2020年05月29日
悪口は人のためならず
また、おかしな夢を見ました。
たぶん僕は小学生で、友だちと口ゲンカをしているようです。
そのとき、苦しまぎれに友だちに向けて言った言葉……
「バカ、カバ、チンドン屋、おまえのかーちゃん、出ベソ!」
そこで目が覚めました。
なんとも寝覚め悪い夢でした。
起きてからも、しばらくは、この言葉が頭の中をめぐっていました。
「バカ、カバ、チンドン屋、おまえのかーちゃん、出ベソ!」
呪文のような不思議な言葉ですが、当時は決りゼリフのように、誰もがケンカで相手を罵倒するときに叫んでいた記憶があります。
これって、悪口なのでしょうか?
しかも、相手に対するダメージがある言葉なのでしょうか?
このセリフの中で、悪口と思われる言葉は 「バカ」 くらいなものです。
「カバ」 は、ただ単に、バカをひっくり返しただけの言葉遊びです。
では、チンドン屋は?
決して、侮蔑(ぶべつ) した言葉ではありません。
当時の子どもたちは、チンドン屋が大好きで、一緒に後をついて、街中をねり歩いたものです。
しいて言うならば、化粧でしょうか?
志村けんの “バカ殿” のような格好が、道化師のようで笑えたからかもしれません。
一番の謎は、最後の 「おまえのかーちゃん、出ベソ」 です。
なぜ、相手ではなく、母親なのか?
しかも、バカやアホでもなく、“出ベソ” なのか?
確かに当時のマンガの主人公や登場人物の男の子には、よく、めくれたシャツから “出ベソ” がのぞく描写が書かれていました。
やはり、これもチンドン屋同様、“笑いモノ” としての決めゼリフなのかもしれません。
では、言われた相手は、これに対して何と応えたのでしょうか?
「うちのかあちゃんは、出ベソじゃないやい!」
と反撃したり、
「なんで知ってるんだよ。オレだって見たことないのに!」
と、逆に笑いをとったものでした。
ただ、このセリフは使い方を間違えると、墓穴を掘ってしまいます。
あれは、7歳離れたアニキとのケンカのときでした。
ケンカといっても、一方的に僕が殴られて、惨敗……
泣きながら叫んだ言葉が、このセリフでした。
「バカ、カバ、チンドン屋、おまえのかーちゃん、出ベソ!」
すると、アニキから返って来た言葉は、
「おまえのかーちゃんでもあるんだぞ!」
“悪口は人のためならず”
以後、誰とケンカしても、このセリフを吐くことはありませんでした。
Posted by 小暮 淳 at 11:25│Comments(0)
│つれづれ