2019年12月11日
宝川温泉 「汪泉閣」⑦
「グラフぐんま」(企画/群馬県、編集・発行/上毛新聞社) というグラビア雑誌をご存知ですか?
たぶん、群馬県民なら一度は見たことがあると思います。
県内の銀行や公共施設には、必ず閲覧用に置かれている雑誌です。
僕は、この雑誌に2年前から 『ぐんま湯けむり浪漫』 という記事を連載しています。
最新の12月号で、第24回を数えます。
そして、迎える新年号は?
「県から、雪の露天風呂シーンが欲しいとの要望がありました」
との相談が、前回の打ち合わせ時に担当編集者からありました。
長年、雑誌の編集に係わっていますが、この“季節感の要望” というのが、一番の悩みのタネであります。
そう、月刊誌にしろ、季刊誌にしろ、取材するのは発行の数ヶ月前なのです。
「桜の写真が欲しい」 と言われても、取材するときは完全につぼみの状態です。
雪だって、この暖冬では期待できません。
ので、取材日を引っ張って、引っ張って、現地の様子をうかがっていました。
そしたら先週、「みなかみ町で積雪15cm」 の報告が入りました。
「だったら、さらに奥の豪雪地帯で知られる藤原地区なら30cmは積もっただろう!」
とスケジュールを組んで、本日、宝川温泉へと行ってきました。
ところが……
暖かい!
持参したコートを一度も着なかったぐらい暖かいのです。
そして案の定、どこを探しても雪はありません。
遠く眺める谷川岳が、わずか山頂部分に雪化粧をしているだけです。
ということで、グラビアのカメラマンには後日、出動していただくことにして、僕と編集者、そして地元の観光協会職員に同行してもらい、取材を進めることになりました。
宝川温泉といえば、“天下一” と称される巨大露天風呂です。
4つある露天風呂の総面積は、約470畳分!
そのスケールは、川と見まがう大きさで、かつて温泉評論家たちが選ぶ 「全国露天風呂番付」 で、“東の横綱” の地位にに輝いたことがあるほどです。
でも、“天下一” と称される理由は、大きさだけではありません。
このサイズの露天風呂が、加温なしで、完全放流式(かけ流し) であることです。
それができるのも温度と、そして毎分約1,800リットルという恵まれた湯量があるからであります。
入浴シーンの撮影は、2番目に大きい(120畳) の 「摩訶の湯」 で行いました。
いつもは、著者1人での入浴が多いのですが、今回は同行した観光協会職員の男性にも一緒に入ってもらいました。
すでに、ご存じの方もいるかもしれませんが、ここの露天風呂は混浴(1つ女性専用あり)ですが、今年から男性も 「湯浴み着」 の着用が義務付けられました(女性は3年前から)。
僕は今までの取材では、いつも全裸だったので、なんとも違和感のある撮影でした。
でも今のご時世、外国人観光客も増え、スマホによる盗撮が多発している現状を考えると、仕方がないのかもしれませんね。
温泉ファンとしては、さみしい限りであります。
いずれ日本から(着衣なしの純然たる)混浴文化が消えてしまうのではないかと……
日本の温泉文化の未来に憂いながらも、無事、取材を完了!
今日も宝川温泉は、外国人のカップルやファミリーで、いっぱいでした。
クール・ジャパン!
(宿泊客の4割が外国人とのことです)
Posted by 小暮 淳 at 21:58│Comments(0)
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