2019年01月28日
空っ風と人情
今の季節、北陸や東北から群馬を訪れた人と話すと、決まって、こう言われます。
「よっぽど、群馬のほうが寒いですよ」
なんでも、雪は一度降ってしまえば、無風の日が多く、体感は、さほど寒くないといいます。
比べ、群馬は、この時期、名物の “空っ風” が吹きます。
空っ風とは、シベリア方面から水分を含んだ北西の風が、日本海側で雪を降らせた後、乾燥した冷たい風となって上越国境の山々を越えて関東平野に吹き降ろす風のことです。
特に、前橋市や伊勢崎市は赤城山のふもとにあり、関東平野の始まりに位置しています。
そのため 「赤城おろし」 と呼ばれる空っ風界の横綱級の強風が吹き下ろすのです。
風速1メートごとに体感温度は1度下がるといわれていますから、この風の強さには、雪国の人でも音を上げてしまうということです。
でも、前橋に生まれ育った僕には、なんだか最近の空っ風は、昔に比べたら弱くなっているように思えるのですが、気のせいでしょうか?
「昔は、こんなもんじゃなかったよ。自転車がバタバタと、なぎ倒されたもんだ」
という先輩たちの意見もあり、やはり気だけのせいではなさそうです。
以前、赤城南面で大凧(おおだこ) を揚げる 「凧の会」 の人たちを取材したことがありました。
20畳以上もある大凧を制作し、空っ風を利用して飛揚している人たちです。
その時、代表の方から大変興味ある話を聞きました。
蔵から、大正時代に作られた大凧が発見されたといいます。
さっそく、会で組み立てて、飛ばそうと試みたそうですが、重た過ぎて現在の風では、飛ばなかったようです。
「昔は今よりも、よっぽど風が強かったんだいね」
そう言って笑った顔が、なんとも印象的でした。
そういえば、雷も少なくなりました。
僕の子どもの頃は、夏は毎日決まって、夕立が来ましたもの。
そして夕立が通り過ぎたあとは、グ~ンと気温が下がり、とてもしのぎやすかったのを覚えています。
これも地球温暖化の影響なんでしょうか。
『雷(らい) と空風(からっかぜ) 義理人情』
ご存じ、「上毛かるた」 の 「ら」 の札です。
昔から “義理人情にあつい” といわれてきた群馬県人の気質を、気象現象の雷と空っ風にたとえて読み込まれています。
こちらは、いかがでしょうか?
雷と空っ風は、めっきり弱くなりましたが、上州気質は、まだ健在なんでしょうか?
気になるところです。
Posted by 小暮 淳 at 12:05│Comments(0)
│つれづれ