2019年08月02日
48℃の壁
「医者としては、認められませんね」
何のことかといえば、巷で騒がれている草津温泉の伝統入浴法 「時間湯」 にまつわる “湯長制度廃止問題” についてです。
48℃の高温入浴は、是か非か?
僕は毎月1回、健康管理のため、かかりつけの医院に行き、問診を受け、血圧等のチェックをしてもらっています。
ぜひ、医者としての意見が聞きたくて、主治医に例の一件を投げかけました。
案の定、即答されてしまったということです。
「時間湯」 とは、草津温泉に江戸時代から伝わる特殊な入浴法です。
湯長 (ゆちょう) と呼ばれる指導者の号令を合図に、湯治者が一斉に約48℃の高温の湯に浸かります。
一日に何回も浸かり、これを何日も行う荒療治で、昔は皮膚病や性病などを治したといいます。
突然、この100年以上もの歴史と伝統を持つ入浴法に、マッタ!がかかりました。
「湯長制度を廃止する」
との草津町町長の表明は、全国の温泉ファンに衝撃が走りました。
町長が示した廃止理由は、次のような理由からでした。
<「病気が完治する」といった表記が薬事法に触れかねない点や、入浴の際に湯長が利用者の症状を確認することが医療行為に当たる可能性がある。>
また、
<時間湯の原点はあくまでも38度以上の湯で行われていた集団入浴であり、高温の湯に湯長の指示で入ることが時間湯ではない。>
と主張しています。
今後は、湯の温度を42℃前後とし、町内の共同浴場とほぼ同水準に引き下げることで、入湯者が安全に利用できるようにするとのこと。
また、これまで有料だった入湯料は、無料化にする方向とのことです。
町長は、新聞の取材に対して、こうも説明しています。
<時間湯そのものの文化を廃止するつもりはない。法令に触れる恐れのある現在の湯長制度を廃止し、医学的に危険な48度の高温浴を見直すことで、時代に合った形で時間湯を残していきたい。>
僕の感想を率直に述べさせていただければ、“42℃” は独特な入浴法ではなく、ただの一般的な入浴法であり、草津温泉が守り継いできた 「時間湯」 ではありませんね。
さらに、危険というだけで廃止するのではれば、全国には死者が出るほどの祭りや行事が、伝統と文化の名のもとに伝承されています。
真冬の寒中水泳や滝行なんかは、ドクターストップがかかりそうなものです。
どうも問題の焦点は 「時間湯」 ではなく、「湯長制度」 の有無のようであります。
町長が言うように、医療行為に抵触するのであれば、医師免許を持つ湯長を抜擢させればいいのであり、または医師の立ち合いのもとに行えばいいだけです。
なのに突然、廃止 (解雇) です。
これって、論争の陰に隠れて、何か別の理由がありそうですぞ!?
温泉ファンとしては、今後の事のゆくえから目が離せませんな。
Posted by 小暮 淳 at 11:35│Comments(2)
│温泉雑話
この記事へのコメント
元気そうですねー近くにお越しの際には
お立ち寄りくださいませ~
お待ちしています
あいたいな~
お立ち寄りくださいませ~
お待ちしています
あいたいな~
Posted by らかん亭 at 2019年08月03日 22:22
らかん亭さんへ
大変ご無沙汰しております。
取材等で近くを通るたびに、いつも気にはかけているのですが、なかなか時間的な都合で、寄れなくて申し訳ありません。
積もる話をしに、また、ぷらりと顔を出させていただきます。
大変ご無沙汰しております。
取材等で近くを通るたびに、いつも気にはかけているのですが、なかなか時間的な都合で、寄れなくて申し訳ありません。
積もる話をしに、また、ぷらりと顔を出させていただきます。
Posted by 小暮 淳 at 2019年08月04日 10:38