2019年06月15日
令和の年賀状
♪ 赤い花つんで あの人にあげよ
あの人の髪に この花さしてあげよ
赤い花赤い花 あの人の髪に
咲いてゆれるだろう お陽さまのように ♪
半年遅れて、年賀状が届きました。
<賀状ありがとうございました。今年は書けなかったので、新元号になってからあいさつしようと思っていました。>
差出人は、30年前に、たった1日、それも旅の途中で数時間を共にした女性からでした。
山口県の長門峡という景勝地でのことです。
僕は、ひとり旅でした。
※(関連記事=当ブログ2019年5月21日 「掌編小説<浅田晃彦・選>」 参照)
渓谷を散策した帰り、駅へ向かう田舎道を歩いている時に、彼女たちに出会いました。
まだ20歳くらいの2人連れの女性です。
学生さんで、隣県から日帰りでハイキングに来たのだと言いました。
無人駅に着くと、乗車客は僕ら3人だけでした。
しかも、次の電車までは1時間以上もあります。
「ひと駅、歩きませんか?」
僕の提案に2人も賛同して、線路沿いの道を歩き出しました。
当時、僕は “自分探しの旅” を繰り返していました。
結婚をしていたのに、職には就かず、「自分は何者なのか?」 を自問自答する日々でした。
気が付くと、“日常” に息がつまって、フラリと旅に出てしまっていました。
あれから30年が経ちました。
上りと下り、どちらの電車が先に来たのかは忘れましたが、僕らは次の駅で別れました。
あの時、道すがら3人で口ずさんだ歌が、「赤い花 白い花」 でした。
今でも、この歌を聴くと、あの時の光景と若い2人の笑顔が浮かんできます。
そしてまた、半年遅れの年賀状を手にした時も、知らずのうちに僕は 「赤い花 白い花」 を口ずさんでいました。
縁とは不思議なものです。
1年に1回、こうして年賀状だけの付き合いが続いています。
いつか、どこかで、またバッタリと会うことがあるのでしょうか?
♪ 白い花つんで あの人にあげよ
あの人の胸に この花さしてあげよ
白い花白い花 あの人の胸に
咲いてゆれるだろう お月さんのように ♪
Posted by 小暮 淳 at 18:25│Comments(0)
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