2021年01月13日
我が道のゆくえ
♪ 今 船出が 近づくこの時に
ふとたたずみ 私は振り返る
遠く旅して 歩いた若い日を
すべては心の 決めたままに ♪
(訳詞/中島潤)
新聞を読んでいて、ちょっとショックな記事を見つけました。
アメリカの歌手、フランク・シナトラは、自身が歌って世界的な大ヒットとなった名曲 『マイ・ウェイ』 を、「好きではなかった」 というのです。
<歌詞は、死期が近づく男が人生を振り返り、自分の信じた道を歩んだことに間違いはなかったと述懐する。「身勝手だ」 と考えていたようだ。後年は家族への罪の意識も漏らしていたというから華やかな人生にも悔いはあったのだろう。>
(毎日新聞 「余禄」 より)
あれ、『マイ・ウェイ』 って、そんな歌だっけ?
もっと希望に満ちた旅立ちの歌だったような……
と思われたのは、きっと僕だけではないはずです。
だって、一般に知られている歌詞は、冒頭に記した布施明が歌った歌詞ですものね。
と思い調べてみると、こんな訳詞もありました。
♪ やがて私も この世を去るだろう
長い歳月 私は幸せに
この旅路を今日まで越えて来た
いつも 私のやり方で
(中略)
人を愛して 悩んだこともある
若い頃には はげしい恋もした
だけど私は 一度もしていない
ただ卑怯な 真似だけは
人間(ひと)はみないつか この世を去るだろう
誰でも 自由な心で暮らそう
私は 私の道を行く ♪
(訳詞/岩谷時子)
こちらのバージョンは尾崎紀世彦らが歌っていますが、布施明がカバーした時は若かったため、船出に例えた希望ある歌詞に変更したようであります。
今では、結婚式などの祝いの席での定番ソングとなっています。
で、改めて、岩谷時子バージョンを聴いてみると、シナトラの言う 「身勝手」 の意味がしみじみと伝わってくるのであります。
世界的な成功を収めた大スターの人生と比べるのは、おこがましいのですが、僕も身勝手ながら人生の3分の2以上を生きてきました。
時に悩み、傷つき、人を愛し、迷いながらも、なんとか……。
“正しかったか” “間違っていなかったか” は別としても、今、思えば十分に 「身勝手」 だったと思うのです。
若い頃には考えてもみなかったことですけどね。
みなさんは、どちらの歌詞が好きですか?
Posted by 小暮 淳 at 11:31│Comments(0)
│つれづれ