2020年03月07日
尻焼温泉 「ホテル光山荘」③
<長笹沢川に架かる橋の名は 「尻明橋(しりあきばし)」 という。かつて 「尻焼(しりやき)」 の文字を嫌って、温泉名を 「尻明」 「白砂(しらす)」 「新花敷(しんはなしき)」 などと称した時代があった。この橋は、その頃の名残である。>
(『群馬の小さな温泉』 より)
“群馬の秘湯” と聞いて、尻焼温泉(中之条町) を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?
一時、雑誌やテレビなどで、川全体が露天風呂になっている野趣あふれる写真や映像が紹介されるやいなや、秘湯ブームに乗っかって、大混雑したことがありました。
でも今は、また元の湯治場風情に包まれた静かな温泉地にもどっています。
前日の雪が残る中、昨日は久しぶりに取材で尻焼温泉へ行って来ました。
名物の川風呂には、平日の午前中にもかかわらず、数名の男性が湯を浴んでいました。
「あの人たち、近くでキャンプをしている人たちですね」
そう教えてくれたのは、川風呂から一番近い宿 「ホテル光山荘」 のオーナー、小渕哲也さんです。
彼とは、かれこれ10年以上の付き合いになります。
僕は、尻焼温泉のある中之条町の観光大使でもありますが、みなかみ町の温泉大使でもあります。
そして小渕さんは、みなかみ町のうのせ温泉にある 「旅館 みやま」 のオーナーでもあるため、双方の総会やイベントなど、その他もろもろで大変お世話になっている方でありす。
今回は、僕が雑誌の取材に来ることを知って、わざわざ旅館まで来てくださいました。
尻焼温泉の発見は古く、嘉永7(1854)年の古地図に温泉地として記されています。
川の中の野天風呂として村人たちが利用していたらしいのですが、温泉宿が建ったのは遅く、昭和になってからでした。
往時は5~6軒の旅館がありましたが、現在は3軒です。
その中で一番古い宿が、昭和52(1977)年創業の光山荘です。
宿名の由来は、創業者が “鉱山” を所有していたからだといいます。
そして3軒の宿の中で唯一、自家源泉を保有しています。
以前、僕は著書の中で、こんなふうに書いています。
<湯は熱いのだが、不思議とクールな浴感であることに気づいた。まるでミントの入浴剤に入っているような清涼感である。その感覚は、湯から上がっても変わらない。体が火照ることなく、汗も吹き出さない。なんとも涼しい湯である。>
「小暮さんの本を読んだ人が、実際に湯を確かめに来るんですよ」
小渕さんに言われたことがありました。
「それで?」
「みなさん、『本当ですね』 と納得して帰られます」
はたして、今日の湯は?
源泉の温度は約54度もあります。
それが加水されることなく、ドバドバとかけ流されているのですから、やはり熱いのです。
でも、ご安心を!
浴室には、大きな湯かき棒が置かれています。
これで豪快に、バシャバシャと湯をもんでやるのです。
すると不思議不思議、スーッと体が湯の中に入って行くのです。
それからは、上記のように著書に書いたとおりです。
清涼感があり、湯上がりも汗が出ませんでした。
「相変わらず、いい湯ですね」
「ありがとうございます」
「湯がいいのは、湯守(ゆもり) の腕がいいからですね」
「だったら私ではなく、毎日、湯をみている女将に言ってやってください」
だからロビーで、女将に言ってあげました。
「グッジョブ!」
いい湯に出合えると、本当に幸せな気分になりますね。
オーナー、女将さん、取材協力ありがとうございました。
Posted by 小暮 淳 at 13:08│Comments(3)
│温泉地・旅館
この記事へのコメント
光山荘の由来は鉱山では
無いはずです(´˘`*)
お名前からです。
無いはずです(´˘`*)
お名前からです。
Posted by 白川ゆり at 2020年09月14日 00:47
白川ゆりさんへ
ご指摘、ありがとうございます。
現、経営者に確認したところ、“鉱山が由来” は、のちのこじつけのようでした。
(実際に所有はしていたそうですが……)
白川さんのおっしゃるように、創業者の名前の二文字からだそうです。
ありがとうございました。
ご指摘、ありがとうございます。
現、経営者に確認したところ、“鉱山が由来” は、のちのこじつけのようでした。
(実際に所有はしていたそうですが……)
白川さんのおっしゃるように、創業者の名前の二文字からだそうです。
ありがとうございました。
Posted by 小暮 淳 at 2020年09月14日 10:30
早々にご確認頂いたのですね!
びっくりしました( * ॑˘ ॑* ) ⁾⁾
ありがとうございました!
びっくりしました( * ॑˘ ॑* ) ⁾⁾
ありがとうございました!
Posted by 白川ゆり at 2020年09月16日 00:21