2019年04月10日
静かな情熱
たまには、こんな仕事もいいもんです。
みなさんは、覚えていますでしょうか?
以前、拙著 『ぐんま謎学の旅 民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん) を、視覚障害者のために高崎市のボランティアサークルが、朗読テープの作成をしてくれた話を。
※(当ブログの2019年1月7日 「どこかで誰かが⑪ お役に立てて」 参照)
一度、その制作現場を見てみたくて、活動拠点である高崎市箕郷町の福祉会館を訪ねてきました。
サークル名は、箕郷町朗読奉仕 「あじさい会」。
メンバーは50~70代の女性、9人。
すでに発足から27年目を迎えています。
僕が訪ねたときは、レコーディングルームで、朗読の録音中でした。
毎月、60分のカセットテープ1本を制作しています。
A面には高崎市の広報、B面にはメンバーが選考したエッセイや小説、民話、落語の小噺などが収録されています。
僕の本も、今年の1月号に収録されました。
まず驚いたのは、「今どきカセットテープ?」 という疑問。
会長の原澤美津子さんによれば、視覚障害者にとっては、「操作が簡単で分かりやすいから」 とのことでした。
プレーヤーのないお宅には、貸し出しもしているとのことです。
なるほど、まだまだ、こんなところにカセットテープの需要が残っていたんですね。
それにしても発足から四半世紀以上とは、素晴らしい!
継続の秘訣は? と問えば、
「喜んでくれる人がいることに、やりがいを感じます。みんな、世の中に貢献できていることが嬉しいんですよ」
そして、一番大切にしていることは? という問いに対しては、こう答えてくれました。
「静かな情熱です」
決して目立たない、地味な活動だけど、どこかで誰かが必要としていること。
それを維持して継続するには、“情熱” が不可欠なのだといいます。
なんだか胸の奥のほうが、ジワ~ッと温かくなるいい言葉です。
ちょっぴり得をした気分になった取材でした。
「あじさい会」 のみなさん、楽しいお話をありがとうございました。
Posted by 小暮 淳 at 11:52│Comments(0)
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