2020年07月24日
ネガティブな回覧板
先週、またしても芸能界から訃報が飛び込んで来ました。
新型コロナウイルスの感染により、志村けんさんと岡江久美子さんが亡くなられた時もショックでしたが、それでも、あの時は 「病気だから仕方がない」 と割り切ることができました。
でも今回は、なんとも言えない澱(おり) のようなものが、くすぶっていて、消化不良を起こしています。
人気俳優の三浦春馬さんが、30歳という若さで突然、自らの死を選んでしまいました。
映画やドラマ、バラエティー番組での彼を見る限りでは、才能豊かで、真面目で、誠実さが感じられる青年で、好感を抱いていました。
演技力の評価も高く、これからが楽しみな役者さんの一人でした。
自殺の原因は、ナゾです。
きっと、解明されることはないのだと思います。
死んだことのない、しかも、自らの死を選んだことのない人たちが、どんなに推測しても、それは憶測でしかありません。
今はただ、冥福を祈り、彼が生前に残した作品に一つでも多く触れることが供養になると思っています。
今回の三浦さんの死で、どうしても引っかかっていることが一つ、あります。
SNSで、生前、彼を誹謗中傷する書き込みが多くあったということです。
韓国アイドルしかり、先日の女子プロレスラーしかり、とかく有名人は “ネット殺人” の標的にされてしまうようです。
コロナの 「自粛警察」 同様、現在社会では “正義” の名を借りた “いじめ” が、はびこっています。
三浦さんもたびたび、不倫騒動を起こした友人を擁護する言動やコロナ禍での舞台出演、歌手活動への批判がネットで炎上していたようです。
これらが自殺への直接の原因ではないでしょうが、引き金となる要因になった可能性は、拭い去れません。
そうです!
言い方を変えれば、ネットの住人たちが、三浦さんの自殺の後押しをしたのです。
このネット上の誹謗中傷について、さる大学教授が、こんなことを言っています。
「SNSで他人を誹謗中傷する人たちの3~5割が遺伝要因である」
ふつうの人は自制心が働くのですが、何割かは、結果を考えない衝動性の高い人がいて、自制できずに叩いてしまうとのことです。
そして、それは遺伝と関係があると……
はたして、この現象を遺伝子のせいにしてしまって、いいのでしょうか?
これって、ネット社会になってからの現象ですよね?
昭和の時代には、考えられなかった。
だって、人の悪口は、こっそり日記帳に書くか、橋の下のコンクリート壁に落書きするしかなかったのですから。
なかには直接、本人に手紙を送り付けたり、電話をかけたりする人もいましたが、ごく稀なケースで、ほとんどの人は陰で悪口を言っていました。
だって、悪口って、そういうものでしょう?
こっそり、本人に聞こえないように言うものです。
それで言った人も、ストレス解消をしていたのです。
なのに今は、不特定多数に向けて、しかも匿名で他人の悪口を言って、さらに拡散しています。
まるで、ネガティブな意見ばかりを寄せ書きした回覧板のようです。
もう、こんな、くだらないことは、やめませんか?
大学教授の言うように、もし、これが遺伝によるものならば、ぜひ、一日も早い治療薬の開発をお願いいたします。
Posted by 小暮 淳 at 12:39│Comments(0)
│つれづれ