2020年07月11日
じゅん散輪 ~町の本屋さん~
《鬼滅の刃 全巻あります》
キキキキーーーーーッ!
住宅街の一角に、突然現れた看板を見て、思わず、急ブレーキをかけてしまいました。
「ウォーキング」 と 「散歩」 の違いは?
その目的にあります。
ウォーキングは、そのものズバリ、歩くことにあり、散歩は、散策です。
ならば、走ることが目的の 「サイクリング」 に対して、散策が目的の “自転車散歩” があってもいいのではないでしょうか?
ということで、僕は、これを 「散輪」 と名付けています。
コロナ禍の自粛にともない、運動不足解消のために行っている日課のウォーキング。
でも、この梅雨空では、いつなんどき雨が降り出さないかと心配で、なかなか歩き出せません。
そんな迷ったときは、自転車に乗って、ペダルを漕ぎ出します。
自転車ならば、急に雲行きが怪しくなっても、すぐに帰路につくことができるからです。
勝手知ったる市内の住宅街を、気の向くまま、ハンドルの向くまま、のらりくらりと、あてもなく徘徊します。
「散輪」 の鉄則は、なるべく通ったことのない未開の道に入り込むことです。
国道から脇道に入ったときです。
突然、冒頭の看板が、目に飛び込んできました。
《鬼滅の刃 全巻あります》
歩道をふさぐように、段ボールにマジックで手書きされた文字が躍っています。
マンガのことは詳しくありませんが、「鬼滅の刃」 が空前のブームになっていることぐらい、僕だって知っています。
「ということは、ここは……」
そう、本屋さんでした。
見上げると、確かに、消えそうな文字で、「〇〇書店」 と書かれています。
「こんなところに、本屋さんなんて、あったっけ……」
と一瞬、思いましたが、よくよく考えてみれば、この道は今日、初めて通った道であることに気づきました。
「よく、つぶれないで残っていたな……」
ウィンドウ越しに覗き込んでみると、そこは完全に昭和の本屋さんでした。
もちろん客は一人もいません。
薄暗くて、店主が居るのかも分かりません。
入口の周辺には、文房具が売られています。
昭和→平成→令和と、3時代を生き抜いて来たんですね。
活字離れが進む現代。
ネットの普及も拍車をかけているようです。
町の中の “本屋さん” は、今や “絶滅危惧商店” の筆頭とも言われています。
がんばれ、町の本屋さん!
僕は、またペダルを漕ぎ出しました。
Posted by 小暮 淳 at 11:38│Comments(0)
│つれづれ