2021年04月18日
温泉考座 (83) 「自分に合う湯探し」
<脚気(かっけ)川場に瘡(かさ)老神>
<川古の土産は一つ杖を捨て>
これは昔から言い伝えられてきた温泉の効能を表すキャッチコピーのようなものです。
川場温泉 (川場村) の湯は脚気に、老神温泉 (沼田市) の湯は瘡 (皮膚病) に効果があり、川古温泉 (みなかみ町) の湯につかれば杖を忘れて帰るほど元気になる、という意味です。
中には、こんなユニークなものもあります。
<親の説教と亀沢の湯は後からじんわり効いてくる>
亀沢温泉 (高崎市) は昔からシミやソバカス、ニキビに効くといわれた西上州の薬湯で、近年は 「美人の湯」 として知られています。
医学が発達した現代では、病気になったからといって、真っ先に温泉へ行く人はいないかもしれません。
でも、病後や疲労の回復、リハビリなどの目的で温泉に通い続ける人は今でも少なくありません。
やはり、そこには温泉の持つ治癒力があるからだと思います。
医学的に治療効果がある温泉のことを 「療養泉」 といい、含まれる主な化学成分によって10種類の泉質に分類されています。
もっともポピュラーなのが日本で一番多い 「単純温泉」 です。
突出した含有成分がないため、体にも肌にもやさしく、湯あたりも少ないのが特徴です。
乳幼児から高齢者まで安心して入浴できることから、別名 「家族の湯」 と呼ばれています。
塩分を多く含む 「塩化物泉」 は、皮膚に付く塩分が汗の蒸発を防ぐことで体が芯から温まる保温効果があり、「熱の湯」 とも言われます。
湯冷めしにくく、発汗作用があります。
「硫黄泉」 には美肌効果、「酸性泉」 には殺菌効果があります。
「含鉄泉」 は飲用すると鉄分の補給になるため、鉄欠乏症の貧血に効果があるとされます。
また泡の出る 「二酸化炭素泉」 は毛細血管を広げて血圧を下げる効果があるため、「心臓の湯」 と言われています。
群馬県内には10種類の療養泉のうち、8つの泉質の温泉が湧いています。
湯めぐりを楽しみながら、自分の体に合った温泉を探してみてください。
<2015年3月18日付>
Posted by 小暮 淳 at 11:14│Comments(0)
│温泉考座