2022年02月07日
西上州の薬湯 (5) 「天然湖畔に湧いたカーキ色のにごり湯」
このカテゴリーでは、2016年12月~2018年2月まで関東新聞 「生活info(くらしインフォ)」 に連載された 『西上州の薬湯』(全15話) を不定期にて掲載しています。
※名称、肩書、料金等は連載当時のまま。一部、加筆訂正をしています。
榛名湖温泉 「ゆうすげ」 高崎市
標高1,084m、南北1.5㎞、東西0.8㎞、周囲4.8㎞。
榛名湖は、赤城山、妙義山とともに 「上毛三山」 の1つとして県民に親しまれている榛名山の外輪山に囲まれたカルデラ内に水をたたえる火口原湖。
周辺の高原は四季折々の風景が美しく、初夏のユウスゲやレンゲツツジ、初秋のマツムシソウなど山野草が咲き誇り、訪れるハイカーたちの目を楽しませてくれる。
そんな榛名湖畔に温泉が湧いたのは昭和43(1968)年のことだった。
若者向けの宿泊施設を経営していた地元のバス会社が、温泉を掘り当てた。
しかし伊香保温泉との兼ね合いもあり、なかなか県から温泉の使用許可が下りずにいた。
同51年に旧榛名町開発協会の経営により、ようやく榛名湖温泉としてオープンした。
ところが同54年4月には旧榛名町に経営が移管され、温泉の使用も本館と新館のみという条件付きとなってしまった。
新館とは、「老人休養ホームゆうすげ」 としてオープンした 「レークサイドゆうすげ」 である。
平成11(1999)年、本館の 「ゆうすげ元湯」 がリニューアルオープン。
そして同18年9月、高崎市と榛名町の合併を機に、株式会社榛名湖温泉として民営化された。
紆余曲折の歴史をたどり、この2軒の宿が温泉地の看板を守っている。
県内では数少ない天然湖畔に湧く温泉で、黄褐色のにごり湯が観光客やハイカー、湯治客に親しまれている。
「この恵まれた自然と環境を最大限に活用しようと、観光と健康を兼ね備えた “健光事業” というのを推進しています」
と代表の中島美春さん。
「ゆうすげ元湯」 では、ただ単に観光目的だけで訪れるのではなく、専門家による体力測定や健康指導、トレッキングなどを組み込んだ 「ヘルスツーリズム」 (宿泊体験ツアー) を開催している。
これに温泉の効能が加わるのだから、まさに “現代版の湯治” である。
一方、「レークサイドゆうすげ」 は宿泊客の7割がリピーターを占める滞在型の湯治宿。
そもそもが老人ホームとして建てられた施設だけあり、60歳以上の客には宿泊および休憩料金の割引がある。
泉質はナトリウム・マグネシウム―塩化物・硫酸塩温泉。
効能は神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、冷え性ほか。
源泉は無色透明だが、時間の経過とともにカーキ色からオレンジ色へと染まる。
よく温まり、湯冷めをしないと評判だ。
<2017年4月7日付>
※「レークサイドゆうすげ」 は2020年3月に閉館しました。また 「ゆうすげ元湯」 は 「ゆうすげ」 と施設名を変更しています。
Posted by 小暮 淳 at 12:22│Comments(2)
│西上州の薬湯
この記事へのコメント
レークサイド閉館…湖畔の良湯を守り続けてほしいものですね
Posted by つっちー at 2022年02月08日 00:30
つっちーさんへ
ですね。
県内で天然湖に臨む宿は、とても珍しかったので残念です。
ぜひ、復活してほしいものです。
ですね。
県内で天然湖に臨む宿は、とても珍しかったので残念です。
ぜひ、復活してほしいものです。
Posted by 小暮 淳 at 2022年02月08日 09:41