2020年06月14日
蘇民将来の木札
唐突に、古い友人から、こんなメールが届きました。
<淳ちゃんには、蘇民祭で洗礼をたまわっているから、「蘇民袋」 のご利益がありますね。>
一見、何のことかと思いましたが、メールをじっくりと読むと、コロナ禍のさなか、“第三のアマビエ” と称される疫病退散の神 「蘇民将来」 のことを告げる内容でした。
蘇民祭とは、岩手県を中心に日本各地に伝わる裸祭りです。
毎年、極寒の1月に、ふんどし姿の男たちが、夜を徹して 「蘇民袋」 と呼ばれる木っ端の入った布の袋を奪い合います。
そして、袋を手にした男がいる村には、その年1年間の五穀豊穣と無病息災が約束されます。
昔、僕は旅行雑誌のライターをしていた頃があり、全国の奇祭をめぐっていました。
その中に、岩手県水沢市(現・奥州市) の 「黒石寺蘇民祭」 という祭りを取材したことがありました。
友人は、その時の僕の話を覚えていてくれたようです。
では、なぜ、この蘇民祭とコロナ禍の疫病退散が関係あるのでしょうか?
実は、この祭り、今から1,000年以上も昔に原因不明の難病が流行したことから、「蘇民将来」 の説話に基づいて始まった祭りなのです。
そみんしょうらい……とは?
八坂神社の御祭神、スサノオノミコトが伊勢の地を旅したとき、一夜の宿を請うスサノオノミコトを貧しくも心豊かな男 「蘇民将来」 が、こころよく迎え入れ、粟で作った食事で厚くもてなしました。
その晩、スサノオノミコトは、夢によって悪病が襲って来ることを察知し、蘇民の家の周りに 「蘇民将来子孫也」と言いながら、茅の輪を編んで張りめぐらせました。
一夜明けると、村中どこの家も疫病に倒れたにもかかわらず、蘇民の家だけは無事に難を逃れました。
※諸説あります。
この説話から、疫病流行の際には、 「蘇民将来子孫也」 と記した木札を貼った家や所持する者は、疫病より免れるといわれています。
蘇民将来子孫也
みなさんも、木札に書いて護身されたら、いかがでしょうか?
Posted by 小暮 淳 at 11:45│Comments(0)
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