2022年09月09日
令和の力道山
いつものたまり場、酒処 「H」。
マックス8席のカウンターは、昨晩も満員御礼。
顔ぶれは、前期高齢者および前期高齢者予備軍たち。
となれば必然と話のテーマは、いつしか “昭和” に落ち着きます。
今回の話の入り口は、「スマホ」 でした。
「今の若者はさ、電車の中でもレストランでも、ずーとスマホを見ているわけよ。あれって、異常だよね」
との発言に、すかさず僕は返しました。
「我々だって、言われたじゃないですか。『テレビばっかり観てるとバカになる』 って」
すると、他の客が、
「言われた言われた! 『マンガばかり読んでるとバカになるって』」
いつの時代も子どもや若者は流行の先端に飛びつき、大人たちは、それに対して常に否定的であるものなのですね。
「友だちの家にテレビを観に行って、帰りが遅くなって親に怒られなかった?」
「怒られたな。俺んちはビンボーだったからさ、親がなかなか買ってくれなくて」
そんな話を、前期高齢者予備軍 (僕もこの仲間です) が話している時でした。
後期高齢者一歩手前の前期高齢者が言いました。
「えっ、電気屋で観たんじゃないの?」
実は、話が食い違っていたのであります。
この微妙な年齢差に、昭和の端境期(はざかいき)が存在したのです。
前者はカラーテレビ、後者は白黒テレビの登場期について話していたのでした。
時代で言えば前者は昭和40年代、後者は昭和30年代ということになります。
「街頭テレビじゃないんですか?」
白黒テレビについて話していることに気づいた僕は、問い返します。
「街頭テレビは都会、群馬の田舎では電気屋のショーウインドーの前で観るしかなかったの!」
そこから話しは、一気に街頭テレビのスター、プロレスラーの力道山で盛り上がります。
「いやー、空手チョップはカッコよかったな~!」
「そうそう、体の大きい西洋人を、バッタバッタと小柄な東洋人が、叩きのめすんだから!」
懐かしそうに話す人生の先輩に、僕はひと言。
「それって、コンプレックスの裏返し?」
すると、こう言いました。
「たぶん戦争に負けた相手を倒すことに、国民は快感を覚えていたんだろうね」
「ということは、大谷翔平の活躍も同じですかね?」
この後、全員一致で、大谷翔平は “令和の力道山である” という結論に達しました。
力道山が活躍した時代は、「もはや戦後ではない」 と言われた高度成長期の始まり。
戦後70年以上経つ今でも、我々日本人の中には、敗戦のコンプレックスが根強く残っているということだろうか?
がんばれ、大谷翔平!
ショータイムを見せてくれ!
相変わらず、昭和から離れられない懲りない面々であります。
Posted by 小暮 淳 at 13:14│Comments(0)
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