2020年01月12日
宵待ち列車に乗って
うまい酒を呑む条件とは?
ズバリ、“相手” と “場所” の選択にあります。
気の置けない、いつものメンバーとやるのも良いですが、たまには世代や業種を超えた人たちから刺激をもらうのも良いものです。
飲み屋も同じこと。
住み慣れたいつもの街を飛び出して、知らない町の知らない店で酔いしれるのも良いものです。
ということで、昨日は前橋駅から電車に乗りました。
両毛線→上越線→吾妻線と乗り継いで、中之条町へ。
そうです、僕が観光大使を務める 「花と湯の町 なかのじょう」 です。
地元の人たちは、愛情を込めて “なかんじょ” と呼びます。
今回、僕がこの町へ来たのは、大使としての公務ではありません。
“大使だから” という理由も少しはあるようですが、もっとざっくばらんに “のん兵衛” だからのようです。
この町に暮らす、若者たちが呼んでくれました。
居酒屋で出迎えてくれたのは、30代のアーティストたち4人。
画家や現代美術、脚本家など、みんな他県から移住して来た人たちです。
ここ数年、中之条町には彼ら彼女らのように、この町に惚れ込んで住み着く若者が増えています。
それは、なぜか?
一番の理由は、この町で定期的に開催されているアートの祭典 『中之条ビエンナーレ』 の存在です。
昨年も1ヶ月間にわたり開催され、国内外から約150組の作家が集まり、町内50会場で作品展示がされました。
開催中は、作家が町内に滞在し、制作活動を行います。
その間に町民との交流が生まれ、豊かな自然と人情味のある環境を気に入った作家たちが、そのまま住み着くのだといいます。
「カンパーイ!」
初対面同士、しかも歳の差は20~30歳。
「私は愛知県から移住して来ました」 「僕は山口県です」 「私は横浜」
出身はさまざまですが、みんなこの町で出会い、交流を深めている仲間たちです。
芸術の話、観光の話、温泉の話……
夢を語る彼ら彼女らの目は、キラキラと輝いています。
A君は、去年まで公務員をしていたといいます。
「きっかけを探していたんです。いつか役所を辞めようと」
そのチャンスは、中之条町が企画した公募でした。
受賞を機に、辞表を出して、移住を決意したといいます。
ついつい歳を重ねると、「若いって、いいね」 という常套句を口にしてしまいがちですが、彼ら彼女らを見ていると、決して “若さの賜物” だけで移住して来たわけではないことが分かります。
みんな、自分を大切にして生きているんですね。
「みんな、カッケーよ!」
つい僕も若者言葉で、返していました。
でも、本当にみんな、カッコイイんです。
宵待ち月が天空に上がる頃、僕は駅へ向かいました。
列車の座席に腰を降ろすと、車窓の向こうで手を振る人たちがいます。
わざわざ見送りに来てくれたんですね。
改札口で手を振る彼ら彼女らの姿が見えなくなるまで、僕も手を振り続けました。
Posted by 小暮 淳 at 14:12│Comments(0)
│酔眼日記