2019年09月29日
辞書と地図と現金と
「じゃあ、いいです」
カードが使えないことを知ると、途端、きびすを返して店を出て行く外国人客たち。
このテレビCMを初めて見たとき、僕は30年以上も前のある現象を思い出しました。
全国の温泉宿で起きた “露天風呂ブーム” です。
「露天風呂ありますか?」
との客の問い合わせに、
「ありません」
と応えると、
「ガチャン!」
と何も言わずに電話が切れたといいます。
それまでの温泉宿にとって、露天風呂は不要でした。
虫や落ち葉、砂ぼこりが入り込む屋外の風呂は、温泉宿にとっては “百難あって一利なし” の存在だからです。
何よりも、湯が冷めやすい!
これは、湯守(ゆもり) が最も嫌います。
それでもブームは、容赦なく温泉宿を襲います。
その結果、泣く泣く露天風呂を造り、湯を循環しながら温めるハメになりました。
昭和から平成へ、平成から令和へ。
ますます世の中が便利になっています。
そこで僕は、ある提案をします。
便利は、良いことですか?
不便は、悪いことですか?
アナログ人間の僕は、いまだにスマホを持っていません。
クルマにも依然、ナビは付いていません。
当然、支払いは現金です。
「不便ではありませんか?」
と言われても、今日まで、これで生きてきたので、考えたこともありません。
分からない事柄や言葉があれば、辞書で調べます。
さらに詳しいことを知りたければ、図書館へ行きます。
クルマで出かけるときは、前日に地図で下調べをしてから出かけます。
行きとは違う道を探して、帰りは寄り道を楽しみます。
これを不便とは、思いません。
逆に、これらの手間が省かれることを 「便利」 と呼ぶのであれば、なんて便利とは、つまらないのでしょう。
辞書と地図と現金が、スマホとナビとカードに替わろうとしています。
でも、世の中が便利になって生きやすい人と生きにくい人がいます。
画一的に世の中が便利になるのではなく、その選択ができる世の中であることが、本当の意味での便利ではないでしょうか?
世の中が便利になると、人は何を得るか?
もしかすると、失うもののほうが多かったりして……
Posted by 小暮 淳 at 10:35│Comments(2)
│つれづれ
この記事へのコメント
9月25日「群馬直美」さんの絵を観にいってきました。
たまたま知り合いに会う用事がありましたので二泊させていただき
倉渕村の「せせらぎの湯」にはいり、最後に新前橋まで行き
直美さんの「下仁田ネギ」に会ってきました。
これも小暮さんのブログのお陰と感謝しております。
報告が遅れましてすみません。
たまたま知り合いに会う用事がありましたので二泊させていただき
倉渕村の「せせらぎの湯」にはいり、最後に新前橋まで行き
直美さんの「下仁田ネギ」に会ってきました。
これも小暮さんのブログのお陰と感謝しております。
報告が遅れましてすみません。
Posted by 気まぐれ爺さん at 2019年09月29日 14:17
気まぐれ爺さんへ
遠路はるばる群馬くんだりまでお越しいただき、ありがとうございました。
しかも、いつぞやブログに書いた「下仁田ネギ」の絵画展を覚えていて、行ってくださったとのこと!
筆者冥利に尽きます。
今後とも、ごひいきにお願い申し上げます。
遠路はるばる群馬くんだりまでお越しいただき、ありがとうございました。
しかも、いつぞやブログに書いた「下仁田ネギ」の絵画展を覚えていて、行ってくださったとのこと!
筆者冥利に尽きます。
今後とも、ごひいきにお願い申し上げます。
Posted by 小暮 淳
at 2019年09月29日 22:18
