2019年11月21日
知らないほうがいい
作家の横山秀夫さんとは、直接、お会いしたことはないのですが、その昔、僕が編集人をしていた雑誌で、インタビュー取材をしたことがありました。
地元の新聞記者だったこともあり、また群馬在住ということもあり、とても親近感を抱いていた作家さんです。
小説もデビュー作の 『ルパンの消息』 から、すべて読んでいました。
そんな横山さんを、より身近に感じたのが、雑誌で取り上げたインタビュー記事でした。
出来上がった誌面を見て、驚きました。
仕事部屋に写っていたワープロが、僕が使用しているものと同メーカー同機種だったのです。
「横山さん、これで原稿を書いてるの?」
担当ライターに訊ねると、
「はい、しかも、メールではなく、わざわざプリントアウトして、ファックスで送っているらしいですよ」
同じだ! 同じだ! 僕と同じだ~!!
と、その時は、大作家と同じワープロを使って原稿を書いているというだけで、大変喜んだものでした。
現在、横山秀夫さん原作の映画が全国公開中です。
歌手の山崎まさよしさん主演の 『影踏み』。
“オール群馬” で撮影された映画ということもあり、県内では話題になっています。
ということで、さっそく僕も観てきました。
ノビ師と呼ばれる泥棒(忍び込みのプロ) が主人公の犯罪ミステリーです。
事件が事件を呼びさます、スリリングな展開に引き込まれました。
恋人役の尾野真千子さん、大好きな女優です。
若手俳優の北村匠海さんの演技も光っていました。
脇をかためる俳優陣も豪華です。
大竹しのぶさん、下條アトムさん、根岸季衣さん、鶴見辰吾さん、滝藤賢一さん……
作品としては、申し分ありませんでした。
でも……
何か違和感を感じたのです。
同じ違和感を、以前にも感じた映画がありました。
『そして父になる』 でした。
そうなんです、この映画も群馬ロケの多い作品でした。
知っている場所が多過ぎて、作品に集中できないという違和感です。
場所を知っているため、場面の位置関係と距離感が気になってしまいます。
ドキュメントじゃないんだから!と分かっていても、場面が変わるたびに 「あっ、ワープした」 なんて思ってしまいます。
中でも一番違和感を感じてしまったのが、たびたび登場する前橋市内の中心商店街でのシーンです。
「あれれ、通行人が、いっぱいいるぞ!」
と気になってしまい、映るたびにスクリーンの中を目が泳いでしまいました。
全部、エキストラなんですよね。
実際には休日でも、あんなに人は歩いていませんもの。
映画はロケ地を知らないほうが、楽しめますね。
Posted by 小暮 淳 at 11:39│Comments(0)
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