2019年10月02日
神隠しの森
山梨県のオートキャンプ場に、家族と遊びに来ていた7歳の少女が行方不明になっています。
事故なのか、事件なのか?
目撃者もなく、こつ然と姿を消しました。
昔の人たちは、このように子どもが突然、消えてしまうことを 「神隠し」 といいました。
人間ではなく、天狗や山の神のしわざだと……
全国の温泉地には、神隠しにまつわる伝説が数多く残っています。
群馬県内にも、こんな話があります。
昔、霧積温泉(安中市) の湯が、ピタリと止まってしまったことがありました。
湯宿の主人や浴客らが心配していると、突然そこへ天狗が現れて、こう言いました。
「湯が止まったのは、山の神のたたりじゃ」
そして、湯を元どおりにする条件として、こんなことを告げます。
「人身御供を差し出せ。その人身御供は11歳の子でなくてはならない」
そういわれて、宿の者も客たちも湯治場内を探しました。
すると浴客の中に、美しい女の子が母親といました。
歳を訊くと、ちょうど11歳でした。
「その子を渡せ!」
天狗の声がしたかと思うと、母親の手から女の子は引き抜かれ、消えてしまいました。
途端、今まで止まっていた湯が、ふたたび勢いよく湧き出しました。
母親は狂ったように娘の名を叫びながら、山深い森の中へ入って行きました。
「ジュウイチ、ジュウイチ」
と鳴く鳥がいます。
母親が鳥になって、11歳の女の子を捜している声だといわれています。
法師温泉(みなかみ町) にも、同じような話があります。
こちらは11歳の男の子です。
突然姿を消した男の子の母親は、山に入って、「ジュウイチ、ジュウイチ」 と子どもの歳を叫ぶ鳥になったといいます。
以後、「11歳の男の子は山に入るな」 と言われています。
7歳の女の子を隠したのは、誰ですか?
山の神では、ありませんね。
天狗でも、ありませんね。
一日も早い発見を願っています。
Posted by 小暮 淳 at 11:51│Comments(0)
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