2019年04月28日
やっぱ肉玉でしょ!
むかしむかし、あるまちに、おばあさんが くらしていました。
おばあさんは、やきそばをやいて、こどもあいての あきないをしていました。
おばあさんは、なぜか いつもふきげんでした。
「おれ、なににしようかなぁ?」
こどもが、しながきをみながら ちゅうもんをしようとすると、きまって おばあさんは、こういいます。
「ニクタマにしな! いま ニクタマをやいてるんだから」
おばあさんは、けっして きゃくのちゅうもんを きくことはありません。
つきひはながれ、こどもたちは おとなになりました。
そして、みんな くちぐちに いいました。
「ああ、また あくざわのやきそばが くいてーな」
おばあさんは、“あくざわさん” といいました。
あの、「あくざわ」 の焼きそばが復活!!
そんな衝撃的なニュースが、新聞紙面に躍ったのは、昨年の夏のことでした。
「あくざわのやきそば」 は、昭和40~50年代を前橋市の中心市街地で過ごした “街っ子” ならば、知らない人はいないソウル・フードであります。
空きっ腹の坊主頭たちの放課後の聖地でもありました。
いつか、行かなくっちゃ!
あの青春の味を、もう一度!
ということで、やっと先日、行ってきました。
場所は前橋市千代田町。
国道17号の前橋テルサ前の信号を西へ、裁判所通りに入った右側です。
確か、以前は喫茶店だった店舗です。
その名も 「あくざわ亭」。
メニューは、焼きそばのみ。
並、大、特の3種類あります。
迷わず、大を注文しました。
実にシンプルな駄菓子屋風の焼きそばが登場!
具は、豚肉と玉子のみ。
水を使わず、かために焼いた太麺は、当時のままです。
う~ん、なつかしい!
というか、なつかしい味に感じるのです。
まったく同じ味なのかどうかは、半世紀近くも前の記憶なので、定かではありません。
でも、「こんな味だった」 と、僕の脳は承認しました。
「ごちそうさまでした。大変、なつかしゅうございました。これって、いわゆる 『肉玉(にくたま)』 っていうやつですよね? 」
レジで女性の店員に声をかけると、厨房の奥からご主人とおぼしき男性が、
「そうです! 当時、これが私は大好きでしてね。自分が食べたくて、この店を始めたんですよ」
と、大声で返してくれました。
ご主人は、かつての常連客だったようです。
「また、来ます」
そう言って、店を出ました。
やっぱ、あくざわの焼きそばは、肉玉でしょ!
Posted by 小暮 淳 at 12:24│Comments(0)
│つれづれ