2019年05月06日
三途の川のほとりで
「私たちが会いに行ったから、おばあちゃん、死んじゃったんだ! 会いに行かなければよかった」
訃報を知った長女が、泣きじゃくりながら電話をかけてきました。
「そんなことはないよ」
「だって、会えなければ生きていたんだから」
なんとも不思議な父娘の会話ですが、これには訳がありました。
オフクロが亡くなる1週間前に、長女親子が病院へ面会に行ったのですが、オフクロの体調がすぐれず、会うことができませんでした。
子どもは病室まで行けないため、子連れの面会の際は、患者自身にロビーまで降りて来てもらわなくてはならないのです。
ところがゴールデンウィークに入ると、オフクロの容態が急変しました。
「孫やひ孫たちに会わせてやりたい」 という願いから、病院側に無理を言って、特別、小暮家のみ子どもが病室へ入ることを許可してもらいました。
そして、長女一家が面会に行ったのが、平成最後の日だったのです。
その数時間後に、オフクロは他界しました。
でもね、長女一家だけではないんですよ。
長男も次女も、みんな駆けつけていたんです。
姪っ子一家なんて、東京から面会だけのために、日帰りで飛んで来てくれました。
「おばあちゃん、うれしかったんだよ」
「そうかな」
「みんなの手を握って、笑ってたじゃないか」
「うん、笑っていた」
「孫とひ孫が全員、会いに来るまで待っていたんだよ」
「じゃあ、私たちのせいじゃないんだね」
「その逆だよ、お前たちに会うために、おばあちゃんは、令和まで頑張って生きたんだ」
長女は、やっと納得して電話を切りました。
そして、出棺の時には、そっと手紙を入れていました。
いえいえ、長女だけではありません。
他の孫たちも、ひ孫までもが手紙を書いていました。
きっと今頃、三途の川のほとりで、オヤジに手紙を見せているかもしれませんね。
「俺の時は、こんなに手紙は入ってなかったぞ」
と、やっかんでいるかもしれません。
Posted by 小暮 淳 at 11:45│Comments(4)
│つれづれ
この記事へのコメント
休み中PCの電源を入れず、今日になってしまいました
謹んでご冥福をお祈り申し上げます
数カ月の間にご両親とのお別れは大変なことになりましたね
謹んでご冥福をお祈り申し上げます
数カ月の間にご両親とのお別れは大変なことになりましたね
Posted by ぴー at 2019年05月06日 16:14
ぴーさんへ
ありがとうございます。
樹木希林と内田裕也よりも早く、オフクロはオヤジの元へ逝ってしまいました。
子や孫や、ひ孫のそばよりも、そんなにも亭主のそばが、いいんですかね。
ありがとうございます。
樹木希林と内田裕也よりも早く、オフクロはオヤジの元へ逝ってしまいました。
子や孫や、ひ孫のそばよりも、そんなにも亭主のそばが、いいんですかね。
Posted by 小暮 淳 at 2019年05月06日 23:20
たぶん
子や孫は上から見守るとして
連れ合いはまた違った絆がありますからね
うちは、先に逝ったほうが迎えにくる
と、約束していますが、、、そんなにうまくいくかは神のみぞ、、、
うちの父も母も、身内が迎えにきましたよ!
そうゆうのを感じる娘だったので、家族はありがたいものとおもいましたけど
子や孫は上から見守るとして
連れ合いはまた違った絆がありますからね
うちは、先に逝ったほうが迎えにくる
と、約束していますが、、、そんなにうまくいくかは神のみぞ、、、
うちの父も母も、身内が迎えにきましたよ!
そうゆうのを感じる娘だったので、家族はありがたいものとおもいましたけど
Posted by ぴー at 2019年05月07日 10:36
ぴーさんへ
夫婦も、いろいろですね。
連れ合いが亡くなると、生き生きとして長生きする人もいます。
うちの両親の場合、実はオフクロは限界だったのです。
気力だけでオヤジを見送りましたから、ホッとして力尽きたんだと思います。
夫婦も、いろいろですね。
連れ合いが亡くなると、生き生きとして長生きする人もいます。
うちの両親の場合、実はオフクロは限界だったのです。
気力だけでオヤジを見送りましたから、ホッとして力尽きたんだと思います。
Posted by 小暮 淳 at 2019年05月08日 22:20