2019年08月29日
骨を洗う
泣けた、泣けた。
笑った、笑った。
そして、嫉妬しました。
去年までは、そうでもなかったのですが、突然、スケジュールが空いてオフ日になってしまうと、ぷらりと映画を観に行くクセがつきました。
だって、60歳以上はシニア料金ですもの!
1,000円で映画が観られるというのは、魅力です。
かねてから機会があったら観ようと思っていた照屋年之監督の 『洗骨(せんこつ)』。
照屋年之は本名で、ご存じ、お笑いコンビ 「ガレッジセール」 のゴリさんです。
劇団ひとりさんしかり、又吉直樹さんしかり、お笑い芸人の才能の豊かさは周知のとおりですが、またここに、眠っていた素晴らしき才能が開花しました。
ゴリさんは、監督のほかにも脚本を手がけています。
“洗骨” とは、今はほとんど見なくなった沖縄の離島や奄美群島などに残っているとされる風習です。
風葬された死者が、肉がなくなり骨だけになる4年後に、近親者が集まり、1つ1つ骨をきれいに洗ってあげることにより、ようやく、この世と別れを告げられるといいます。
ともすると暗くなりがちな重いテーマですが、そこは、お笑い芸人監督です。
とにかく、笑えて、笑って、笑ったままで泣かせます。
と思ったら、すぐに笑わせてくれるのですから、観ているほうも忙しい映画です。
何度も、笑いながら涙を拭かせてもらいました。
主演は、自身が映画監督でもあるベテラン俳優の奥田瑛二さん。
絶品の演技で、酒に溺れるダメおやじを演じています。
脇を、実力派の筒井道隆さん、水崎綾女さん、演技派の大島蓉子さんらが固めます。
テレビでもお馴染みのオバチャン女優の大島さんの演技は、観る者をスクリーンに引き込むほどの迫力を感じました。
中盤から登場する、お笑いコンビ 「ハイキングウォーキング」 の鈴木Q太郎さんが、実にいい味を出しています。
彼がセリフを言うたびに、場内は爆笑!
これも、ゴリさんならではの “笑い” にこだわった配役なんでしょうね。
個人的には、死者の役のため出番は少なかったですが、筒井真理子さんの笑顔に魅了されました。
サスペンスドラマには欠かせない女優さんですが、ほとんどセリフがない、死者の存在感を演じ切っています。
昔から好きな女優さんの1人です。
オヤジとオフクロを立て続けに亡くし、今年、新盆を迎えたせいもあるかもしれませんね。
痛く、心に響いた作品でした。
お笑い芸人、恐るべし!
その才能に、嫉妬しました。
Posted by 小暮 淳 at 18:52│Comments(0)
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