立場的に、親は子に苦言を申してしまうものなのです。
加害者の若者も、我が家に生まれてきていたら、そのまま放っといてあげたのにね。
ただね、親を殺すことはないんじゃないかな!
彼は、無職でいる理由を、ちゃんと父親に説明すべきだったのです。
少なくとも僕は、親に “夢” を語っていましたよ。
Posted by 小暮 淳 at 14:45│Comments(0)
│つれづれ